ある日、友達とキスをした

Kokonuca.

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まこと side

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「元気だな」
「僕はっ  」

 何か言い返そうとして、今の今まで藍我に背中を向けられた悲しさが隅に追いやられていたことに気がつく。
 さっきまでのちょっとアレな行動もわざとだったのかなって、ちらりと上目遣いでもたれかかっている先輩を見上げる。

「こうやって見てたら、本当に子供が多いな」
「うん。座敷童が紛れ込んでても分からないよねってよく言われてたよ」

 田舎ならではの発想なんだろうけど、幸運が舞い込むって言われて悪い気はしない。
 洸平にもたれながらアルバムを見て話をしているうちに、僕はどうやら眠り込んでしまったみたいだった。





 バタバタバタ と駆け上がってくる足音は、お父さんもお母さんも絶対に立てない音だった。
 何事かと思ったけれど、温かい寝床が気持ち良すぎて目が開かないまま、誰かが入ってきたんだろうってぼんやりと思った。

 傍の温もりが少し遠ざかるから、それを追いかけるようにしてしがみつき、もぞもぞと頭を押しつけて寝心地を整え直す。

「ふはっくすぐってぇ」

 んん? って思った瞬間に目が開いた。
 匂うのは藍我と違う少し鼻がむずむずするような香水の香りだ。

 「誰?」って言う前に、足音そのままの勢いでドアが開け放たれて、藍我の大きな呼吸が聞こえてきた。
 汗だくで、肩で大きく息をしている藍我はいったいどこから走ってきたんだろって考えさせるような雰囲気だ。

「なっ……何やってんだよっ」

 荒い息の下から聞こえてきた声は掠れて、いつもよりも幾分低い。
 それが威嚇しているように思えて、僕は怖くなって思わず傍の温かな塊にとっさにしがみついた。

 そうすると赤かった藍我の顔色がさっと青くなって……ぶるぶると震え出すから、僕はわけが分からなくてますます隣の存在に強く抱きつく。

「まこ、まーこ。さすがにちょっと苦しいかな」

 背中をとんとんとあやすように叩かれて、そこでやっと僕がしがみついていたのが洸平だって気がついた。
 やけに温かくて気持ちいいからすっかり忘れていたけれど……

「先輩……まだいたんですか?」
「ひっど!」

 ついポロリと漏れた言葉に洸平は怒りもせず、茶化すように笑いを返してくれる。
 その砕けた雰囲気にホッと胸を撫で下ろした瞬間、大きな手が伸びて僕の体を軽々と抱え上げた。

「ひゃっ……」

 僕と洸平との間に割り込んだ藍我に抱きすくめられて……脳みその処理が追いついた途端、僕の顔がかっと熱くなる。
 熱を出した時よりももっと熱くて、頬が痛いって感じるくらいだ。

 爪先が宙を舞う不安感にギュウっと力を込めると、藍我の腕の筋肉がはっきりと感じられて……



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