ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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リッカとタイチ

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 そして夕方。予定通りロアの王都にたどり着いた二人は検問所の前に立っていた。ギリギリ検問の時間帯に滑り込めたので、検問を受けるために並んでいるのだが、何せ魔獣連れの子供のため奇異の眼で見られていた。
 視線がうっとおしいとリッカは無視できるが、タイチはそうでもなかったらしい。嫌そうに眉を顰めている。

 「慣れる方が早いよ、タイチ。」
 「けど、これ……気持ち悪いな、変な視線だ。」
 「よくあるんだよ。年齢にそぐわない魔獣を連れているとね……でも大抵は何もしてこないから無視無視。」
 「リッカは本当に、肝が据わっているというかなんというか……頼もしいよ。」

 そして、リッカ達の番になった時、検問の衛兵は不思議そうに眉を上げた。

 「なんで子供だけでこんなところに?お使いか?」
 「いえ、ここのアカデミーの入試試験を受けに来たんです。」
 「はー……あのアカデミーのねぇ……どっから来たんだ?」
 「ヤマトから。ここのアカデミーは有名ですから。」
 「なるほどな、ま、いいだろう……見たところ魔獣も上手くしつけられているようだしな。通っていいぞ。」

 衛兵とやり取りをしたのはリッカだ。タイチは黙って後ろに控えていた。こういうことはリッカに任せると間違いがないのである。ちなみに今ウルはウルフの頃と同じくらいの大きさになっていて、ぱっと見はウルフにしか見えない。まさかこんな子供が天狼シリウスを従えているとは思わないだろう。

 「よかった、結構すんなり通してくれたね。」
 「……こんなにすんなり通していて、王都の検問は大丈夫なのか?」
 「大丈夫だと思うよ。その証拠にほら、怪しい人は入れてないから。」

 そう言ってリッカが指し示したのは、検問の横のスペース。そこでは酔っぱらったような中年の男性が、衛兵に押さえつけられながら身分を吐かされているようだった。その光景を見たタイチは、うわっ……と思わず声を上げていた。おそらく、そのまま中に入ろうとしたせいで衛兵につかまったのだろう。つまり、役目はしっかり果たしているというわけだ。

 「とりあえず宿を探そう。魔獣が一緒でも泊まれるやつね。」
 「ああ。……そう言えば、母さんがひまわり亭というところをお勧めしていた。飯もおいしくて、魔獣も一緒に泊れて結構快適らしい。」
 「へー……じゃあ、そこに行こうか。せっかくスミレさんがお勧めしてくれたし。」
 「そうだな。ウルも休ませてやりたいし、早く行こう。」

 タイチがウルを撫でながらそう言えば、ウルも甘えるようにすり寄ってきた。リッカもそれを微笑ましそうに見ている。そして、王都の人々聞いて回ろうとその辺の店の人間に話しかけると、案外ひまわり亭は案外近くにあるということが分かった。たどり着いたそこは、まさにひまわりの名がふさわしいほどに、華やかだ。
 雰囲気は明るく、あたたかな空気が漏れてきていていい感じだ。ドアベルを鳴らしながら宿の中に入ると、感じのいい店主のようなふくよかな男性が、声をかけてきた。

 「いらっしゃい。どうしたんだ?子供だけで。」
 「実は明日あるアカデミーの入学試験に参加するために今日ここに来たんですけど、宿を探していて……よければ今夜から三日間ほど泊めてもらえませんか?」
 「ほう、お前さんたちがアカデミーの入学試験に……いいだろう。幸いうちは魔獣も一緒に大丈夫だしな。」
 「ありがとうございます!あの、代金は前払いの方がいいですか?」
 「ばかやろう!子供から代金なんて受け取れねぇよ。その代わり、しっかり合格してこい!」
 
 快活に笑った店主にリッカもタイチも笑って返事を返した。案内された部屋は二人で使うツインの部屋。中は割と広くて、魔獣用のベッドも用意されていた。

 「ベッドあるけど、皆こっちで寝るでしょ?」
 「ウルもな、お前がいる方が暖かいから一緒に寝ような。」
 『ままと一緒ー!!!』
 「わっ……もう、シロくんはほんとに僕が好きだねぇ……」
 『とうっぜん!もっと撫でてーー!!!』

 尻尾をぴんと立てて、リッカの手に自分の頭を擦り付ける白虎はもはやただの猫である。
 そしてしばらく時間がたった後、夕飯だと呼びに来た店主についていき、おいしい食事に舌鼓を打った。
 
 

 
 「おいしかったね。」
 「ああ、母さんの言った通りだ。おいしかった。」
 「それにしても店主さん、いい人だったね。」
 「……まあ、だからと言ってあんなに次から次へとお代わりをついできたのは困ったが……」

 もう満腹だ、とお腹を摩るタイチにリッカも苦笑いを浮かべた。確かにあの店主、人はいいが細いからもっと食えとお代わりを強要してきたのである。リッカは早々にごちそうさまと手を合わせ食器を下げてしまったから助かったが、タイチはタイミングを逃した。次々と空になるたびにお代わりを入れられてしまったのである。

 『食が細くなくてよかったですね。細かったらもっと大変でした。』
 「なんか、ウルから慰めを受けてる気がする……」
 「お、当たり。食が細くなくてよかったね、だってさ。」
 「ありがと、慰めてくれるのはウルだけだよ……」

 そうしてぐだぐだと過ごしているうちに、二人とも眠気に勝てずに眠りについてしまった。


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