ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

文字の大きさ
35 / 91
リッカとタイチ

しおりを挟む
 


 「あの、近い……です。」
 「ああすまんすまん、つい……な?それで、ノアと君たちが和解したところで話を進めてもいいか?」
 「和解って……別に喧嘩していたわけじゃないよ?」
 「変わらないだろ?リッカ君に誤解させて変に警戒させてしまっていたんだからな。」
 「むう……」

 ジルとノアのやり取りにリッカもタイチも目を丸くした。まるで親子のようなやり取りに驚いたのだ。ただのアカデミー長と生徒のノリではないように思える。その視線に気づいたのか、苦笑いしながらノアはその視線に答えた。

 「あー……僕とアカデミー長、ジルさんは一応親子のようなものなんだ。半森人族ハーフエルフはどちらの種族からも嫌われやすいからね……たまたまジルさんと出会って、引き取ってくれたの。」
 「たいしたことじゃないさ。その才能、野放しにしておくのはもったいないと思っただけだ。」
 「才能……?」
 「魔法の適性が高いらしくてね。僕は魔法使いメイジ科に属しているんだ。」
 「え、テイマー科じゃなくて……?」
 「従魔がいるからテイマー科ってわけじゃないんだよ。だから、魔法が使えるけど剣士ソードマンだったり剣の扱いに優れているけれど魔法使いメイジを名乗ってたりね。まあ、テイマー科以外で従魔連れているのなんて僕ぐらいだろうけどね。何故って聞かれても半森人族ハーフエルフだからとしか言えないけど。とはいえ、人は見かけによらないってことさ。」

 僕もその一人、と指先に小さな光を灯した。詠唱もなく発動された魔法はおそらく初級魔法の《ライト》だろう。驚くほどの速度で発動された魔法は無駄もなくきれいに灯っている。流石に先生黄龍の指導のいいリッカもまだここまでには至っていない。
 驚いている様子のリッカ達に満足して、ノアは魔法行使をやめジルに説明を続けるように促した。

 「さて、それじゃ説明に入るぞ。特待生枠のことだ。」
 「……それなんですけど、いいですか?」
 「ああ、なんだ?タイチ君。」
 「クートベルアカデミーを受験するにあたっていろいろ調べてはいたんですけど、その中に特待生コースなんて無かったと思うんですけど……。」
 「ああ、確かに正式に記しているわけではないからな。それに特別枠の合格者を求めているわけではないし。あくまで例外的な実力を持っている受験生が現れたときにとる措置だから。」
 「そうだったんですね……」

 納得したように頷いたタイチを見てジルは満足したようにうんうんと声を出し、また説明を再開した。

 「それで、特待生コースなんだが、君たち二人だけ別の授業とかじゃなくて上の学年の授業に混ざる形になるんだ。」
 「え、それだけですか……?」
 「まあな。これから渡す資料の理解度でどの学年になるかは決めるんだが……ほら、これだ。」
 「……分厚いですね。」
 「そりゃあ六学年分あるからな。って言っても学ぶのは最初の三学年で、あとの三学年は主に実践学習になる。」

 六学年分、と言われうへぇと嫌そうに顔を歪めるが、文字が小さいわけではないため、本当に三学年ほどの量しかないのだろう。要は最初の三学年で知識的なものを詰め込み、後の三学年でアカデミーの庇護下の元実際に冒険者として動き経験を積んでいくのだ。そうすることによって卒業後、あまり混乱せずにそのまま冒険に出ることができるという訳である。ちなみに、依頼等もきちんとしたギルドから回してもらっているらしい。

 「最初の三学年は進級試験に筆記と実践があるんだけど、後の三学年は進級試験の代わりにポイント制で進級できるか決まるんだよ。」
 「ポイント制?」
 「依頼をこなして、その依頼の難易度によって報酬と一緒にポイントがもらえるんだけど、進級するためには何ポイント以上ないといけない、ってやつね。」
 「なるほど……そういう仕組みなんですね。……とりあえず、これ、確認したらいいですか?」
 「ああ。とりあえず、頼む。」

 一ページ目をぺらりとめくって書いてあるのは気候や土地ごとにいる魔獣の種類。そこからぺらりぺらりと速読の要領で目を通していくが、書いてあるのはすべてリッカが書物で読んだものばかりだった。本当にあの書庫にはテイマーのすべてが載っていたというのか。結局、序盤に魔獣全体のこと含め契約に関する記述があり、中腹に記されているのがまさかの封印の呪などの呪術や魔法に関するもの、最後に記されていたのは神獣、聖獣に関する記述とその他テイマーに関した内容が書かれていた。
 渡された資料の内容にふ、と息をつき横を見るとちょうど読み終わったのか、同じようにタイチも顔を上げている。こっちを見たタイチの表情は何とも言えない表情をしていた。

 「あーやっぱり?」
 「試験前に、リッカんとこの書庫で読んだ……。」
 「だよね。僕なんて本を読んだ挙句父様と先生にみっちり教えられてるんだから……。」
 「?……どうしたんだ?」
 「もう読み終わったのかい?早いね。」

 リッカとタイチの様子を不思議がっているジルとノアだったが、曖昧な表情の二人に何かを察したのか驚いた表情をしていた。何故リッカとタイチがこんな微妙な表情をしているのか、分かってしまったのだろう。

 「まさか、全て知っている内容だったか?」
 「はい、もうばっちり……。」
 「……こりゃあもう四年からか?」
 「そうですね……あえて三年から、と言うのもいいと思いますけど。せっかくアカデミーに入るんですし。」
 「あーまあ、そうだなあ……しかし、神聖なる獣をつれているんだ。今更神獣様の座学なんかいらないだろう?」
 「では、課外授業だけ一緒に受けるというのは?その他は四年以上の生徒のように依頼を受けてもらう形で。」
 「まあそれならいいか……。」

 本人たちを差し置いてぽんぽん話が進んでいくことにリッカとタイチは首を傾げることしかできない。ジルとノアの間で決着がついたのか、二人で顔を見合わせ頷いていた。
 
 「決まった、君たちはさっき話したように基本三年の課外授業にだけ参加し、他の時間は依頼消化に努めてくれ。基本的に三人から六人のパーティを組んで動くんだが、そこのところはノアと三人で組めば問題ないだろう。」
 「はあ……ノアさんは他に組んでる方いないんですか?」
 「いないよ。今までずっと一人でやってきたんだ。」
 「それらならなおさら、僕らと組むの嫌じゃないです?」
 「君たちなら全然問題ないよ。むしろ大歓迎さ。」

 そう微笑まれて二の句が続けれなかった。まあリッカとしても先のノアとのやり取りでマイナス感情はほぼなくなったに等しい。神獣たちに絶対に手を出さないということも含めて信頼はおけるだろう。タイチはそもそもそう負の感情はなく、反対ではないようだ。
 神獣たちも反対していないみたいで、リッカは一つ息をついてノアを見た。

 「……よろしく、お願いします。」
 「よろしくお願いします。」
 「こちらこそ、よろしくね。リッカくん、タイチくん。」

 にこりと笑ったノアはどういうわけか、しんそこ嬉しそうに笑っていた。


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~

御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。 十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。 剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。 十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。 紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。 十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。 自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。 その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。 ※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。

転生美女は元おばあちゃん!同じ世界の愛し子に転生した孫を守る為、エルフ姉妹ともふもふたちと冒険者になります!《『転生初日に~』スピンオフ》

ひより のどか
ファンタジー
目が覚めたら知らない世界に。しかもここはこの世界の神様達がいる天界らしい。そこで驚くべき話を聞かされる。 私は前の世界で孫を守って死に、この世界に転生したが、ある事情で長いこと眠っていたこと。 そして、可愛い孫も、なんと隣人までもがこの世界に転生し、今は地上で暮らしていること。 早く孫たちの元へ行きたいが、そうもいかない事情が⋯ 私は孫を守るため、孫に会うまでに強くなることを決意する。 『待っていて私のかわいい子⋯必ず、強くなって会いに行くから』 そのために私は⋯ 『地上に降りて冒険者になる!』 これは転生して若返ったおばあちゃんが、可愛い孫を今度こそ守るため、冒険者になって活躍するお話⋯ ☆。.:*・゜☆。.:*・゜ こちらは『転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました。もふもふとも家族になります!』の可愛いくまの編みぐるみ、おばあちゃんこと凛さんの、天界にいる本体が主人公! が、こちらだけでも楽しんでいただけるように頑張ります。『転生初日に~』共々、よろしくお願いいたします。 また、全くの別のお話『小さな小さな花うさぎさん達に誘われて』というお話も始めました。 こちらも、よろしくお願いします。 *8/11より、なろう様、カクヨム様、ノベルアップ、ツギクルさんでも投稿始めました。アルファポリスさんが先行です。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

異世界カントリーライフ ~妖精たちと季節を楽しむ日々~

楠富 つかさ
ファンタジー
 都会で忙しさに追われる日々を送っていた主人公は、ふと目を覚ますと異世界の田舎にいた。小さな家と畑、そして妖精たちに囲まれ、四季折々の自然に癒されるスローライフが始まる。時間に縛られず、野菜を育てたり、見知らぬスパイスで料理に挑戦したりと、心温まる日々を満喫する主人公。現代では得られなかった安らぎを感じながら、妖精たちと共に暮らす異世界で、新しい自分を見つける物語。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

処理中です...