ちっちゃい仲間とのんびりスケッチライフ!

ミドリノミコト

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リッカとタイチ

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 三人の意見がまとまったのを確認してジルは話を切り替えるように声をかけた。

 「さて、説明は以上だ。また相見える日は半年後だが、他の入学者と変わったことは特にないから安心してくれ。」
 「あ、無いんだ……。てっきり何か面倒くさいのがあるのかと思っちゃった。」
 「……ちなみに聞くが、もしあったらリッカはどうするつもりだったんだ?」
 「ん?もちろんタイチに押し付けるよね!」
 「だと思ったよ!」

 ひどい……と肩を落とすが、それを真に受けて相手にするようなリッカではない。腕の中の神獣たちを撫でながらリッカは和やかな雰囲気になっている中退散を告げた。もうここの部屋に入って一刻は経っている。流石に長いのしすぎだろうと立ち上がった。

 「じゃあ僕ら、そろそろ行きます。」
 「これから半年我慢なんて、耐えられないなぁ……」
 「耐えてください。僕も耐えるんで。」
 「……何に耐えるんだい?」
 「スケッチ。ノアさんのノーツとルキ、今度会った時にスケッチさせてくださいね。」
 「この子達が嫌がらないならいいけど……絵、描くんだね?」

 まるで意外だと言わんばかりの声色にリッカは分かりやすくむくれた。リッカにとってスケッチとは時に食事や睡眠よりも優先したくなるほどの趣味である。それをノアが知っているわけではないので、しょうがないのではあるが。タイチはリッカの心情に気づいているのか、こっそりとノアに耳打ちをした。

 「リッカは魔獣のスケッチが大好きなんです。とてもうまいんですよ。」
 「そうなの?それはぜひ見てみたいなあ。」
 「そっくりですよ、本当に。リッカが見せてくれるかは分からないですけど。」
 「そっか……あ、そうだ思い出した、二人とも僕に敬語は使わなくていいからね?なんだかむず痒いや。」
 
 ぽん、と手を打ちノアは思い出したかのように告げた。その発言に慌てたのはタイチである。リッカはその言葉を聞くや否や、「あ、そう?じゃあ遠慮なく。」と躊躇いもなく敬語を外したのだが、そう簡単に行かないのがタイチである。年上は敬うべきという教育が特に厳しかったタイチには敬語を外せというのが難しいのだ。リッカにも敬う心はあるのだが、当の本人がいいと言っているのである。遠慮はいらないと思ったのだ。ちなみに余談だが、カガチは何となくムカついたので敬語を外しただけである。

 「お、俺はそう簡単に敬語はとれないです……」
 「そっか……ま、おいおいでいいや。じゃ、またね。」
 「ん、またね。ノア……アカデミー長も、また半年後に。」
 「ああ、それまで息災でな。セイイチにもよろしく頼む。」
 「はい。ほら、タイチも。」
 「……今日はありがとうございました。また、半年後に。」

 ぺこりと頭を下げると、ジルは満足そうに手を振ってくれた。ノアに促され小部屋を出て学長室を後にする。廊下にはもう合格者は残っていないようで、シンっと静まっていた。リッカ達も泊っている宿に帰ることにして、アカデミーの門まで見送りに来てくれたノアに別れを告げる。
 また、と手を振りあいたどり着いた宿では合格したというリッカ達の報告に、店主はにっこりと笑って食事をタダで振る舞ってくれた。おいしい料理に舌鼓を打ち、一晩過ごしてからの帰郷となる。店主は、また来いとリッカとタイチ二人の頭をガシガシと撫で、送り出してくれた。

 「ほんと、いい人だったね。」
 「ああ……。半年後、また会いに行こう。」
 「うん、そうだね。」

 再度、ウルに乗っての移動である。






 そしてロアの王都を出たその日の夕方、リッカ達はフィラノの検問所の前にいた。遠目に見る検問所にはまだ人が残っているようでほっとする。ウルに乗ったまま検問所に近づくと、衛兵は驚いたのちリッカ達の姿を確認し、さっと通してくれた。おかえり、と言う言葉つきである。
 リッカ達がウルから下りると、ウルもいつものちょうどいいサイズに変化した。

 「結果はどうだった?」
 「二人とも合格でした。」
 「そうか、そりゃよかった。サイガ様もセイイチ様も喜ばれる。」
 
 我関せずというリッカの代わりにタイチが答え、その場を後にする。道の途中でタイチとは別れ、また翌日会うことを約束した。神獣たちとちょこちょこ会話をしながら帰路を進む。たった数日いなかっただけでも懐かしく感じるもので、どこか新鮮さを感じた。
 そこに、一匹の一角獣ユニコーンが現れ、リッカに笑顔が生まれた。サクラの従魔のユニである。

 「ユニ、迎えに来てくれたの?」
 『あるじの頼みだ。それに、私もお主に会いたかった。』
 「僕も会いたかったよー!後でスケッチさせてくれる?」
 『それくらい、造作もない。神獣様もお疲れ様でした。』
 『ありがと、ユニ。』
 『主ということはサクラさんにお母様のことを迎えに来るように頼まれたのですか?』
 『ああ。そろそろ帰ってくる頃だと言われました。』

 一つ、鳴き声を上げリッカにすり寄りユニは答えた。すべすべの毛並みが気持ちいいとばかりにリッカはユニに抱き着き、頬擦りする。いつもは嫉妬して許せないと感じてしまう神獣たちだが、ユニが主一番ということは分かっているし、幼いころからリッカと共に過ごしていることを知っているため、傍観に努めることにしている。
 満足したのか、リッカがユニから離れるとまるで乗れと言わんばかりにユニは身をかがめた。リッカの中に遠慮など無い。しっかりと地面を蹴りユニの背にまたがると、ちょうどいい位置を探して身を安定させた。

 「おっけー!大丈夫だよ。」
 『荷物も多いようだから走りはしないが、しっかり掴まっているんだぞ。』
 「ん、お願いね。」
 『よろしくね、ユニさん。』
 『母さんが落ちないようにしてくれよ!』
 『任せてください、玄武様、青龍様。』

 もう一つ鳴き、ユニは歩みを進めた。目指すはサクラとセイイチの待つ自宅である。
 見慣れた従魔、ユニや景色を見て改めてリッカは自分が故郷に帰ってきたことを実感したのだった。


 
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