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選手選抜編
組み合わせ
しおりを挟むそして二週間がたち、選手選抜戦の日がやってきた。説明を受けたあの日から2週間、リッカ達は依頼を早々に終わらせることなくゆったりゆったりといつものようにこなし、今日を迎えている。今日の個人戦の選抜戦に参加するのはノアとリッカだけであるためタイチは一緒にいるだけだが、二人よりも強張った表情をしており、明らかに緊張しているようだった。むしろリッカとノアの二人はいつも通りというべきか、にこにこと余裕すら見れる。ノアは途中で適度に抜けると言っていたがリッカはしっかり本選に勝ち上がらないと旅の同行を許可してもらえないので緊張していてもおかしくないだろうとタイチは思っていたのだが、むしろリッカはわくわくしているようにも見えた。
「緊張とかしないのか?」
不思議になったタイチがそう尋ねる。するとリッカは何が?とでも言わんばかりに首を傾げ、にへら、と軽く口角を上げさらに笑った。緊張のきの字も感じないその様子に、タイチは呆れたように小さく息をつく。こちらが緊張してしまっているのが馬鹿みたいだと思ったのだ。
「愚問だったな……。シロたちも緊張はしていないのか?」
『してないよー!別にする必要もないしね~。』
「タイチが無駄に緊張しすぎなんだよ。なんで参加しないのに緊張してるの?」
「いや、俺が普通の反応だと思うが……。そう言えばノアは?」
「ノアなら第二会場だよ。魔法使い科の参加者の集合場所はここじゃないしね。タイチも、参加しないなら観戦席の方に行っといたほうがいいよ?」
そう言ったリッカがいるのは第三会場である。科ごとに会場が分かれており、一試合五分で行われるのでものすごく試合の回転スピードが速い。選抜戦は会場に限りがあるので二日間かけて行われる予定であり、一日目はリッカ達テイマー科とノアのいる魔法使い科、他二つの科が四つの会場で同時に行われている。ちなみに会場とはいってもアカデミーの鍛錬場や演習場を使っているので、そうちゃんとしたものではない。観戦席というのももともと鍛錬場や演習場についている見学席のことをそう呼んでいるだけだ。
リッカに促されたのと時間が迫ってきていたというのもあり、タイチは一つ頷くと「頑張れよ。」と一言残してその場を去っていた。突然の激励にリッカはパチリと目を瞬かせる。
「……応援してくれたのかな?」
『そうでしょうね。タイチはああ見えて不器用ですから。ギリギリまでここにいたのもお母様を心配していたのでは?』
『いっつもいっしょにいたもんね!ふあんになったの、かも?』
『かもなぁー?なんだかんだずっと一緒だったし。母さん一人だといろいろ突っ走るしなー?』
「うっ……それでも最近は減ったよ……。」
気まずそうに言うリッカだが、実際に減っているかと問われれば、減ってはいないだろう。突っ込むような事案がないだけで、何かあればすぐに突っ走る。それが危険なことだろうが関係はないのだ。悪い癖だともいえるが、まあそこが美点だとも言えるだろう。
しかし、このリッカの癖は何度言っても直るようなものではない。だからこそ神獣たちやフェリ、それにタイチやノアも自分たちがしっかり見ていればいいという結論に至ったのである。だから、さっきもギリギリまでリッカのそばに居たのだろう。リッカが変に絡まれないように。
『でも、タイチがいてくれたおかげでお母さん、今日は変なのに絡まれてないよ?』
「そうだけど……過保護なんだよ。タイチも、ノアも。僕だって自分の身くらい自分で守れるし!」
『ままの場合、容姿も影響してるんじゃないかな?まま、こう言ったら嫌がると思うんだけど、普通の男児とはちょっと違うし。』
「……自覚はあるよ。女顔ってことくらい。」
『お母様は容姿端麗でいらっしゃいますし、背丈もまだ成長途中ですからね。やはりそのような子を最前線に出すのは人間だれしも憚られるものですよ。』
そう言われたからと言って納得できるものではないが、理解はしている。が、しかしやはり納得できないとでも言わんばかりの表情をしているリッカに、朱雀は小さく苦笑いを零す。そうしてプライベートな話をつらつらと続けているうちに会場の少し高くなったところに立っている教員が説明をし始めたようだった。聞き覚えのある声。話し始めた教員にちらりと視線を向けてみれば、やはりというべきかテイマー科のAクラスを担当しているカガチだった。
いつもと違いえらく真面目に話す様子のカガチに、少し笑いが込み上げる。従魔が五匹もいる大所帯のリッカだ。おそらく少し高い位置にいるカガチからは見つけやすい。くすくすと笑っていたリッカがちらりと視線を上げるとカガチとバチリと視線が合ってしまった。若干恨めしそうな表情を浮かべているが許してほしい。妙にツボにはまってしまったのだ。
「……ルールは以上だ。組み合わせは入り口のところに掲示しておくから各自確認しておくように。ちなみに試合は二試合ずつ行われ、第一試合と第二試合は15分後からとなる。開始5分前には配置についておくように。」
そう締めくくったカガチはその場を後にする。そしてそのまま会場端で待機していた。おそらく第一試合を待っているのだろう。そのまま腕を組んで俯いてしまった。
ざわざわと会場にざわめきが戻ってくる。リッカもその流れに乗って入り口付近に掲示してあるという組み合わせ表を見に移動した。
「……げ、」
その表を見たとき、リッカは柄にもなく潰れたような声をだシュッツ出してしまった。
ー第一試合ー
三年Aクラス リッカ・トウドウ 対 三年Aクラス ルーベン・スパルツァー
ー第二試合ー
五年Bクラス -
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