20 / 37
第一話 脅迫された悪役令息は初恋に溺れる
02-11.
しおりを挟む
好青年に見える社交的な一面も、顔立ちも、ディーンにだけは態度を変えてくる性格も、どちらかといえば好意的にとらえていた。
それを表に出したことはない。
仲が悪いと思われているのならば、わざわざ、世間の声を変えようと努力することはしなかった。
どうせ、手が届かない相手だと諦めていたのかもしれない。
「気にすることではない」
アレンはカメラを机の上に置く。
「は?」
ディーンは再び頬に触れようとしたアレンの手を弾く。
「笑われて気にしないとでも?」
脅迫をされても屈することはしない。
相手に怯えるような真似も、媚びを売るような真似もしない。
警戒する子猫のような顔をするディーンに対し、アレンは顔を背けて笑った。
「だから、笑うんじゃねえよ!」
ディーンは顔を背けて笑いを堪えきれていないアレンの肩を掴み、強引に自分の方を向かせようとする。
「ふ、ふふっ」
それに対し、アレンは笑っていた。
「だから!」
ディーンは大声をあげる。
「なんで笑ってんだよ!!」
なぜ、笑われているのだろうか。
笑われるようなことをした覚えはない。
そればかりが気になってしまっているのだろう。
無断で写真を撮られたことも、アレンがディーンの写真を撮ることに慣れていたことも、すっかり頭の中から零れ落ちてしまっていた。
「あー、ふっ、すまない。あまりにも必死な顔をするものでな」
「理由になってねえぞ!」
「すまない。つい、笑ってしまっただけだ。気にすることではない」
アレンは謝罪の言葉を口にしつつ、ようやく、ディーンに視線を向けた。
……なんなんだ。
アレンに見つめられると心がざわめく。
……嫌な予感がする。
危険を感じているわけではない。
ただ、妙な違和感があるのだ。
それを表に出したことはない。
仲が悪いと思われているのならば、わざわざ、世間の声を変えようと努力することはしなかった。
どうせ、手が届かない相手だと諦めていたのかもしれない。
「気にすることではない」
アレンはカメラを机の上に置く。
「は?」
ディーンは再び頬に触れようとしたアレンの手を弾く。
「笑われて気にしないとでも?」
脅迫をされても屈することはしない。
相手に怯えるような真似も、媚びを売るような真似もしない。
警戒する子猫のような顔をするディーンに対し、アレンは顔を背けて笑った。
「だから、笑うんじゃねえよ!」
ディーンは顔を背けて笑いを堪えきれていないアレンの肩を掴み、強引に自分の方を向かせようとする。
「ふ、ふふっ」
それに対し、アレンは笑っていた。
「だから!」
ディーンは大声をあげる。
「なんで笑ってんだよ!!」
なぜ、笑われているのだろうか。
笑われるようなことをした覚えはない。
そればかりが気になってしまっているのだろう。
無断で写真を撮られたことも、アレンがディーンの写真を撮ることに慣れていたことも、すっかり頭の中から零れ落ちてしまっていた。
「あー、ふっ、すまない。あまりにも必死な顔をするものでな」
「理由になってねえぞ!」
「すまない。つい、笑ってしまっただけだ。気にすることではない」
アレンは謝罪の言葉を口にしつつ、ようやく、ディーンに視線を向けた。
……なんなんだ。
アレンに見つめられると心がざわめく。
……嫌な予感がする。
危険を感じているわけではない。
ただ、妙な違和感があるのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
150
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる