36 / 37
第一話 脅迫された悪役令息は初恋に溺れる
03-9.
しおりを挟む
「ディーン」
アレンに名を呼ばれる。
それだけなのに、ディーンの心は満たされていく。
……ダメだ。
それ以上は心を許してはいけないと、警鐘が鳴る。
後戻りができなくなると忠告をされている気分だった。
……おかしくなりそうだ。
名を呼ばれただけなのに、酷く心が乱される。アレンに依存をしてしまうのではないかと恐れながらも、彼に名を呼ばれると身動きが取れなくなる。
ディーンの変化にアレンは気づいていた。
気づいているからこそ、アレンは笑っていた。
「セーフワードを決めないといけないな」
アレンの提案を聞き、ディーンは我に返った。
……セーフワード。
心の中で繰り返す。
それはDomの言動が過剰にならないように、パートナー同士で取り決める言葉だ。Subが自分自身を守る為に大切なものである。
そのことはディーンも知っている。
「……それ、どうしても、決めないといけないか?」
「問題が起きる前に決めるのがいいだろう」
「アレンなら制御できるだろ。俺が嫌がるようなことをしなければいいだけの話だ。加減くらいできるんじゃねえのか?」
ディーンの言葉を聞き、アレンは首を傾げる。
「なぜ。そこまで抵抗する?」
アレンの反応は当然のことだろう。
セーフワードはSubを守る為のものだ。気安く他人に教えるような言葉ではないものの、パートナーには告げておくのが一般的である。
ディーンもそのことを知っている。
……わかってる。
自分の身を守る為には必要な言葉だと知っている。
それを取り決めることに抵抗があるのは、Domとして生きてきたからなのか。それとも、亡くなった母親の最期の姿を思い出してしまうからだろうか。
「……あれ、負担が大きいだろ」
ディーンも事情を誤魔化すことはできないと察したのだろう。
コマンドを使い、強引に話をさせられる前に口を開いた。ディーンはセーフワードを使ったことはない。しかし、反動で苦しむ母親の姿を見たことがあった。
アレンに名を呼ばれる。
それだけなのに、ディーンの心は満たされていく。
……ダメだ。
それ以上は心を許してはいけないと、警鐘が鳴る。
後戻りができなくなると忠告をされている気分だった。
……おかしくなりそうだ。
名を呼ばれただけなのに、酷く心が乱される。アレンに依存をしてしまうのではないかと恐れながらも、彼に名を呼ばれると身動きが取れなくなる。
ディーンの変化にアレンは気づいていた。
気づいているからこそ、アレンは笑っていた。
「セーフワードを決めないといけないな」
アレンの提案を聞き、ディーンは我に返った。
……セーフワード。
心の中で繰り返す。
それはDomの言動が過剰にならないように、パートナー同士で取り決める言葉だ。Subが自分自身を守る為に大切なものである。
そのことはディーンも知っている。
「……それ、どうしても、決めないといけないか?」
「問題が起きる前に決めるのがいいだろう」
「アレンなら制御できるだろ。俺が嫌がるようなことをしなければいいだけの話だ。加減くらいできるんじゃねえのか?」
ディーンの言葉を聞き、アレンは首を傾げる。
「なぜ。そこまで抵抗する?」
アレンの反応は当然のことだろう。
セーフワードはSubを守る為のものだ。気安く他人に教えるような言葉ではないものの、パートナーには告げておくのが一般的である。
ディーンもそのことを知っている。
……わかってる。
自分の身を守る為には必要な言葉だと知っている。
それを取り決めることに抵抗があるのは、Domとして生きてきたからなのか。それとも、亡くなった母親の最期の姿を思い出してしまうからだろうか。
「……あれ、負担が大きいだろ」
ディーンも事情を誤魔化すことはできないと察したのだろう。
コマンドを使い、強引に話をさせられる前に口を開いた。ディーンはセーフワードを使ったことはない。しかし、反動で苦しむ母親の姿を見たことがあった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
150
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる