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第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
02-4.
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「エステルの心配症も困ったものね」
「お嬢様のことを慕っていらっしゃいますから。少しでもお嬢様には安全な場所にいてほしいと願うお気持ちは、このエリーも同じでございます」
「わかっているわ。エステルの気持ちも、エリーたちの気持ちもね。でも、騎士として生きる道を選んだのは、私よ。ここで投げ出すわけにはいかないの」
アデラインはそう言いつつも、エステルを咎めることはない。
アデラインが八歳の時、エステルはエインズワース侯爵家の養女として迎え入れられた。悪夢と同じ光景にアデラインは、幼い頃から見続けている悪夢は前世の記憶で間違いはないと確信を抱くきっかけでもあった。
エステルはアデラインに懐いている。
まるで昔からそうしたかったというかのように、なにかとアデラインの隣にいようとする姿は親鳥を追いかける雛のようであり、アデラインも素っ気なく対応することができなかった。
いつのまにか、アデラインはエステルをかわいがっていた。
エステルは他人に好かれやすいのだろう。
その後も順調に聖女としての力を覚醒させ、エステルは王国だけではなく、世界の救世主になるだろうと噂されている。
「安心してちょうだい。お父様の意地悪にも耐えて見せるわ」
アデラインの言葉を聞き、エリーは複雑そうな顔をした。
「旦那様はお嬢様になにを求めていらっしゃるのでしょうか」
エリーの素朴な疑問だった。
それを仕えている令嬢に打ち明けられるくらいには、エリーとアデラインの関係は良好だった。騎士の仕事がある日には、毎回、身支度を手伝うのはエリーだ。他のメイドたちはその役目を任されたことはない。
「王政への影響力が欲しいのよ」
アデラインは隠すことなく答える。
それは貴族であれば、誰もが欲するものだ。メイドに知られたところで、なにも問題のないものだった。
「私がメルヴィン様に嫁げば、お父様は第一騎士団の団長の義父になるでしょう。そうすれば、私を通して騎士団のやり方に口を出せるとお思いなのよ」
アデラインの推測は半分以上が正解だ。
侯爵としての権力を高める為、アデラインを政略結婚させようとしているのは事実である。
そして、アデラインは気づいていなかったが、溺愛している愛娘の初恋を叶えてあげようという父親の行き過ぎたお節介も含まれていた。
「お嬢様のことを慕っていらっしゃいますから。少しでもお嬢様には安全な場所にいてほしいと願うお気持ちは、このエリーも同じでございます」
「わかっているわ。エステルの気持ちも、エリーたちの気持ちもね。でも、騎士として生きる道を選んだのは、私よ。ここで投げ出すわけにはいかないの」
アデラインはそう言いつつも、エステルを咎めることはない。
アデラインが八歳の時、エステルはエインズワース侯爵家の養女として迎え入れられた。悪夢と同じ光景にアデラインは、幼い頃から見続けている悪夢は前世の記憶で間違いはないと確信を抱くきっかけでもあった。
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いつのまにか、アデラインはエステルをかわいがっていた。
エステルは他人に好かれやすいのだろう。
その後も順調に聖女としての力を覚醒させ、エステルは王国だけではなく、世界の救世主になるだろうと噂されている。
「安心してちょうだい。お父様の意地悪にも耐えて見せるわ」
アデラインの言葉を聞き、エリーは複雑そうな顔をした。
「旦那様はお嬢様になにを求めていらっしゃるのでしょうか」
エリーの素朴な疑問だった。
それを仕えている令嬢に打ち明けられるくらいには、エリーとアデラインの関係は良好だった。騎士の仕事がある日には、毎回、身支度を手伝うのはエリーだ。他のメイドたちはその役目を任されたことはない。
「王政への影響力が欲しいのよ」
アデラインは隠すことなく答える。
それは貴族であれば、誰もが欲するものだ。メイドに知られたところで、なにも問題のないものだった。
「私がメルヴィン様に嫁げば、お父様は第一騎士団の団長の義父になるでしょう。そうすれば、私を通して騎士団のやり方に口を出せるとお思いなのよ」
アデラインの推測は半分以上が正解だ。
侯爵としての権力を高める為、アデラインを政略結婚させようとしているのは事実である。
そして、アデラインは気づいていなかったが、溺愛している愛娘の初恋を叶えてあげようという父親の行き過ぎたお節介も含まれていた。
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