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第一話 転生悪役令嬢は男装の騎士となる
03-1.騎士団長の独白と自覚する恋心の行方
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「……アディ」
腕の中で意識を手放したアデラインの言葉を無視することができなかった。
メルヴィンは医務室へと向かおうとしていた足を止め、執務室に常備されている二人掛け用のソファーにアデラインを寝かせる。
……なにを隠している。
メルヴィンはアデラインの汗をハンカチで拭う。
それは婚約者から贈られたものだった。刺繡が上手くできたので貰ってほしいと初々しく書かれた手紙を受け取った日のことを、メルヴィンは忘れたことがない。
なぜ、急に婚約者のことを思い出したのか。
メルヴィンにはわからなかった。
「息苦しいのならば、服を脱がせば少しは楽になるだろうか」
考えている言葉がそのまま口から出てしまっていることに、メルヴィンは気づかない。
そして、メルヴィンはアデラインの制服のボタンに手を掛ける。
同じ隊服を身に付けていることが幸いだったのか。制服の脱ぎ方はメルヴィンもよく知っている。
だからこそ、なにも疑うことなく制服のボタンを外した。
「……は?」
制服の下になにかを着ている人は多い。
貴族ということもあり、肌着を身に付けるのは珍しくはない。寒がりの人ならば、中に動きに支障が出ないように作らせた服を着ていることもある。
しかし、アデラインは違った。
異常なまでに胸に巻かれているさらしと、胸と腹の差を埋めるかのように大量に詰められたタオルを紐で縛り、その上から見たことのない形をした専用のコルセットを付けている。
異常な光景だった。
しかし、急に呼吸困難に陥り、失神をした原因は一目瞭然でもあった。
……女性だったのか。
メルヴィンはアディ・エインズワースを男性だと思っていた。
十六年前の思い出を語ったのも、初恋の相手が少女だと思い込んでいたが、実は男性だったようだという話をしようとしただけなのだ。
その相手がアディであると打ち明け、恋を実らせたいと思っていた。
それは見当違いだったのだろう。
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