85 / 115
第三話 手段は選ばない
10-3.
しおりを挟む
「昭儀? あれは正気ではない。近寄らないことだ。冷宮に行けば落ち着くと思ったが、逆効果だったようでな。日に日におかしくなっていると聞いている」
梓豪は呆れたように言った。
冷宮送りになり頭が冷え、冷静になると思っていたのだろう。
……第一公子が悪霊化してなければいいけれど。
母親である朱亞を見捨てられないのだろう。
散歩の際に見た時には綺麗な霊ではあったが、朱亞の影響を受けて悪霊化する可能性もなくはない。
……王昭儀は危険だ。
梓豪が思っているよりも、危険な状態にある。
それに気づいていないほどに鈍感だった。
「散歩も控えるようにせよ。私は子涵まで失いたくはない」
「はい、陛下のおっしゃる通りにいたします」
「それがいい。そなたを危険に晒したくもない」
梓豪はどこまでも優しい男だった。
盲目的に他人を愛せる人だ。
……羨ましい。
可馨は違う。盲目的に愛せなかった。
愛してはいるものの、それは我が子に対する愛よりも劣る。なにかが起きれば、真っ先に皇帝ではなく我が子を守るだろう。
「近々、充媛宮の護衛に宦官を派遣することにした」
「ありがとうございます」
「元々は武官だった者で揃えている。なにか起きても対応できるだろう」
梓豪の言葉に頷いた。
少なくとも、小鈴の暴行は避けられるだろう。
……兄上ではないわよね。
憂炎は皇帝付きの武官だ。
優秀な成績を収めていると聞いている。
「楊武官の推薦によるものだ。兄の推薦ならば、安心できるだろう」
梓豪は慰めるようにそう言った。
……邪魔者を押し付けたわけね。
出世をするために邪魔だったのだろう。
皇帝に仕える優秀な宦官を可馨の護衛にさせることにより、自分の地位を守ったのだ。一瞬でも兄の心配をしたことを後悔した。
「ありがとうございます。陛下」
可馨はにこりと笑いかけた。
梓豪は呆れたように言った。
冷宮送りになり頭が冷え、冷静になると思っていたのだろう。
……第一公子が悪霊化してなければいいけれど。
母親である朱亞を見捨てられないのだろう。
散歩の際に見た時には綺麗な霊ではあったが、朱亞の影響を受けて悪霊化する可能性もなくはない。
……王昭儀は危険だ。
梓豪が思っているよりも、危険な状態にある。
それに気づいていないほどに鈍感だった。
「散歩も控えるようにせよ。私は子涵まで失いたくはない」
「はい、陛下のおっしゃる通りにいたします」
「それがいい。そなたを危険に晒したくもない」
梓豪はどこまでも優しい男だった。
盲目的に他人を愛せる人だ。
……羨ましい。
可馨は違う。盲目的に愛せなかった。
愛してはいるものの、それは我が子に対する愛よりも劣る。なにかが起きれば、真っ先に皇帝ではなく我が子を守るだろう。
「近々、充媛宮の護衛に宦官を派遣することにした」
「ありがとうございます」
「元々は武官だった者で揃えている。なにか起きても対応できるだろう」
梓豪の言葉に頷いた。
少なくとも、小鈴の暴行は避けられるだろう。
……兄上ではないわよね。
憂炎は皇帝付きの武官だ。
優秀な成績を収めていると聞いている。
「楊武官の推薦によるものだ。兄の推薦ならば、安心できるだろう」
梓豪は慰めるようにそう言った。
……邪魔者を押し付けたわけね。
出世をするために邪魔だったのだろう。
皇帝に仕える優秀な宦官を可馨の護衛にさせることにより、自分の地位を守ったのだ。一瞬でも兄の心配をしたことを後悔した。
「ありがとうございます。陛下」
可馨はにこりと笑いかけた。
0
あなたにおすすめの小説
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
この度、青帝陛下の運命の番に選ばれまして
四馬㋟
恋愛
蓬莱国(ほうらいこく)を治める青帝(せいてい)は人ならざるもの、人の形をした神獣――青龍である。ゆえに不老不死で、お世継ぎを作る必要もない。それなのに私は青帝の妻にされ、后となった。望まれない后だった私は、民の反乱に乗して後宮から逃げ出そうとしたものの、夫に捕まり、殺されてしまう。と思ったら時が遡り、夫に出会う前の、四年前の自分に戻っていた。今度は間違えない、と決意した矢先、再び番(つがい)として宮城に連れ戻されてしまう。けれど状況は以前と変わっていて……。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる