あやかし喫茶の縁結び

佐倉海斗

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第一話 墓参りは姉弟の縁を結び直す

03-14.

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「保護は良いが。お前さんのことだ。おんぼろの縁結びに関係してるんじゃねえのかい?」

 暁丸は目敏い。

 伊織がすぐに切れてしまいそうなほどに脆い縁結びを結んでしまったことを春日から聞いたのか。それとも、伊織と話していて感づいたのか。

 どちらにしても、伊織にとっては都合が良い話だった。

「そうだ」

 伊織は肯定する。

 真実を隠そうと足搔くと思っていたのだろう。すぐに肯定した伊織の顔を覗き込む暁丸は、心底、意外そうな顔をしていた。

「へえ。こりゃあ、ずいぶんと執着してるようで」

 暁丸はにやりと笑う。

 伊織よりも年上の暁丸は人間に関心が薄い。元々は人間だったという事実は覚えているものの、かつて人だった頃に関わった物事に対して、なんの感情も抱いていない。

 だからこそ、正反対な伊織が気になるのだろう。

 伊織は人の頃の縁を捨てきれていない。

 人の縁に縋りつき、何度、心を痛めようとも捨てることだけはできなかった。

「みっともねえなぁ。伊織。人の子なんぞに関わって痛い目に遭うのは、またお前さんだ。春日の姐さんにも同じことを言われたんじゃねえのか?」

 暁丸はにやにやとしながら、問いかける。

「だが、俺は違う。俺はお前さんの兄貴分だからなぁ。お前さんが抱えているかわいそうな悩みの愚痴くらい、喜んで付き合ってやろうじゃねえの」

 暁丸は、心配をしているかのような言葉を口にしているものの、実際はおもしろがっているだけである。

「……縁結びを強める方法を知っているか?」

 伊織は小声で問いかける。

 騒がしい鬼頭自警団では、かき消されてしまいそうな声だ。

「そいつなら簡単だ」

 暁丸は慣れた手つきで伊織の体を持ち上げた。

 抵抗はしない。羞恥心はあるものの、内緒話をするのならば、背の高い暁丸に抱き抱えられる形で耳打ちをしてもらう方が良い。

「同じ場所で、もう一度、縁を結べ。縁を結ぶ相手がいなくてもかまわねえが、その代わり、その相手と同じくらいに縁が深くて、彼岸に渡った相手を選べ」

 暁丸の言葉が正しいとは限らない。

 しかし、相手が不在のまま結ばれる一方的な縁結びは強力な呪いとなる。
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