あやかし喫茶の縁結び

佐倉海斗

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第二話 【あやかし喫茶】は縁を結ぶ

01-17.

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「あたしが作ろうかねぇ」

 美香子の提案に対し、若葉は机の上に身を乗り出した。

 その言葉を待っていた。

 あやかしは娯楽を好む。その中でも食は最大の娯楽だ。あやかしの文化は独特の路線を突き進んでおり、人の文化とは異なる点が多い。その一つが食文化だ。

 あやかしは新しいものが好きだ。

 それは食に関しても同じである。

「ぜひともお願いしたいです。人間のばあさんが作る料理なら、あやかし喫茶の目玉商品になりますよ!」

 若葉は目を輝かせながら語る。

 その勢いに対し、美香子は子どもを見るような顔をしていた。

「田舎料理でもいいのかねぇ」

「もちろんです! ぜひ、献立を考えましょう!」

「とはいっても、あたしも歳だからねぇ。優斗や若葉ちゃんに手伝ってもらわないといけないけど、それでもいいのかい?」

 美香子は不安そうに聞いた。

 年齢を配慮され、危険だからと台所に立たせてもらえない日々が数年以上も続いている。不思議なことに美香子には認知症の傾向が見られず、買い物には便利だからという理由で手押し車を使ってはいるものの、歩行に問題はない。

 九十を過ぎても杖なしで歩いているのは、美香子の体が丈夫な証拠だ。

 それでも火を使うのは怖いという家族の意思を尊重してきた。

 それは美香子にとって寂しいことだった。

「もちろんです! 洗い物や水を使うことなら、河童の若葉さんの専門ですからね!」

「それは助かるねぇ」

「料理の大変なところは坊やに任せればいいのです。坊やもあやかし喫茶の従業員にしてあげたのですから、それ相応の働きはするべきですからね!」

 若葉と美香子の話は弾む。

 それに対し、優斗は不安そうだった。

「調理師免許を持ってないのにいいのかよ?」

 優斗には不安に思うところがいくつもあった。

 美香子も優斗も調理師免許を持っていない。衛生法に関することも、優斗は家庭科の授業でテスト対策として習っただけである。

「なんですか? それ」

 若葉は知らなかった。

 あやかしの世界に調理師免許というものは存在しない。
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