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第一話 青龍寺家の呪われた子
05-4.
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「美子さんですか」
雪はため息を零した。
「青子さんではなく、美子さんを寄越しましたか。さすがは自尊心だけの青龍寺家と言いますか。よりにもよって、赤目の呪われた子を寄越すとは」
「母さん、赤目は呪いではない」
「知っていますとも。ええ。あなたの甥も赤目ですからね。陰陽師の中で自然発生するものでしょう。ですから、なんだというのですか。青龍寺家の赤目は呪われた子だと有名ではないですか」
雪は大げさなまでに話をする。
その言葉に美子は傷つかなかった。いつものことだ。赤目だというだけで差別をされることには慣れてしまっている。
義孝の対応が異例だったのだ。
……甥の方も赤目でしたか。
義孝の甥ということは、雪の孫にあたる。
それを他人のように言っていた。
「言い返さないのですか? 義母にここまで言われてだんまりですか。退屈な方ですね。それとも、事実だから言い返さないだけですか?」
雪の矛先は美子に向けられる。
それを庇うように義孝は美子の前に立った。
「義孝さん。お退きなさい。母さんは嫁と話をしているのですよ」
「美子さんが傷つくのを見たくはない」
「傷つく? 傷ついた顔なんてしていなかったでしょう。赤目差別なんてよくある話です。そこそこ歴史のある家ならば、よけいに酷かったことでしょう」
雪はため息を零した。
それから、勢いよく椅子に座る。
当然のように足を組み、威圧をするような目線を義孝に向ける。
「異能特務課の第一部隊の隊長の嫁が呪われた子では、笑い者になりますよ。すぐに青龍寺に抗議しましょう。そして、青子さんを嫁にもらうのです」
「俺の嫁は美子さんだ」
「婚姻届けを提出しただけの結婚でしょう。離婚歴がつくのは痛いですが、珍しい話でもありません。美子さんに執着する必要はありますか? ないでしょう? 今日、会ったばかりですからね」
雪の言葉は正しい。
美子はそう思っていた。
美子ではなく青子だったのならば、雪は文句を言わなかっただろうか。
雪はため息を零した。
「青子さんではなく、美子さんを寄越しましたか。さすがは自尊心だけの青龍寺家と言いますか。よりにもよって、赤目の呪われた子を寄越すとは」
「母さん、赤目は呪いではない」
「知っていますとも。ええ。あなたの甥も赤目ですからね。陰陽師の中で自然発生するものでしょう。ですから、なんだというのですか。青龍寺家の赤目は呪われた子だと有名ではないですか」
雪は大げさなまでに話をする。
その言葉に美子は傷つかなかった。いつものことだ。赤目だというだけで差別をされることには慣れてしまっている。
義孝の対応が異例だったのだ。
……甥の方も赤目でしたか。
義孝の甥ということは、雪の孫にあたる。
それを他人のように言っていた。
「言い返さないのですか? 義母にここまで言われてだんまりですか。退屈な方ですね。それとも、事実だから言い返さないだけですか?」
雪の矛先は美子に向けられる。
それを庇うように義孝は美子の前に立った。
「義孝さん。お退きなさい。母さんは嫁と話をしているのですよ」
「美子さんが傷つくのを見たくはない」
「傷つく? 傷ついた顔なんてしていなかったでしょう。赤目差別なんてよくある話です。そこそこ歴史のある家ならば、よけいに酷かったことでしょう」
雪はため息を零した。
それから、勢いよく椅子に座る。
当然のように足を組み、威圧をするような目線を義孝に向ける。
「異能特務課の第一部隊の隊長の嫁が呪われた子では、笑い者になりますよ。すぐに青龍寺に抗議しましょう。そして、青子さんを嫁にもらうのです」
「俺の嫁は美子さんだ」
「婚姻届けを提出しただけの結婚でしょう。離婚歴がつくのは痛いですが、珍しい話でもありません。美子さんに執着する必要はありますか? ないでしょう? 今日、会ったばかりですからね」
雪の言葉は正しい。
美子はそう思っていた。
美子ではなく青子だったのならば、雪は文句を言わなかっただろうか。
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