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しおりを挟む「……ユフィ、……っごめん、ごめん……!」
「っんあああぁ! あ、ああ、ん、あんっ!」
どちらが上でどちらが下になるのか正しく判断できない。ただ、背中に圧しかかる彼の胸板から伝わる熱と、私の体の中心を貫く彼自身に犯されて力なく喉を鳴らしている。
私を縛り上げていたロープは「傷をつけたくはない」と唸るように言ったフェルナンドに奪うように解かれたが、今は彼が結び直したタオルで縛められていた。
寝台に額を擦らせて、ただ引きつった呼吸を繰り返しているだけで精いっぱいだ。
「ユフィ」
フェルナンドはどこへも動くことのできない私の手首をわざわざ片手で寝台に押さえつけながら、もう一方の手で私の腰を掴みよせている。
はじめ、噛みつくように何度も私に口づけたフェルナンドは、初夜の日と同じように私の全身に隈なくキスを落とし、あの日とは違い、ところどころに何度も嚙みついた。
子犬のように甘噛みされるたび、体の奥にまだ知らぬ炎が灯されていく。
初夜に優しくすると言ったのは、嘘ではなかったのだ。心をむき出しにした彼はもっと野性的で、容赦がない。
「あ、っん、っひぁあああ……!!」
「何も考えない、でっ……! ユフィ、よそ見をしては、だめだ……!」
熱く息を吐きながら私の右耳に命じた彼は、ためらいなく私の耳をなめて、注意を引くように噛み痕を残した。その微弱な痛みにもひくひくと体がおかしな反応を起こす。
微弱な痙攣を起こした体が、私の中を蹂躙する彼の強直をきゅうと締める。
フェルナンドもそれを感じ取ったのか、耳元に彼の笑う気配が微かに触れた。笑い声というにはあまりにも曖昧で、感嘆のため息のような小さな音だった。
今までに一度も見せたことのない雰囲気だが、それを見ようと顔を上げる気力もない。
「痛いの、……ぁ、すき、なんだね……っ」
「ん、ぁ、ああっ! ……っ~~!」
心底嬉しそうに囁いたフェルナンドに肯定も否定もする隙も無く、ぴったりと体同士を一つにして体の最奥を力強く擦られ、おとがいをそらせて法悦に浸る。
力強く膣壁を抉るようにぎりぎりまで腰を引いて息つく間もなく最奥まで穿ったかと思えば、私が快楽に体を引きつらせているうちに、中を探るようにゆっくりと最奥を丁寧に暴かれる。
中の刺激に耐えようと身構えていれば今度は陰唇の飾りをねっとりと指先で弄られ、声を上げることもできずに高みに上り詰めさせられた。
今何が起こっているのか、次に何が起こるのか、考える間もない。
「ユフィ」
甘く耳元で囁いたフェルナンドは、不足した酸素を取り込まんとして細かな呼吸を繰り返す私の喉に唇を寄せた。音を立ててキスを落としながらも、彼の腰の動きが止まることはない。
「あ、……っ、あ、ぅ、っ、フェ、フェル」
「うん、ごめんね、ユフィ」
どれくらいの時間、この遊戯に耽っているのか、想像することもできない。
ただ目の前にフェルナンドがいて、彼はこれをはじめてから、時折口ではうわごとのように謝りながら、私の無様な姿を見るたびに機嫌のよさそうな声をあげている。
彼の良心のリミッターが外れると、これほどまでに暴力的で、執拗で、野性的になってしまうなど、誰が想像できただろうか。
「あ……っ、も、っもう……あっ!」
到底しばらく整いそうにない呼吸を乱しながらのろのろと震える体を起こしながら囁くと、声はみっともなく枯れてかすれていた。
懇願するように彼を見上げる。そうすると彼は、ぐったりと彼の手に抱かれる私を見下ろして、陶然と口を開いた。
――まだこれは、終わらないのだわ。
「うん、ごめん……っ、でも、あともう少しだけ」
予感のとおり、フェルナンドはゆったりと寝台に座り直し、その股の間に私の体を軽々と乗せた。
その行為を拒絶する暇も無く、高くそそり立つ彼の怒張が我が物顔で私の秘所に割り入ってくる。
「っああああああ……!!」
自重のせいか、それとも彼が私の腰を強く掴んで突き落としたからか、挿入とともにすぐに最奥をごちゅん、と穿たれて耐える間もなく絶頂に追いやられた。視界にちかちかと火花が散る。
呼吸は忘れ去られ、今にも倒れそうになるとフェルナンドに力強く背中を抱かれた。
「あ、あんっ、ああっ、あ、ひ、……っん~~!」
「ユフィ、……っユフィ、……ユゼフィーナ……!」
まるで、誰かに大切な玩具を奪われてしまうことを恐れる子どものように囁くのだ。中を蹂躙する彼の熱は完全に私を屈服させているというのに、何時間こうして私を縛り付けてもフェルナンドの心は満たされない。
――ただ、何かが私のものであったことがないから、確かめたくなっているんだ。
ふいにフェルナンドのつぶやきが思い出されて、最後の力を振り絞り、彼の首にタオルで縛められたままの両腕をかけた。
「っ、あ、ああ、っ、フェル……っ!」
目が回りそうなほどの快感で、ほとんど視点が合わない。ぼやけた視界の中に、美しい瞳の色が見える。
その視界の中にいる彼は、どうしてかルビーレッドの瞳を丸くしているようにも見えた。
「フェル、……っ、私、は……っ、ぁ、あなたの……っ!」
最後まで言葉に出しきることができず、衝動的にフェルナンドの開いた口を塞ぐ。湿った唇は心地よく私のものに吸い付き、ついばむようにキスを繰り返すと、フェルナンドから同じようにキスが返される。
「ユゼフィーナ、……ぁ、ユフィ」
「んん…っ、あ、ん、ふぁ……っ」
「ごめん……っ、でも、……僕から離れないで」
結局はそれが、偽らざるフェルナンドの本心なのだろう。
「フェル、」
「……っく、ユフィ……!」
「あっ、っひぁあああああ……!!」
そのささやきに言葉を返すこともできず、フェルナンドの熱に溺れて一夜を明かした。
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