不埒に溺惑

藤川巴/智江千佳子

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STEP 0 「やっぱ、それなら俺がもらっていいですか」

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 振られるのだろうなと気づいてしまう。それでも、どうにか最後まで悪足掻きしようと決めて、口を開く。

「……恋愛経験が豊富だろうなと。それから、誰にも言わず、秘密にしてくださるのではないかと思っています。あと、絶対に私を好きにならないから、あとくされがないです」

 本当に、私のどの口が、こんな傲慢なことを言うのだろう。自分で呆れてしまいたい。できない駆け引きをして、わけの分からない言葉を発している自分に落ち着かなくなる。ひどく心臓がうるさくなっていることに今更気づかされてしまった。

 私の言葉に、八城が小さく首をかしげたのが見えた。

「どうして言いきれるんですか」

 それは、八城が、こんなわけの分からない交渉を持ち掛けてくる、男性経験のない女を好きになるような人とは思えないからだ。本心を口にするわけにもいかず、八城に突き付けたくなかったはずの言葉を口にした。

「八城さんは、絢瀬さんがお好きだと知っているので」
「……なるほど」

 特に否定されないことに、勝手に傷ついてしまう。八城はまだ、しっかりと絢瀬にこころを奪われたままらしい。理解して、無謀な恋心に終止符を打たれたような気分になった。振られるのなら、一思いにバッサリと断られたい。すこし考え込んだ表情を窺い見て、最後の悪足掻きをしてみる。

「八城さんのことを、すてきな男性だと思っていたので、ご相談しました。人付き合いも上手で、気配りもできて、大人で」
「いや、わかりました。ちょっと、あんまり褒められると照れる」

 酔っているからか、するすると本心がこぼれてしまっていた。制止されて口を噤む。

「……ごめんなさい。つい」

 ちらりと盗み見た先に座る八城の困ったような表情が、ほとんど答えを語っていた。

 そうだよなあ。だめだよなあ。

 ここで頷くような人ではないからこそ、恋に落ちてしまった。

「小宮さんのことは、人間として好ましく思っているし、後輩として……、そうだな、こころを大事にしてほしいとも思う」
「……だめですか」
「好きな相手に、大事にしてもらったほうが良い」

 その、好きな相手が、あなたなのに。勝手にふてくされたくなって、努めて笑顔を浮かべた。

「わかりました。じゃあ、あきらめます」
「……力になれなくてごめんね」

 綺麗に一礼して、なおも困ったような表情を浮かべる八城にもう一度声をかける。

「いえ、忘れてください。また、別の方をあたります」

 その日は、本当に、清々しいくらいにきっぱりと振られて、席を立った。私の相談に付き合わせたのだからと言ったのに、八城は「小宮さんの秘密を聞いた代金として払わせてください」と言葉を返して、簡単に支払いを済ませてしまった。

 最後の最後まで、どこまでもスマートですてきな人だった。他をあたる気なんて、さらさらない。けれど、それを伝えるわけにもいかず、駅前で別れた。

 八城への気持ちを忘れるには、かなり時間がかかるだろうと予想していた。年始に仕事が始まって、最後の内定者の座談会と次年度の新規学卒者向け採用活動の準備を進めつつ、慣れない営業補佐に四苦八苦していた。

 考えることを放棄できるくらいに仕事が溢れかえっていて、新しい部署の同僚——木元や間瀬からは、働きすぎだと心配されるほどだ。それでも何とか食らいついていたところで、中田に肩を叩かれた。

「小宮!」
「きゃあっ!?」
「お前! 今日は金曜!」
「ええ? 金曜日……? ですね」
「ノー残日! 残業禁止の日!」
「あ、ああ、そう、です。知っています」
「仕事好きなのは知ってるけど、今日は切り上げろ、な?」
「あ、お気遣い……」

 根を詰めすぎていることを担当営業にも気遣わせてしまった。一瞬で青ざめた私を見下ろす中田は、特に気にした様子もなく、あっけらかんと声を出していた。

「合コン、女子メン一人足りないらしくてさあ! 同期飲みだと思って、な? 参加しようぜ?」
「合コンです?」
「そ」
「なるほど」
「未来の旦那選びに来な?」
「未来の旦那さん……?」
「そ」

 どうやら、残業のし過ぎで何度も倒れかけているところを見られていたわけではないらしい。ほっとして息を吐けば、中田の手が、頭に触れた。


「中田くん……?」
「んや、ゴミが……」
「中田! ちょっといいか」
「あ、八城さん? うっす今行きます。……じゃあ、仕事終わったらメール送った店来いよ」
「え? メール?」
「送信済み!」

 Vサインを作った中田が八城のデスクに向かって走り去ってしまう。綺麗なフォームの後ろ姿を見つめて、堂々と私用のことでメールを送りつけてきているらしい同期に笑ってしまった。同期会は、可憐が退職してからは、とくに縁のない場だ。そろそろ行ったほうが良いのかもしれない。

 木元が行くなら行ってみようか、と考えつつメールフォルダを開いて、緊急度高のフラグがついたメールが目に入ってしまった。送信者は児島だ。

 内容を確認して、明らかに今日残業しなければ間に合わないことを知って、ため息を吐いた。金曜日がノー残業デーだということを忘れ始めて、どれくらい経っただろうか。思い浮かべても、助けてもらえるはずもない。

 徐々に人が減っていく社内で一人、パソコンと向き合っている。総務部一課は課長も国外出張へ出ることが多いから、残業の申請は、ほとんど児島に直行であげることになる。もちろん、児島から残業の多さを咎められたことはない。潰れるならそれまでだと思われているのだろう。

「がんばる。……がんばらなきゃ」

 呪いのように唱えて、パソコンと向き合う。その視線の真ん中に、缶コーヒーが映った。

「わ、」
「残業?」

 この人を忘れるために業務に没頭していたのだとしたら、私はすこしも、目標を達成できていなかったと思う。

「や、しろさん……?」
「お疲れ様。今日金曜日だけど、まだかかりそうなんですか?」
「あー、いえ、もう、帰らないと、ですね」

 手元には鞄を持っている。八城の格好は、明らかに営業先から帰ってきた人のものだ。一呼吸おいて、差し出されたコーヒーを受け取りつつ、さりげなく頭を下げる。

「コーヒー、ありがとうございます。八城さんも、残業ですか。お疲れ様です」

 八城の補佐担当ではなくてよかったとこころの底から思ってしまった。残業するたびにこうして声をかけたりしてくれる距離にいたとしたら、私はまず耐えられなかっただろう。

「さっき、中田に誘われてたように見えたけど」
「はい?」

 名前を出されて、今更中田からの誘いを思い出した。慌てて脇に置いていたスマホの画面を見つめて、中田から来ている連絡の数にさっと血の気が引く。

「その感じだと、すっぽかした?」
「たいへんです……、すっかり、忘れていました」
「仕事、急ぎなら手伝いますよ」

 八城のとんでもない申し出に瞬時に首を横に振りつつ慌てて連絡を遡ってみれば、中田からは“二次会からでも来れるなら来いよ! イケメンが待ってるぞ”というメッセージとともに、営業社員の楽しそうな姿が写された動画が送られてきていた。どうやら、私が想像するよりも大きな問題にはなっていなさそうだ。ほっと息を吐いて、改めて口を開いた。

「ああ、いえ。大丈夫です」

 動画の雰囲気を見るに、すっかり楽しい会になっているようだ。再生するつもりがなかったはずが、間違えて指先が触れてしまった。

『こーみや~! 未来の旦那が待ってるぞ~!』

 かなり、アルコールを摂取しているようだ。小さく笑って、すぐに再生を止めた。

「それ、中田の声?」
「え? あ、そうですね。みんな、もう結構酔っぱらっちゃったみたいですね」
「二人での用事じゃなかったんだ?」

 改めて、椅子に座ったまま、横に立っている男性を見上げる。残業中でも、八城の精悍な顔立ちは健在だ。まったく疲れているように見えないから、八城は大人だと思う。大人な八城は、私がおかしな交渉を持ち掛けたことをきっぱり忘れたみたいに、よそよそしさもなく、ごく一般的な関係性を続けてくれている。

 今日みたいに、私が残業していれば、哀れに思って差し入れをしてくれるくらいには、優しい人だ。八城に馬鹿な交渉を持ち掛けてしまったせいで、年末年始は一人で苦しんでいた。どうしてあんなことを言ってしまったのかと思い悩んで、年明け初の出勤日に出会った八城のいつも通りの対応で、すっと頭が冷えた。

 忘れてほしいと言ったのだから、八城は忘れていなくとも、忘れたふりをしてくれるに決まっている。私が気まずい格好を取ればとるほど、八城に迷惑が掛かってしまう。気づいてからは、とにかくいつも通りの雰囲気を作ろうと必死になっていた。

 ――なんだ、案外普通に話せるじゃないか。なんて、ぼんやりと思っていた。

 八城の問いかけを思い返して、やはり不思議な言葉だと首をかしげてしまった。中田と二人でどこかへ出かけたことは一度もない。むしろ、中田は私よりも我が親友の可憐に興味を持っていた。

「はい。ただの合コン……? 同期会? らしいです」
「合コン?」
「中田くんが、久々に同期で飲もう、って」

 正直に打ち明ければ、八城の目が真意を窺うように私の瞳を覗き込んでくる。綺麗な瞳だ。どこか、甘さを感じさせられる、熱のある色。

 呆然としていた私は、すこし前に、忘れたふりをしてくれていると思っていた相手から、その話題を掘り返されるとは思ってもいない。

「やしろ、さん?」
「もう他の候補、見つけたのかと思った」
「こうほ?」
「この間の話」

 あっさりと話題に出されて、一瞬にして心拍数が上がった。まっすぐに見下ろされている。八城はとくにためらうことなく声に出した。この間の話と言われて思い浮かぶのは、一つしかない。

「あ、ああ。いえ、普通に同期でご飯を……」

 しどろもどろもになりながらも、何とか言葉を紡いだ。まさか、アルコールも摂取していない残業時間中に、この話題が蒸し返されるとは思っていなかった。穴があれば入りたいくらい恥ずかしい。

「中田に頼んだのかと思って、さすがに焦りました」
「焦り? はは、焦ることはないと思いますけど」

 まさか、私の初体験の相手に関することで、心配してもらうようになるとは思ってもいなかった。これは、かなり苦しい。例えば特別に好きな相手でもない、普通の仲の良い友人からのアドバイスであるならば、熱心に聞くことができるのかもしれないけれど、八城だけは嫌だ。

「あはは。でも、そうですね。中田くんにでも、もらってって頼んでみますかね」

 どうにか話をはぐらかそうとして、盛大に、話題を間違えた。沈黙に耐えられずにもらった缶コーヒーを掴んで、プルタブを引っ掻く。こういうときに限ってうまく行かない指先に、なおさら焦ってくる。二度引っ掻こうとして、完全にすべての動作が停止した。

「や、しろさ」

 大きな手が、コーヒーに触れる私の手を掴んでいる。熱っぽい指先だった。男性の手は、こんなにも私のものとは違うのか、なんて現状には全く似合わない些末なことを考えていた。だから、とっさに反応できなかった。

「やっぱ、それなら俺がもらっていいですか」
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