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STEP 5 「じゃあ、もっと頑張ろうか」
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自分の部屋に八城の姿があるというのは、不思議な感覚だ。
終業後、急いで帰宅して、軽く掃除機をかけた。朝、早くに起きてしまって、出勤前に洗濯物を畳んでおいてよかったと思う。八城が部屋にたどり着く前に掃除と料理を終えることができた。
一息吐いたころにやってきた八城は、部屋の様子を一瞥して、「明菜っぽい」と笑っていた。
「おかえりなさい。……それとも、いらっしゃい? ですかね」
「あはは、おかえりのほうがうれしいっす」
「じゃあ、おかえりなさい、です」
「ん、ただいま。何かもういい匂いしてんね」
「今できたところです。召し上がりますか?」
「いただけるなら、もう全部食います。これ、土産に」
「え、お土産なんて、気を遣わせてしまいましたね」
拒絶する間も無くすっと渡されて、反射的に手を出した。紙袋には、人気店のチョコレートが入っている。退勤後、わざわざ一度店に立ち寄ってから来てくれたのだろう。
「明菜ちゃん、チョコ好きでしょ?」
「すきです、けれど、どうして?」
「残業してるときにあげたら、可愛く笑ってたから」
「わかりやすいです?」
「そりゃもう」
「お恥ずかしい。でも、ありがとうございます。気を遣わせて申し訳ないです」
丁寧にお礼を言って頭を下げれば、ネクタイを緩めながら柔らかく微笑まれてしまった。どんな動作も絵になるから、八城はずるい。
「さっき、明菜ちゃんのキスもらったお礼の品なんで、気にしなくていいよ」
「お、礼です、か」
「あれって、ファーストキスだったりすんの?」
「ええ?」
男性経験がないということは話しているけれど、それがどれほどのことなのかまではつまびらかにしていなかった。
興味本位というよりも、重要事項を尋ねるような声で問いを立てられてしまった。
「八城さん」
「ん?」
「私も、その二十五歳なので」
「うん」
「キスは、その……、安心してください」
「うん?」
「ちゃんと、経験済みで、すね」
何を告白させられているのだろうか。気まずく思いつつ頭を下げて、脱兎のごとくキッチンへ逃げ込んだ。
経験済みとは言っているけれど、正直に言うと、小さなころにそれはそれは可愛らしい男の子としていたらしいというレベルで、安心していいと言えるようなものではないような気もする。
でも、していないわけではないから、嘘ではない。
一人で言い訳のように考えながら圧力鍋で煮込んでいたビーフシチューを盛り付けて、リビングに戻った。八城はソファに座るでもなく、テレビ台に置かれているフォトフレームを見つめていた。
「八城さん?」
「明菜ちゃんって双子?」
「え、ああ違いますよ。一緒に写っているのは姉です」
「姉妹か。すっげえ似てるね」
八城が見ているのは、姉と一緒に知人の結婚式に行ったときに、わざわざ似たようなドレスを着て撮った写真だった。
あまりにも雰囲気が似ているから、私も気に入ってリビングに飾っている。
「あはは、どっちがどっちか、分かります?」
「うん、左が明菜ちゃん」
「え、すごいですね」
実はこの写真は、可憐にも「一瞬どっちだか分らなかった」と言われるくらい、雰囲気を似せて撮っている。まさか、すぐに言い当てられるとは思わなかった。
「すごいか? どう見てもこの子が明菜ちゃんだけど」
八城は特におかしなことを言ったつもりも無さそうだけれど、これは、長年の付き合いの親友さえ唸らせた写真だ。
八城の観察眼は相変わらず凄まじい。当然のように言い当てられただけで胸が痺れてしまいそうで、気を取り直すように口を開いた。
「あはは、さすがです。……ご飯食べましょうか」
用意していた料理は、やはり今日も八城の胃袋にすべて収まってしまった。配膳された分は必ずすべて、残さずに食べてくれるから、作る側としても清々しい。
八城の手に握られた私の箸は、想像していたとおり、すこし小さく見える。ままごとをしているみたいで、一人こころの中で小さく笑っていた。
「ごちそうさまです」
「はい。今日も綺麗に食べてくださって嬉しいです」
「いや、もうめちゃくちゃうまくて。最近明菜ちゃんの飯に慣れすぎて、外食してもあんまり美味しく感じないんだよね」
「え? それはおおげさです」
「いや、マジで。それくらい、毎週楽しみにしてます」
「なんだか、緊張してきました」
「なにそれ。かわいいね」
挨拶のように口説き文句を口にできる人だ。わかっているのに、毎回少し舞い上がってしまう。
「八城さんはビーフシチューもかわいいんだと思います」
「お、言うようになってきたな」
「ええ?」
「その調子で、俺の前でも肩の力抜いてよ」
好きな人の前で肩の力が抜けるものだろうか。思わず目をまるくしてしまった。私の表情を見て、八城が楽しそうに笑っている。
「八城さんが、誘惑してくるから、いつも必死なんです」
「手加減してるって」
「上級者の手加減は、かなりレベルが高いのかも……」
「さっきも、明菜の初チューが俺じゃないって聞いて、あそこで襲ってやろうかと思ったし」
「おそ、」
危険な言葉も、あっさりと口にするから、ずるい人だ。
「我慢してんだけど、どう?」
「……手加減、してくださってありがとうございます」
この会話を続けていると危険な気がする。慌てて食べ終わった食器を片付けながら立ち上がる。
「皿洗うよ」
「いえ、お客様は、ソファでくつろいでいてください」
有無を言わせず告げて、八城の食器に手を伸ばす。
「やし、」
食器に触れかけた手は、大きな手のひらに掴まれている。すこし前給湯室でも触れた熱にぴくりと身体が反応して、反射的に八城の顔を見上げてしまった。
「んじゃ、終わったら構って」
「かま、って、というのは」
「今日、まだ明菜に誘惑してもらってないんだけど」
「がんばって、います」
「マジで? じゃあ、もっと頑張ろうか」
「もっとって」
狼狽える私を知りながら、八城は喉を鳴らして笑っていた。
「明菜がしたことあるキス、俺にもしてみるとか?」
「きょうです、か」
「頑張れない?」
まっすぐな眼差しから逃れられずに、息が苦しくなってしまった。さっきまで、少年のように笑っていた男の子はきれいさっぱり消え去っている。
「あきな?」
ここで私の手首を掴んでいる人は、まぎれもない大人の男性だ。
「がんばり、ます」
「はは。偉い」
「手、放しませんか」
「んー?」
「お皿、洗ってきますの、で」
「ん、じゃあ、構ってもらえるまで待ってるわ」
「……はい」
早歩きでキッチンに引っ込んだ。食器を洗いながらコーヒーメーカーのスイッチを入れて、詰めていた息を吐く。
とんでもないことを約束させられた気がする。八城に自分からキスをするところを想像して、胸が苦しくなってくる。一瞬呼吸の仕方が分からなくなってしまって、大きく息を吸い込んだ。
肩の力を抜いている暇がない。自分の部屋に居ながら、こんなにも心細い気分になる日が来るとは思わなかった。感慨深い気持ちになって、少ない食器洗いを終える。丁寧にタオルで手指の水気を取り払って、もう一度静かに深呼吸する。
コーヒーを二つのマグカップに注いで、八城にもらったチョコレートをトレーに一緒に乗せる。
誘惑しなければならないのは私のほうだ。もう一度決意して、ゆっくりと足を踏み出した。
キッチンから出ていけば、八城が手に持っていたスマホをスラックスのポケットに押し込む姿が見えた。八城は基本的に、私との時間を過ごしている間スマホを確認することがない。
常に一番に優先してくれているのだと分かるから、胸が甘く痺れてしまう。
「あ、やっぱコーヒー淹れてくれてたんだ」
「はい。いただいたチョコレートも一緒に」
「あはは。一人で食ってよかったのに」
「でも美味しそうなので、美味しい気持ちを共有したくて」
思った通りに答えながら、想像していたよりは八城と平常心で話せている自分に安堵している。
トレーをテーブルの上に置いて体を起したら、ソファに座っている八城が、自分の隣をぽんぽんと叩いているのが見えた。私の席は、八城の指定らしい。もう一度決意を固め直して、小さくうなずいた。
「失礼しま、す?」
「明菜ちゃんの家だよ」
「あ、そうでした。なんだか、八城さんが馴染んでいて」
八城の横に小さくなって座れば、すこし開けていた距離を簡単に詰め直されてしまった。あっさりと後ろから腰に手が回ってきて、息が止まりかける。
八城の行動には深い意味などない。
普通に、これが八城の思う交際相手との触れ合いなのだと強引に理解して、俯きたくなる顔を必死に押し留めている。
「ん、わかる。普通に家みたいにくつろいでる」
「落ち着かない気分になっていないなら、良かったです」
実際に落ち着かない気分にさせられているのは、私の方のような気がしないでもない。
腰に触れる八城の手が、主張するように服の上からボディラインを撫でつけてくる。目を逸らすこともできずに見つめあって、八城が首をかしげた。
「ん?」
「……うん?」
八城の声に似たような音を返して首を傾げれば、何ともぎこちない動きになってしまった。私の慣れないとぼけたふりに、八城が小さく噴き出し笑う。
「明菜さんは、どうしてくれんの?」
「……やしろさんに」
「俺に?」
「……きす、する」
「いいね。どうぞ。好きにしていいよ」
終業後、急いで帰宅して、軽く掃除機をかけた。朝、早くに起きてしまって、出勤前に洗濯物を畳んでおいてよかったと思う。八城が部屋にたどり着く前に掃除と料理を終えることができた。
一息吐いたころにやってきた八城は、部屋の様子を一瞥して、「明菜っぽい」と笑っていた。
「おかえりなさい。……それとも、いらっしゃい? ですかね」
「あはは、おかえりのほうがうれしいっす」
「じゃあ、おかえりなさい、です」
「ん、ただいま。何かもういい匂いしてんね」
「今できたところです。召し上がりますか?」
「いただけるなら、もう全部食います。これ、土産に」
「え、お土産なんて、気を遣わせてしまいましたね」
拒絶する間も無くすっと渡されて、反射的に手を出した。紙袋には、人気店のチョコレートが入っている。退勤後、わざわざ一度店に立ち寄ってから来てくれたのだろう。
「明菜ちゃん、チョコ好きでしょ?」
「すきです、けれど、どうして?」
「残業してるときにあげたら、可愛く笑ってたから」
「わかりやすいです?」
「そりゃもう」
「お恥ずかしい。でも、ありがとうございます。気を遣わせて申し訳ないです」
丁寧にお礼を言って頭を下げれば、ネクタイを緩めながら柔らかく微笑まれてしまった。どんな動作も絵になるから、八城はずるい。
「さっき、明菜ちゃんのキスもらったお礼の品なんで、気にしなくていいよ」
「お、礼です、か」
「あれって、ファーストキスだったりすんの?」
「ええ?」
男性経験がないということは話しているけれど、それがどれほどのことなのかまではつまびらかにしていなかった。
興味本位というよりも、重要事項を尋ねるような声で問いを立てられてしまった。
「八城さん」
「ん?」
「私も、その二十五歳なので」
「うん」
「キスは、その……、安心してください」
「うん?」
「ちゃんと、経験済みで、すね」
何を告白させられているのだろうか。気まずく思いつつ頭を下げて、脱兎のごとくキッチンへ逃げ込んだ。
経験済みとは言っているけれど、正直に言うと、小さなころにそれはそれは可愛らしい男の子としていたらしいというレベルで、安心していいと言えるようなものではないような気もする。
でも、していないわけではないから、嘘ではない。
一人で言い訳のように考えながら圧力鍋で煮込んでいたビーフシチューを盛り付けて、リビングに戻った。八城はソファに座るでもなく、テレビ台に置かれているフォトフレームを見つめていた。
「八城さん?」
「明菜ちゃんって双子?」
「え、ああ違いますよ。一緒に写っているのは姉です」
「姉妹か。すっげえ似てるね」
八城が見ているのは、姉と一緒に知人の結婚式に行ったときに、わざわざ似たようなドレスを着て撮った写真だった。
あまりにも雰囲気が似ているから、私も気に入ってリビングに飾っている。
「あはは、どっちがどっちか、分かります?」
「うん、左が明菜ちゃん」
「え、すごいですね」
実はこの写真は、可憐にも「一瞬どっちだか分らなかった」と言われるくらい、雰囲気を似せて撮っている。まさか、すぐに言い当てられるとは思わなかった。
「すごいか? どう見てもこの子が明菜ちゃんだけど」
八城は特におかしなことを言ったつもりも無さそうだけれど、これは、長年の付き合いの親友さえ唸らせた写真だ。
八城の観察眼は相変わらず凄まじい。当然のように言い当てられただけで胸が痺れてしまいそうで、気を取り直すように口を開いた。
「あはは、さすがです。……ご飯食べましょうか」
用意していた料理は、やはり今日も八城の胃袋にすべて収まってしまった。配膳された分は必ずすべて、残さずに食べてくれるから、作る側としても清々しい。
八城の手に握られた私の箸は、想像していたとおり、すこし小さく見える。ままごとをしているみたいで、一人こころの中で小さく笑っていた。
「ごちそうさまです」
「はい。今日も綺麗に食べてくださって嬉しいです」
「いや、もうめちゃくちゃうまくて。最近明菜ちゃんの飯に慣れすぎて、外食してもあんまり美味しく感じないんだよね」
「え? それはおおげさです」
「いや、マジで。それくらい、毎週楽しみにしてます」
「なんだか、緊張してきました」
「なにそれ。かわいいね」
挨拶のように口説き文句を口にできる人だ。わかっているのに、毎回少し舞い上がってしまう。
「八城さんはビーフシチューもかわいいんだと思います」
「お、言うようになってきたな」
「ええ?」
「その調子で、俺の前でも肩の力抜いてよ」
好きな人の前で肩の力が抜けるものだろうか。思わず目をまるくしてしまった。私の表情を見て、八城が楽しそうに笑っている。
「八城さんが、誘惑してくるから、いつも必死なんです」
「手加減してるって」
「上級者の手加減は、かなりレベルが高いのかも……」
「さっきも、明菜の初チューが俺じゃないって聞いて、あそこで襲ってやろうかと思ったし」
「おそ、」
危険な言葉も、あっさりと口にするから、ずるい人だ。
「我慢してんだけど、どう?」
「……手加減、してくださってありがとうございます」
この会話を続けていると危険な気がする。慌てて食べ終わった食器を片付けながら立ち上がる。
「皿洗うよ」
「いえ、お客様は、ソファでくつろいでいてください」
有無を言わせず告げて、八城の食器に手を伸ばす。
「やし、」
食器に触れかけた手は、大きな手のひらに掴まれている。すこし前給湯室でも触れた熱にぴくりと身体が反応して、反射的に八城の顔を見上げてしまった。
「んじゃ、終わったら構って」
「かま、って、というのは」
「今日、まだ明菜に誘惑してもらってないんだけど」
「がんばって、います」
「マジで? じゃあ、もっと頑張ろうか」
「もっとって」
狼狽える私を知りながら、八城は喉を鳴らして笑っていた。
「明菜がしたことあるキス、俺にもしてみるとか?」
「きょうです、か」
「頑張れない?」
まっすぐな眼差しから逃れられずに、息が苦しくなってしまった。さっきまで、少年のように笑っていた男の子はきれいさっぱり消え去っている。
「あきな?」
ここで私の手首を掴んでいる人は、まぎれもない大人の男性だ。
「がんばり、ます」
「はは。偉い」
「手、放しませんか」
「んー?」
「お皿、洗ってきますの、で」
「ん、じゃあ、構ってもらえるまで待ってるわ」
「……はい」
早歩きでキッチンに引っ込んだ。食器を洗いながらコーヒーメーカーのスイッチを入れて、詰めていた息を吐く。
とんでもないことを約束させられた気がする。八城に自分からキスをするところを想像して、胸が苦しくなってくる。一瞬呼吸の仕方が分からなくなってしまって、大きく息を吸い込んだ。
肩の力を抜いている暇がない。自分の部屋に居ながら、こんなにも心細い気分になる日が来るとは思わなかった。感慨深い気持ちになって、少ない食器洗いを終える。丁寧にタオルで手指の水気を取り払って、もう一度静かに深呼吸する。
コーヒーを二つのマグカップに注いで、八城にもらったチョコレートをトレーに一緒に乗せる。
誘惑しなければならないのは私のほうだ。もう一度決意して、ゆっくりと足を踏み出した。
キッチンから出ていけば、八城が手に持っていたスマホをスラックスのポケットに押し込む姿が見えた。八城は基本的に、私との時間を過ごしている間スマホを確認することがない。
常に一番に優先してくれているのだと分かるから、胸が甘く痺れてしまう。
「あ、やっぱコーヒー淹れてくれてたんだ」
「はい。いただいたチョコレートも一緒に」
「あはは。一人で食ってよかったのに」
「でも美味しそうなので、美味しい気持ちを共有したくて」
思った通りに答えながら、想像していたよりは八城と平常心で話せている自分に安堵している。
トレーをテーブルの上に置いて体を起したら、ソファに座っている八城が、自分の隣をぽんぽんと叩いているのが見えた。私の席は、八城の指定らしい。もう一度決意を固め直して、小さくうなずいた。
「失礼しま、す?」
「明菜ちゃんの家だよ」
「あ、そうでした。なんだか、八城さんが馴染んでいて」
八城の横に小さくなって座れば、すこし開けていた距離を簡単に詰め直されてしまった。あっさりと後ろから腰に手が回ってきて、息が止まりかける。
八城の行動には深い意味などない。
普通に、これが八城の思う交際相手との触れ合いなのだと強引に理解して、俯きたくなる顔を必死に押し留めている。
「ん、わかる。普通に家みたいにくつろいでる」
「落ち着かない気分になっていないなら、良かったです」
実際に落ち着かない気分にさせられているのは、私の方のような気がしないでもない。
腰に触れる八城の手が、主張するように服の上からボディラインを撫でつけてくる。目を逸らすこともできずに見つめあって、八城が首をかしげた。
「ん?」
「……うん?」
八城の声に似たような音を返して首を傾げれば、何ともぎこちない動きになってしまった。私の慣れないとぼけたふりに、八城が小さく噴き出し笑う。
「明菜さんは、どうしてくれんの?」
「……やしろさんに」
「俺に?」
「……きす、する」
「いいね。どうぞ。好きにしていいよ」
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