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51、ゲリラ豪雨

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51、ゲリラ豪雨


突然のゲリラ豪雨。
誰も何も悪くない。
だけど、イライラする。
どっか、ぶつけたい感情をモテアマシてる。

これ、なんて言うんだっけ?

ああ、なんかアレしたい時と似てる。
口の中が乾いて、目頭が熱くなる。
でも、目の前にセンパイがいないのにこんな気持ちになるなんて、オレって節操ない。
でも、そう、『性欲』に、似てる。
胸の中がジリジリする。
誰かとめちゃくちゃに抱き合ってキスしたい。
自分が雄だって自覚する衝動に、体の感覚がイカレテくる。
誰かとって?笑っちゃう。
オレが抱き合いたい相手は一人だけって決まってるのに、一瞬沸いた衝動に顔がニヤけた。
ああオレ、発情してる。
こんなびしょ濡れで、どうにでもなれって腐ってる。
そんな、なんかヤケみたいな、なんか全部どうでもいいみたいな気持ち。

肌に濡れたYシャツが張り付いて、冷たさの中に肌の熱さを感じる。
濡れた肌を手で摩って、水滴が肌の上をスッと幾筋も伝い落ちていった。
その感覚にゾクリとする。
雨宿りしたビルの軒先で、目を閉じて自分の両肘を掴む。
鬱々とする感情。だけど、嫌いじゃない。

ああ、今、オレヤられたい。
センパイにムチャクチャにヤられたい。

危険な思考回路。
「先輩?モリヤ先輩?」
そこに割って入るノイズに目を開くと、大粒の雨粒が激しく落ちる中、傘を差して歩くチヅカの姿が目の前にあった。





土曜の午後、模試前の集中補講。
3年になって、一気に受験ムードが上がり、クラスの奴が休み時間だってのに、ちっせー豆本とか単語帳とか堂々と開いてる。
自分はヤッてますの自己主張。
休み時間にまでヤッて、頭に入るか入んないかは、そいつ次第だけど、それでも雰囲気は作られてって誰もがなんかに焦ってる。
コイツ以外。
「ワタ」
アキタは、まるで人をホコリみたいに呼んで、回りをキョロキョロしてからオレの耳元へどうでもいい情報を囁く。
「ついに熊谷抜かれたんだぜ」
「あ?」
「最高気温41度!!スーパー猛暑!!四万十!!」
嬉々としてオレにスマホのお天気ニュースを見せるアキタに、げんなりしてオレはノートで自分を扇いだ。
「今日の天気は不安定で、ゲリラ豪雨に注意してくださいってよ」
「最近多いなソレ」
「こないだ花火大会潰れたもんな」
「あん時どっか浸水したっぽいよ。なんかコンビニとか水入っちゃって大変だったってニュースやってた」
「へ~」
と、言った直後に遠くで雷がゴロゴロゴロと唸った。



一瞬の閃光の後、雷がチヅカの向こう側でパリパリと音を立てて落ちた。
「ワ!今、落ちました!?落ちましたよね!?やべ!」
チヅカが慌てて傘を閉じて、オレの隣へ並んでしゃがんだ。
「モリヤ先輩ってば・・シカトしないでって」
ヘラヘラと笑うチヅカがオレの肩を掴んで揺さぶってくる。
その手を放せと、腕を持ち上げて拒否すると、チヅカが手を伸ばした形のまま固まり、オレを睨んでいる。
その視線に耐えきれず、オレが立ち上がろうとすると、またチヅカに肩を掴まれた。
「無謀でしょ。雷鳴ったら試合中だって退避でしょ」
「話し掛けんな」
全拒否、全否定の姿勢でチヅカの方をチラリとも見ないでいると、流石に効いたのか、チヅカも口を閉じた。
暫くそのままで、土砂降りの雨粒が地面で弾けるのを眺めていた。
「オレ・・モリヤ先輩に、憧れて、ガッコ入ったんですよ」
その台詞に思わず、チヅカを見てしまうと、目が合ったチヅカが嬉しそうに笑った。
「良かった。もうオレの事見てくんないのかと思った」
ニカニカと笑ったチヅカが一歩分空いていた距離を詰めた。
直に濡れた肌同士が触れ合い、チヅカの生暖かな体温を感じて嫌悪してしまう。
「オレの事嫌い?」
体育座りで膝を抱えるチヅカの震えるような小さな呟きに、即答出来ずにいると、チヅカが「困らせてスミマセン」と謝った。
とにかく、「ひっつくな」と手で押し返そうとしたら、その手をチヅカに掴まれる。
「謝ってんのに・・先輩、聞いてた?オレ、謝ったじゃん?」
その手を自分から引き剥がそうとオレも全力でチヅカの手首を掴んだ。
「だから何だよ。謝れば何でも許されるとでも思ってんのか?」
手を掴み合いながら、オレはチヅカを睨んだ。
「許して欲しいから謝ってんじゃん。先輩ってば・・無理だよ。オレに力で勝てないってこないだわかったじゃん?」
それでも、オレは腕を振り払おうと力一杯チヅカの腕を押したり引っ張ったりした。
が、いきなりチヅカがパッと力を抜いてオレの手を放した。
そのせいで、バランスを崩したオレはチヅカの方へ倒れそうになって慌てて壁に手をつこうと腕を伸ばした。
その腕の下へ。
チヅカの両腕が、オレの体をがっしりと抱きとめて密着する。
「放せ!!このヤロ!!」
座った状態で倒れ込んだ体に抱きつかれて、体勢を立て直すことが出来ず、オレはチヅカの襟首を後ろへ力一杯引いた。
「あ、ちょ、苦しいって。でも気持ちい~。先輩の体温サイコー」
「ふざけんな!放せ!!」
叫ぶと同時に・・急にチヅカのニヤケ顏が力無く後ろへと倒れていく。
「え」
チヅカが倒れたその背後に見慣れた制服のズボンが現れる。
顔を上げると、そこには傘を差した、見慣れた眼鏡!
「なに、こんなチンカスヤローに泣かされてんだよ」
「ツヅキ!」
どうやらチヅカは、ツヅキが得意の背後からの一撃により、しあわせな顔で逝ってしまったようだった。
「グッジョブ!!ツヅキ!!」
思わず、盛大に拍手するオレに、ややキレ気味のツヅキ。
「うるせー!テメーが余計なフェロモン振りまいてっからこうなんだぞ!全部絞り出したろか、コノヤロ!」
「知らねえよ!オレのせいじゃないし!ホルモンなんか出てねえし!」
「フェロモンだ。焼き肉かお前は」
言いながらツヅキがオレの腕を引き上げて起こすと、土砂降りも構わずに歩き出した。
「雨宿りなんかしてっから、おかしいのに捕まるんだよっお前は警戒心が薄い!」
「んなこと言ったって、普通に生きてるだけだっつーの」
反論したオレの顔をツヅキがチラリと見て、また前を向いた。
「ウソつけよ。お前、顔にヤリたくてしょうがねえって書いてあるぞ」
笑うでも無い。
怒るでも無い。
淡々としたツヅキの素の言い方に、思わずさっきまでの衝動を読み取られてしまった気がして思わず手で顔を隠し、「書いてねえよ!」と一応否定を入れる。
「あ~・・・やだやだやだやだ。隙作んじゃねえぞ。あんなのにお前ヤられたら、オレが許さねえからな」
「や、ヤられるか!誰がっなんでっ」
「しどろもどろすんな」
ツヅキが普通にオレの頭を叩いた。
それからオレの頭をガシガシと撫でたツヅキと駅で別れた。
せっかく駅まで送って貰ったけど、顔に『ヤリたくてしょうがない』って書いてある以上、こんなとこでボーッとしてる訳にはいかない。

びしょ濡れの鞄から取り出した携帯でワタヌキにメールを打つ。
『補講終わった?』
送信して1分しない内にメールが返ってくる。
『あと30分』
その数字にがっかりしながら、もう一度メールを打った。
『待ってる。あとでいっぱいセックスしよ』
まるで『本でも貸して』風なノリで送信。
それから5秒もしないで返って来た返信に、オレは心底ビビった。
その返信の慌てぶりに、ワタヌキの動揺が読み取れて顔がニヤけてしまう。
『今行く』
その文字を見た瞬間、オレは噴き出してしまった。
「やべ・・補講・・」
補講を途中で抜けて来るだろうワタヌキを想像して、ニヤける顔を手で押えて隠す。
なんて事させちまったんだろう・・少し自己嫌悪。
でも脳内は9割ガッツポーズ!
それから3分後、ワタヌキからの電話に出ると恐ろしい事にタクシーで駅まで来るという。
ワタヌキに土砂降りとか雷とか全く関係無し。金の力恐るべし。
そして、更に10分後、駅のロータリーでワタヌキの乗ったタクシーが一旦止まり、オレを乗せると車はワタヌキの家へと走り出した。
車に乗り込む一瞬、オレとワタヌキの視線が合っただけで、ワタヌキはずっと黙ったまま窓の外を見ていた。
しかも、さっき合わせた視線もなんとなく冷え冷えとした目だった。
そんなワタヌキの態度に緊張して、オレも何も言えなくなって、ただ黙って前を向いていた。
すぐ隣にワタヌキがいる。
あんなに、抱きついてキスしてめちゃくちゃにエッチしたいって思ってた相手が目の前にいるのに、オレは触る事も出来ない。

センパイに触りたい。
まるでオレ、犬の『待て』状態。
どうしてオレの方を見てくんないんだろう?

オレはワタヌキの顔を見たくて、車が到着するまでに何度もワタヌキの方を見たけど、一回もワタヌキはこっちを見てはくれなかった。
一気に気持ちがしょげる。

車から降りても無言のワタヌキが、オレの腕を掴んで大股で急いで家の中へ入ってから、ブチ切れた。
「お前・・マジで殺すぞ!」
「なんで!」
オレの困惑も意に介さず、また無理やりに引っ張られ、ワタヌキ家の風呂場へと放り込まれる。
「危ねえ!オレを物みたいに!!」
怒鳴ってみても、ワタヌキはオレをチラとも見ないで、シャワーの蛇口を捻り、勢いよくシャワーの水をオレの頭から掛けた。
「わ!」
さっきの土砂降りより全然マシだけど、また頭からびしょ濡れになって、開かない目を擦ろうと上げた手をワタヌキに捕まえられて、ワタヌキが濡れた唇を合わせてくる。
唇を合わせるだけのキスの後、「そんな欲求不満な顔して・・誰にも会ってねえだろうな・・?」と、ワタヌキの勘の鋭い質問に、オレの心臓が早くなる。
ツヅキが言ってた通り、ワタヌキにも、オレの顔に『ヤリたくてしょうがない』って書いてあるのが読めたらしい。
とりあえずその質問にはスルーして、「ちょ、服脱ぐから待って!」
と、抗議の声を上げてみるが、ワタヌキに届く訳もない。
シャワーに打たれながら、噛み付くようなキスで押さえつけられる。
今日はオレがリードしてヤるつもりだっただけに、頭にキて、オレもワタヌキのソコを力を入れてグリグリ撫で回した。
膨らみかけていたワタヌキの中心が、オレの愛撫に一気に硬度を増し、ずっしりと密度を凝縮する。
「すご・・一気に堅くなった・・」
そのド・ストレートなワタヌキの反応に、顔が熱くなってくる。
キスしながら、その形を手でなぞって、『これからコレに激しく犯されるんだ』と想像して身震いした。
「そんなに欲しいか」
ワタヌキの掠れた低い声。
オレはワタヌキの目を見て、静かに答える。
「死ぬ程欲しいよ」
その台詞に、ワタヌキが絶句して、キツくオレの肩を抱き寄せた。
「お前、ホント殺すぞ・・?」
「ダメ。今日は・・オレが殺す役。だって顔に『ヤリたくてしょうがない』って書いてあるんでしょ?」
オレの返事にワタヌキは顔を顰める。
「気に入らなかったら速攻ブチ込んで」
言ってから、オレは自分のベルトを外して、ズボンもパンツも下ろした。
オレも完全に勃起してる。
オレはワタヌキの足下へ膝をつき、ワタヌキのベルトに手を掛け、制服の上からソコを唇でなぞって、ズボンのジッパーを下げた。
そこから両手で、ワタヌキの肉棒を掴みボクサーパンツの中から取り出す。
真っ赤に充血し堅く腹に沿ってそそり立ったワタヌキの肉棒にシャワーの水滴が掛かる。
濡れていくワタヌキの勃起を数秒眺めて、そっと舌で裏筋を舐めると、ワタヌキの勃起がビクビクと奮えた。
「これ、入っちゃうんだ・・」
自分の唇を一度ぐるりと舐めてから口を大きく開けて、しっかりと両手でワタヌキの肉棒を握り、先端の亀頭にしゃぶりついた。
噛んだら弾けそうな張りのあるツルっとした肌触りと肉の柔らかさを味わい、何度か口の中で舌を絡めて、先端部分だけを唇で咥えて前後に動かした。
ワタヌキがオレの髪の毛を掴んで、引き止めようとしてるのか、もっと深く咥えさせようとしてるのかわからない動きでオレの頭を押える。
その動きに合わせて、ワタヌキの肉棒をグッと喉まで飲み込み、髪を引っ張られたら唇を緩めて前後へ動かした。
口からワタヌキの勃起が抜け切らないように先端に吸い付くと、自分と違う熱を持った体液が舌の上に零れた。
粘着質で、ヌルリとしたものが口の中に広がる。
自分の余った唾液と一緒にコクリと飲み込むと、ワタヌキがオレの頭を両手で押さえて、溜め息に震えた。

ワタヌキの味。

もっと舐めたい。もっと味わいたい。もっとオレで感じて出して欲しい。オレでもっと濡らせばいい。
大きく舌を動かしながら、頭を早く前後させる。
「ナギっ・・!」
「んっふ・・んんっ」
吐息混じりで涎まみれで、シャワーでずぶ濡れで、ワタヌキの腰を両手で抱き、口を窄めて喉の奥までワタヌキを飲み込む。
何度もしゃぶり続ける内、自分の変化に気づいた。

アレ垂れてる・・?
ああ、オレ・・濡れて・・る・・
オレ、舐めてるだけなのに・・あ、イキそう・・ッ

「ツッ・・・!ナギ・・っ」
ワタヌキの両手がオレの後頭部を掴んだ。
口の中でワタヌキの熱量がぐっと増す。
「あぁっ・・出すぞッ」
数回、ワタヌキの肉棒に喉の奥まで犯される。
オレの喉の奥底に突っ込まれたワタヌキの勃起がブルブルッと不規則に震えた。
オレはワタヌキを噛んでしまわないように精一杯口を広げて、ワタヌキの飛沫をたっぷりと喉の奥で受け止めた。
ワタヌキのねっとりとした苦みのある愛液が喉の奥で絡み付く。
ワタヌキの勃起をしゃぶったままじゃ濃厚なミルクを上手く飲み込めず、ゴクリと動かした喉が引き攣った。
ゲホゲホと咳きこんで、喉の奥で飛び散ったばかりのミルクが唇から顎を伝ってポタポタと落ちていく。
「ナギ」
ワタヌキがオレの腕を掴んで立ち上がらせ、無茶苦茶に体を抱き締めてくる。
濡れたオレのYシャツを捲り上げ、激しく体中を弄る。
「センパイ・・ああっ・・早くシよ・・オレ、ココに、いっぱいミルク出されたい」
オレは自分のヘソの下を押えて、ワタヌキの首筋に噛み付いた。
ワタヌキが舌打ちし両手で、左右の尻タブを強く揉みしだいてくる。
「あっ・・っつ・・た、つとっ」
ゾクゾクと背筋が強ばってワタヌキの腕の中で背中が仰け反る。
その指がソコへと伸びた。
片方の尻タブを持ち上げられて、ゆっくりとワタヌキの指が自分の内側へと潜り込んでくる。
「ツっ・・!」
無理やり広げられる苦痛に涙が浮かんでしまう。
と、その目尻をワタヌキが豪快に舐めとり、また濃く深くキスされて、もっと体の中深くワタヌキの指が這入ってくる。
「力、抜け。裂けてもやめねえからな」
ワタヌキに耳元で囁かれて、耳たぶを噛まれた。
「ンっ」
早急なワタヌキの手の動きに、さっきまでの熱が覚めそうな程の痛みをソコに感じて涙が零れそうになる。
「泣くな」
また目玉ごと舐めとられそうな勢いでワタヌキがオレの目尻を舐めた。
その瞬間、体から力が抜けて、ワタヌキの指が更に増えて深く侵入してくる。
そして、異物感に耐えていると、ワタヌキの指が動いた。
ビクッと、ワタヌキの指からの刺激に、無意識に腰が跳ねた。
その瞬間、ワタヌキの楽しそうな声が耳元でゆっくり響く。
「つかまえた」
そこから、ワタヌキの指のガン攻めが始まる。
「やっあっあ、あ、ああぁっっ」
ピンポイントで前立腺を刺激されて、アリエナイくらい勃起して、その蜜口の中身が見えそうなくらい口が開き、ヒクヒクと喘ぎながら溢れた先走りを滴らせる。
それがワタヌキの腹に当たって気持ち良くて、腰がどうしてもビクビクと動いてしまう。
「あぁッ・・気持ち、イイっ・・気持ちイイっ・・」
なんとかワタヌキの肩に掴まり快感を逃がそうと縋り付いた。
目の涙腺がバカになったみたいで涙が次々に溢れてきて、またワタヌキに目尻をベロリと舐められた。
「言えよ。どうしたいって?オレに何して欲しいって?」
ぐちゃぐちゃに掻き回された下腹が焼けるように熱い。
頭の中まで腐ったみたいに熱くなって、ワタヌキの言葉に返事するのにも数秒要る。
「センパイ・・抱いて・・オレの中にブチ込んで」
言い終わったと同時に。
ワタヌキは、ヌルヌルに濡れて滑りの良くなったオレのケツ穴に勃起を押し当てると、一突きでオレの腹の奥の奥まで挿入する。
「アーーーーーーッッ」
立ったまま、下腹の中へ熱い肉の塊を突っ込まれ、両腿から力が抜けてガクガクと足が震えた。
「だめっあ、足が力入んないっあ・・っ」
「黙ってろ」
オレの泣き言にも構わず、一突きではケツ穴の中に入りきらず残った部分をワタヌキは更に押し込み、オレの中へ埋め込んでくる。
「んーーーーーーーっ」
全部の神経がそこに集まったみたいにズキズキとした痛みとも鋭利な快感とも言える刺激が、狂ったように下腹を沸騰させた。
オレ達は奥深く繋がり、大きく開けた口同士を合わせて獣じみたキスを交わした。
オレの力の入らない片足を抱えたワタヌキが、オレの身体を壁へと押し付けると「いっぱいしような?」と笑ってから、激しい突き上げを開始した。
「うっあぁっあ・・・!!」
始めの数回、大きく揺さぶられただけで、オレの勃起からは呆気なく白濁が飛び散った。
突き上げられる度にミルクが押し出されるように蜜口から溢れる。
「ナーギ、すげーエロいよお前・・イキっぱじゃん」
「・・こんなの・・逝かない、方がっおかしい・・でしょ」
深くグイグイ腰を動かしながらワタヌキがオレの喉に吸い付いてくる。
「あ、あ、ひっ・・ダメっ・・コワレルっコワレル!」
「んなヤワじゃねえよっホラっ」
唇を合わせて、ワタヌキに一際深く腰を突入れられ、オレの足が床から浮いた。
浮いた爪先が勝手にピクピクと動く。
「ンッ・・!ンーーーー!!」
体内に完全に根元まで、ワタヌキの全てが収まり、尻全体が緊張してギュッとワタヌキの厚い肉棒を締め付けた。
「スゲ・・喰われそ・・」
口元を引き上げたワタヌキが残酷に笑う。
「あ、だめ・・まだ・・動いちゃ、だめ」
って言っても聞く男じゃない。
ガクっと身体が一瞬落ちて、すぐに突き上げられた。
「ハッ」
息を吸ったまま呼吸が止まる。
両足をガッチリとワタヌキの両腕に抱えられて、激しい突き上げが始まる。
全身の自由を奪われて、腹の中を滑るように上下するワタヌキに激しい快感を覚える。
「ダメ・・ッもう、ダメ・・ッ」
「はえーよ。もう少しヤらせろ」
「あ・・ッ」
オレの懇願にも応えず、オレがイッタのもお構いなしで動き続けるワタヌキに、狂いそうな快感を植え付けられる。
「ああッッ止めてッ止めてッダメッああッまた出るっっ出ちゃうよっ」
「全部絞り取ってやる」
頭の隅でどこかで聞いた台詞だと思いながら、果てしない絶頂の中、オレは瞼を閉じずにはいられなかった。
「ナギ、ナギ!」
荒い息をしながらワタヌキがオレの名前を呼んでいる。
「アイシテル・・アイシテル、ナギ。アイシテル」
呪文のようなワタヌキの吐息交じりの呟き。
でも、ちゃんと聞こえた。
「アイシテル」
気絶しそうな虚ろな頭の中に木霊する。
「センパイ、スキ。・・もっと・・メチャクチャに・・抱いて・・」
そう思っただけだったのか、口に出していたのかは、わからない。
ただ、ひたすらにオレはワタヌキに突き上げられて、泣きながら喘ぎまくった。


全身ずぶ濡れ。
半分脱げた制服。
二人でイキまくった白濁が、糸のように絡み合い、一本の水流となって、オレ達の足下を流れていった。





そんな訳で、ワタヌキの補講と引き換えにオレの性欲は満たされた訳だが、ここに納得のいかない男が一人。
「で?」
やっと二人とも全部服を脱ぎ、まともに湯船に浸かった。
バスタブの中で、オレを後ろから抱くようにワタヌキが座り、オレの耳たぶを噛んだり舐めたり弄ぶ。
「なんで、お前は今日こんなんなったんだ?」
顔は見えなくても、このガラついた低音で、ワタヌキがどんだけ底意地の悪い顔をしているかがわかる。
オレはなんとかチヅカとツヅキに会った話だけはしないように気を付けながら、雨のせいで、と話した。
「あめ?」
「雨っていうか・・・ゲリラ豪雨ん中びしょ濡れになって・・なんか・・もうどうにでもなれーって気持ちになったら・・・エッチ、したくなっちゃった・・」
最後はもう恥ずかしくて消えそうな声だった。
それにワタヌキが無反応なのがイタイ。
自分がどんだけイタイかを痛感してしまう。
「こういう風になったの初めてだよな・・?」
ワタヌキの思案した風な台詞に、オレは「え?うん・・たぶん」とか答えたら、後ろから頭をド突かれた。
「お前は、合羽着ろ!いや、雨の日、外出んな!どうすんだよ!?雨の試合とかあんだぞ!」
「いや、待った待った!オレ、全部の雨でこうなるって決まった訳じゃないし!今日たまたまだし!」
「わかんねえだろ!また雨の日こうなるかも知れねえだろが!どうすんだよ、ツヅキとかチヅカとかにそういう日に会ったら!」
なんか女子の生理みたいな話だなと思いながら、とにかく落ち着こうとワタヌキを宥めた。

結果。
今回の反省会(?)を踏まえ、オレに出された課題は。
「いいか。雨の中びしょ濡れで歩くな。もし歩くなら絶対にオレと一緒にいろ。どうしてもそれがムリならマスクしろ!」
「ひでぇ・・マスクって」
オレ変態かよ!
本気で変態扱いじゃねえかよ。

涙目で振り返ると、ワタヌキに髪を後ろに引かれて、口づけされる。
「もっとマシな案もある。オレと毎日ヤれ。そしたら欲求不満にならねえ」
それがいい。そうしよう!と一人納得するワタヌキ。

雨が降りそうなら折りたたみ傘を持てばいい。
それだけだ。

それだけだったのに・・。

「明日は・・どこでヤるか」
ワタヌキの悪魔の微笑みに、オレの背筋が凍る。
自分の降って湧いた性癖を恨みながら、『外は勘弁して下さい』と頭を下げるオレだった。 
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