R18 恋は満ち潮のように胸を満たして

薊野ざわり

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 メーアは、ぱたぱたと家路を急いでいた。あれから、しばらくの間、ぼーっとしてしまい、すっかり日がおちてしまった。道はもう、閑散としていて、通りの店はほとんどしまっている。そうすると、見慣れた大通りですら暗く、不気味だった。酒場と民家の光が、ぼんやりと弱弱しく、道を照らしている。
 こんな時間に、連れもいないで歩いているのは危険だ。
 なるべく大通りを通って、急がなければ。
 ショールを頭から被り、胸の前で掻き合わせて、メーアは小走りに屋敷に向かっていた。馬車を拾いたかったが、あいにく行きあわない。
 前から、酔っ払いが二人、下品なことを言い合いながらやってくるので、メーアは道の端にそれを避けて、すれ違おうとした。
「うん? こんな時間に、誰かと思えば。トイフェル家のお嬢様じゃないですか」
 しかし、急に肩を掴まれて、その場につなぎとめられてしまった。メーアはぎくりとしながら、酒で赤らんでいる男の顔を見た。二人ともよく日に焼けている。三十代後半くらいで、顔に見覚えはないが、相手はメーアを知っているようだった。
 嫌な予感がして、メーアは身を硬くした。メーアをよく思わない人間も、減ったがゼロではないことを、自身がよくわかっている。少なくてもこの男達が自分に好意的な連中でないことはよくわかっていた。
「こんな時間に出歩いて、危のうございますよお。なにせ美人のメーア様には、男はみんな首っ丈ですからねぇ」
 猫なで声で一人がいい、もう一人が手を叩いて笑った。
 相当飲んでいるようで、息が酒臭い。さらに、こんな無礼なことを言えば自分がのちのち損をするという勘定すらもうまともにできないようだった。
「ご心配、ありがとうございます。急いで帰りますから、大丈夫ですわ」
「大丈夫ですわぁ」
 何が面白いのか、男たちはまた笑った。掴まれた肩が、痛い。メーアは顔をしかめた。
「お嬢様、いけませんよ。いくら男日照りだからって言っても、こんなところで男を漁っちゃ」
 乾いた音がして、男が顔を逸らせた。
 メーアは、生まれて初めて、人に手をあげた。今までだって、鼻血がでそうなほど腹が立つことは山ほどあったが、そういうときは深呼吸して耐えた。後々自分で損をするのがわかっているからだ。今回だって、そうしようと思えばできるくらいには、冷静だった。
 手を振るったのは、名誉のためだった。一瞬だが、相好を崩したサウアーの顔が脳裏によみがえったのだ。
 自分のためではなく。自分を好きだと言ってくれた彼が、侮辱されたように感じたのだった。
「無礼よ。手を離しなさい」
 毅然として、言う。通常だったら、彼らも、一言謝罪して、彼女の肩を放しただろう。
 だが、そうはならなかった。
「このくそ女、なめやがって」
 大きくてべたべたした手で、顎を掴まれた。
 酒で冷静な判断が効かなくなっているのだろう。そんな風に冷静に、思いながらも、メーアは暴れた。
 口をふさがれて、髪をつかまれ、路地裏に引きずり込まれる。
 建物と建物の間に伸びる隘路は、饐えたにおいが充満しており、足元がぬかるんでいた。
 悲鳴をあげようとしたが、大きな手でがっちり口ごと固定され、声が響かない。暴れようとすると、もう一人の男に足を掴まれて、まるで火炙りにされる家畜のように持ち上げられてしまった。
「おお、重てえな」
「ほんと。腹に詰まっているのが金だったらいいけどよ」
 下卑た笑い声をあげながら、彼らは、無人の路地裏の奥までくると、メーアを地面に放りだした。
 したたかに頬を打ち付けて、メーアはうめいた。
 すぐさま、口の中には、男の汚れたハンカチーフが詰め込まれる。
「おら、日照ってるなら、俺たちが潤わせてやるよ」
 一人の男がメーアの背後に回って、腕を拘束した。脚をばたつかせるが、もう一人のほうに抱え込まれて、動きを封じられる。
 薄く繊細な生地でつくられたドレスは、力任せに引っ張られると、すぐにただのぼろきれになってしまった。生地が裂ける音が、まるで自分の悲鳴のようだ。
 メーアは、怒りをこめて、自分の脚の間に体をもぐりこませた男をにらんだ。男はそれすら面白そうに笑って、無遠慮に彼女の胸を掴みあげた。
「おお、柔らけえ。肉付きがいいのも悪くねえな」
「俺は年増はごめんだね。かみさんだけで腹いっぱいだ」
「おい見ろよ。さすがお嬢様だぜ、こんなに乳首おっ勃たせてやがる」
 強く乳首をつままれて、メーアは痛みで目をつぶった。胸を這う手の感触に、背筋がぞわぞわする。背中に当たる、男の股間の硬いものが、路地の臭いよりなにより不快だった。
 胸に男がむしゃぶりついてきて、噛まれた。甘噛みというには強すぎる痛みに、メーアは悲鳴をあげた。口内のものに声はせき止められてしまったが。
 背後の男が、首筋に噛み付いてきて、その手でスカートの中の太腿を撫でる。じりじりと上ってくるその手に、メーアは自分の視界が涙で曇ってくるのがわかった。こんな男たちのせいで泣くのは我慢ならなかったが、恐怖はどうしようもない。
「今日はいい日だな。むかつくくそアマに俺のをぶち込んでやれるんだからよ! よがらせてやるよ、お嬢さん」
 男の指が、秘された部分に触れて、メーアは目をつぶった。眦から涙がこぼれる。
 今日はいい日。自分も、少し前までそう思っていた。サウアーに、好きだといわれて、うれしかった。だというのに、あんまりじゃないか。
 侵入してくる指の異物感に、呼吸が速くなる。不快でたまらない。
「きゅうきゅう締めつけてくるぜ」
「とんだ淫乱だな」
「おい、上の方さすってやれよ」
 言われた背後の男が、芯の部分を指でつねった。
「んぅう!」
 痛い。自分でも入浴のときくらいにしか触ったことがない敏感な器官を、かさついた男の手で無遠慮に触れられる。そのつど、背筋が強張るような痛みを感じて、メーアは背を弓なりにした。
 だというのに、自分の脚の間が、信じられないほど湿っていることに気づいて、メーアは戦いた。全然、こんなこと、望んでいないというのに、体が勝手に準備を始める。
「はっは、いい具合になってんじゃねーか。やっぱりあんた、男漁ってきた帰りか? ええ? それじゃあ、もう一本、追加してやるよ、このいい夜に、俺からの贈り物だ」
 腰を抱えあげられ、男の反り返ったものを、あてがわれた。
 今まで、こんな風に自分のそこを意識したことがなかった。ぐっと押されると、今新たにその器官を作られているのではないかという、強烈な圧迫感がある。
 ああ、もう駄目だ。諦念が首をもたげた。
 ぎゅっと目をつぶると、なぜか、こんなときに、サウアーの真剣な顔を思い出した。メーアを妻にと言ってくれた、あのときの彼だ。
 どん、と胸に何かがぶつかって、メーアは目を開けた。
 メーアの腰を抱え込んでいた男が、自分の胸に顔をうずめている。
 男は白目をむいていた。
 なにが、と思ってメーアは顔を上げ、――瞠目した。
 月を背に立っていたのは、サウアーだった。まるで死神のような恐ろしい顔をして、鞘に入ったままの剣を手にしている。あの剣で、この倒れこんでいる男を背後から打ったのだろう。
 彼の金色の髪が、怒りのせいで逆立っているように見えた。
「え、エルンスト・サウアー?!」
 背後の男は、顔見知りだろうか。メーアを突き飛ばして、身を起こす。
 体勢を整えようとする男の眉間にむけて、サウアーはぴたりと剣先をむけた。青い目が、殺意にぎらぎらとしている。
「貴様ら、こんなことをして、楽に死ねると思うなよ」
 いつものよく通る声が、震えている。怒りを抑えるようとしているのだろう。血でも吐きそうな声だった。
「いや、誤解だ、誤解。俺たちは」
 だが、言葉は中断された。
 男は悲鳴をあげて、のた打ち回った。サウアーが剣で彼の右肩を深々と貫いたのだ。
 その声に、メーアは背筋が凍りつくような気持ちになった。
 粗野な部分はあったとはいえ、ここまでサウアーが怒りをあらわにしているところを見たことがない。
「二度と使えないようにしてやるよ」
 サウアーが冷酷にそういって、男の肩を踏みつけて、その股間めがけて剣を振りかぶった。
「ちょ、ちょっと待って! だめよ! あとは警察を呼んで!」
 口の中から汚いハンカチーフを取り出したメーアは、あわてて彼の脚にしがみついた。間一髪、サウアーの剣は、男の股間の目の前の地面に突き立って、止まる。ひいっと喉を鳴らした男の股間が、じわりと湿っていった。


 警察を呼んで、男たちは連れて行かれた。ほっとしたものの、メーアは気が重かった。この話が広まれば、自分に対する周囲の目が変わってしまうのではないかと思うのだ。
 容姿を揶揄されるのも不快だが、強姦されそうになった可哀想な女と見られるのも、嫌だった。
 家まで送るという警察の申し出も、すぐに受ける気になれなかった。もし、警察に送ってもらってしまったら、父は仰天するだろうし、あっという間に噂が広がってしまう。
 どうしたものかと困っていると、サウアーが言った。
「……あんたが嫌じゃなければ、俺が送るよ」
「……いいのかしら。では、お言葉に甘えて」
 サウアーが自分で所有している馬車で、メーアは警察署から戻ることになった。
 きっと父は心配しているだろう。こんな遅くまで、連絡なしに帰宅しなかったことはない。すでに夜半だ。
 二頭立ての馬車に乗り込んで、メーアはサウアーと向き合って座った。馬車が、がたごといいながら走り出す。
 サウアーは、助けに来てくれたときの勇ましさはどこへいったのか、なにかを思い悩むように、顔を曇らせて、じっと窓の外を眺めている。
 メーアは、彼が貸してくれた上着の前をかきあわせて、小さくため息をついた。その吐息で、サウアーがびくりと肩を揺らした。
「遅くなったけれど、……ありがとうございました。助かりました」
「お、……俺のせいだ」
「サウアーさま?」
 がっくりうなだれて、サウアーは続けた。
「俺がきちんとあんたを送っていかなかったから、こんなことに。すまない。謝っても、どうしようもないとはわかっている……」
 メーアは肩をすくめた。
「あら、無用心だったのは私のほうだし、なにより、そういうことをする人が一番悪いのよ。あなたが謝ることなんて、ないわ」
「……あのあと」
 サウアーは、小さな声で言った。
「実は、あんたの家まで行ったんだ」
「え?」
「親父さんに、……結婚をしたいって伝えに。それで、あんたが帰ってきたら、その場でもう一度、結婚を申し込もうと思っていたんだが、なかなか帰ってこなくて、心配になって見にきたら、ショールが」
 それで、あの路地がわかったのか。メーアはひとつ納得した。だが、もうひとつ疑問が残った。
「うちへ、行ったの?」
「ああ」
「それで……お父様に、話した?」
「ああ」
「……ええと」
 自分の知らないところで、話が進展していて、メーアはあわてた。
「それで、お、お父様はなんて?」
 恥ずかしいやら、置いてきぼりにされてちょっと腹立たしいやらで、メーアは言葉尻が不明瞭になった。
「親父さんは、しばらくじっと考えてたが、――あんたが承諾するなら、いいと。俺の、俺の父の過去も、今の俺の功績で目をつぶろうといってくれた……が」
 サウアーは、自分の膝に肘をついて、頭を抱えた。
「もう、だめだ。こんな、こんなことになるなんて。俺のせいだ、俺の……」
 その肩が震えているのを見て、メーアは今日一番の驚きを覚えた。
「すまない。ほんとうに。すまなかった。もう、結婚しろだなんて、言わないから」
 夕方には、希望に満ちた話をしていた男が、ひどく打ちひしがれてうなだれている。常なら、生気に満ちた笑顔を浮かべている男が。豪胆で、快活な男が。
 メーアは急に、目の前の男が可愛らしく見えてきた。
「泣かないで、エルンスト。大丈夫、私は大丈夫よ。ちょっと怖かったけれど、無事だもの」
 だが、彼は顔をあげない。メーアはため息をついて、笑顔を作った。
「それともなに、あなた。さっきの男たちのように、あんな時間にふらついているふしだらな女は、妻にできないのかしら」
「そっ、……んなわけないだろうが!」
 やっと顔をあげた。両目が赤い。
「あんたは、俺の知ってる限り、一等貞淑な女だ」
「……まあ、貞淑こじらせてここまで来てしまったわけだけれど」
 ぼそりと言うと、聞き取れなかったのかサウアーが目をしばたたかせた。
「え?」
「なんでもない。ちょっと困っていることがあるのだけれど」
「なんだ? 俺にできることなら、なんでもする」
 決意に満ちた顔で、サウアーはそういった。メーアは苦笑する。
「この格好のまま帰ったら、お父様は倒れてしまうわ。どこかで、着るものを調達できないかしら」
「着るもの――」
 少し考え込んだあと、サウアーは、はっとした顔になったが、すぐに首を横に振った。
「いや、でも……」
「なにかいい考えが?」
「うちに、この前仕入れたドレスがあるんだ。だけど、さすがに、こんな時間にあんたを連れ込むわけには」
「となると私はこの格好で、どこか別の友人の家に行かなければならないのね」
 メーアはにっこりと笑って見せた。
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