1 / 51
妖狐の里編
1話 はじまり
しおりを挟む
飯名航平。30歳。獣医師。
その日俺は往診の帰りだった。
今日はフィラリアの予防注射だった。
患者は山の上の方に住んでいるおばあちゃんの家のわんちゃんだ。なかなか年老いた女性が病院まで定期的に来るのも大変であろう。そういうことで、うちの病院では、来院が難しい患者のために、定期的に往診を行っていた。
度重なる徹夜の連続で寝不足気味だった俺はふと、運転中に意識が遠のいた。
気がついたとき、目の前に広がっていたのは崖であった。
――あ、オワタ
居眠り運転の結果、目の前は崖、ガードレールはすでに突き破っている。
落ちていく最中、俺は考えたことは一つだけだった。
30歳短い人生だったなあ……
**************************
気がつくと、なにやら森の中にいた。
あれ、確か崖から落ちて死んだはず……
もしかして、これは最近流行りの異世界転生ってやつ? しかし、スキルも神様も何も出てきてはいない。ただ単に死後の世界なのか……?
さっきまで乗っていた車はない。
ふと着ていた白衣のポケットを触ると、フィラリアの予防注射に使ったイベルメクチンと、その他、プラジカンテルの薬瓶、注射針、シリンジが数本見つかった。首にはさっきまで使っていた聴診器が下がっている。しかしそれ以外に持っているものはないようだ。
そしてなにやらさっきから視線を感じている。気味の悪い視線を。
とりあえず、ここにいては危険だと本能が言っていた。聞こえるのは、風の音と森がざわめく音。そして…… わずかだが水の流れるような音が聞こえた。川が見つかれば、ひとまずは川を下っていけば森を出られるはずだ。そう考え、俺は水の音が聞こえる方へと、歩みを進めた。
少し歩くと、開けた場所に出た。森の先に広がるのはそびえ立つ崖、そして滝がいくつか遙か高くより降り注いでいたが、池のようになっており、その先の流れは見当たらなかった。そして、滝と滝の間には入ったら黄泉の国にでも導かれてしまいそうな洞窟がぽっかりと空いていた。
洞窟の入り口には火のついたたいまつがあった。少なくとも近くに人がいることを示していたその灯りは、俺にとっても希望の灯りであった。
時計は15時過ぎを差していた。水の流れが分からなくなった以上、これ以上の探索は危険だ、雨風をしのげるあの洞窟でひとまず待機をするべきだな。おれはそう判断した。もしかしたら、誰か来るかも知れないし。
洞窟の中は開けていた。体育館くらいの広さはあるだろうか、そして、俺の目の前にはなにやら、うごめくものがいた。
――あ、これはやばいやつだ。
うごめくものに気付かれないよう、俺は静かに後ずさりをする。
「まあ、まつのじゃ」
しゃべった!? 少なくともコミュニケーションは取れるようだ。
うごめくものがなにやら、しっぽのようなものを動かすと、洞窟の中は一気に明るくなった。まるで神社の参道のように直線に並んだ、たいまつに一気に火がついた。そして目の前にいたものの正体が判明した。
人?いや狐?
おれよりは二回りほど大きいだろうか、美しい女性の姿をしていたが、明らかに頭には狐と思わしき耳が生えている。そしてよく見るとしっぽのようなものも見えた。
1、2、3 …… 9!
俺はしっぽの数を数えた、9本だ。いわゆる九尾って奴かこれは。
目の前では9本のしっぽを生やした狐らしき人がなにやら、肝臓と思われるものを食べている。
いや、肝臓じゃないな、うん、あれはきっと、きのこかなんかだろう。ぜったい肝臓じゃないな、うん。
「あの-間違えたので、これで失礼しますね!」
俺はそう言って、その場を立ち去ろうとしたが、なにやら動けない。やばい。
「まてといっておろうが」
汗が噴き出る。いやぼく、おいしくないです、おいしくないです。30歳の男なんてクソも美味しくないです。
「わらわが誰か分かるか? 人間よ」
わかりません!!!!元気に答えようとしたが声が出ない。そしてそいつは俺の心の声が聞こえるかのように続けた。
「わらわは妖狐の一族でな、その中で長を務めている九尾というものじゃ」
「そち名前はなんと申す」
「飯名です。飯名航平。」
「む、よくわからんがイーナで良かろう」
何かよくわからんが九尾と会話出来ている。とりあえず襲ってはこなさそうだ。
「あの-ここはどこなんですかね?」
「わらわの洞窟じゃ。もう数百年はここにおる」
九尾も大変なんだなあ。こんな何もない所に数百年も…… 俺は思った。
「そうなのじゃ。つまらないのじゃ。」
そうか、心の声をよみとれるんだっけ。
九尾はなかなかフレンドリーであった。どうしてここに来たか。そして、この世界について、九尾からいろいろと教わった。俺の職業の話に、特に九尾は興味を示してきた。
「ジューイシ?何じゃそれは?」
「動物のお医者さんだよ。病気の動物を治したり、病気にかからないようにするのが仕事なんだ」
「ほう、ならばちょうどいい、一つ頼みがあるのじゃ」
九尾は続ける。
「最近、困ったことになってのう。謎の病気が世界で流行って、わらわの一族も多く病に倒れるものが出てしまってのう。わらわも、特に最近調子が悪く、上手く力を使いこなせないのじゃ…… ジューイシならばなんとかならんかのう」
そう言われてしまっては仕方が無い。俺は九尾の診療を始めることにした。おそらく、誰1人として、九尾の診療なんてしたことがある獣医師はいないだろう。
「あの-とりあえず、その姿だとやりづらいので、狐に戻れませんかねえ……」
俺がそう提案すると、九尾は狐に戻った。普通の狐よりもはるかに大きい。しかし、こちらの方が慣れている分診療がしやすい。だってねえ、いくら九尾とはいえ、女性の姿をしていたら、人間の診療に慣れていない俺はやりづらいよ……
心拍を計ろうと聴診器を当てると一つの異常に気がつく。心雑音だ。どっくんではなく、どーどーという音がする。
一応、問診をする。会話が出来るぶん、動物より楽である。
聞けば、さっき食べていたのはやはり肝臓らしい。しかし、それは近くに住む人間がお供え物としてもってくる家畜のものらしく、人を食べているわけではないようだ。
そして、数百年は生きていると言っていたが、人間に換算するとまだ10歳にも満たないらしい。幼女やないかい。
肝臓を食べている、心雑音という点から一つ思い当たるものがあった。おそらく、機能低下による心不全は、幼女と言うことで、可能性としては低いだろう。数百年は生きていることから、先天性疾患もおそらく違う。まあ聴診と問診しか出来ないから精査は出来ないのだが。
「考えられるとしたら寄生虫かな……」
神様にも寄生虫が感染するだろうか、それは置いておいて、一つの選択肢として考えられるのは寄生虫であった。フィラリアによく病状が似ていた。
「心雑音が出てるから、あまり良い状態ではないな」
「そうなのか、やはりな」
九尾は知っていたようだ。あまり自分自身の体調が良くないことに。
「とりあえず、今持ってるイベルメクチンかプラジカンテルって薬を打てば、効果はあるかも知れないけど、寄生虫じゃなかったら効かないし、仮に効いても心臓に詰まる恐れはある」
「どうすれば良いのじゃ」
「正直、今確定診断が出来ない以上、治療のしようがない」
それが俺の本音だった。リスクがある以上、むやみやたらに薬は使えない。
「そうか……」
九尾は落胆している様子だ。せめて心エコーでもあれば、もうちょっと手の施しようがあったかも知れない。
「あいわかった、わらわの命、そちに預けようではないか」
え?いまなんと
「わらわは憑依することが出来るのじゃ、神通力という奴じゃ。そちに憑依をして、そちにわらわの力を貸そうではないか、その代わり、わらわの治療法を見つけてくれ」
「そんな、簡単にできるのか……?」
「まあ力が落ちてしまっている以上、上手く行くかはわからんがな、おそらく大丈夫なはずじゃ」
確かに、この世界についてよくわからなかった俺にとって、九尾の提案に乗る事はメリットも多くある。しかし……
「頼む、わらわはまだ死ぬわけにはいかないのじゃ……」
神様にここまで頼まれては仕方が無い。それに力では敵いようがないんだ。
「わかったよ、俺も一度死んだ身、好きにしてくれ」
「イーナよ、手を差し出すのじゃ」
差し出した俺の手に九尾が触れる。九尾に包まれていくのが分かる。そして、俺の中に何かが入り込んでくるのも分かった。これが憑依って奴か……
気がつくと、洞窟の中、俺は1人だった。なんだか洞窟が広くなったように感じる。
――目覚めたかイーナよ
九尾の声がする。
――無事におぬしの中に入り込めたようじゃ、ちょっと失敗してしまったがのう……
え?
気がつくと、俺は縮んでいた。そして、髪が肩くらいまで伸びているのも分かった。
え?
――うむわらわに似て、ぷりちーな姿じゃ
そう、俺は女の子の姿になっていた。
なんでや……
こうして、俺と九尾による奇病が蔓延した世界を救う旅が幕を開けた。
その日俺は往診の帰りだった。
今日はフィラリアの予防注射だった。
患者は山の上の方に住んでいるおばあちゃんの家のわんちゃんだ。なかなか年老いた女性が病院まで定期的に来るのも大変であろう。そういうことで、うちの病院では、来院が難しい患者のために、定期的に往診を行っていた。
度重なる徹夜の連続で寝不足気味だった俺はふと、運転中に意識が遠のいた。
気がついたとき、目の前に広がっていたのは崖であった。
――あ、オワタ
居眠り運転の結果、目の前は崖、ガードレールはすでに突き破っている。
落ちていく最中、俺は考えたことは一つだけだった。
30歳短い人生だったなあ……
**************************
気がつくと、なにやら森の中にいた。
あれ、確か崖から落ちて死んだはず……
もしかして、これは最近流行りの異世界転生ってやつ? しかし、スキルも神様も何も出てきてはいない。ただ単に死後の世界なのか……?
さっきまで乗っていた車はない。
ふと着ていた白衣のポケットを触ると、フィラリアの予防注射に使ったイベルメクチンと、その他、プラジカンテルの薬瓶、注射針、シリンジが数本見つかった。首にはさっきまで使っていた聴診器が下がっている。しかしそれ以外に持っているものはないようだ。
そしてなにやらさっきから視線を感じている。気味の悪い視線を。
とりあえず、ここにいては危険だと本能が言っていた。聞こえるのは、風の音と森がざわめく音。そして…… わずかだが水の流れるような音が聞こえた。川が見つかれば、ひとまずは川を下っていけば森を出られるはずだ。そう考え、俺は水の音が聞こえる方へと、歩みを進めた。
少し歩くと、開けた場所に出た。森の先に広がるのはそびえ立つ崖、そして滝がいくつか遙か高くより降り注いでいたが、池のようになっており、その先の流れは見当たらなかった。そして、滝と滝の間には入ったら黄泉の国にでも導かれてしまいそうな洞窟がぽっかりと空いていた。
洞窟の入り口には火のついたたいまつがあった。少なくとも近くに人がいることを示していたその灯りは、俺にとっても希望の灯りであった。
時計は15時過ぎを差していた。水の流れが分からなくなった以上、これ以上の探索は危険だ、雨風をしのげるあの洞窟でひとまず待機をするべきだな。おれはそう判断した。もしかしたら、誰か来るかも知れないし。
洞窟の中は開けていた。体育館くらいの広さはあるだろうか、そして、俺の目の前にはなにやら、うごめくものがいた。
――あ、これはやばいやつだ。
うごめくものに気付かれないよう、俺は静かに後ずさりをする。
「まあ、まつのじゃ」
しゃべった!? 少なくともコミュニケーションは取れるようだ。
うごめくものがなにやら、しっぽのようなものを動かすと、洞窟の中は一気に明るくなった。まるで神社の参道のように直線に並んだ、たいまつに一気に火がついた。そして目の前にいたものの正体が判明した。
人?いや狐?
おれよりは二回りほど大きいだろうか、美しい女性の姿をしていたが、明らかに頭には狐と思わしき耳が生えている。そしてよく見るとしっぽのようなものも見えた。
1、2、3 …… 9!
俺はしっぽの数を数えた、9本だ。いわゆる九尾って奴かこれは。
目の前では9本のしっぽを生やした狐らしき人がなにやら、肝臓と思われるものを食べている。
いや、肝臓じゃないな、うん、あれはきっと、きのこかなんかだろう。ぜったい肝臓じゃないな、うん。
「あの-間違えたので、これで失礼しますね!」
俺はそう言って、その場を立ち去ろうとしたが、なにやら動けない。やばい。
「まてといっておろうが」
汗が噴き出る。いやぼく、おいしくないです、おいしくないです。30歳の男なんてクソも美味しくないです。
「わらわが誰か分かるか? 人間よ」
わかりません!!!!元気に答えようとしたが声が出ない。そしてそいつは俺の心の声が聞こえるかのように続けた。
「わらわは妖狐の一族でな、その中で長を務めている九尾というものじゃ」
「そち名前はなんと申す」
「飯名です。飯名航平。」
「む、よくわからんがイーナで良かろう」
何かよくわからんが九尾と会話出来ている。とりあえず襲ってはこなさそうだ。
「あの-ここはどこなんですかね?」
「わらわの洞窟じゃ。もう数百年はここにおる」
九尾も大変なんだなあ。こんな何もない所に数百年も…… 俺は思った。
「そうなのじゃ。つまらないのじゃ。」
そうか、心の声をよみとれるんだっけ。
九尾はなかなかフレンドリーであった。どうしてここに来たか。そして、この世界について、九尾からいろいろと教わった。俺の職業の話に、特に九尾は興味を示してきた。
「ジューイシ?何じゃそれは?」
「動物のお医者さんだよ。病気の動物を治したり、病気にかからないようにするのが仕事なんだ」
「ほう、ならばちょうどいい、一つ頼みがあるのじゃ」
九尾は続ける。
「最近、困ったことになってのう。謎の病気が世界で流行って、わらわの一族も多く病に倒れるものが出てしまってのう。わらわも、特に最近調子が悪く、上手く力を使いこなせないのじゃ…… ジューイシならばなんとかならんかのう」
そう言われてしまっては仕方が無い。俺は九尾の診療を始めることにした。おそらく、誰1人として、九尾の診療なんてしたことがある獣医師はいないだろう。
「あの-とりあえず、その姿だとやりづらいので、狐に戻れませんかねえ……」
俺がそう提案すると、九尾は狐に戻った。普通の狐よりもはるかに大きい。しかし、こちらの方が慣れている分診療がしやすい。だってねえ、いくら九尾とはいえ、女性の姿をしていたら、人間の診療に慣れていない俺はやりづらいよ……
心拍を計ろうと聴診器を当てると一つの異常に気がつく。心雑音だ。どっくんではなく、どーどーという音がする。
一応、問診をする。会話が出来るぶん、動物より楽である。
聞けば、さっき食べていたのはやはり肝臓らしい。しかし、それは近くに住む人間がお供え物としてもってくる家畜のものらしく、人を食べているわけではないようだ。
そして、数百年は生きていると言っていたが、人間に換算するとまだ10歳にも満たないらしい。幼女やないかい。
肝臓を食べている、心雑音という点から一つ思い当たるものがあった。おそらく、機能低下による心不全は、幼女と言うことで、可能性としては低いだろう。数百年は生きていることから、先天性疾患もおそらく違う。まあ聴診と問診しか出来ないから精査は出来ないのだが。
「考えられるとしたら寄生虫かな……」
神様にも寄生虫が感染するだろうか、それは置いておいて、一つの選択肢として考えられるのは寄生虫であった。フィラリアによく病状が似ていた。
「心雑音が出てるから、あまり良い状態ではないな」
「そうなのか、やはりな」
九尾は知っていたようだ。あまり自分自身の体調が良くないことに。
「とりあえず、今持ってるイベルメクチンかプラジカンテルって薬を打てば、効果はあるかも知れないけど、寄生虫じゃなかったら効かないし、仮に効いても心臓に詰まる恐れはある」
「どうすれば良いのじゃ」
「正直、今確定診断が出来ない以上、治療のしようがない」
それが俺の本音だった。リスクがある以上、むやみやたらに薬は使えない。
「そうか……」
九尾は落胆している様子だ。せめて心エコーでもあれば、もうちょっと手の施しようがあったかも知れない。
「あいわかった、わらわの命、そちに預けようではないか」
え?いまなんと
「わらわは憑依することが出来るのじゃ、神通力という奴じゃ。そちに憑依をして、そちにわらわの力を貸そうではないか、その代わり、わらわの治療法を見つけてくれ」
「そんな、簡単にできるのか……?」
「まあ力が落ちてしまっている以上、上手く行くかはわからんがな、おそらく大丈夫なはずじゃ」
確かに、この世界についてよくわからなかった俺にとって、九尾の提案に乗る事はメリットも多くある。しかし……
「頼む、わらわはまだ死ぬわけにはいかないのじゃ……」
神様にここまで頼まれては仕方が無い。それに力では敵いようがないんだ。
「わかったよ、俺も一度死んだ身、好きにしてくれ」
「イーナよ、手を差し出すのじゃ」
差し出した俺の手に九尾が触れる。九尾に包まれていくのが分かる。そして、俺の中に何かが入り込んでくるのも分かった。これが憑依って奴か……
気がつくと、洞窟の中、俺は1人だった。なんだか洞窟が広くなったように感じる。
――目覚めたかイーナよ
九尾の声がする。
――無事におぬしの中に入り込めたようじゃ、ちょっと失敗してしまったがのう……
え?
気がつくと、俺は縮んでいた。そして、髪が肩くらいまで伸びているのも分かった。
え?
――うむわらわに似て、ぷりちーな姿じゃ
そう、俺は女の子の姿になっていた。
なんでや……
こうして、俺と九尾による奇病が蔓延した世界を救う旅が幕を開けた。
0
あなたにおすすめの小説
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる