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妖狐の里編
2話 九尾の力
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なんで、女の子の姿に……
鏡もないし、自分の姿がよくわからなかったが、まあ、ないことはわかった。胸の膨らみも分かった。これは男の子ではないな。うん。髪が長くて目に入るし、女の子は大変なんだなあ……
――うむ、わらわによく似ておる
なるほど、九尾と融合したのか……あれ本来の俺はどうなっちゃうの?
――心配はいらん。それよりわらわの里に向かうぞ。まずは病気の調査が最初じゃ
現状、ここでうだうだ言っていても仕方が無い。俺は洞窟を出て、九尾の案内に従って森の中へ、歩みを進めた。服が微妙に大きくて歩きにくい。
「なあ、九尾、お前名前とかないの?」
九尾に問いかける。だって九尾って呼びづらいし。
――じつはのうあるんじゃ、サクヤじゃ。そうじゃのうイーナには特別に呼びすてを許可しようではないか
予想外に可愛らしい名前に思わず笑ってしまった。まあ神様らしいけど、九尾なのにキュートな名前すぎる。
――何がおかしいのじゃ
「ごめん、なんでもない」
俺はなんとか笑いをこらえる。
――のう、イーナよ、この森にはの、我らの一族以外にも暮らすものが多数おるのじゃ。なかには、獰猛な奴らもいるのでの…… まあ、何かあったらわらわが助けるので安心するのじゃ
なに、やっぱモンスターとかいる系なのか、おそるべし。
ガサッ!!
その時、茂みが揺れる音がした。
「マジかよ」
――イーナ近づくのじゃ
「マジかよ……」
俺は静かに音のする方へ近づいた。見つけたのは、怪我をした小さな狐であった。小さな声をあげている。すっかりおびえているようで、動けないようである。
「大丈夫か!」
狐の様子を見る。血は出ているが、傷は浅い。おそらく、転んだかすりむいたのだろう。そっと抱き上げて、狐の身体を触る。
「痛むか……?我慢してね」
優しく足に触っていく。左の前足を触ったときに狐は苦痛にまみれた、悲鳴のような鳴き声を上げる。左前足はぷらんぷらんとまるで人形の様に垂れ下がっている。
「これは折れてるな……」
とりあえず、骨折と分かったからには、木の棒かなんかで固定するのが先決だ。そう判断した俺は辺りを見渡した。すると、森の奥からなにやら大きな人影が近づいてくるのがわかった。
「サクヤさん、何か来たんですけど……」
それは、3mはあろうかと言うくらい巨大な鬼のような生き物であった。不気味な声で叫んでいる。
「ドコダァ」
――鬼か
――鬼の中でも知性の低い、オーガ族、ただのデカ物よ、わらわの敵ではないわ
サクヤは余裕そうに呟く。しかし、俺はびびっていた。いやだって、大男ですよ。こっちは少女の身体ですよ。どうしろと……
「ソコニイタカァ!!」
オーガはこちらを見つけたのか、こちらへと走ってくる。なんか武器まで持ってるんですけど……
――イーナよ、代われ
「代わります代わります!!よろしくお願いします!!」
そう言うと、身体が勝手に動き出す。意識はあるが、身体のコントロールはサクヤがしているのだろう。オートで動く身体は何か不思議な感覚だった。
「ひぃ」
オーガのたたきつけるような攻撃をぎりぎりでかわすサクヤ。まるで俺を痛ぶるのを楽しんでいるかのようだ。
オーガはひたすらに丸太のような棍棒を振り回すが、俺には全然当たらない。しかし、ぎりぎりでかわすものだから、ひやひやする。まるでジェットコースターにでも乗っているかのような気分だ。
「サクヤさん、サクヤさん、もう勘弁してください!!」
――ふん、飽きたわい
サクヤは俺の右手を動かす。右手の先をよく見ると火の玉がある。神通力か。こんな力まで使えるのね、流石九尾。
その玉をオーガに飛ばすとオーガはたちまち燃え上がった。
「アツイィ!」
オーガはのたうち回る。
――殺生する趣味はないのじゃ
サクヤが右手を振り下ろすと火はたちまちに消えた。強い。
オーガももはや戦意を失ったようだ
そして、俺の身体は再び俺のコントロールの元へと戻った。するとのたうち回っていたオーガは、ふらふらしながらもなんとか俺の前に立ち上がり言った。
「オマエ、ツヨイ、オレ、シタガウ」
『オーガが仲間になった』
いや、何か急すぎない?展開が!!急に従うとか言われても!どうするのこれ!
――オーガは自分より強いものに従う性質があるのじゃ。それよりあの狐はどうなったのじゃ
サクヤの言葉で傷ついた狐の存在を思い出す。狐は俺とオーガの戦いの様子を眺めていたようだ。というか痛くて動けなかったのか。俺は静かに狐の方へと近づく。
「もう大丈夫だからね」
適当な木の枝を探して持ってくる。しかし、俺はここである事に気がつく。
「そういえばサージカルテープも包帯もないじゃん」
――ぬ、ここじゃ治療は難しいのか
サクヤは理解が早い。
「サクヤ、里まではあとどの位かかる?」
里に行けば、包帯はなくても、布くらいはあるだろう。
――そうじゃのう、30分くらいかのう
「30分か、ちょっと辛いけど、我慢してもらうか……」
そして、俺は傷ついた狐を優しく抱き上げると、サクヤの案内に従って里の方向へと急いだ。
鏡もないし、自分の姿がよくわからなかったが、まあ、ないことはわかった。胸の膨らみも分かった。これは男の子ではないな。うん。髪が長くて目に入るし、女の子は大変なんだなあ……
――うむ、わらわによく似ておる
なるほど、九尾と融合したのか……あれ本来の俺はどうなっちゃうの?
――心配はいらん。それよりわらわの里に向かうぞ。まずは病気の調査が最初じゃ
現状、ここでうだうだ言っていても仕方が無い。俺は洞窟を出て、九尾の案内に従って森の中へ、歩みを進めた。服が微妙に大きくて歩きにくい。
「なあ、九尾、お前名前とかないの?」
九尾に問いかける。だって九尾って呼びづらいし。
――じつはのうあるんじゃ、サクヤじゃ。そうじゃのうイーナには特別に呼びすてを許可しようではないか
予想外に可愛らしい名前に思わず笑ってしまった。まあ神様らしいけど、九尾なのにキュートな名前すぎる。
――何がおかしいのじゃ
「ごめん、なんでもない」
俺はなんとか笑いをこらえる。
――のう、イーナよ、この森にはの、我らの一族以外にも暮らすものが多数おるのじゃ。なかには、獰猛な奴らもいるのでの…… まあ、何かあったらわらわが助けるので安心するのじゃ
なに、やっぱモンスターとかいる系なのか、おそるべし。
ガサッ!!
その時、茂みが揺れる音がした。
「マジかよ」
――イーナ近づくのじゃ
「マジかよ……」
俺は静かに音のする方へ近づいた。見つけたのは、怪我をした小さな狐であった。小さな声をあげている。すっかりおびえているようで、動けないようである。
「大丈夫か!」
狐の様子を見る。血は出ているが、傷は浅い。おそらく、転んだかすりむいたのだろう。そっと抱き上げて、狐の身体を触る。
「痛むか……?我慢してね」
優しく足に触っていく。左の前足を触ったときに狐は苦痛にまみれた、悲鳴のような鳴き声を上げる。左前足はぷらんぷらんとまるで人形の様に垂れ下がっている。
「これは折れてるな……」
とりあえず、骨折と分かったからには、木の棒かなんかで固定するのが先決だ。そう判断した俺は辺りを見渡した。すると、森の奥からなにやら大きな人影が近づいてくるのがわかった。
「サクヤさん、何か来たんですけど……」
それは、3mはあろうかと言うくらい巨大な鬼のような生き物であった。不気味な声で叫んでいる。
「ドコダァ」
――鬼か
――鬼の中でも知性の低い、オーガ族、ただのデカ物よ、わらわの敵ではないわ
サクヤは余裕そうに呟く。しかし、俺はびびっていた。いやだって、大男ですよ。こっちは少女の身体ですよ。どうしろと……
「ソコニイタカァ!!」
オーガはこちらを見つけたのか、こちらへと走ってくる。なんか武器まで持ってるんですけど……
――イーナよ、代われ
「代わります代わります!!よろしくお願いします!!」
そう言うと、身体が勝手に動き出す。意識はあるが、身体のコントロールはサクヤがしているのだろう。オートで動く身体は何か不思議な感覚だった。
「ひぃ」
オーガのたたきつけるような攻撃をぎりぎりでかわすサクヤ。まるで俺を痛ぶるのを楽しんでいるかのようだ。
オーガはひたすらに丸太のような棍棒を振り回すが、俺には全然当たらない。しかし、ぎりぎりでかわすものだから、ひやひやする。まるでジェットコースターにでも乗っているかのような気分だ。
「サクヤさん、サクヤさん、もう勘弁してください!!」
――ふん、飽きたわい
サクヤは俺の右手を動かす。右手の先をよく見ると火の玉がある。神通力か。こんな力まで使えるのね、流石九尾。
その玉をオーガに飛ばすとオーガはたちまち燃え上がった。
「アツイィ!」
オーガはのたうち回る。
――殺生する趣味はないのじゃ
サクヤが右手を振り下ろすと火はたちまちに消えた。強い。
オーガももはや戦意を失ったようだ
そして、俺の身体は再び俺のコントロールの元へと戻った。するとのたうち回っていたオーガは、ふらふらしながらもなんとか俺の前に立ち上がり言った。
「オマエ、ツヨイ、オレ、シタガウ」
『オーガが仲間になった』
いや、何か急すぎない?展開が!!急に従うとか言われても!どうするのこれ!
――オーガは自分より強いものに従う性質があるのじゃ。それよりあの狐はどうなったのじゃ
サクヤの言葉で傷ついた狐の存在を思い出す。狐は俺とオーガの戦いの様子を眺めていたようだ。というか痛くて動けなかったのか。俺は静かに狐の方へと近づく。
「もう大丈夫だからね」
適当な木の枝を探して持ってくる。しかし、俺はここである事に気がつく。
「そういえばサージカルテープも包帯もないじゃん」
――ぬ、ここじゃ治療は難しいのか
サクヤは理解が早い。
「サクヤ、里まではあとどの位かかる?」
里に行けば、包帯はなくても、布くらいはあるだろう。
――そうじゃのう、30分くらいかのう
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そして、俺は傷ついた狐を優しく抱き上げると、サクヤの案内に従って里の方向へと急いだ。
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