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人間界編
18話 パーティ
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講習の部屋に向かう途中、俺は外の広場の様な場所で訓練をしている若い集団を見つけた。
「訓練する場所もあるんだね!」
ナーシェは答える。
「そうですよ!あっ!ちょうど良いところに! ……見てください!」
そう言うとナーシェの示した先には若い女性だろうか、なにやら炎を出しているようだ。
「なんとギルドには魔法を使える人達もいるのですよ!医者と同じように魔法使いは特別枠として随時募集しているのです!」
「人間も魔法を使えるの?」
前に聞いた話となにやら違う。俺は気になった。
「たまに魔法を使える人が現れるんですよ!歴史上の英雄でも何人か魔法を使えたのではないかという推測もあります!なんで使えるようになるのかはまだ分からないのですが…… 魔法を使うときは目が赤くなるので、何か普通の人とは異なる身体のつくりなのでしょうね!医学の分野でも最近の流行りのテーマなのです!」
なるほど、確かに遺伝子に妖狐や夜叉達のDNAが残っているとすれば、突然変異でも起きて、魔法が使える人が出てきてもおかしくはないな……
俺は納得した。あくまで推測だが。それを研究する段階までは、まだ医学も発展していないのだろう。
「ギルドは魔法使いの保護の目的も兼ねているんです! 魔法が使えるとわかると、検査のために検体として連行される事件がいくつか発生してしまって……! 魔法使いを守るために、ギルドで囲い込むって言う戦略ですね!ここは治外法権ですから!」
「なるほど、つまりギルドパスがあれば魔法を使っても人権は保障されるってわけね!」
「そうです!まあ統治する側にとっても、民衆に魔女狩りをさせるよりは、兵隊として利用した方が都合が良いっていう大人の事情って奴ですね…… ただでさえ今は兵隊が少ないですし……」
「なんで兵隊が少ないの?」
「レェーヴから来たなら知らないのも無理はありませんか…… 少し前まで続いていたのですが、連邦と北にあったエルナス帝国の間で戦争があったのです。そのため、各国は自国内の統治に、十分に兵力を回すのが難しかったんです…… 国内の自治のために都合が良かったのがギルドなのでしょうね! 元々こんなに大きい組織ではなかったのですが、ある意味では戦争のおかげでぐんぐんとギルドは発展したのです!」
なにやら物騒な世界だな……
俺達は講習の部屋にたどり着いた。
「これから講習を始める!まずはギルドの歴史についてからだ!」
年老いた教員が授業を始めた。なんだか大学時代を思い出すな。
ルートは勉強が苦手のようで、授業中に居眠りしてしまい数回怒られていたが。
まず、ギルドに所属する人達には3つの種類があるらしい。
ナーシェの様な医療職、魔法が使える魔法職、そしてそれ以外の総合職だ。
そして、ギルドでの依頼にもモンスターごとにレベルが存在しているらしく、レベルが足りないと上位のモンスターの依頼には参加出来ないようだ。
例えば
レベル1 ゴブリンや動物(ほとんど命の危険を伴わないもの)
レベル2 凶暴なゴブリン種、凶暴な肉食獣(少し命の危険を伴うもの)
レベル3 オーガ、グールといった一般鬼種、下等魔獣(命の危険を伴うもの)
レベル4 上位鬼種、魔獣など(高い危険性を持つもの)
レベル5 上位魔獣、精霊種など (極めて高い危険性を持つもの)
といった区分らしい。最初はどんなに腕が立つものでもレベル3が最高で、いくつかの実績を重ねることで、上位の依頼を受けられるようになるとのことだ。
なお、レベル5の上にもいるようだが、4神や龍といった、存在しているのかいないのか分からないようなものらしい。
皆、その話の時はニヤニヤしていた。
そして、任務は基本的にパーティを組んで行くらしい。単独での行動は禁止されているらしく、パーティを組んで申請するというのが必須とのことだ。
講習はそこまで長いものではなく、大体午前中で終わり、午後からは試験らしい。試験会場は…… 訓練場……?
訓練場に向かうと、先ほどの年老いた老人とは異なり、鍛え抜かれた男が俺達を待っていた。
「これから実技試験を行う!ギルドではモンスターと戦闘になる事も多々ある。そのため、まず、いくつかの戦い方を指導したのち、我々が合格と認めればギルドパスを発行しよう!」
教官は続けた。
「まずは…… 受験番号1番! イーナ!前に来なさい!」
「はい!」
「お前、狐を頭にのせたまま訓練とは何事か!下ろしなさい!」
そう言われ、ルカをシータに預けた。別に大丈夫なんだけどな……
「イーナ!お前、戦えるのか? 見たところ、非力だし、戦闘向けではなさそうだが……」
「大丈夫です!よろしくお願いします!」
「うむ!元気は良いな!」
俺はちらっと仲間の方をみる。ルートとシータはなにやらニヤニヤしている。あいつらめ……
対照的にナーシェは心配そうにこちらを見つめている。
「お前……剣を持っているな! 何処かで習っていたのか! よし、まずは腕を見せてみろ!」
教官との模擬戦。正直舐めてはいたが、なかなかに教官は剣の腕は高い。それはそうか、魔法無しでモンスターとやり合っている人達ならば、それだけ強くなければ生き抜いては来れないだろう
「筋も良いな!問題なさそうだ!女子だったので少し心配したがやるじゃないか!」
教官に褒められ、なんだか少し嬉しい。ナーシェも驚いた様な表情をしている。
「あとは、最後に確認する事があってな!お前魔法は使えるのか?」
正直迷ったが、まあ後からばれるよりは先に申告してしまった方が良いだろう。
「使えます!」
「ほう!見せてみろ!」
流石に全力で使うのはまずい。力を弱めに制御して……
右手の指先に、小さな火の玉を作った。
「なんと! よし合格だ! 魔法職だな! レベルは…… 3でも問題ないだろう!」
「すごーい!イーナちゃん!強かったんだね!」
試験が終わった俺の所にナーシェが駆け寄ってくる。そして気付けばナーシェの胸に顔がうずまっていた。近い。暑い。
もちろん、シータもルートも問題なく合格し、皆レベル3ということになった。
「試験はこれで終わりだ!おまえらなかなかやるな!即戦力として期待しているぞ!」
やっと、ギルドパスが手に入る…… なかなか長かったな……
すると教官はナーシェの方に声をかけた。
「そういえばナーシェよ!聞いたぞ!お前寝坊して、パーティをクビになったんだってな!」
教官の言葉にナーシェは恥ずかしそうにうつむく。
「おまえら知り合いらしいし、ちょうど良い、4人でパーティを組んだらどうだ? 医療職も魔法職もいるしバランスも良いだろう!」
教官の提案に反対するものはいなかった。ナーシェは嬉しそうに俺を強く抱きしめる。
「えー!嬉しいです! イーナちゃん! よろしくお願いします!」
「う、うん……よろしくお願いします! ……でも ……ちょっと離れてくれないかなあ……」
こうして、俺達のギルド加入は正式に決まり、パーティも出来た。
いよいよ初任務だ。
「訓練する場所もあるんだね!」
ナーシェは答える。
「そうですよ!あっ!ちょうど良いところに! ……見てください!」
そう言うとナーシェの示した先には若い女性だろうか、なにやら炎を出しているようだ。
「なんとギルドには魔法を使える人達もいるのですよ!医者と同じように魔法使いは特別枠として随時募集しているのです!」
「人間も魔法を使えるの?」
前に聞いた話となにやら違う。俺は気になった。
「たまに魔法を使える人が現れるんですよ!歴史上の英雄でも何人か魔法を使えたのではないかという推測もあります!なんで使えるようになるのかはまだ分からないのですが…… 魔法を使うときは目が赤くなるので、何か普通の人とは異なる身体のつくりなのでしょうね!医学の分野でも最近の流行りのテーマなのです!」
なるほど、確かに遺伝子に妖狐や夜叉達のDNAが残っているとすれば、突然変異でも起きて、魔法が使える人が出てきてもおかしくはないな……
俺は納得した。あくまで推測だが。それを研究する段階までは、まだ医学も発展していないのだろう。
「ギルドは魔法使いの保護の目的も兼ねているんです! 魔法が使えるとわかると、検査のために検体として連行される事件がいくつか発生してしまって……! 魔法使いを守るために、ギルドで囲い込むって言う戦略ですね!ここは治外法権ですから!」
「なるほど、つまりギルドパスがあれば魔法を使っても人権は保障されるってわけね!」
「そうです!まあ統治する側にとっても、民衆に魔女狩りをさせるよりは、兵隊として利用した方が都合が良いっていう大人の事情って奴ですね…… ただでさえ今は兵隊が少ないですし……」
「なんで兵隊が少ないの?」
「レェーヴから来たなら知らないのも無理はありませんか…… 少し前まで続いていたのですが、連邦と北にあったエルナス帝国の間で戦争があったのです。そのため、各国は自国内の統治に、十分に兵力を回すのが難しかったんです…… 国内の自治のために都合が良かったのがギルドなのでしょうね! 元々こんなに大きい組織ではなかったのですが、ある意味では戦争のおかげでぐんぐんとギルドは発展したのです!」
なにやら物騒な世界だな……
俺達は講習の部屋にたどり着いた。
「これから講習を始める!まずはギルドの歴史についてからだ!」
年老いた教員が授業を始めた。なんだか大学時代を思い出すな。
ルートは勉強が苦手のようで、授業中に居眠りしてしまい数回怒られていたが。
まず、ギルドに所属する人達には3つの種類があるらしい。
ナーシェの様な医療職、魔法が使える魔法職、そしてそれ以外の総合職だ。
そして、ギルドでの依頼にもモンスターごとにレベルが存在しているらしく、レベルが足りないと上位のモンスターの依頼には参加出来ないようだ。
例えば
レベル1 ゴブリンや動物(ほとんど命の危険を伴わないもの)
レベル2 凶暴なゴブリン種、凶暴な肉食獣(少し命の危険を伴うもの)
レベル3 オーガ、グールといった一般鬼種、下等魔獣(命の危険を伴うもの)
レベル4 上位鬼種、魔獣など(高い危険性を持つもの)
レベル5 上位魔獣、精霊種など (極めて高い危険性を持つもの)
といった区分らしい。最初はどんなに腕が立つものでもレベル3が最高で、いくつかの実績を重ねることで、上位の依頼を受けられるようになるとのことだ。
なお、レベル5の上にもいるようだが、4神や龍といった、存在しているのかいないのか分からないようなものらしい。
皆、その話の時はニヤニヤしていた。
そして、任務は基本的にパーティを組んで行くらしい。単独での行動は禁止されているらしく、パーティを組んで申請するというのが必須とのことだ。
講習はそこまで長いものではなく、大体午前中で終わり、午後からは試験らしい。試験会場は…… 訓練場……?
訓練場に向かうと、先ほどの年老いた老人とは異なり、鍛え抜かれた男が俺達を待っていた。
「これから実技試験を行う!ギルドではモンスターと戦闘になる事も多々ある。そのため、まず、いくつかの戦い方を指導したのち、我々が合格と認めればギルドパスを発行しよう!」
教官は続けた。
「まずは…… 受験番号1番! イーナ!前に来なさい!」
「はい!」
「お前、狐を頭にのせたまま訓練とは何事か!下ろしなさい!」
そう言われ、ルカをシータに預けた。別に大丈夫なんだけどな……
「イーナ!お前、戦えるのか? 見たところ、非力だし、戦闘向けではなさそうだが……」
「大丈夫です!よろしくお願いします!」
「うむ!元気は良いな!」
俺はちらっと仲間の方をみる。ルートとシータはなにやらニヤニヤしている。あいつらめ……
対照的にナーシェは心配そうにこちらを見つめている。
「お前……剣を持っているな! 何処かで習っていたのか! よし、まずは腕を見せてみろ!」
教官との模擬戦。正直舐めてはいたが、なかなかに教官は剣の腕は高い。それはそうか、魔法無しでモンスターとやり合っている人達ならば、それだけ強くなければ生き抜いては来れないだろう
「筋も良いな!問題なさそうだ!女子だったので少し心配したがやるじゃないか!」
教官に褒められ、なんだか少し嬉しい。ナーシェも驚いた様な表情をしている。
「あとは、最後に確認する事があってな!お前魔法は使えるのか?」
正直迷ったが、まあ後からばれるよりは先に申告してしまった方が良いだろう。
「使えます!」
「ほう!見せてみろ!」
流石に全力で使うのはまずい。力を弱めに制御して……
右手の指先に、小さな火の玉を作った。
「なんと! よし合格だ! 魔法職だな! レベルは…… 3でも問題ないだろう!」
「すごーい!イーナちゃん!強かったんだね!」
試験が終わった俺の所にナーシェが駆け寄ってくる。そして気付けばナーシェの胸に顔がうずまっていた。近い。暑い。
もちろん、シータもルートも問題なく合格し、皆レベル3ということになった。
「試験はこれで終わりだ!おまえらなかなかやるな!即戦力として期待しているぞ!」
やっと、ギルドパスが手に入る…… なかなか長かったな……
すると教官はナーシェの方に声をかけた。
「そういえばナーシェよ!聞いたぞ!お前寝坊して、パーティをクビになったんだってな!」
教官の言葉にナーシェは恥ずかしそうにうつむく。
「おまえら知り合いらしいし、ちょうど良い、4人でパーティを組んだらどうだ? 医療職も魔法職もいるしバランスも良いだろう!」
教官の提案に反対するものはいなかった。ナーシェは嬉しそうに俺を強く抱きしめる。
「えー!嬉しいです! イーナちゃん! よろしくお願いします!」
「う、うん……よろしくお願いします! ……でも ……ちょっと離れてくれないかなあ……」
こうして、俺達のギルド加入は正式に決まり、パーティも出来た。
いよいよ初任務だ。
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