わたし、九尾になりました!! ~魔法と獣医学の知識で無双する~

惟名 水月

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九尾転生編

23話 魔鉱石

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「ところで、これからどうするんだ?」

 サクヤの騒動も冷めやまぬうち、シータが問いかけてきた。確かに、サクヤの治療をするという目標はなくなってしまった。しかし、世界に病気は蔓延しているのは確かであり、何も解決はしていない。

「まずは、なんとかしてこれ以上の奇病の蔓延は防がないと駄目だね。あとは……」

 俺は、もう一つやらなければいけないことがあった。

「神通力をもっと使いこなせるようにならないと……」

 今のままでは、妖狐を守るため、世界と戦うために、力が足りない。なんとかして、もっと強くならねば。

 すると俺の発言にナーシェが答えた。

「医学界での研究では、しっかりと食品の加熱をすると病原体の伝播は抑えられることが分かっています!感染経路は加熱が十分にされていない肉を食べることなのはほぼ明らかになっていますから…… 今必死に啓蒙活動はしているのですが、なかなか医師会だけでの力ではどうにも……」

 まだ、根絶はなかなか難しいようだ。しかし、ナーシェは何か思いついたように、再び口を開いた。

「ただ……! 強くなりたいというのであれば、私に一つ心当たりがあります! 賢者の谷にいってみるのはどうでしょう!?」

「賢者の谷?」

 またなにやら聞き慣れない場所が出てきた。賢そうな谷だ。

「ギルドの英雄、大賢者リラ様が修行をなさったと言われる場所です!強力なモンスターも一杯いるので、大変危険なのですが……!大賢者リラ様はそこで精霊の力を授かったと言われております!ただし、今は連邦によって管理されているので、管理区に入るためには、許可が必要なのです……」

「許可って、国王の許可でもあれば入れるかな?」

 俺は心当たりがある。王様には。

「そうですね、もし王様の許可でももらえたなら、おそらく入れるでしょう!でも、イーナちゃん、どうする気なんですか?」

 ナーシェはそういうと、不思議そうな顔でこちらを見る。ナーシェ以外の皆はなにやら笑っているが。

「まあ、任せてよ!行こう!」

 そして俺達はあの場所に来た。

「け、競馬場……?なんでこんなところに?」

 ナーシェは、急に競馬場に連れてこられた今の状況に混乱していた。事情を知らないのであれば無理もないか。

「イーナちゃん、もしかして…… 息抜きですか?」

「違うよ……」

 俺は笑いながら答えた。ちょうど今日は競馬の開催日であった。前におじさんに会った場所、ゴール前に行くと、あのときと同じように、おじさんは絶望を顔に浮かべていた。

「おじさん!今日は勝って…… ないみたいだね……」

「お、おお イーナか!久しぶりだな……」

 おじさんは意気消沈している。とても頼めるような状況ではなさそうだ。そしてナーシェは驚いたように言った。

「ええー!!なんでこんなところに……!おう……」

 そこで、おじさんはナーシェの口をふさぎ言った。

「内緒で来てるからな、騒がれると面倒なのじゃ」

 確かに、おじさんの見た目からはとても王様とは思えないだろう。一般庶民に扮していた王様は、まさに50歳くらいの普通のおじさんという印象しか受けなかった。

「おじさん、お仕事は大丈夫なの?」

 俺は気になっていた。王様がこんなところで油を売っていて良いのかと。

「大丈夫じゃ。今や、政は議会がやっておる。わしの仕事と言えば、書類にサインをするか、皆の前で発表することくらいだけだからな」

 なにやら、この国もある程度は議会主義が導入されているようだ。

「ね、ねえ……おじさんちょっと頼みたいことがあるんだけど……」

「なんじゃイーナ?お金なら貸さんぞ」

 おじさんは笑いながら答えた。

「そんな事頼まないよ!私達賢者の谷に行きたいんだ!おじさんの許可があればいけないかな!」

 おじさんは不思議な顔で、こちらに聞いてきた。

「かまわんが…… なんでまた賢者の谷なんかに……? あそこに行ったところでモンスターか石くらいしかないじゃろ?」

 石? 少し気になったが、まあいい、今はその話では無い。

「ちょっと事情があってね!」

 俺ははにかみながら答える。

「……まあよい、明日またここに来るのじゃ」

 まさか、あの日競馬場に行ったことがこんなところで生きてくるとは…… 人生は思いもよらないものだ。

「それにしても……精霊の力か……」

 なかなかファンタジーになってきたな。

「本当にいるかどうかは分からないんですけどね……!あくまで伝承なので……」

 それでも、何もしないよりは行ってみる価値はあるだろう。

 翌日、再び競馬場でおじさんから書簡をもらった。準備は整った。いざ賢者の谷へ!!しかし、俺はここで重要なことに気付いた。

「ところで…… 賢者の谷ってどこにあるの?」

 俺の質問に、ナーシェは意気揚々と答えた。

「フリスディカからはちょっと離れていますね…… 隣の国との国境近くにあるのです。鉄道でも行けるのですが…… 一番近くの街、トゥサコンまで飛空船でいくのがいいかと思います!」

「飛空船!?そんなのあるの!どうやって飛んでるの!」

 この世界に、空を飛ぶ乗り物があると言うことに驚いた。だって、人間界に来てからまだそんなに経ってはないが、妖狐の里にいたときも、空を飛ぶ乗り物なんて見たことがなかったから。

「ありますよ!人間は基本的に魔力は使えないのですが……魔鉱石と呼ばれる鉱石があって、その力で乗り物をうごかしているのです!」

「でもなんで、レェーヴにいたとき見たことがなかったんだろう……?」

 確かに言われてみれば、あの夜叉達がどうやって、レェーヴまで来たかと考えたときに、空を飛ぶ乗り物があれば、簡単に話はつく。

「それはですね…… 航空産業は近年一気に栄えたのですが…… まだ課題もあって、現在のテクノロジーだと、魔鉱石が大量にある場所では、鉱脈の魔力の干渉を受けてしまうので、力が制御出来ないのです。賢者の谷も魔鉱石の鉱脈があると言われていて……その上空は飛ぶことが出来ないんです! イーナちゃんの剣も魔鉱石で出来てるんですよね?」

 そこでシータがはっとした顔で、口を開いた。

「龍鉱石か……」

 なるほど、龍神族の里の近くには巨大な龍鉱石の鉱脈がある。

「それで、レェーヴ地方自体が、世界から隔離されているのか……」

 俺も納得した。

「はい、現状、レェーヴ平野の先にはまだ空からはいけないのです。まあすぐに技術は発展すると思いますけど……」

 ナーシェは続けた。

「それに、賢者の谷のモンスターが強いのは魔鉱石の影響もあるんです!魔鉱石は魔力エネルギーを発しているので…… イーナちゃんやシータさんが魔鉱石の剣を携帯しているのも、そういう事情なのかと思っていました!」

「違うよ……はじめて聞いたもん」

 この剣のおかげで、ある意味、妖狐の里を離れていても十分に神通力を使えるのか…… 思えば、炎に剣をまとわせるなんて急に出来たのも今思えば不思議ではあった。

「ならば、まずはトゥサコンとやらに向かうぞ!」

 ルートはなにやらそわそわしているようだ。

「どうしたの?そんなにそわそわして……?」

 俺の質問にルートは恥ずかしそうに顔を背けながら言う。

「なんでもない!早く行くぞ!」

「そうだね!とりあえずはトゥサコンだ!飛空船乗り場に行こう!」
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