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九尾転生編
25話 賢者の谷
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トゥサコンを出発して、3日。俺達は賢者の谷へと到着した。
「ここから先は、連邦の管理区になります。許可証はありますか?」
ゲートの前で、ギルドのローブをまとった2名の男性が声をかけてきた。
「王様からの許可証です!」
「確かに、どうぞお通りください。 この地域は強力なモンスターが多数おります故、お気を付けて」
スムーズにゲートは通過した。しかし……
「で、どこに行けば良いの?」
俺はナーシェに尋ねる。精霊を探すと言っても、広大な山々が目の前には広がっている。
「それが……私も分からないのです…… 伝説では、賢者の谷でリラ様はある村を拠点にして修行したとのことですが……」
「村?」
「そこには、魔法を使う不思議な人々が暮らしているとは聞きました。ただし、ギルドの調査では、まだ見つけられていないのです。そもそも、奥まで調査に行けていないと言うのが実情なのですが!」
ナーシェは笑いながら答えた。手詰まりである事は確かだ。さてどうするか……
「それならば、適当に襲ってきた奴を倒しながら散策すればいいだろ!」
ルートは物騒なことを言い出した。
「適当にいくったって、迷ったら死ぬよ。こんなに広いんだし」
俺の言葉にルートは言葉が詰まってしまったようだ。そこでシータが何かひらめいたような表情で口を開いた。
「ナーシェよ、ここはギルドの管理区と言ったな。つまり一般人はいないと言うことだな?」
「そうですが……何か良いアイディアでも?」
おれもその言葉で気付いた。俺とシータは笑いながら目を合わせる。
「ならば、龍となって、空から探そうではないか!」
「ほえーーーーー!私!今!龍に乗っています!!!!!ドラゴンです!!!!!!!」
ナーシェもルートも目がきらきらと輝いている。ルカも今は人の姿へと戻っている。
「ニャニャ!息苦しいのニャ!しゃべれないのは辛いのニャ!」
「ホントにね!せっかく人間界の楽しそうなものを見つけても狐の姿だもん!」
「ルカ、テオごめんね!息苦しい思いをさせて!」
俺に謝らせてしまったことを申し訳なく思ったのか、ルカは焦りながら言った。
「いいの!イーナ様のそばにいれたから!楽しかった!」
ルカの笑顔は天使だ。なんという天使だろう。
「イーナよ何か見えたか?」
シータが問いかけてきた。すまん、正直下の方は何も見てなかった。
しばらく飛んでいると、なにやらルカが何か見つけたようだ。
「見て!イーナ様!あそこ!煙みたいなのが上がってるよ!」
確かに、遥か遠く、山々の緑に囲まれた中に一カ所だけ、煙のようなものが立ち上がっているのが見える。
煙が上がっていたところの近く、少し開けた場所へと、俺達は降り立った。いきなり、煙の上がっている場所に近づき姿を見せるのも、リスクが高いというシータの判断である。
「あれはなんでしょう?」
ナーシェが示した先には、遙か昔、文明が存在していたことを示すような、朽ちた建造物の後が沢山あった。
「遺跡……みたいだね。昔はここに、文明があったのかな?」
「聞いたことがないですね…… 興味深い発見です!」
まあ、今はその件で賢者の谷まで、来たわけではない。目下やらなければいけない事は精霊とやらを探すことである。
緑にすっかり包み込まれた人工物と木々の間を縫っていくと、やがて開けた場所にでた。そして、目の前に広がっていた文明は、俺達にとって、何よりも見覚えのある里だった。
「妖狐……?」
俺が呟くと同時に、ルカも同じことを呟いていたようだ。
――ふむ、こんなところにも妖狐がおったのじゃな
「サクヤ知らなかったのか?」
――聞いたことがなかったの
すると妖狐達も気付いたようで、なにやらこちらの様子をうかがっているようだ。無理もない、こんなところに外部の者が来ることは滅多にないであろう。
――わらわは九尾じゃ!用事があって、この里へと来たのじゃ
サクヤがそう言うと、妖狐の人達はこちらへと近づいて来た。ルカの姿を見て、信じてくれたようだ。
「九尾様よくぞ我ら妖狐の里へ。お待ちしておりました。して、ご用件はいかばかりか?」
里長らしき妖狐が声をかけてきた。それに俺は答える。
「話せば長くなるのですが……」
俺達は里長に、今までのいきさつを話した。そして、神通力を使いこなすために修行をしたいとの旨を。
「なるほど……九尾様が今そのような状況に置かれているとは…… やはり人間は危険でしたな…… なるほど分かりました。リラが昔修行した場所へとご案内しましょう」
なにやら、里長は大賢者リラに関して知っているようだった。
「里長はリラ……さんについて、何かご存じなのですか?」
すると里長は重い口を開き、答えた。
「あれは、妖狐と人間のハーフなのです。わしらの里の妖狐が1人、人間界のものと結ばれてしまい、出来た子なのです」
なるほど、それで神通力を使えたというわけか……
「そして、あれの願いは妖狐をはじめとして、モンスターと人間の共存であったのですが……」
里長はさらに続ける。
「モンスターと人との橋渡しをするために、あれは人間界へと下りていったのです。しかし、戻ってくることはなかった。突然に行方をくらましてしまった。すなわち、人間の世界に受け入れられることは無かったということでしょう……」
「そんな……」
ナーシェが呟く。そして里長は続けた。
「お嬢さん、人間にも沢山の個性を持った人がいることはわしらも知っています。あなたは、きっと良い人間。それは間違いないでしょう。しかし、沢山いれば、間違ったことをするものもいる。そういうものなのです」
「しかし、九尾様が妖狐を守るためというならば、わしらは喜んで協力致します。わしらの未来をどうかよろしくお願い致します」
なにやら、いろいろと事情がありそうな様子ではあったが、これ以上詮索出来る空気ではなかった。俺達は里長に導かれ、昔、大賢者リラが修行したと言われる場所へと向かった。
そこは谷に沿って魔力が濃く蓄積した場所のようだ。一帯は深い霧に包まれている。
「リラは昔、ここで、精霊の力を受けたと言われております。危険故立ち入るものがいないと言われる場所。どうぞお気を付けて」
この見えない先に、何かがいる。
それは何となく空気で感じている。皆それは感じ取っているようだ。
それでも……
「……いくしかない」
――イーナ気をつけるのじゃぞ
俺達は霧の中へと足を踏み出した。
「ここから先は、連邦の管理区になります。許可証はありますか?」
ゲートの前で、ギルドのローブをまとった2名の男性が声をかけてきた。
「王様からの許可証です!」
「確かに、どうぞお通りください。 この地域は強力なモンスターが多数おります故、お気を付けて」
スムーズにゲートは通過した。しかし……
「で、どこに行けば良いの?」
俺はナーシェに尋ねる。精霊を探すと言っても、広大な山々が目の前には広がっている。
「それが……私も分からないのです…… 伝説では、賢者の谷でリラ様はある村を拠点にして修行したとのことですが……」
「村?」
「そこには、魔法を使う不思議な人々が暮らしているとは聞きました。ただし、ギルドの調査では、まだ見つけられていないのです。そもそも、奥まで調査に行けていないと言うのが実情なのですが!」
ナーシェは笑いながら答えた。手詰まりである事は確かだ。さてどうするか……
「それならば、適当に襲ってきた奴を倒しながら散策すればいいだろ!」
ルートは物騒なことを言い出した。
「適当にいくったって、迷ったら死ぬよ。こんなに広いんだし」
俺の言葉にルートは言葉が詰まってしまったようだ。そこでシータが何かひらめいたような表情で口を開いた。
「ナーシェよ、ここはギルドの管理区と言ったな。つまり一般人はいないと言うことだな?」
「そうですが……何か良いアイディアでも?」
おれもその言葉で気付いた。俺とシータは笑いながら目を合わせる。
「ならば、龍となって、空から探そうではないか!」
「ほえーーーーー!私!今!龍に乗っています!!!!!ドラゴンです!!!!!!!」
ナーシェもルートも目がきらきらと輝いている。ルカも今は人の姿へと戻っている。
「ニャニャ!息苦しいのニャ!しゃべれないのは辛いのニャ!」
「ホントにね!せっかく人間界の楽しそうなものを見つけても狐の姿だもん!」
「ルカ、テオごめんね!息苦しい思いをさせて!」
俺に謝らせてしまったことを申し訳なく思ったのか、ルカは焦りながら言った。
「いいの!イーナ様のそばにいれたから!楽しかった!」
ルカの笑顔は天使だ。なんという天使だろう。
「イーナよ何か見えたか?」
シータが問いかけてきた。すまん、正直下の方は何も見てなかった。
しばらく飛んでいると、なにやらルカが何か見つけたようだ。
「見て!イーナ様!あそこ!煙みたいなのが上がってるよ!」
確かに、遥か遠く、山々の緑に囲まれた中に一カ所だけ、煙のようなものが立ち上がっているのが見える。
煙が上がっていたところの近く、少し開けた場所へと、俺達は降り立った。いきなり、煙の上がっている場所に近づき姿を見せるのも、リスクが高いというシータの判断である。
「あれはなんでしょう?」
ナーシェが示した先には、遙か昔、文明が存在していたことを示すような、朽ちた建造物の後が沢山あった。
「遺跡……みたいだね。昔はここに、文明があったのかな?」
「聞いたことがないですね…… 興味深い発見です!」
まあ、今はその件で賢者の谷まで、来たわけではない。目下やらなければいけない事は精霊とやらを探すことである。
緑にすっかり包み込まれた人工物と木々の間を縫っていくと、やがて開けた場所にでた。そして、目の前に広がっていた文明は、俺達にとって、何よりも見覚えのある里だった。
「妖狐……?」
俺が呟くと同時に、ルカも同じことを呟いていたようだ。
――ふむ、こんなところにも妖狐がおったのじゃな
「サクヤ知らなかったのか?」
――聞いたことがなかったの
すると妖狐達も気付いたようで、なにやらこちらの様子をうかがっているようだ。無理もない、こんなところに外部の者が来ることは滅多にないであろう。
――わらわは九尾じゃ!用事があって、この里へと来たのじゃ
サクヤがそう言うと、妖狐の人達はこちらへと近づいて来た。ルカの姿を見て、信じてくれたようだ。
「九尾様よくぞ我ら妖狐の里へ。お待ちしておりました。して、ご用件はいかばかりか?」
里長らしき妖狐が声をかけてきた。それに俺は答える。
「話せば長くなるのですが……」
俺達は里長に、今までのいきさつを話した。そして、神通力を使いこなすために修行をしたいとの旨を。
「なるほど……九尾様が今そのような状況に置かれているとは…… やはり人間は危険でしたな…… なるほど分かりました。リラが昔修行した場所へとご案内しましょう」
なにやら、里長は大賢者リラに関して知っているようだった。
「里長はリラ……さんについて、何かご存じなのですか?」
すると里長は重い口を開き、答えた。
「あれは、妖狐と人間のハーフなのです。わしらの里の妖狐が1人、人間界のものと結ばれてしまい、出来た子なのです」
なるほど、それで神通力を使えたというわけか……
「そして、あれの願いは妖狐をはじめとして、モンスターと人間の共存であったのですが……」
里長はさらに続ける。
「モンスターと人との橋渡しをするために、あれは人間界へと下りていったのです。しかし、戻ってくることはなかった。突然に行方をくらましてしまった。すなわち、人間の世界に受け入れられることは無かったということでしょう……」
「そんな……」
ナーシェが呟く。そして里長は続けた。
「お嬢さん、人間にも沢山の個性を持った人がいることはわしらも知っています。あなたは、きっと良い人間。それは間違いないでしょう。しかし、沢山いれば、間違ったことをするものもいる。そういうものなのです」
「しかし、九尾様が妖狐を守るためというならば、わしらは喜んで協力致します。わしらの未来をどうかよろしくお願い致します」
なにやら、いろいろと事情がありそうな様子ではあったが、これ以上詮索出来る空気ではなかった。俺達は里長に導かれ、昔、大賢者リラが修行したと言われる場所へと向かった。
そこは谷に沿って魔力が濃く蓄積した場所のようだ。一帯は深い霧に包まれている。
「リラは昔、ここで、精霊の力を受けたと言われております。危険故立ち入るものがいないと言われる場所。どうぞお気を付けて」
この見えない先に、何かがいる。
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