わたし、九尾になりました!! ~魔法と獣医学の知識で無双する~

惟名 水月

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九尾転生編

37話 一歩

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 この日、俺は再び王宮へと来ていた。

「おお、イーナよ!無事で何よりじゃ!」

 王様は嬉しそうな様子でこちらに話しかけてきた。

「王様、その節は大変ご心配をおかけいたしました!無事に戻ってきたことを報告致します!」

「おぬしが、意識不明と聞いたときは心配したぞ!新しい社会におぬしは必要な存在だからの!」

 俺と王様は顔を見合わせて笑い合った。部下の中にはなにやら不思議そうにこちらを見つめているものもいる。先ほどのは半分は方便であり、本音は競馬友達という方であろう。でなければあんな笑顔でいう事でもあるまい。

 王様は真面目な顔に戻り、話を続けた。

「して、ミドウから事情は聞いておる。最近流行していた奇病、あれも帝国によるものだったとか」

「帝国は、生物を用いた兵器の開発をしていたようです。結果、アルヴィス達の様に、魔法を使える人間を人工的に作り出すことに成功したようですね!」

「なんと、恐ろしい……」

 王様は驚いた様子で口を開く。

「正直、まだ何も解決していないと言うのが事実です。確かに元凶は断ちましたが、帝国の人々は再び国家を失うことになりました、それに病気の治療法自体もまだ見つかっておりません」

 俺は王様に向けて発言をした。王は俺の言葉を受け、落ち着いた様子で口を開く。

「帝国に関しては、連邦に属する国家で分割して統治を行う事となった。しばらくはいざこざもあるかも知れん。しかし、それに対処するのはわしたちの役目じゃ!」

 さらに王様は続ける。

「イーナおぬしには大変世話になった。最後までずっと世話になりっぱなしと言うわけにもいかん。人間の問題は人間が解決せねばならんのだ」

 俺は王様のその言葉に強く頷いた。

「おぬしは、おぬし自身やることがあるんじゃろ? ただ、一つだけ頼みたいことがあるのじゃ……」

 王様の言葉に俺は首をかしげながら尋ねた。

「王様、頼みたいこととはなんでしょうか?」

「おぬしは人間とモンスターが共存出来る社会を作りたいといっておったな。わしもおぬし達に触れるうちに、そのような社会を作っていきたいと思うようになったのだ。だからこそ、おぬし達にはモンスター側の代表として、政治に参加して欲しい」

 その言葉に俺は笑みを浮かべながら応えた。

「王様お気持ちはありがたいですが、私にはやるべき事があります。中途半端に政に口を出すわけにも行きません。ですので、私は遠慮させて頂きます」

 王様もミドウも笑みを浮かべている。おそらく俺がそう答えるのは予想済だったのだろう。ミドウが口を開く。

「お前ならそう言うと思っていたぞ。大丈夫だイーナよ、俺がお前の分も責任を持って引き受けておいた!」

 さすが、この2人は全てお見通しのようだ。こんな中で俺なんかが政治に口を出すべきではない。

「ふむ、残念じゃ。まあ、おぬしならそう言うと思っていたがの!」

 王様は笑いながら答えた。そして、俺は王様に一つの頼み事をしたのだ。

「王様、私の方からもお願いしたいことがあるのですが……」



 それからしばらくの時が経った。

 街も帝国の襲来から大分復興してきた。俺達の病院も大分落ち着いてきた。

 ルカはあれからナーシェの元でひたすらに修行をかねた手伝いをしていたようだ。大分薬の名前も覚えてきたらしい。俺よりも頼りになるかも知れない。

 テオは飛空船の運転に非常に興味を持ったようで、ミドウさんの部下のパイロットの元でいろいろと学んでいるらしい。病院に戻ってきては病院の手伝いをしてくれるしとても助かっている。

 シータはギルドの方で剣術指導などのお手伝いに行っているそうだ。教官としてきてくれないかとの打診もあったが、俺のために力を使いたいとのことで断ったらしい。

 ナーシェは相変わらず忙しそうに日々診療にあたっている。若い美人なお医者さんと言うことで、謎のファンクラブのようなものまで出来ているらしい。

 ルートは、最近はナーシェの手伝いをしている。何でも、戦闘に生せることを沢山学べそうとのことで、相変わらず素直じゃないが。行く当てもないと言うことで、結局、城には戻らずに、俺達の所にずっといる。

 シナツは一度、森へと帰ったようだ。父親の元へ、敵を取ったと報告に行ったらしい。それに一応族長としての立場もあると言うことで、もう帰っては来ないと思っていたが、なぜか病院に居着いている。俺も人の事を言えた義理ではないが。

 そして、夜叉はと言うと……

 ミドウはあれから、本格的に政にも参加するようになったようだ。そして、アマツ、センリは時たま俺達の病院に遊びに来ている。なかなかに皆忙しそうである。ミドウの息子、ナオビはと言うと、俺達の騒動の後、夜叉の元へと引き渡され、その後の行方は俺にも分からない。ミドウのことだからまあ、大丈夫であろう。

「みんな!あのさ……」

「何?イーナ様?」

 ルカを中心にみんながこちらを向く。

「こないだ、王様にお願いしたことがあって。前に飛空船を一機もらったんだけど」

「そういえば、そんなことあったな」

 シータが呟く。

「流石にあんなおっきいのもらっても困るから、もらわないことにしたんだよね!その代わりに……」

「その代わりに……?」

 ルカが問いかけてくる。

「小さな飛空船をもらえることになりました!なんと手術室や医療設備突きです!」

 俺の言葉にナーシェが嬉しそうな様子で答える。

「すごいです!!それなら移動しながら診療も出来るじゃないですか!」

「そのためにお願いしたからね」

 俺は笑顔で答えた。そう、まだまだ治療しなければならない病気は沢山あるし、何より人とモンスターの共存は一歩目を踏み出しただけだ。今後、沢山の問題も出てくるだろう。

「ニャ!!ぼくが運転するのニャ!!まかせてくれニャ!」

 テオは今にも運転したそうな様子で喜びをあらわにしている。

「イーナ様!いつもらえるの!」

 ルカは俺に笑顔で尋ねた。そして、俺はその問に満面の笑みを浮かべて答えた。

「そして、それがなんと今日納品されます!」

 俺のサプライズに皆半ばパニックを起こしている。

「見たい!見たいよ!イーナ様!」
「ニャニャ!早く行くのニャ!」

「イーナちゃん!設備を!!!見ましょう!!!」
「おい…… 俺にも…… 見せろ!」

 そんな様子を見ながら、シータとシナツ、それにサクヤは笑っていた。

「はっはっは、もはやパーティ会場だな」
「さわがしい奴らだな全く」

――賑やかで休まるときがないわい……

「じゃあ、これから飛空船を見に行こう!」

 そう、俺達はまた新たな一歩を踏み出したのだ。
 人とモンスターが共存出来る社会への大きな一歩を。
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