わたし、九尾になりました!! ~魔法と獣医学の知識で無双する~

惟名 水月

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東方編

45話 迷いの森

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 私達は、最初の目的地であるエンケの村にたどり着いた。エンケの村の先は迷いの森、そして死海である。

 あまり外からの人が訪れる事は無いらしく、村人からは何とも言えない視線を感じる。
 
「イーナ~~!今日はここに泊まってくよ~~!」

 アマツによって案内された宿屋に入ると、宿屋のマスターが出迎えてくれた。

「旅人とは珍しい……あれ、あなたは前に来てくださった方ですね」

 マスターはアマツに見覚えがあるらしい。青い髪、怪しく光る六芒星の赤い目、独特な話し方、アマツの姿は一度見たら忘れないだろう。

「それにしても、このご時世なのに、よくご無事で来られましたね。特に近頃は盗賊の連中が現れ、ランドブールや聖教国に行くのも一苦労ですのに、お若い女性だけでとは……」

 盗賊、ここに来る途中に遭遇した奴らであろうか。

「怪しい連中ならイーナ様とアマツがやっつけたよ!」

 ルカの言葉に、マスターが驚く。

「なんと……!その姿でお強いとは大変驚いた。ただ、気をつけてください。最近アレナ聖教国を中心に活動している盗賊団、そいつらの悪行はこの村にいても分かるくらいです。もし、メンバーだったとしたら、なにか報復があるやも知れません」

 盗賊団。なにやら面倒な連中に目をつけられてしまったかもしれない。それでも、今考えても仕方が無い。それはその時に考えれば良いことである。

 とりあえず今は大蛇だ。大蛇に会うことだけ考えよう。

 大蛇とは一体どんな奴なんだろうか。妖狐、夜叉は人の姿をしていたし、人の姿をしているんだろうか、それとも、名前の通り蛇なんだろうか。そして、アマツが言っていた大蛇に会う用事って言うのも気になる。

「ねえアマツ、大蛇に会う用事って一体?」

「ん~~まあもうちょっと行けばわかるよ~~!」

 アマツはいつも通りつかみ所のない話し方で、こちらの話をはぐらかした。

「今日は疲れたからもう寝るね~~明日は早くから出発だよ~~」

 
 エンケの村は森林地帯の麓にあった。どこまでも続いているかの様な薄暗い森林は、一度入ったら戻ってくるのは困難であり、自然への畏怖も込めて「迷いの森」と呼ばれるようになったらしい。

 ルカは私のそばをくっついて離れない。なにやら少し不気味な気配を感じているらしい。

「あ、イーナちゃん!見てください!珍しいきのこが生えてますよ!」
「あ、イーナちゃん!あの鳥!初めて見ました!」

 ナーシェはというと、初めて見る生き物に目を輝かせている。さっきからずっとこんな感じである。

「なんだか、アルラウネの森を思い出すのニャ!懐かしいのニャ!」

 アルラウネの森、あの日のことは今も鮮明に覚えている。そしてあのとき敵だった夜叉と、今はこうして一緒に旅をしている。なんだか複雑な気分である。

 森は一層と深く茂ってきた。アマツの案内がなければ、絶対に迷っていたであろう。時々休息を取っては、ひたすらに歩みを続ける。もうどの位歩いたのか分からない。

「イーナ様……もう飽きてきたよ」
「ニャ……いつまでも同じ風景なのニャ、ホントにつくのかニャ……」
「大丈夫~~もうちょっとだよ~~」

 すっかり辺りも暗くなってきて、たいまつの光しかない。私自身、本当につくのか不安になってきた。

「イーナ~~見てよ~~あそこだよ~~」

 アマツの声に、指を差された方をよく見てみると、わずかに灯りが見えた。

「イーナちゃん!灯りです!」
「イーナ様……ルカもうふらふらだよ……」
「もうちょっとだから頑張って~~」

 闇の中、周囲の様子は良く見えないが、迷いの森も抜けたと言うことなのだろう。ここまでは非常に順調だ。

「長かったなあ……」
 
 あとは、大蛇に会って話をする。上手く行くかどうかはわからないけど、ここまできたら、どうにでもなるでしょ。

 そんな事をおもいながら、残った体力を絞るように歩みを進める。
 しかし油断は禁物だ。家に帰るまでが遠足、家に帰るまでが遠足。そんな言葉をずっと頭の中で反芻している自分が少しおかしかった。やはり疲れているようである。

「イーナちゃん!大変です!」

 突然のナーシェの声に我に返る。

「ルカちゃんが……ルカちゃんが倒れてしまいました!」
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