わたし、九尾になりました!! ~魔法と獣医学の知識で無双する~

惟名 水月

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東方編

44話 死海への道

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 明くる日、私達は死海に向けて、ラングブールを出発した。

 アマツによると、迷いの森の手前には小さな村があるらしい。まずはそこに向かうとのことだ。

 草原が広がる中をひたすらに進んでいく。人通りは比較的あるものの、やはり、物騒な時勢を反映しているのか、すれ違う者は物騒な武器を携帯している。

「おい、お前さん方、最近この街道には追いはぎが現れると聞く。気をつけていくんだぞ!」

 親切な旅人が時々すれ違っては声をかけてくれる。それも1人や2人ではなく、何人もである。そんなに治安が悪いのであろうか。

「イーナ様大丈夫かな?」

「まあ、いざとなれば私がなんとかするよ!それにアマツもいるし!」

「まあ~~任せてよ~~」

 アマツが同行してくれるのは非常に心強い。純粋な強さだけなら、私より遙かに上であろう。

 しばらく街道を歩いていると、道が二手に分かれている。整備された街道はアレナ聖教国の都市へと繋がっているようだ。今の私達の目的地の方向はもう一つの道、そこまで整備の行き届いてない、細い道の方である。

「なんだか、すっかり田舎にきた気分だね」

 しばらく人間の世界で暮らしていたせいか、すっかり都会での生活に慣れてしまったようだ。思えば、レェーヴ原野もこんな感じだった。

「街も楽しいけど、ルカは自然も好きだよ!」
「ニャ!僕もなのニャ!」
 少し開けた場所に出たようだ。ちょっと休憩していこうかと提案しようとした矢先、怪しげな男達が急に私達の周りを囲んできた。みな物騒な武器を何本も腰にこしらえている。

「おじょーさんたち!こんなところに何の用だい!」

 男達はみな下品な笑顔を浮かべながらこちらを威嚇するかのように近づいてきた。

「おいあの子可愛くね……俺あの子にしようかな……」
「あっちの子は俺がもらうぜ」

 なにやらひそひそと男達が会話をしているが、丸聞こえである。こんなに不愉快なものなのか……

 ――おい、イーナやってしまえ……

「ちょっと用事で……通してくださりますか?」

 ここは、はやる気持ちを抑えて、ちょっとだけ会話を試みる。平和的解決は……無理そうかな……

「おい、なんて言った!もう一回言ってみてよおじょーちゃん!」
「通してくださいだってよ!」
「どうする?どうする?」

 にやにやと本当に不愉快だ。そろそろ皆の我慢も限界に近づいてきている。

「もう一度だけ言います、通してください」

 男達を無視して無理矢理通ろうとすると、数人の男が目の前に立ちはだかる。さっきまでとは違って武器を構えながら、その表情は少し怒りが見えた。

「おい、お前ら俺達を舐めるのもいい加減にしろよ。黙って従っていれば怪我はさせないつもりだったのによ」

「怪我をさせるつもりはなかったんですか、それは失礼しました」

「おい、お前ら、好きなだけいたぶってやれ!舐めた態度を取ったこと後悔させてやれよ」

 交渉決裂である。こうなれば武力しかない。

 私が龍神の剣を抜くと、男達はみな再び下品な笑みを浮かべた。

「おい、この女いっちょまえに剣なんか抜きやがった!」

 男の1人がゆっくりと前に出て言い放った

「おじょーちゃん!ならまず、俺が相手をしてあげようか!」

 おい、アルバスのやついきなりいきやがった。
 あの女絶対無事じゃすまないな。せっかく可愛いのにもったいないぜ。

 そんなひそひそ話が聞こえてくる。なにやら目の前の男はアルバスと言うらしい。

「いつでもきな!ひゃはは!」

 アルバスは先に攻撃してこいと、こちらを誘っている。

「なら、遠慮なく」

 龍神の剣に炎をともす。その光景をみるやいなや、男達の表情が一気に変わった。

「な、なんだ……あいつは!」
「魔女か……」

 今更怖じけついたところでもう遅い。

「なに、所詮はったりだろう!」

 アルバスは、そう言うと、一気にこちらに斬りかかってきた。遅い。

 アルバスの攻撃をかわしたのち、その隙だらけの身体へ龍神の剣をたたき込む。次の瞬間アルバスは一気に炎に包まれた。

 あいにく、殺生する趣味はないんだ。

 そう言って剣を鞘に収めると、火は一気に収まった。一瞬だし、ちょっと火傷はするだろうけど死ぬことはないだろう。多分……

 完全に戦意を喪失し、崩れ落ちたアルバスを見て、男達は一目散に逃げ出そうとする。

 おい、アルバスがやられただと……!
 やべえずらかるぞ!!

「もう遅いよ~~」

 ある意味では、気の毒である。しかし因果応報といったところであろう。私が知っている中でも、トップクラスに怖い女を敵に回してしまったのである。

――ふん、口ほどにもないわい

 少しだけ時間を無駄にしたが仕方無い。気が済むまで暴れているアマツを抑えて、私達は再び、死海への道を進むことにした。
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