蓬莱皇国物語Ⅱ~飛翔

翡翠

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   冬栄

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「舞楽が仕上がりました。皆さまにご覧いただき、ご感想をお聞かせいただきとうございます」

 降誕祭クリスマスの次の日の朝、雅久はテーブルに着く皆に頭を下げて言った。貴之や麗も明日まで御園生邸に滞在している。宮中に入れるのは雅久と世話役を務める義勝のみ。武たちは雅久の晴れ姿は、映像でしか観る事は出来ない。

 雅久は裲襠りょうとう(舞楽の衣装)が出来上がって来た事もあり、仕上げの披露を…と考えていた。

「観ていいの?」

 武が笑顔で聞き返す。

「仮面は新調が間に合わなかったので、あちらでお借りする事になっていますから、なしの状態でになりますが」

「観たい!」

「では午後から演舞場へいらして下さい」

 演舞場というのは御園生邸の敷地内にあった古い和風の家屋を、有人が舞が出来るようにリフォームしたものである。洋風建物である母屋から少し離れた場所にあるが、背後には雑木林が広がる静かな佇まいである。

 連日、雅久はほとんどの時間をここでの練習に費やして来た。是非にと望んでくれた今上皇帝に恥をかかせない為にも、御園生の人間としての再出発の意味を込めて、完成度の高い仕上がりにしたかったのだ。

 舞う演目は『蘭陵王らんりょうおう』。奇しくも学祭で龍笛で披露した曲だった。最初は『納曽利なそり』で打診があったのだが、その後、『納曽利』は二人舞で…という話が持ち上がり、他の人へと話が行ってしまった。そこで走舞はしりまい(一人舞)である『蘭陵王』でと打診が来た。雅久はこれを喜んで拝命し、学祭の後くらいから熱心に鍛練して来たのであった。

 『蘭陵王』とは北斉の皇族諸王、高 長恭こうちょうきょうに与えられた称号である。舞楽『蘭陵王』は彼の戦功を讃えて、部下たちが舞ったのが最初とされている。美しさ故に仮面を付けて戦に向かった王。自らが皇帝になり得た立場であったにもかかわらず、従兄弟である皇帝に毒を与えられて死んだ。美しくも高潔な武人であったという。

 武は雅久にこそ蘭陵王を舞うに相応しい人間だと思っていた。

 午後、母屋から揃って演舞場に移動する。

「すみません、先に行って下さい」

 ただ夕麿だけは文月に何やら耳打ちされてリビングに残った。

 演舞場は母屋の奥から一度庭に出て靴を履いて移動する。他の離れた建物が渡り廊下で繋がっているのに比べて、少し場所が離れた演舞場の不便な所である。

 通り抜けるイングリッシュ・ガーデンは、この時期でも花をつける植物が植えられている。その向こうには、庭を見渡せる東屋まである。以前に武たちが閉じ込められた離れを廻ると、その向こうは見事な日本庭園になっていた。その向こう側に演舞場はあった。演舞場では既に雅久が、裲襠に着替えて待っていた。裲襠は赤を基調に前後に龍の刺繍が施され、袴には散雲の刺繍が施されるのが『蘭陵王』の衣装である。近年は神社での奉納には緋色の裲襠が使われているが、宮中での演目として本来の赤のものが整えられていた。赤は皇族及び諸王のみが許された色。蘭陵王はその一人であった。

 衣装の布地は総絹地と決められており、絹独特の美しい光沢が赤を一層際立たせる。本来はこれに頭上に龍を頂いた仮面を被る。

 裲襠を身に着けて静かに座る雅久は、いつもとは違う顔付きになっていた。まるで蘭陵王その人が降臨したかのように、凛とした威厳に満ちてより一層美しかった。玲瓏な面差しに赤い衣装は壮絶なまでに似合っていた。

「遅れました」

 夕麿の声がして彼が連れて入って来た人物に雅久以外が息を呑んだ。久我 周だった。咎めるように夕麿を見返した武に、彼はそっと耳打ちした。

「謝罪したいと言うので」

 今更何を謝罪するのか…?とは思うものの雅久の集中を妨げない為に、武は不愉快そうな顔を隠そうともせずに頷いた。

「始めて下さい」

 夕麿の言葉に雅久が頷いて、ゆっくりと立ち上がった。所定の位置に立ち、義勝に合図する。

 『蘭陵王』は笙や龍笛、太鼓などで演奏され、弦楽器は用いない。雅久は送られて来た演奏の録音を使って舞う。

 当然、当日は生演奏が行われる。

 舞楽『蘭陵王』は、入場・当曲・退場という形式で構成されている。入場は『出手でるて』と呼ばれ、退場は逆に『入手いるて』と呼ばれる。この曲の『出手』は『さえずり』という、無音のパントマイムで、現在はなかなかお目にかかれない。一般に目に出来る『蘭陵王』で唯一、必ずこの『囀り』から観れるのは、奈良春日大社の若宮祭のみと言われている。

 勇壮華麗な舞が楽の音に乗る。時折勇ましく優美に踏み締める足に床が鳴り響く。舞う雅久の面差しはより一層の美しさを増し、地上の存在とは思えぬ程の幽玄美を醸し出していた。

 武は呼吸すらわすれて、初めて観る雅久の舞に我を忘れた。『入手』で彼が下がり、義勝が静かに終了の声をあげるまで、完全に魅了された状態だった。

「す…凄い…」

「全身の毛が逆立ってます…」

 賛美の言葉がうまく出て来ない。彼が何故に舞の天才と呼ばれるのがわかる。だが彼は今まで舞を目にした者たちが絶賛するにもかかわらず、二人の異父兄の所為で舞を学院でしか披露した事がなかったのだ。

 つまり、正月の宮中が彼の公式の初舞台になる。

「周さん、あなたは宮中の舞楽をご覧になった事がおありですよね?雅久の舞をどう観られました?」

「こんな美しくて勇壮な『蘭陵王』は初めて目にした…」

「ありがとうございます」

 義勝が代わりに礼を言う。

「これならば今上も大いにご満足なさいますでしょう。

 善哉、善哉ぜんさい(言祝ぎの言葉)」

 周が武に静かに奏上する。

「あとは当日までの体調管理ですね、義勝」

「もう少し、食が進むと良いのだが…」

 夕麿にも義勝にもそこが心配の種であった。

「余り美味しい物ではないけど…医療用の栄養ドリンクがあります。こちらの主治医と相談すれば如何でしょう。正月の宴ですよね、御披露目は僕も呼ばれていますから、よろしければ点滴などの用意をして置きます?」

 二人の言葉に医学生である周が継げた。

「お願い出来ますか、周さん。雅久の舞楽師としてのデビューを阻んで来た方々に、一矢報いる為にも今回は絶対に成功させなければなりません。

 しかも今回は今上陛下直々のお声掛かりです。武さまのご名誉の為にもこの御園生の名誉の為にも、失敗は絶対に許されないのです」

 雅久ひとりにかかる責任は重い。本人もそれを承知で舞台に上がる。だからこそ、御園生家は準備に奔走しているのだ。

 雅久を抱き上げて、義勝は控えの間に行く。全身全霊を込めて舞う雅久は、渾身の一曲で体力を使い果たしていた。この体力のなさが弱点ではあるが、それ故の天才という声もあった。

 控えの間で衣装を脱がせ、休まさなければ立つ事もかなわない。

「さて、周さん。本日のご用件を伺いましょう」

 夕麿がわざわざ演舞場に周を案内したのは、唯一彼が宮中行事に参加した経験があるからだった。雅久の舞の素晴らしさはわかっている。だが第三者で宮中を知る彼の言葉は身内の賞賛より重い。何より重責を背負う雅久の励みになる筈だった。

 周は武の前にいざり寄った。そのまま礼儀と形式に適った見事な姿勢で平伏する。

「昨日は母が大変なご無礼をいたしました。心よりお詫び申し上げます」

「謝る相手が違うだろ、周さん?」

 武にとって久我 浅子の言動などとるに足らないもの。逆にそんな事を言いに来たのかと呆れてしまう。

「あなたは知らなかったかもしれない。でも、疑問は持っていたよね?それなのに夕麿に何を要求した?」

 武の言葉に周は息を呑んだ。

「あなたはそうやって人の心を玩具のように扱う。それがどれだけ酷い事かを自覚してないだろう?」

 周は言葉を継げなかった。ただ平伏するしか出来ないでいた。これまでの彼ならば、武の言葉に適当に答えて逃げた。だがもうそうする事は出来なかった。一方的に捨てるという今までとは逆の痛みを知ったばかりだったのだ。その痛みをもたらしたのは、身体は快楽に溺れながらも、決して心の内を見せる事なく離れて行った、貴之の態度が原因だった。

 生まれて初めて彼は相手に捨てられたのだ。別れの言葉すら告げてもらえずに。

 貴之はその周の後ろ姿を見つめていた。引き裂いた心が血の涙を流していた。切り捨てた想いは諸刃で、相手も自分も傷付く。だが今の今まで周が傷付くとは思ってはいなかった。見知っている彼の傲慢な気配が消え失せている。武に向かって平伏する彼の背は、別人にしか見えなかった。

 誰も言葉を発せないでいると、義勝が雅久を支えながら戻って来た。周の後方、武の前に平伏して雅久が言った。

「武さま、本日は拙い舞をご覧いただき、ありがとうございました」

「素晴らしいものを観せていただきました。こちらこそ、ありがとうございます」

 雅久は武の言葉に一礼して皆に向き直った。

「本日はありがとうございました」

 口々に言葉を紡ぎ言祝ぎを述べる。

 周もそれに参加する。

「宮中行事に参加された方にお言葉をいただけて嬉しく思います。心より感謝いたします、周さま」

 文月がその間に菓子と抹茶を配膳して行く。体力を消耗した雅久には、甘いものが必要不可欠なのだ。

「本日の菓子は、結城 麗さまからいただきましたものをご用意させていただきました」

 麗の実家は和菓子司。

「お持たせでごめんね~」

「とんでもない。菓子司『結城』は名だたる茶道家が、茶会の菓子を発注する名店。

 麗、お心遣いを感謝します」

「えっ…いや…夕麿さま…そんな」

 夕麿に頭を下げられて麗は慌てふためく。作法通りにいただいた和菓子は、甘さや滑らかさなど、どれをとっても絶品だった。

「美味しい…」

 武が先ほどの渋い顔を笑顔に変えて言う。

 文月の絶妙とも言える配慮だった。

 場がすっかり和んだこの時になって、周はようやく貴之へと視線を向けた。貴之は敢えてその視線を真っ直ぐに受け止めた。平静を装う外側とは逆に、引き裂かれたように胸が痛む。けれど眼差しも表情も貴之は微動だにしなかった。躊躇とまどいも情熱も完全に制御出来る自信があった。

 先に視線をそらしたのは周の方だった。貴之の表情に求めるものを得られず、戸惑いと失望が瞳の中で揺らめいた。周が視線をそらしたのを確認して、貴之も視線をそらした。だがその視線が悲しさに一瞬、揺らいだのに夕麿だけが気付いていた。

 全ては周が自分で招いた結果で謂わば自業自得。今更本気になったとしても、不実な生き方をして来た代償は大きい。生木を裂くような想いで別れただろう貴之の、その気持ちを思うとやはり辛く感じてしまう。

 けれど恋愛は結局、突き詰めれば本人同士の問題である。第三者は忠告や意見は言えても、最後に決めるのはそれぞれの心なのだ。

 何も出来ない。

 わかっていて苦しい。

 大切な友が苦しんでいても、自分がしたのは別れさせる理由を与えた事だった。思わず左胸を押さえた夕麿の手を武がそっと掴んだ。振り返ると無言で首を横に振る。夕麿は寂しげに微笑みを返した。

 武がそんな夕麿に何か言おうと、口を開きかけた時だった。視界が奪われる程の稲光に続いて、雷鳴が演舞場の建物をビリビリと震わせて轟いた。

 夕麿が身体を強ばらせた。

「雨戸とカーテンを閉めて!早く!」

 武が悲鳴に近い声で叫んだ。周はこの事態が一人理解出来ずに、助けを求めるように夕麿を振り返った。

「夕麿…?」

 周が見たのは血の気を失って、恐怖に引きつった夕麿の顔だった。

 義勝たちが雨戸とカーテンを閉めて行くが、三方を取り囲む廊下に面したガラスサッシは、余りにも数が多過ぎて思うように閉まらない。

 その間も稲光と雷鳴は続いていた。

「ダメ…間に合わない!」

 武が悲痛な声を上げて夕麿を引き寄せた。その瞬間に大粒の霰混じりの雨が演舞場の屋根を叩き始め、夕麿は声にならない悲鳴を上げて武に縋り付く。全身を激しく震わせて耳を塞ぐ。以前より反応が激しい。

「義勝先輩…!」

 勝が武の声に駆け付け、夕麿の様子を見て言葉を失った。明らかに状態が悪化していた。ここの所、安定を見せていたというのに…何故?理由はひとつしか考えられなかった。多々良 正恒に襲われたあの日は、間違いなく雨を狙ったものだった。それが一層、夕麿の雨に対する心的外傷を深めたと考えられた。

「夕麿…」

 声をかけて肩に手を置く。すると夕麿は悲鳴を上げてその手を振り払った。義勝が戸惑いを見せた。予備的に勉強をしてはいるが所詮は付け刃。専門家でもまだ予想の範囲が、多いのが人間の心と言うものである。

「雨…雨は…嫌…」

 武に縋り付いて啜り泣きながら呟く。まるで小さな子供のような口調だった。どうやらパニック発作が原因で一時的な幼児退行を起こしていた。

「葦名…僕に説明して欲しい…夕麿は…どうしたんだ…?」

「心的外傷によるパニック発作です。夕麿の場合は様々な事が原因で、雨が引き金になっているようです。治療に時間を必要とする…言う診断が出ています。

 ……久我先輩、あなたを責めても今更仕方ありませんが、あなた方が放置した結果です、これが」

 雨音は激しさを増し、カーテンの向こうの硝子を叩く音が室内に響く。夕麿は一層、武に縋り付いて泣く。武は夕麿の頭を抱いて、髪を撫でながら答えた。

「夕麿、辛かったね。寂しかったね。もう痛いのも苦しいのもないから、大丈夫だよ」

 義勝も周も武の言葉に息を呑んだ。今の夕麿には必要であろう言葉を武は誰かに教えられる事なく、適切に紡いでみせたのである。ひとつ間違えば言葉は脆くなってしまった夕麿をさらに傷付けてしまう。

 これが高辻医師が言う、武の持つ母性愛なのだろうか。

「おたあさん…」

「ごめんね、夕麿。俺は夕麿のお母さんにはなれないけど…愛してるから。だからもう、寂しくないよ?

 義勝先輩たちもいるだろ?」

 武の言葉に夕麿は焦点の定まらぬ目で頷いた。武はその唇にそっと唇を重ねて夕麿を抱き締めた。

「ん…ふぅン…もっと…」

 離れた唇を追うように追い掛けて貪る。その姿を見て義勝はようやく夕麿の不安定さが突然、改善される事がある理由を理解した。

「武…お前…夕麿を…」

「今頃気が付いたの、義勝先輩?」

 武が悪戯っぽい顔で答えた。

 周もその意味を理解して唖然とする。

 そうあの公園の池の畔で夕麿は何と言った?彼は「相手次第」だと答えたのだ。

「あれは…こういう意味だったのか…」

 夕麿の強がりだと思っていた。

「あの事件の次の日、夕麿が機嫌が良かったのは…そういう事か…」

「俺、確か言いましたよね、愛の力だって?……あの時、バカな事ばかり口走るから、押し倒しただけです」

 可愛くて綺麗な少年。優しくていつも周囲に気を配る。儚げに見えて芯はしっかりしている。でも…ここにいるのは、確かに男としての、支配欲も征服欲も所有欲も露わにした武。その武の腕の中でうっとりとした表情を、浮かべる夕麿からは言い知れぬ色香が漂っていた。

「周さん、今度手を出したら殺しますよ?夕麿は俺の…ですから」

「手を出す?久我先輩、どういう事です?確か俺たちが一年の頃、あなたは雅久に執拗に迫ってた筈…急に興味を示さなくなったのは…そういう事だったのか!」

 義勝の怒声が演舞場を揺るがした。夕麿が怯えた声を上げて武に縋り付く。

「お帰りいただけませんか?」

「貴之!?」

「もう、ご用はお済みになったでしょう?どうやら雨も止んだようですから」

「貴之、僕は…」

 貴之は周に背を向けて武に話しかけた。

「夕麿さまを今のうちにお部屋へ」

「うん、夕麿、立って」

 貴之が手を貸して、夕麿はまだ虚ろな表情のまま、演舞場の出入口へ歩いていく。義勝は雅久を抱き上げ、麗が身の回りの物を手にして後に続く。

 文月が無言で控えていた。

 一人取り残された周は、冷え切った自分の心に戸惑いながら、その日、御園生邸を後にした。



 武にとっては宮中…なんて、テレビのニュースの中の映像でしかなかった。雅久と義勝だけの筈が、気が付けば武たちまで招待を受けていた。まだ18歳になっていない彼らは、公式の場所に顔を出す事は許されない。

 武と夕麿は何歳になっても公式の場には出られない。たとえ物陰からだったとしても、雅久の晴れの舞台を直接観れる事に一番喜んだのは武だった。武が他の人々と直接顔を合わせるのを避ける為、雅久にはわざわざ部屋がひとつ与えられ、全員がそこで時間までいる事になった。

 彼らは人目を避けて、早朝に与えられた部屋へ入った。驚く程スムーズにこの部屋へ案内されて、夕麿はこれが雅久の舞の為だけではないのではないか…と思いはじめていた。

 義勝はこの正月の宴に、雅久の異母兄二人が名を連ねている事をかなり警戒していた。戸次家からの救出から、雅久は当然ながら兄たちに会ってはいない。そもそも異母兄が二人いる事すら、今の雅久は記憶してはいないのだ。

 全ての元凶とも言える二人の兄。その二人が異母弟である雅久に、教え込んだ忌まわしい快楽。初舞台のストレスからここの所、雅久がそれを望むのか、少々エスカレートしていた。だがそれが逆に雅久の心の他の部分の悪化を防いでいるのも確かだった。さもなくば忘れた記憶を更に安定させる為に、乖離性人格障害を起こす可能性もあったのだ。

 顔を合わせてしまうのは、仕方がないのかもしれない。だができ得る限り接触の時間は短くしたい。それでなくてもストレスで固形物が喉を通らなくなり、2日程前から流動食とブドウ糖の点滴で体力を支えているのだ。

 今日も約束通りに周が御園生家の主治医と、学院から呼び寄せた高辻医師を手伝って、雅久に点滴や栄養ドリンクを与えている。裲襠りょうとうは全身をすっぽりと覆うので、余所見からはわからないが、雅久の腕には無数の注射針の痕がついていた。

 それでも舞は雅久にとっては生命だった。舞は神との一体感を得るのが究極とも言える。本来は神仏に捧げられたものだからだ。舞によって神との一体感を得るのは無上の慶び。雅久はそれを知る数少ない人間のひとりだったのだ。知っているからこそ、無理をしても舞う彼を、義勝は止める事は出来ない。

 夕麿たちもバックアップに懸命になる。

「義勝…眼鏡を下さいませんか?」

 掠れた声で雅久が言う。渡された眼鏡をかけて、ゆっくりと身を起こした彼の背を義勝の手が支えた。

「起きて大丈夫ですか、雅久?」

 いつにない鬼気迫る有り様に、夕麿は心から心配していた。

「ありがとうございます。見た目ほど辛くも苦しくもないのですが…」

 苦笑混じりに言う彼に夕麿は微笑み返した。

「余り横になっていると、背中が痛くて…」

 ここのところ舞の稽古以外はほとんど横になっていた所為か、皆と顔を合わすのが久しぶりに感じた。

 あの雷雨の影響は微笑み返す夕麿からは微塵も感じられない。それでも一両日は精神状態が安定せず、学院から特別に高辻医師を呼び寄せて、武がずっと寄り添っていた。

「あの…武さま」

「周さん、どうかした?」

「高辻 清方さんの事でお話があります」

「先生の?」

「はい」

「わかった、夕麿!」

「どうしました、武?」

「高辻先生の事で、周さんが」

「わかりました。

 周さん、外に出ましょう」

「武さま、ありがとうございます」

 二人が出て行くのを見守って、武は立ち上がって皆にお茶をいれた。

「はい、兄さん。冷たいのばかりじゃ冷えちゃうよ?」

「ありがとうございます、武君」

「はい、義勝先輩。先生たちもどうぞ」

 気さくに自らお茶をいれる武に、高辻医師は驚きながらも湯呑みを受け取った。

「夕麿と久我先輩は?」

 二人がいない事に気付いた義勝が聞いた。

「うん…ちょっと用事を頼んだから、すぐ戻って来ると思うよ?」

 にっこり笑ってそれで済ませる。



「それで高辻先生の事でお話とは何でしょう?」

 廊下に出て夕麿は周に向き合って徐に切り出した。

「彼が摂関五家の女性の私生児だと知っているか?」

「え…!?それは初耳です」

「彼女は縁談が決まってそれが嫌で家出した。家によって連れ戻された時には、既に臨月だったと。しかも彼女には産まれた子は死産だったと告げて、彼は他家に預けられ、その後、学院の住人になった」

「随分、詳しいですね?」

「預かったのはうちだから…彼は僕には、兄みたいな存在。清方さんを…『暁の会』で救ってはいただけないか、武さまに御願いして欲しい。彼は12年前の高等部の生徒会長、つまり特待生であり白鳳会の会長でもあった人です」

「それは資料にありましたから、存じています」

「清方さんは戸籍上は天涯孤独の身の上だけど、身元引受人さえいれば学院から自由になる。それに…優秀なあの人を僕はもっと学ばせたい。

 お前たちがUCLAに行くなら、あの人も連れて行ってはくれないか?」

「UCLAの心理学部に留学をと?」

「お金が必要なら、幾らでも出す。お前たちの主治医を兼ねてで構わない。どうか清方さんを助けて欲しい」

「あなたにもそんな顔が出来るのですね、周さん。

 わかりました。高辻先生には私たちもお世話になっています。武さまにご相談申し上げましょう。その後、ご本人と話し合いを持ちたいと思います。

 それで構いませんね?」

「感謝する、夕麿」


 いよいよ舞楽のプログラムが始まった。

 大広間に造られた舞台で、次々と舞が披露されていく。

 武と夕麿は本来は客席ではない隠れた場所から舞台を見つめていた。

「次は…『納曽利』ですね…」

 夕麿は先程手渡されたプログラムを見て、驚いて息を呑んで目を見開いた。

「どうしたの?」

「舞手の名前を見て下さい」

「舞手…これって…」

「会った事はありませんが、雅久の異母兄たちです」

「兄さんが最初打診されてた曲を…どういう皮肉だろ?」

「嫌でも雅久との実力差が見えますね。もっとも雅久はとりですから、顔を控え室で合わす可能性は低いですが…」

「夕麿、『納曽利』ってどんな舞なの?」

「簡単に言うと雌雄の龍の舞です。きゅうの組曲になっています。相撲や競馬くらべうまの勝者を祝う曲であった頃もあります」

「おめでたい曲なんだ」

 『納曽利』は『蘭陵王』と対になる曲である。雌雄の龍が楽しく遊ぶ、という内容の舞で別名を『双龍舞』とも呼ぶ。裲襠りょうとうは紺か緑が中心で、刺繍は鳥が描かれる。緑青色の龍の仮面は銀の目、上下二対の牙、金の髪、逆立てた髭、顎は可動出来る吊り顎になっている。手には銀色のばちを右手に持つ。跳んだり足を踏みしめたり、『蘭陵王』より動きは派手なのが特長とも言える。

「武、どうです?」

「舞はよくわからないから…こんな事言うのはどうかと思うんだけど…何だかつまんない」

「どうつまらないのです?」

「龍って事は雲間とかで、遊んでるんだよね?」

「そうですね、そういう情景も考えられますね?」

「だって装束の鳥の刺繍って、そういう意味じゃないの?」

「!?」

 夕麿は武の言葉に絶句した。今までそんな目線で裲襠の刺繍を考えた事がない。

「見えないんだよね、空も雲も。遊んでるのに楽しそうじゃないし…」

 武には舞楽も雅楽も知識外である。ただ見たまま感じたままを率直に口にする。もしも雅久の舞を目にしていなければ、「こんなもの」で終わったかもしれない。だが武は雅久の天上の舞を見ているのだ。舞は型通りに舞えばそれで済むわけではない。雅久の異母兄たちは、そこをわかっていないのではないかと夕麿すら感じていた。夕麿とて趣味へと切り替えたとはいえ、音楽に携わる人間である。分野が違ってもそこに至る心はわかる。

 雅久の異母兄たちは根本的に間違っているのだ。

 プログラムが進み、いよいよ雅久の番が来た。

 雅久の舞は噂ではずっと知られていた。だから観る側の期待も大きい。

 夕麿は裲襠を脱いだ雅久の異母兄たちが、会場の出入り口に立っているのを見つけた。

「武、あれが雅久の異母兄たちです」

 武もそっちを確かめる。

 仮面を着けた雅久の舞は、御園生邸で観たものとまた違っていた。舞楽の振り付けはさほど変化に富んではいない。だからこそ舞手の力量が剥き出しになる。

 御園生邸で武たちが呼吸を忘れたように、会場も完全に雅久の舞に魅力された。入手で彼が舞台から去った後、誰もが声ひとつ立てれないでいた。我に返った今上が拍手をして、会場は割れんばかりの拍手と賞賛の声に包まれた。

 それを後ろに聞きながら、武と夕麿は舞台の控え室に走った。雅久の異母兄たちが干渉して来るのを防ぐ為である。雅久にここまで差を見せられれば、もとよりコンプレックスの塊である彼らが何かしらの嫌がらせを仕掛けて来てもおかしくない。

 だがここで予想外の事が起こった。今上が雅久の『納曽利』を観たいともらされたのだ。直ちに伝えられ宮中にある装束と仮面が取り寄せられた。準備として1時間もらえたのがまだ幸いと言えた。

 『蘭陵王』の装束を脱がせて毛布に包み、義勝が雅久を抱いて与えられた部屋へ急ぎ運び込む。武たちが装束を手に後を追う。すぐさま点滴が打たれ、スポーツドリンクをストローで飲ませる。

 義勝はその間に彼の腰や脚を揉み解し、武は雅久の全身の汗を拭う。

 予定していない舞を舞わなくてはならない。しかも『納曽利』は、『蘭陵王』より激しい。会場の誰もが裏で、こんな事態になっているとは思わないだろう。

 会場では急遽きゅうきょ、雅楽の演奏が行われていた。今上は1時間後を楽しみに、一時下がられたという。



 きっかり1時間後、雅久は舞台の上にいた。彼の異母兄たちの装束は紺だったが、取り寄せられた雅久の装束は鮮やかな緑。緑青色の仮面に合って美しい。

「俺、やっぱり、兄さんの舞の方が好きだよ」

 武の言葉通りだった。

 どこから絞り出すのかと思う程、高い跳躍は空を舞っているかに見え、踏み鳴らす脚は大地を揺るがすように感じられた。

「龍ではなく竜ですね…」

「どう違うの?」

「龍は精霊、けれど竜は神なんです。日本人は難しい漢字を上にしたがりますが、龍は鰐という漢字から転じたもの。竜は空を舞う竜の姿を漢字にしたもの。字として格も、そして霊的な存在としての格も、天と地ほどの差があります。

 先程の二人舞が龍なら、雅久のは神である竜そのもの、そうは思いませんか、武?」

「うん。凄いね…何か、大声で自慢したくなる」

 今上も雅久の舞を絶賛されて、雅久は袖に下がった。入った瞬間、彼の身体が揺らいだ。義勝が慌てて抱き上げる。既に意識がない。装束を脱がせて毛布に包む。武たちも駆け付けた。

 他の舞手が絶賛しようと待ち構える中を雅久は運ばれて行く。

「申し訳ありません。道をお開け下さい」

 夕麿の声が響く。こうなれば立場も何もない。夕麿も武も雅久を一刻も早く運ぶのに懸命だった。

「どんなに天才でも、体力がないのは不様だよなあ」

 夕麿が声をした方を一瞥いちべつした。雅久の異母兄たちがそこにいだが、皆は彼らを無視する。負け犬のつまらない嫉妬に取り合っている状態ではない。部屋に入って雅久を横たえた。

「雅久、雅久、しっかりしろ!」

「…う…」

 頬を打たれて雅久はゆっくりと目蓋を開いた。

「気が付いたか?」

「義勝…私は…最後まで…舞えましたか…?」

「兄さん、凄かったよ!」

「良かった…」

 周が雅久の血圧をはかる。

「上が88で…下は50を切っています」

 主治医が用意していた簡易の酸素を吸わせる。義勝は武の手を借りて雅久の汗を拭い、楽な普段着に着替えさせた。そこへ今上からの使いが訪れ、『納曽利』の装束を本日の褒美として賜った旨を告げられた。夕麿が代理に対応して受け取り、丁重に礼を述べた。同時に宮中からの退出を告げる。使いの侍従も室内で手当てを受けている雅久の姿を見て了承の言葉を述べた。

 雅久は程なく起き上がり、何とか自力で退出出来るようになった。もっとも彼にすれば誇りをかけて歩いて退出したい。夕麿が怪我を負いながら、寮に帰ったのと同じである。成さねばならぬ事には、死力を尽くしてでも実行する。義勝と夕麿が急いで、室内を片付けて部屋を後にする。

「待てよ、お前ら」

 背後の声に全員が振り返った。義勝が咄嗟に雅久を抱き寄せる。

「いい気なもんだな、雅久」

「今上にお褒めいただいてさぞかし得意だろ?」

 異母兄たちが口々に嫌みを言って、詰め寄ろうとするのを周が遮った。

「無礼であろう!」

「自分の異母弟に声をかけるのに、何で無礼なんだ?」

 詰め寄る男を周が牽制する。

「どけ!」

 ひとりが周を突き飛ばして雅久に迫る。嫉妬に狂ってここがどこで、目の前にいるのが誰かすらわからないらしい。彼らの目に映っているのは雅久だけなのだ。

「芸妓の子が生意気に!」

 ひとりが振り上げた手から雅久を庇ったのは武だった。殴打の音と共に武の小柄な身体が吹っ飛んだ。

「武!」

「武さま!」

 夕麿が慌てて駆け寄った。

「武、大丈夫ですか!?」

 主治医が脈を診る。

「軽い脳震盪を起こされていらっしゃいます。今一度、部屋へお戻り下さい」

 夕麿がゆっくりと抱き上げて部屋へと戻る。雅久たちも戻った。

「あなた方も来なさい」

 周が命じる。舞楽師の家系と清華貴族である久我とは、格が違う。冷静になった二人はその言葉に従った。

「夕麿、武さまの御具合は?」

 畳の上に横たえられた武は、ぼんやりとした眼差しで目を開いて来た。

「武、私がわかりますか?」

「夕…麿…?

 あれ…俺…?」

「まだ動かれてはダメです」

 主治医が頬と頭を冷やしていた。

「あなた方はどなたに危害を加えたのか、おわかりになっているのか?」

 二人にすれば武はただの少年にしか見えない。だが倒れた彼の状態にそこにいる全員が青ざめている。まして久我 周が敬称を付けて彼を読んだのだ。

「武さま、吐き気はございませんか?」

 主治医の言葉に武は小さく、「ない」と応えた。

「夕麿、起こして」

「まだ横になっていて下さい、お願いですから」

「武さま…」

「そんな顔しないでよ、兄さん」

 自分を庇ったのだ雅久は瞳に涙を溜めて武の手を握り締めた。

「大丈夫だった?頭は痛くない?気持ち悪くなってない?」

「私は…私は大丈夫です」

「良かった…」

 兄たちに会って、雅久が発作を起こさないか。

 武はそれを一番気にしていたのだ。

 不意に夕麿が立ち上がって、武を殴った男を殴った。

「夕麿、やめないか!」

 周が慌てて夕麿を止める。

「武さまが関わると見境がないな、お前は…」

 夕麿は周の言葉を振り切るように二人に告げた。

「この事は上に報告します。皇家のお方に危害を加えた代償は、ただでは済まないと覚悟しておく事です」

 二人はその言葉に色を失った。

 こんな目に合わせる為に、ここへ来たわけではない。

「もう動かれても大丈夫かと思われますが、ご帰宅後は安静になさってください」

 その言葉に武はゆっくりと身を起こした。

「武、大丈夫ですか?」

「まだちょっとクラクラする…」

「念の為、明日病院へお運び下さい」

「わかりました」

 夕麿が武を抱き上げた。

「辛かったらすぐに言って下さい」

「うん…」

 武を殴った男は異母弟である雅久に、手加減などする気はもとよりなかったのだ。彼が戸次家にいた時と同じように、傷を負わせるつもりで渾身の力を振るった。それを雅久よりも小柄な武が受けてしまった。武はこれ以上、雅久が謂われのない暴力を受けるのが嫌だったのだ。

 だから咄嗟に動いてしまった。余りにも予想外だった為に、誰も彼を庇えなかった。義勝が庇うつもりだった。

「帰りましょう」

 武を抱き上げた夕麿が、誰に言うでもなく口を開いた。

「己の鍛練の足りなさを雅久の所為にして暴力を振るう…ただ自分を濁らせるだけの行為だと悟れない愚か者の茶番はもうたくさんです」

「な、何を生意気な!」

「あなた方の舞を武さまは『つまらない』と評されました。この方は皇家の貴種としての直感をお持ちです。何もご存知なくても、武さまは真実を見抜いてしまわれる。あなた方の欺瞞ぎまんは私にも一目瞭然でした。一度で良いですから、雅久のように無心に舞ってみる事です。舞手の心すらわからないなら、宮中でのお役目を辞退なさるべきですね」

「お前のような子供に何がわかる!」

「子供だからわかる事もあります。

 さあ、行きましょう」

「待て!」

  夕麿に喰ってかかろうとする男を、周が制止した。

「無礼は許さん。彼は今でこそ御園生家に入った身だが、元は六条家の嫡男。戸次如きが触れて良い相手ではない!ましてや武さまをお運びしている時に…己の分を弁えよ!僭越者共せんえつものどもが!」

 周の怒声に全員が呆気にとられた。皇家に対する忠心は、周とて叩き込まれて育っている。

「周さん、帰りますよ?」

 笑みを浮かべて夕麿が呼ぶ。見ると皆は既に部屋から出ようとしていた。周は立ち尽くす二人を冷たく一瞥いちべつして、夕麿たちの後を追った。

 今回、武が招待されたのは、今上が武にあいたいとと申された故のものだった。直接の対面こそはできなかったが、与えられた場所で夕麿と共に舞楽を鑑賞する武を今上は密かに見ておられたのだ。だが不安定な立場にいる武に今上が、御心を痛められている…周はそう聞かされて今日の役目を引き受けた。もとより詫びのつもりで彼らの世話を買って出たのだ。

 武は言わば冬に栄える花。彼に気付いても、春に咲く花々のような、華々しい注目を集める事はない。健気で清楚な花。それを守る夕麿たちの姿に今上は満足された。

 武本人は何も知らぬままで。



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