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4 ヒロインと悪役令嬢
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これはどういう状況だろうか。
悪役令嬢と呼ばれる私と、物語のヒロインのようだと噂されているシャーロッテが同席し、一緒に昼食を食べている。
ーー「待って!!」
いきなりの大声に驚き、立ち止まる。
シャーロッテは呆然としているアランを置いて私の腕を掴んでいた。
「あ、ごめんなさい」
強く掴んでいる手に気付いたのか、パッと手を離す。
アランがこちらを睨んでいることに気づいた私は、咄嗟にこう言っていた。
「お話があるなら、一緒にお食事でもいかが?」
そして今に至る。
「なんで悪役令嬢とヒロインが?」皆そう思っているに違いない。
私もこの状況を全くわかっていない。
シャーロッテは嬉しそうにローストビーフを頬張っている。
「アリシア様も、いかがですか」
全く食事に手をつけていない私に気づいたのか、シャーロッテが話しかけてくる。
「え、ええ」
ローストビーフを一口食べる。
赤身とサシのバランスが良く、キメ細やかな肉質。
「……美味しい!」
「ふふ。最近、シェフが変わったらしいですよ」
嬉しそうに笑う彼女を見て少し気が緩む。
殿方に人気な理由も頷ける。
気を取り直し、彼女に私へ何か話したいことがあるのか、と尋ねてみた。
「話せば長くなるんですけど……」
彼女は防音の魔法石を取り出し、テーブルの上に置いた。
この魔法石を置くと、周囲に自分たちの話している声が全く聞こえないようになるので、主に重要な会議などに使われる。
よっぽど重要な話なのだろう。
ごくり、と息を飲む。
彼女は勢いよくこう言った。
「アラン王子と婚約破棄してください!!」
「……え?」
よっぽど重要な話だと身構えていたが、こんなことだったとは。
「両親に決められた婚約なので、破棄はできかねます」
席を立とうとすると、シャーロッテは「違うんです」と弁明を始めた。
シャーロッテによると、アラン王子はずっと私のことを卑下していたという。
このままだと、私は幸せを掴めないまま人生を終えてしまう。
なので、婚約破棄をしてほしいとのことだ。
「なんで私を気に掛けてくださるの?理由も分からないし……」
私が尋ねると、彼女は顔を赤らめてこう言った。
「私、アリシア様に救われたんです。この前、書庫で泣いていた時」
ハンカチを差し出された。
私の家の家紋が印字されたハンカチだ。
「あの時、ストーカー気味の男につけられていて怖くて泣いていたんです」
ストーカーはこの貴族院の者のため、強気で対応できないので不安で泣いていたそうだ。
そんな時、私の優しさに触れて、ひどく安心したそうだ。
「私、庶民の出身なのであまり他の方と仲良くできなくて」
殿方に人気だと聞いていたが、話しかけてくれるのが男性しかいなかったということか。
シャーロッテはハンカチをもらった後、私についての悪い噂を聞き不信感を覚えて、私について調べてみたところ、噂の出所がアランということに気づいたそうだ。
先ほど喋っていたのはアランに探りを入れるためだったそうだ。
「アラン王子と話していると自然とわかってくるんです。悪役令嬢という噂はアラン王子が流した出まかせだって」
薄々は気づいていたが、あの根も葉もない噂はやはりアランが流したものだったか。
虫唾が走る。
「それでも、婚約破棄は難しいわ。もう私のことは気にしないでくれて結構よ」
「そんなこと、言わないでください。私アリシア様のお役にたちたいんです!」
シャーロッテは一枚の紙を鞄から取り出した。
悪役令嬢と呼ばれる私と、物語のヒロインのようだと噂されているシャーロッテが同席し、一緒に昼食を食べている。
ーー「待って!!」
いきなりの大声に驚き、立ち止まる。
シャーロッテは呆然としているアランを置いて私の腕を掴んでいた。
「あ、ごめんなさい」
強く掴んでいる手に気付いたのか、パッと手を離す。
アランがこちらを睨んでいることに気づいた私は、咄嗟にこう言っていた。
「お話があるなら、一緒にお食事でもいかが?」
そして今に至る。
「なんで悪役令嬢とヒロインが?」皆そう思っているに違いない。
私もこの状況を全くわかっていない。
シャーロッテは嬉しそうにローストビーフを頬張っている。
「アリシア様も、いかがですか」
全く食事に手をつけていない私に気づいたのか、シャーロッテが話しかけてくる。
「え、ええ」
ローストビーフを一口食べる。
赤身とサシのバランスが良く、キメ細やかな肉質。
「……美味しい!」
「ふふ。最近、シェフが変わったらしいですよ」
嬉しそうに笑う彼女を見て少し気が緩む。
殿方に人気な理由も頷ける。
気を取り直し、彼女に私へ何か話したいことがあるのか、と尋ねてみた。
「話せば長くなるんですけど……」
彼女は防音の魔法石を取り出し、テーブルの上に置いた。
この魔法石を置くと、周囲に自分たちの話している声が全く聞こえないようになるので、主に重要な会議などに使われる。
よっぽど重要な話なのだろう。
ごくり、と息を飲む。
彼女は勢いよくこう言った。
「アラン王子と婚約破棄してください!!」
「……え?」
よっぽど重要な話だと身構えていたが、こんなことだったとは。
「両親に決められた婚約なので、破棄はできかねます」
席を立とうとすると、シャーロッテは「違うんです」と弁明を始めた。
シャーロッテによると、アラン王子はずっと私のことを卑下していたという。
このままだと、私は幸せを掴めないまま人生を終えてしまう。
なので、婚約破棄をしてほしいとのことだ。
「なんで私を気に掛けてくださるの?理由も分からないし……」
私が尋ねると、彼女は顔を赤らめてこう言った。
「私、アリシア様に救われたんです。この前、書庫で泣いていた時」
ハンカチを差し出された。
私の家の家紋が印字されたハンカチだ。
「あの時、ストーカー気味の男につけられていて怖くて泣いていたんです」
ストーカーはこの貴族院の者のため、強気で対応できないので不安で泣いていたそうだ。
そんな時、私の優しさに触れて、ひどく安心したそうだ。
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シャーロッテはハンカチをもらった後、私についての悪い噂を聞き不信感を覚えて、私について調べてみたところ、噂の出所がアランということに気づいたそうだ。
先ほど喋っていたのはアランに探りを入れるためだったそうだ。
「アラン王子と話していると自然とわかってくるんです。悪役令嬢という噂はアラン王子が流した出まかせだって」
薄々は気づいていたが、あの根も葉もない噂はやはりアランが流したものだったか。
虫唾が走る。
「それでも、婚約破棄は難しいわ。もう私のことは気にしないでくれて結構よ」
「そんなこと、言わないでください。私アリシア様のお役にたちたいんです!」
シャーロッテは一枚の紙を鞄から取り出した。
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