【完結】悪役令嬢ですが、ヒロインに愛されてます。

梨丸

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11 恋話

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 拉致事件の後、アラン王子は王位剥奪を命じられた。
 謹慎処分を下されたのにも関わらず、侯爵令嬢を拉致したのだから当たり前とも言えるだろう。
 トニー・フラハティ男爵が騎士団によって拘束されていたのを王族の権利を乱用して解放させ、私への私怨だけで動いたということで、事態を重くみた国王陛下が王位剥奪を命じたのだ。

 ユーベルクは隣国に出向いていたのだが、拘束していたトニーがいなくなったことを報告され、戻ってきたそうだ。
 そんな時、団員のエリオットから連絡をもらい、アラン王子を拘束しに行ったとのことだ。
 騎士団長は苦労が尽きない。
 あんな碌でもないのが幼馴染なんて、心底同情するわ。
 しかし、そんな彼はアランの面倒を見ると自分から進言したそうで、今は一緒に暮らしているそうだ。

 アランが王位を剥奪されたとなると、社交界の大ニュースだ。
 私はあの後、色んな令嬢や令息に質問攻めにあうはめになった。
 今はもう落ち着いたけれど、思い出すだけで頭が痛くなってくる。



 「アリシア。私の話、聞いてます?」

 拉致事件後、シャーロッテの仲が前より深まり、呼び捨てで呼び合う仲となった。
 
 「ああ、何の話だったかしら」
 「エリオットさんの話ですよ!やっぱ聞いてなかったんですね」

 不満げな表情をし、それからいきなり声をひそめる。

 「エリオットさんってアリシアに絶対気がありますよね」
 
 ごふっ。
 むせてしまった。

 「は、はあ?そんな訳ないでしょう」
 「いや、そんな訳あるんですって!」

 シャーロッテによると、エリオットが私を見る目が他の人を見る時と違うらしい。

 「私とか、他の令嬢を見る目はこんなな癖に、アリシアを見る時だけこんな風にあったかくなるんですよ」

  目尻を指で持ち上げたりしながら、エリオットの目つきを表現してくる。
 はっきり言ってあまり違いがわからない。

 「それはエリオットが私を馬鹿にしているのではなくて?」
 「違うんですよお。アリシアって本当にニブいんですね。」

 それからもシャーロッテの演説が続く。
 私が拉致された時、実はとても焦っていただとか、怒りのあまりトニーを締め殺す勢いだったとか。
 

 「はい、ロッテ、もうおしまい」

 延々とつづく彼女の話に終止符を打つ。

 シャーロッテは頬を膨らませ、こう呟いた。

 「でも、エリオットさんと何かあったら一番に私に相談して下さいね」
 「はいはい」
 「絶対ですよ?」
 「わかってるわよ」

 適当に返事をし、会話を終わらせる。

 「なんか、今日妙に焦ってません?」

 彼女の指摘にぎくりとする。

 「そんなこと、ないわよ」
 「本当に?」

 ジリジリと間合いを詰められた時だった。
 廊下が騒がしい。

 助かった。
 半ば逃げるように廊下へ出る。
 シャーロッテもそれに続く。

 廊下ではエリオットと赤髪の色っぽい美男が押し問答をしている。
 一気に汗が吹き出す。
 部屋に戻ろうとした瞬間、男と目が合った。
 まずい。
 さっと目を逸らそうとすると、男が目を輝かせ叫んだ。
 

 「リアああああああ!!!がいなくて寂しかった?寂しかったよねーーーー!!!!」

 「兄、様……」


 思わず額に手を当てる。
 シャーロッテにこの人兄様だけは会わせたくなかったのに……。


 

 
 

 
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