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ここ最近、ジャンヌと身体を重ねても、彼女の反応がどこかぎこちないことに、トーマスはうすうす気づいていた。
自分は熱に浮かされたように、ジャンヌの膣を突き、欲望をぶつけている。
絶頂の瞬間、頭は真っ白になり身体が震えるほど快楽に支配される。
吐精した後は、心地よい疲労感に包まれ、眠気に襲われると、そのまま深い眠りに落ちてしまった。
そして迎えた翌朝ーー
ジャンヌの様子に、少しずつ違和感を覚え始める。
お互いの快楽が解放された翌日は、すっきりとしているものだと思っていた。
だが、ジャンヌは酷く疲れた様子で、ベッドから起き上がる動作もぎこちない。
違和感を感じてから、抱いている時の彼女の反応が気になり始めた。
ジャンヌはただ大人しく受け入れているだけ。身じろぎしても、その表情には恍惚よりも戸惑いの色が滲んでいる。
声も、期待していたような甘い響きではなく、遠慮がちな吐息ばかりだった。
その姿を見るたびに、胸の奥に不安と苛立ちが同時に芽生える。
(……これじゃ、だめだ。)
あの愛らしく、自信に満ちたハルディを相手にするなら、自分がもっと経験豊富でなければならない。
――彼女を悦ばせるだけの余裕と技術が必要なのだ。
目の前のジャンヌは、とても悦んでいるようには見えない。
自分が動けば動くほど、彼女は身を固くし、必死に耐えているように見える。まるで「されるがまま」の人形のようだ。
(こんなことで……ハルディを満足させられるのか?)
焦燥感が全身を焼く。
ジャンヌを抱きながらも、トーマスの心は遠く、常にハルディの姿を追っていた。
***
そんな疑問を抱えたまま迎えた昼休み。
休憩室の隅に座っていたトーマスは、コーヒーを手にぼんやりしていた。
すると、近くのテーブルから先輩社員たちの下卑た笑い声が聞こえてきた。
「この前の女、マジで最悪だったんだよ。酒場でちょっと声かけたら、あっさりついてきたからさ。絶対遊び慣れてると思ったんだ」
「へぇ、で?」
「全然ダメ。慣れてなくて、触るたびにびくっとして、泣きそうな顔しやがって。腰も引けて、盛り上がるどころか冷めたわ。あれはマジでハズレだった」
先輩の一人が鼻で笑い、ビスケットをかじりながら言う。
「お前なぁ、処女だったんだろう?逆にレア物じゃん。処女抱いたなんて自慢できるだろ」
しかし、最初に話していた男は不快そうに顔をしかめる。
「は?遊び相手に欲しいのはすぐにヤラセてくれる女だろ。遊びたいのに処女なんて面倒くせえだけだぜ?お前らもやってみりゃ分かる。泣き顔見せられてみ?こっちは興ざめだっての」
すると、別の先輩が口角を吊り上げ、低い声で割り込む。
「お前らさ、本当にわかってねぇな。ウブな女をどうやって快楽に堕とすか――それが醍醐味なんだよ」
「また始まったぞ、こいつの講釈」
と笑いながらも、周囲は耳を傾ける。彼はわざと声を落として続けた。
「最初は怯えて体固くしてるだろ?でもな、じっくり時間かけて身体を可愛がってやれば蕩けてくるから」
「コイツの愛撫、長えらしいぞ」
一人が声を出して笑う。
「やっぱり、女は蕾が感じるからな。蕾を指で軽く弾きながら、アソコをなぞっていくと、どんどん濡れてくるからさ。
ぐちゃぐちゃになったら、舌で責める。
そうすると、女は力が抜けて、喘ぎ始めるから。最後には自分から求めてくる。あの瞬間を見ると病みつきになるぞ」
別の先輩が笑いながら手を振った。
「お前、具体的に言いすぎだろ。……でも確かに、アソコを舐められるのが好きな女は多いよな?」
「俺、舐めるの好きなんだよね。快楽でドロドロになった女なんて単純だし。俺くらいになると、ちょっと耳元で囁いて、蕾を軽く舌で転がしてやればイチコロよ。女から求めて腰振ってくるから。未経験の奴がガチャガチャやってんの見ると笑えるわ」
「ああ。いるよなぁ、そういう奴。ガツガツ腰を振ってるだけで、実際は全然女を悦ばせられてないってやつ」
「ははっ、そういうのは女の方も可哀想だな」
どっと笑いが起こる。
軽薄で下品な会話――だが、トーマスの胸に刺さったのは彼らの最後の言葉だった。
(……女を悦ばせられてない……?)
自分は欲望のままにジャンヌを抱いてきただけだ。
その反応がぎこちないのは、やはり自分が「未経験の馬鹿にされる側」だからなのではないか。
嫌悪感と劣等感が入り混じり、コーヒーの味はまるで灰のように苦かった。
笑い声が響く休憩室の中で、トーマスの胸だけが重苦しく沈んでいった。
自分は熱に浮かされたように、ジャンヌの膣を突き、欲望をぶつけている。
絶頂の瞬間、頭は真っ白になり身体が震えるほど快楽に支配される。
吐精した後は、心地よい疲労感に包まれ、眠気に襲われると、そのまま深い眠りに落ちてしまった。
そして迎えた翌朝ーー
ジャンヌの様子に、少しずつ違和感を覚え始める。
お互いの快楽が解放された翌日は、すっきりとしているものだと思っていた。
だが、ジャンヌは酷く疲れた様子で、ベッドから起き上がる動作もぎこちない。
違和感を感じてから、抱いている時の彼女の反応が気になり始めた。
ジャンヌはただ大人しく受け入れているだけ。身じろぎしても、その表情には恍惚よりも戸惑いの色が滲んでいる。
声も、期待していたような甘い響きではなく、遠慮がちな吐息ばかりだった。
その姿を見るたびに、胸の奥に不安と苛立ちが同時に芽生える。
(……これじゃ、だめだ。)
あの愛らしく、自信に満ちたハルディを相手にするなら、自分がもっと経験豊富でなければならない。
――彼女を悦ばせるだけの余裕と技術が必要なのだ。
目の前のジャンヌは、とても悦んでいるようには見えない。
自分が動けば動くほど、彼女は身を固くし、必死に耐えているように見える。まるで「されるがまま」の人形のようだ。
(こんなことで……ハルディを満足させられるのか?)
焦燥感が全身を焼く。
ジャンヌを抱きながらも、トーマスの心は遠く、常にハルディの姿を追っていた。
***
そんな疑問を抱えたまま迎えた昼休み。
休憩室の隅に座っていたトーマスは、コーヒーを手にぼんやりしていた。
すると、近くのテーブルから先輩社員たちの下卑た笑い声が聞こえてきた。
「この前の女、マジで最悪だったんだよ。酒場でちょっと声かけたら、あっさりついてきたからさ。絶対遊び慣れてると思ったんだ」
「へぇ、で?」
「全然ダメ。慣れてなくて、触るたびにびくっとして、泣きそうな顔しやがって。腰も引けて、盛り上がるどころか冷めたわ。あれはマジでハズレだった」
先輩の一人が鼻で笑い、ビスケットをかじりながら言う。
「お前なぁ、処女だったんだろう?逆にレア物じゃん。処女抱いたなんて自慢できるだろ」
しかし、最初に話していた男は不快そうに顔をしかめる。
「は?遊び相手に欲しいのはすぐにヤラセてくれる女だろ。遊びたいのに処女なんて面倒くせえだけだぜ?お前らもやってみりゃ分かる。泣き顔見せられてみ?こっちは興ざめだっての」
すると、別の先輩が口角を吊り上げ、低い声で割り込む。
「お前らさ、本当にわかってねぇな。ウブな女をどうやって快楽に堕とすか――それが醍醐味なんだよ」
「また始まったぞ、こいつの講釈」
と笑いながらも、周囲は耳を傾ける。彼はわざと声を落として続けた。
「最初は怯えて体固くしてるだろ?でもな、じっくり時間かけて身体を可愛がってやれば蕩けてくるから」
「コイツの愛撫、長えらしいぞ」
一人が声を出して笑う。
「やっぱり、女は蕾が感じるからな。蕾を指で軽く弾きながら、アソコをなぞっていくと、どんどん濡れてくるからさ。
ぐちゃぐちゃになったら、舌で責める。
そうすると、女は力が抜けて、喘ぎ始めるから。最後には自分から求めてくる。あの瞬間を見ると病みつきになるぞ」
別の先輩が笑いながら手を振った。
「お前、具体的に言いすぎだろ。……でも確かに、アソコを舐められるのが好きな女は多いよな?」
「俺、舐めるの好きなんだよね。快楽でドロドロになった女なんて単純だし。俺くらいになると、ちょっと耳元で囁いて、蕾を軽く舌で転がしてやればイチコロよ。女から求めて腰振ってくるから。未経験の奴がガチャガチャやってんの見ると笑えるわ」
「ああ。いるよなぁ、そういう奴。ガツガツ腰を振ってるだけで、実際は全然女を悦ばせられてないってやつ」
「ははっ、そういうのは女の方も可哀想だな」
どっと笑いが起こる。
軽薄で下品な会話――だが、トーマスの胸に刺さったのは彼らの最後の言葉だった。
(……女を悦ばせられてない……?)
自分は欲望のままにジャンヌを抱いてきただけだ。
その反応がぎこちないのは、やはり自分が「未経験の馬鹿にされる側」だからなのではないか。
嫌悪感と劣等感が入り混じり、コーヒーの味はまるで灰のように苦かった。
笑い声が響く休憩室の中で、トーマスの胸だけが重苦しく沈んでいった。
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