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高等部 1年生
いつだって助けはやって来る(前編)
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わあぁぁっ!!!!!
──どこかから聞こえてきた大きな歓声に、寝ぼけながらも目を覚ます。
……あれ? いつの間に寝ちゃってたんだろう??
ゆっくりと身体を起こそうとするも、上手く起き上がれない。
…………なぜ??
すぐにその理由は分かった。
私の両手と両足は紐で縛られていて、口も布のようなもので塞がれている。
寝ぼけていたけど、今ので完全に目が覚めました。
な、何が起きたの? そして、ここはどこ??
反動を使い、横たわってる身体を起こそうと奮闘する。
両手が後ろで縛られているせいでバランスを取るのは難しかったけど、なんとか座った状態までは起き上がる事ができた。
今いるのは10名程度が入れる教室。……いや、教室というより小部屋って感じ。
私の他に人は……誰もいない。この部屋に私1人だけ?
さっきの歓声もそうだけど、外の声はうっすらと聞こえてくる。
うーん。学校のどこかである事は間違いないと思うんだけど、あまり情報となるものがないなぁ。
でも、人の声が聞こえて安心したからかな?
少しだけ冷静になれた。
──状況を整理しよう。
いつもなら、いるはずの警護の人たちが緊急招集でいなかった。
ルール説明の時も数名の関係者がいるかと思ってたけど、試合の関係者は1人しかいなかった。
何より、いると思っていたメロウさんがいなかった(まぁ、これは私が勝手にいると思っていただけだけど)。
試合のルール説明を聞いてる途中、ジュリアが男性の会話を遮って自分の事を話し出した。
男性は、その事に驚きもせず、止めもしなかった。
ジュリアが自分に酔いしれて語っている中、なぜか急に眠くなってきて……今に至る、と。
……ふむ。これは、ジュリアにしてやられましたな。
全てがジュリアの仕業という確証はないけど、思い返すと違和感しかない。
こういうのって、事が起こらないと気がつかないものだよね。
そして、思うんだ。
『あぁー、あの時に早く気がつけばよかったなぁー』とか。
『きっと説明の時に飲んだ紅茶に睡眠薬の類が入ってて眠くなったんだなぁー』とか。
……みんな、ごめん。心配してるだろうな。
……さて、と!
反省と後悔は、一旦ここで終わりっ!!
後悔ばかりしていても、今の状況は変わらない!
次は、この状況をどうするか考えよう。
ジュリアが私を閉じ込めた目的はなんだろう?
何か熱く語っていた気がするけど、あまりにも眠くて覚えてないんだよなぁ。
ジュリアは“乙女ゲーム”である『childhood friends』の存在を知っていて、圧勝できると思ってたけど、それが怪しくなってきたとかなんとか言ってたような?
幼なじみ達の優秀さを知って、負ける可能性が出てきたから今回の事を企てた? ということ??
もしかして、私以外にも捕まってる幼なじみがいるのかな?
……だとしたら、絶対に許せん!!!
さっき歓声のような音が聞こえてきた。
多分、試合が始まってしまったのだろう。
どうにかして、ここから脱出しなきゃ!!
扉は……右側に1つある。
扉まで行きたくても、足を縛られていて立つ事はできない。
カッコ悪いけど……お尻歩きで、どうにか扉の近くまで移動する。
上半身を懸命に伸ばし、ドアノブ付近を確認したところ、簡単な鍵が掛かっているのが見えた。
内側の鍵を外せば、扉が開く?
んー、さすがに外側にも鍵を掛けてるだろうな。もしくは見張りがいるかもしれない。
扉を両足で思い切り蹴れば、誰かに気がついてもらえるかな?
気づいてもらえなくても見張りの人がいるなら、何かしら反応してくれるかもしれない。
そしたら『うるさい!』とか言って、扉を開けてくれないだろうか?
……開いたとしてもこの足じゃ逃げれない。
でも何もしないよりはましか。やってみよう!!
試しに何度か扉をガンガンと両足で蹴ってみる。
……反応なし。見張りもいない??
いや、見張りがないと断定するには早い。
これは先に私の手足を自由にした方が早く脱出できそう。
紐を切れそうなものがないか、周りを見渡す。
…………何もない。困った。
そうだ! 私うっかりしてました!
腰に短剣を持ち歩いているのでした!!
さっそく、後ろ手に自分の腰元を確認する。
……な、ない! 取られている!!
こんな時──
『アリア!』と誰かが助かにきてくれたり……
『この落ちてる石で縄をほどけないかな?』と都合のいい尖った石が落ちてたり……
『あっ! 上に小さい扉がある! あそこから脱出できるかも』とかね……
色々な可能性があっていいもんだけど......なんっもない!!
こうなったら力ずくで紐を切れないかな?
手首を捻るように何度も何度も動かしたり、紐を思いきり引っ張ったりしてみる。
縛られている足も同様に動かしてみたけれど、紐が緩む様子はない。
紐で手首、足首が擦れてきのか、段々と痛くなってきた。
ずっと動いてるから、汗もすごいし疲れてきたな……。
ど、どうしよう!!!!
これは、いよいよもって脱出できない!??
……と焦っていたら、なんだか扉の外が騒がしい気が……?
これは──近くに人がいる!!
急いで身体の向きを変え、扉に耳を当てる。
外からは何かぼそぼそと話す声が聞こえてきた。
「──ジュリア様に頼まれたのですか?」
「そうです。ジュリアに頼まれてきました。扉の鍵をいただいた後、貴方たちはお戻りいただいて構いません」
女性の声? この声どこかで聞いた事があるような……?
「はぁ……でも……」
「ジュリアの学友である私に何かご不満でも?」
「いえ、ございません! 失礼しました!!」
パタパタと走り去っていく複数の足音が聞こえる。
その音が消えると、次に扉の鍵をガチャガチャと開ける音がした。
──どこかから聞こえてきた大きな歓声に、寝ぼけながらも目を覚ます。
……あれ? いつの間に寝ちゃってたんだろう??
ゆっくりと身体を起こそうとするも、上手く起き上がれない。
…………なぜ??
すぐにその理由は分かった。
私の両手と両足は紐で縛られていて、口も布のようなもので塞がれている。
寝ぼけていたけど、今ので完全に目が覚めました。
な、何が起きたの? そして、ここはどこ??
反動を使い、横たわってる身体を起こそうと奮闘する。
両手が後ろで縛られているせいでバランスを取るのは難しかったけど、なんとか座った状態までは起き上がる事ができた。
今いるのは10名程度が入れる教室。……いや、教室というより小部屋って感じ。
私の他に人は……誰もいない。この部屋に私1人だけ?
さっきの歓声もそうだけど、外の声はうっすらと聞こえてくる。
うーん。学校のどこかである事は間違いないと思うんだけど、あまり情報となるものがないなぁ。
でも、人の声が聞こえて安心したからかな?
少しだけ冷静になれた。
──状況を整理しよう。
いつもなら、いるはずの警護の人たちが緊急招集でいなかった。
ルール説明の時も数名の関係者がいるかと思ってたけど、試合の関係者は1人しかいなかった。
何より、いると思っていたメロウさんがいなかった(まぁ、これは私が勝手にいると思っていただけだけど)。
試合のルール説明を聞いてる途中、ジュリアが男性の会話を遮って自分の事を話し出した。
男性は、その事に驚きもせず、止めもしなかった。
ジュリアが自分に酔いしれて語っている中、なぜか急に眠くなってきて……今に至る、と。
……ふむ。これは、ジュリアにしてやられましたな。
全てがジュリアの仕業という確証はないけど、思い返すと違和感しかない。
こういうのって、事が起こらないと気がつかないものだよね。
そして、思うんだ。
『あぁー、あの時に早く気がつけばよかったなぁー』とか。
『きっと説明の時に飲んだ紅茶に睡眠薬の類が入ってて眠くなったんだなぁー』とか。
……みんな、ごめん。心配してるだろうな。
……さて、と!
反省と後悔は、一旦ここで終わりっ!!
後悔ばかりしていても、今の状況は変わらない!
次は、この状況をどうするか考えよう。
ジュリアが私を閉じ込めた目的はなんだろう?
何か熱く語っていた気がするけど、あまりにも眠くて覚えてないんだよなぁ。
ジュリアは“乙女ゲーム”である『childhood friends』の存在を知っていて、圧勝できると思ってたけど、それが怪しくなってきたとかなんとか言ってたような?
幼なじみ達の優秀さを知って、負ける可能性が出てきたから今回の事を企てた? ということ??
もしかして、私以外にも捕まってる幼なじみがいるのかな?
……だとしたら、絶対に許せん!!!
さっき歓声のような音が聞こえてきた。
多分、試合が始まってしまったのだろう。
どうにかして、ここから脱出しなきゃ!!
扉は……右側に1つある。
扉まで行きたくても、足を縛られていて立つ事はできない。
カッコ悪いけど……お尻歩きで、どうにか扉の近くまで移動する。
上半身を懸命に伸ばし、ドアノブ付近を確認したところ、簡単な鍵が掛かっているのが見えた。
内側の鍵を外せば、扉が開く?
んー、さすがに外側にも鍵を掛けてるだろうな。もしくは見張りがいるかもしれない。
扉を両足で思い切り蹴れば、誰かに気がついてもらえるかな?
気づいてもらえなくても見張りの人がいるなら、何かしら反応してくれるかもしれない。
そしたら『うるさい!』とか言って、扉を開けてくれないだろうか?
……開いたとしてもこの足じゃ逃げれない。
でも何もしないよりはましか。やってみよう!!
試しに何度か扉をガンガンと両足で蹴ってみる。
……反応なし。見張りもいない??
いや、見張りがないと断定するには早い。
これは先に私の手足を自由にした方が早く脱出できそう。
紐を切れそうなものがないか、周りを見渡す。
…………何もない。困った。
そうだ! 私うっかりしてました!
腰に短剣を持ち歩いているのでした!!
さっそく、後ろ手に自分の腰元を確認する。
……な、ない! 取られている!!
こんな時──
『アリア!』と誰かが助かにきてくれたり……
『この落ちてる石で縄をほどけないかな?』と都合のいい尖った石が落ちてたり……
『あっ! 上に小さい扉がある! あそこから脱出できるかも』とかね……
色々な可能性があっていいもんだけど......なんっもない!!
こうなったら力ずくで紐を切れないかな?
手首を捻るように何度も何度も動かしたり、紐を思いきり引っ張ったりしてみる。
縛られている足も同様に動かしてみたけれど、紐が緩む様子はない。
紐で手首、足首が擦れてきのか、段々と痛くなってきた。
ずっと動いてるから、汗もすごいし疲れてきたな……。
ど、どうしよう!!!!
これは、いよいよもって脱出できない!??
……と焦っていたら、なんだか扉の外が騒がしい気が……?
これは──近くに人がいる!!
急いで身体の向きを変え、扉に耳を当てる。
外からは何かぼそぼそと話す声が聞こえてきた。
「──ジュリア様に頼まれたのですか?」
「そうです。ジュリアに頼まれてきました。扉の鍵をいただいた後、貴方たちはお戻りいただいて構いません」
女性の声? この声どこかで聞いた事があるような……?
「はぁ……でも……」
「ジュリアの学友である私に何かご不満でも?」
「いえ、ございません! 失礼しました!!」
パタパタと走り去っていく複数の足音が聞こえる。
その音が消えると、次に扉の鍵をガチャガチャと開ける音がした。
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