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第64話 スパリゾート共和国が出来るまで⑤
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私が刻んだ転移魔法陣を使って、カトリーヌさんが指揮する冒険者の一団で、ジャンガード領へと再び向かった。
フリオニール様も、目に涙を浮かべながらブルックとカールの二人と一緒に、結界の外で殲滅された、ミカ様の領都軍の方々の遺品を中心に集められていた。
「ミカ、不甲斐ない兄で済まなかった…… お前の無念はこの兄が必ず晴らすからな……」
「フリルちゃーん? あなた駄目よそんなんじゃ? 折角のフルメークが狸さんみたいになってるわよ? さっさとお化粧を直して行くわよ?」
「え? 行くって何処へ?」
「そんなの決まってるじゃ無いの? 結界内部で殺されてた人達は、明らかに軍の蹂躙を受けた跡があったわよ? それも若い女性達なんかは犯されて殺された形跡も残ってたわ。一般人に手を出した以上は、相手の所属が軍であろうとそんな事は関係ないわ、ただの盗賊よ。盗賊討伐は立派に冒険者の仕事ですから、殲滅に行くに決まってるじゃ無いの」
「あの? カトリーヌさん? 恐らくですが、シルバが感じた気配だと、2万人近い敵勢力が居た筈です。精々500人程のこの人数では危険すぎますから、そこは軍に任せた方が……」
「あら? 何を言ってるの。私達がたかだか2万人程度の軍に負ける筈無いでしょ? 美しさの前には、悪は滅び去るのみよ。行くわよフリルちゃん。貴女は飛空船使えるんでしょ? それなら、キャサリンと私が居れば、きっと大丈夫よ」
キャサリンさんの方を見ると、額に手を当てて、『駄目だこりゃ』的なポーズを取っていた。
一体2万人相手に、フリオニール様達の3人と、キャサリンさんで何とかなるって言う自信は、何処から出るんだろ?
◇◆◇◆
その時、スープラ君から念話が入ってきた。
『アスカ様、大変です。国境に向かって帝国軍の侵攻が始まりました。人数が、ぱっと見でも想像がつかない規模です。恐らくですが100万人は大幅に超えていると思います』
『何ですって? 距離はどれくらい?』
『まだ20㎞以上はあると思いますが、騎兵や戦馬車なら1時間程で、先陣が国境に到着します』
『解ったわ、私もすぐに向かいますから、イービル領内に居る冒険者達をフリル領まで下がるように指示を出して、残るのは飛空船部隊だけにしておいて』
『解りました。お待ちしてますアスカ様』
「フリオニール様、国境の方で大きな動きがありましたのでここはお任せします。くれぐれもカトリーヌさんの指示に従って無茶をしない様にお願いしますね」
「アスカ、私はこの姿の時はフリオニールでは無いわ、冒険者フリルよ。カトリーヌお姉さまと共に、美しく敵を殲滅して見せるわ」
「……ま、まぁ、いいです。キャサリンさん。くれぐれも無茶はしない様にお願いしますね」
「ええ、でもね、このジャンガード領の住民は2万以上居た筈なんですけど、今確認できてる遺体は1万人分もありません。恐らくここに攻め込んだ部隊に、連れ去られているのでしょう。その方々の解放を優先したいと思います。ここは私達に任せてイービル領側の国境に向かって下さい」
「お願いします」
私は、すぐに転移魔法陣でイービル国境に迎い、国境線に結界を3重に張り、最大化したシルバと共に、帝国軍を待ち構えた。
「スープラ君、こちらからは絶対に攻撃を仕掛けないでね、私は大丈夫だから一応帝国側の言い分を聞いてから、動きを決めるよ」
「了解しました。アスカ様」
イービル領の住民たちの避難指示を任せていた、第2王子アレキサンダー様にも私の側に来ていただいた。
流石に国としての返答をする時には、王族の存在は必要だしね。
「シルバは、全力でアレキサンダー様をお守りしてね?」
「アォン!」
◇◆◇◆
「フリルちゃん、1万人も捕虜を取られてる状態だと、簡単に相手を殲滅すると捕虜の方達も危険だわ。ギルノアの国軍は動かせる?」
「オリオン叔父に連絡を取り、すぐに動かします」
フリオニールの要請により、国軍から5万の戦力がイービル領に到着し、帝国領との国境になっている渓谷に向けての進軍が始まった。
「フリルちゃんは、飛空船を飛ばして国軍が追い出してくれる、敵の勢力を補足するわよ」
「了解です。ブルック頼むぞ」
「任せろ」
「ねぇ、フリルちゃん? この魔導砲の使い方教えて?」
「キャサリン姉様、魔導砲はかなり高度な魔力制御が出来ないと、威力はあまり期待できませんよ?」
「大丈夫だと思うよ? 私、こう見えてもエルフだから」
「えっ? 耳、尖って無いじゃ無いですか?」
「これは、認識阻害で見せかけてるだけよ。私は第2王妃のカレン姉様の一番下の妹だからね」
「え? それならエルフの王族の方じゃ無いですか? なんでギルド嬢とかやってるんですか?」
「趣味?」
「じゃぁ、キャサリン姉様は、私の叔母様って事ですか?」
「死にたい?」
「あ、ええ、いや。ごめんなさい。お姉様」
「それでよろしい。きっと魔力量だけなら、アスカ様を除いた誰よりも多いと思うから、早く使い方教えなさい?」
「アスカってそんなに凄いんですか? エルフの王族よりも魔力量が多いとか……」
「あの方は、まったく別次元にいるわね。フリルちゃんの婚約者だったのに、婚約破棄しちゃったんでしょ? 馬鹿な事したわよねぇ。もしアスカちゃんが敵だったら、とっくにこの国なんか、無くなってるわよ?」
「あ、魔導砲の使い方なら。カールが詳しいので」
「話はぐらかしたでしょ?」
「……」
上空でカールに習いながら、キャサリンが発射した魔導砲の威力は、カールが見本で放った魔導砲の威力を遥かに凌駕していた。
「これは…… 捕らわれてるジャンガードの領民が居る場所には撃てないわね……」
フリオニール様も、目に涙を浮かべながらブルックとカールの二人と一緒に、結界の外で殲滅された、ミカ様の領都軍の方々の遺品を中心に集められていた。
「ミカ、不甲斐ない兄で済まなかった…… お前の無念はこの兄が必ず晴らすからな……」
「フリルちゃーん? あなた駄目よそんなんじゃ? 折角のフルメークが狸さんみたいになってるわよ? さっさとお化粧を直して行くわよ?」
「え? 行くって何処へ?」
「そんなの決まってるじゃ無いの? 結界内部で殺されてた人達は、明らかに軍の蹂躙を受けた跡があったわよ? それも若い女性達なんかは犯されて殺された形跡も残ってたわ。一般人に手を出した以上は、相手の所属が軍であろうとそんな事は関係ないわ、ただの盗賊よ。盗賊討伐は立派に冒険者の仕事ですから、殲滅に行くに決まってるじゃ無いの」
「あの? カトリーヌさん? 恐らくですが、シルバが感じた気配だと、2万人近い敵勢力が居た筈です。精々500人程のこの人数では危険すぎますから、そこは軍に任せた方が……」
「あら? 何を言ってるの。私達がたかだか2万人程度の軍に負ける筈無いでしょ? 美しさの前には、悪は滅び去るのみよ。行くわよフリルちゃん。貴女は飛空船使えるんでしょ? それなら、キャサリンと私が居れば、きっと大丈夫よ」
キャサリンさんの方を見ると、額に手を当てて、『駄目だこりゃ』的なポーズを取っていた。
一体2万人相手に、フリオニール様達の3人と、キャサリンさんで何とかなるって言う自信は、何処から出るんだろ?
◇◆◇◆
その時、スープラ君から念話が入ってきた。
『アスカ様、大変です。国境に向かって帝国軍の侵攻が始まりました。人数が、ぱっと見でも想像がつかない規模です。恐らくですが100万人は大幅に超えていると思います』
『何ですって? 距離はどれくらい?』
『まだ20㎞以上はあると思いますが、騎兵や戦馬車なら1時間程で、先陣が国境に到着します』
『解ったわ、私もすぐに向かいますから、イービル領内に居る冒険者達をフリル領まで下がるように指示を出して、残るのは飛空船部隊だけにしておいて』
『解りました。お待ちしてますアスカ様』
「フリオニール様、国境の方で大きな動きがありましたのでここはお任せします。くれぐれもカトリーヌさんの指示に従って無茶をしない様にお願いしますね」
「アスカ、私はこの姿の時はフリオニールでは無いわ、冒険者フリルよ。カトリーヌお姉さまと共に、美しく敵を殲滅して見せるわ」
「……ま、まぁ、いいです。キャサリンさん。くれぐれも無茶はしない様にお願いしますね」
「ええ、でもね、このジャンガード領の住民は2万以上居た筈なんですけど、今確認できてる遺体は1万人分もありません。恐らくここに攻め込んだ部隊に、連れ去られているのでしょう。その方々の解放を優先したいと思います。ここは私達に任せてイービル領側の国境に向かって下さい」
「お願いします」
私は、すぐに転移魔法陣でイービル国境に迎い、国境線に結界を3重に張り、最大化したシルバと共に、帝国軍を待ち構えた。
「スープラ君、こちらからは絶対に攻撃を仕掛けないでね、私は大丈夫だから一応帝国側の言い分を聞いてから、動きを決めるよ」
「了解しました。アスカ様」
イービル領の住民たちの避難指示を任せていた、第2王子アレキサンダー様にも私の側に来ていただいた。
流石に国としての返答をする時には、王族の存在は必要だしね。
「シルバは、全力でアレキサンダー様をお守りしてね?」
「アォン!」
◇◆◇◆
「フリルちゃん、1万人も捕虜を取られてる状態だと、簡単に相手を殲滅すると捕虜の方達も危険だわ。ギルノアの国軍は動かせる?」
「オリオン叔父に連絡を取り、すぐに動かします」
フリオニールの要請により、国軍から5万の戦力がイービル領に到着し、帝国領との国境になっている渓谷に向けての進軍が始まった。
「フリルちゃんは、飛空船を飛ばして国軍が追い出してくれる、敵の勢力を補足するわよ」
「了解です。ブルック頼むぞ」
「任せろ」
「ねぇ、フリルちゃん? この魔導砲の使い方教えて?」
「キャサリン姉様、魔導砲はかなり高度な魔力制御が出来ないと、威力はあまり期待できませんよ?」
「大丈夫だと思うよ? 私、こう見えてもエルフだから」
「えっ? 耳、尖って無いじゃ無いですか?」
「これは、認識阻害で見せかけてるだけよ。私は第2王妃のカレン姉様の一番下の妹だからね」
「え? それならエルフの王族の方じゃ無いですか? なんでギルド嬢とかやってるんですか?」
「趣味?」
「じゃぁ、キャサリン姉様は、私の叔母様って事ですか?」
「死にたい?」
「あ、ええ、いや。ごめんなさい。お姉様」
「それでよろしい。きっと魔力量だけなら、アスカ様を除いた誰よりも多いと思うから、早く使い方教えなさい?」
「アスカってそんなに凄いんですか? エルフの王族よりも魔力量が多いとか……」
「あの方は、まったく別次元にいるわね。フリルちゃんの婚約者だったのに、婚約破棄しちゃったんでしょ? 馬鹿な事したわよねぇ。もしアスカちゃんが敵だったら、とっくにこの国なんか、無くなってるわよ?」
「あ、魔導砲の使い方なら。カールが詳しいので」
「話はぐらかしたでしょ?」
「……」
上空でカールに習いながら、キャサリンが発射した魔導砲の威力は、カールが見本で放った魔導砲の威力を遥かに凌駕していた。
「これは…… 捕らわれてるジャンガードの領民が居る場所には撃てないわね……」
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