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2.婚約
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幼い頃から侯爵令嬢として両親の教えに従い生きてきた。
物心ついた時から、貴族としての教養とマナー、国の歴史や王家の成り立ち、近隣諸国との関係や言語など、専属の家庭教師たちに厳しく指導されてきた。
幼い頃から学ぶことは好きだったようで、素直にどんどん知識を吸収していった。
また、3つ上の兄が大好きで、いつも兄のそばで遊んでおり、兄のする事すべてを真似していたため、剣術や馬術にも興味を持ち兄と共に習い始めた。
家庭教師は、物覚えの良さと、足りない部分は努力で補うユリアナの姿勢をいつも褒めていた。
「ユリアナ様なら王子妃となる素養は申し分ありませんわ。王太子妃として立つことも可能なほどです。とにかく優秀である、ということです」
このカイザル王国には、正妃から生まれた第一王子、側妃から生まれた第二王子と第三王子がいた。
正妃フローレンスは、隣国の更に向こう側にあるザイカラル国の王女だった。
現王ロードリックが、ザイカラル国に視察に行った際、フローレンスを見初めたことで正妃として嫁いできた。
ロードリックとの関係は良好ではあったが、期待された世継ぎがなかなか授からなかった。
周りからの期待の声と、早く世継ぎをという重圧に、正妃フローレンスは次第に公の場に姿を現すことがなくなっていった。
正妃の精神的負担を取り除くようにという王の提言と、世継ぎとなる王子教育を、少しでも早く開始したいと望む貴族議会の承認を得て、国内より側妃を迎えることが決定した。
ところが、側妃が輿入れをした半年後に正妃の懐妊が発表され、そのさらに3ヶ月後に側妃の懐妊も発表された。
正妃のフローレンスは、第一王子出産後から体調を崩すことが多くなり、現在は正妃としての最低限の公務を行うのみとしている。
側妃は、第一王子と3ヶ月違いの第二王子を出産後、その2年後に第三王子を出産した。
第一王子のレオンハルト・カイザルは、幼い頃から優秀で、誰しもが未来の国王はレオンハルトだと認める存在である。
我が国のコンフォード公爵家の一人娘ミシェル・コンフォードと婚約しており、数年のうちに婚姻の儀を行う予定となっている。
第二王子のライナルト・カイザルは、レオンハルトと同じ年齢ということもあり、王位継承権をめぐる派閥争いに巻き込まれたくないと、早々に王位継承権を放棄し、12歳の貴族学院中等部に上がるタイミングで、隣国トルランへ留学してしまった。
ユリアナの聖人の力が発現した際、レオンハルトはすでにミシェルと婚約していたため、聖人ユリアナの婚約者はこの第二王子のライナルトを、というのが貴族議会の意向だった。
しかし、ライナルトが魔法研究のため隣国への留学を希望し、また、いつ帰国するかわからない状況のため、婚約には至らなかった。
国内に聖人をとどめておきたい王家は、王命とも思えるような第三王子との婚約を打診し、それを侯爵家が受け、ユリアナと第三王子リチャード・カイザルの婚約が決まったのである。
「君が聖人で僕の婚約者のユリアナ・フォンベルト侯爵令嬢だね。僕のことはリチャードと呼んでくれると嬉しいな。これからよろしくね」
濃い金色の髪に深い青の大きな瞳で、柔らかく微笑みながらユリアナを見つめている。
「はい、リチャード様。私のことはユリアナとお呼びください。こちらこそよろしくお願い致します」
「ではユリアナ、そんなに緊張しなくていいよ。美味しいお菓子を用意したから、一緒に食べよう?」
リチャードは柔らかく微笑むと、ユリアナに手を差し出した。
この時は、この穏やかな方となら、生涯ともに過ごしていける気がすると思った。
それからは、王子妃教育で週に2回王宮に通い、授業が終わるとリチャード様とお茶会をして親交を深めていった。
誕生日にはお互い贈り物をし、お忍びで街に出て買い物をしたり、一緒に孤児院へ慰問に行ったりと、定期的に交流を続けていた。
そこに愛情は芽生えなくとも、お互い良きパートナーとして信頼し合い、穏やかな時間を過ごすことが出来た。
「ユリアナ、学院が終わってから、王子妃教育と聖人の仕事と忙しくしているけど、疲れてはいないかい?無理はしなくて良いからね」
リチャード様はいつでも気遣ってくれて、本当にお優しい方だわ。
この国の王子でありながら、偉ぶることもなく常に礼儀正しく優しいリチャードに、ユリアナは惹かれていった。
淡い恋心から、この方を生涯幸せにしたいと愛情に変わっていく気持ちに気付いて、私は幸せだと実感した。
それなのに……
その後、この第三王子と真実の愛に陥れられ、惨たらしく死に追いやられるとは想像できるはずもなかった。
物心ついた時から、貴族としての教養とマナー、国の歴史や王家の成り立ち、近隣諸国との関係や言語など、専属の家庭教師たちに厳しく指導されてきた。
幼い頃から学ぶことは好きだったようで、素直にどんどん知識を吸収していった。
また、3つ上の兄が大好きで、いつも兄のそばで遊んでおり、兄のする事すべてを真似していたため、剣術や馬術にも興味を持ち兄と共に習い始めた。
家庭教師は、物覚えの良さと、足りない部分は努力で補うユリアナの姿勢をいつも褒めていた。
「ユリアナ様なら王子妃となる素養は申し分ありませんわ。王太子妃として立つことも可能なほどです。とにかく優秀である、ということです」
このカイザル王国には、正妃から生まれた第一王子、側妃から生まれた第二王子と第三王子がいた。
正妃フローレンスは、隣国の更に向こう側にあるザイカラル国の王女だった。
現王ロードリックが、ザイカラル国に視察に行った際、フローレンスを見初めたことで正妃として嫁いできた。
ロードリックとの関係は良好ではあったが、期待された世継ぎがなかなか授からなかった。
周りからの期待の声と、早く世継ぎをという重圧に、正妃フローレンスは次第に公の場に姿を現すことがなくなっていった。
正妃の精神的負担を取り除くようにという王の提言と、世継ぎとなる王子教育を、少しでも早く開始したいと望む貴族議会の承認を得て、国内より側妃を迎えることが決定した。
ところが、側妃が輿入れをした半年後に正妃の懐妊が発表され、そのさらに3ヶ月後に側妃の懐妊も発表された。
正妃のフローレンスは、第一王子出産後から体調を崩すことが多くなり、現在は正妃としての最低限の公務を行うのみとしている。
側妃は、第一王子と3ヶ月違いの第二王子を出産後、その2年後に第三王子を出産した。
第一王子のレオンハルト・カイザルは、幼い頃から優秀で、誰しもが未来の国王はレオンハルトだと認める存在である。
我が国のコンフォード公爵家の一人娘ミシェル・コンフォードと婚約しており、数年のうちに婚姻の儀を行う予定となっている。
第二王子のライナルト・カイザルは、レオンハルトと同じ年齢ということもあり、王位継承権をめぐる派閥争いに巻き込まれたくないと、早々に王位継承権を放棄し、12歳の貴族学院中等部に上がるタイミングで、隣国トルランへ留学してしまった。
ユリアナの聖人の力が発現した際、レオンハルトはすでにミシェルと婚約していたため、聖人ユリアナの婚約者はこの第二王子のライナルトを、というのが貴族議会の意向だった。
しかし、ライナルトが魔法研究のため隣国への留学を希望し、また、いつ帰国するかわからない状況のため、婚約には至らなかった。
国内に聖人をとどめておきたい王家は、王命とも思えるような第三王子との婚約を打診し、それを侯爵家が受け、ユリアナと第三王子リチャード・カイザルの婚約が決まったのである。
「君が聖人で僕の婚約者のユリアナ・フォンベルト侯爵令嬢だね。僕のことはリチャードと呼んでくれると嬉しいな。これからよろしくね」
濃い金色の髪に深い青の大きな瞳で、柔らかく微笑みながらユリアナを見つめている。
「はい、リチャード様。私のことはユリアナとお呼びください。こちらこそよろしくお願い致します」
「ではユリアナ、そんなに緊張しなくていいよ。美味しいお菓子を用意したから、一緒に食べよう?」
リチャードは柔らかく微笑むと、ユリアナに手を差し出した。
この時は、この穏やかな方となら、生涯ともに過ごしていける気がすると思った。
それからは、王子妃教育で週に2回王宮に通い、授業が終わるとリチャード様とお茶会をして親交を深めていった。
誕生日にはお互い贈り物をし、お忍びで街に出て買い物をしたり、一緒に孤児院へ慰問に行ったりと、定期的に交流を続けていた。
そこに愛情は芽生えなくとも、お互い良きパートナーとして信頼し合い、穏やかな時間を過ごすことが出来た。
「ユリアナ、学院が終わってから、王子妃教育と聖人の仕事と忙しくしているけど、疲れてはいないかい?無理はしなくて良いからね」
リチャード様はいつでも気遣ってくれて、本当にお優しい方だわ。
この国の王子でありながら、偉ぶることもなく常に礼儀正しく優しいリチャードに、ユリアナは惹かれていった。
淡い恋心から、この方を生涯幸せにしたいと愛情に変わっていく気持ちに気付いて、私は幸せだと実感した。
それなのに……
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