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6 猫……?
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「あ————よく寝た。ん……? 天緒、誰だよそのオッサン」
「………………え?」
猫だ。黒猫がいる。
しかも今、喋ったような気がするのだが……。
「……え? 猫……? 猫だよな……?」
「あ? 猫じゃなきゃ何に見えんだよ。あー腹減った、今夜の飯何?」
「おかえり夜見、今夜はお鍋だよ。ほら、おいで」
——???????
猫が喋り、喋る猫にごく普通に話しかける天緒のやりとりを見守りながら……律は一旦、眼鏡を外してハンカチでレンズを拭った。
そしてもう一度、メガネをかける。
「ほら、あついから気をつけるんだよ」
「わかってるよ。……あっづ!!」
「ったく、猫舌なんだから気をつけないと」
——えーーーーーーーーと…………?
食卓の上に音もなく乗ってきて、取り分けた鍋の鶏肉をはぐはぐしているのは、紛れもなく黒猫だ。律は一旦立ち上がって天井を仰ぎ、改めて食卓についた。
「ね、猫を飼っていたんだな。園田さんは何も言ってなかったけど……」
「ああ、この子は大きい声を出す女性が苦手で、あの部屋から出てこないんですよ。園田さんも、うちに猫がいることを知りません」
「へ、へえ……そうなんだ」
「で? 誰だよこの辛気くせー顔したオッサンは」
「し、辛気臭いだと!? て、てて、ていうかなんなんだお前は!? 化け猫か!?」
「化け猫ぉ? はっ、そんな古臭い呼び方されんのは何百年ぶりだ?」
「じゃあなんだ? 猫……猫……猫又かなにかか!?」
ぎょろ、と黒猫の金色の瞳が律を捉える。
飛びかかってこられると直感的に思い、両手をあげてガードすると……。
ぼふん、とかすかな破裂音のようなものが聞こえてきた。うっすら目を開くと——三脚あるうちの一つの椅子に黒髪の青年が腰掛けている。
「……へ!? 誰だ君は!? どこから入ってきた!?」
やや癖のある黒髪に金色の瞳。ダボっとした黒いパーカーに黒いズボンという黒づくめの青年が目の前に現れた。突然、何もないところから……。
いやまて、猫はいた。
まるで猫が人間に化たかのように、突然、二十代前半と見える細身の青年が現れたのだ。天使のごとき容姿をした天緒とは対照的で、黒づくめの青年は全体的に悪魔めいた風貌の尖った美形だ。街で出くわして肩でもぶつかろうものなら、即座にメンチを切ってきそうなタイプに違いない。
「あ、ご紹介します。これはぼくの使い魔で、名は夜見です」
「よ、み……?」
「呼び捨てすんな。夜見さんと呼べ」
「夜見さん……?」
「そして夜見、こちらは深澄律先生。もっと丁寧な言葉で喋りなさい」
「深澄、律……?」
夜見の金色の瞳が、一瞬うるりと揺れて見えた。だがそれは一瞬で、すぐに初対面時の冷ややかな目つきに戻る。
「で、なんでオッサン作家がこんなとこにいんだよ」
夜見はそんなことを言いながら箸を取り、ひとりで先に食事を取り始めた。猫状態でも人間状態でも食事が取れるらしい。
「つ、使い魔っていったか? 使い魔というのはつまり……妖とか、そういう類のものなのかい?」
律は椅子に浅く腰掛け、同じくご飯を食べ始めた天緒にひそひそと問いかけてみる。天緒は頷いた。
「はい、そうです。とある契約のもと、ぼくの手助けをしてもらっています」
「契約……。ああ、髪とか血とか、そういうものを捧げるんだっけ?」
「オイ、人を悪魔かなんかと一緒にすんじゃねーよ」
びし、と夜見に箸で顔を指されてしまった。すると天緒がすかさず、「こら、行儀が悪いぞ」と注意する。
「大丈夫です。ぼくが身を削るってことはありませんよ」
「そ、そうか……それはよかった」
「さあ、先生も食べてください」
「ああ、そうだな……いただくよ」
ようやく律も食事にありつくが、目の前に広がる光景が意味不明すぎて味がせず、まったく食べたらしくない。
ちらちらと天緒と夜見を交互に眺めながら箸を進めるうち、土鍋の中はあっという間に空っぽになった。
「んで? オッサン……じゃなくて先生、俺らに何の用があるわけ?」
「さっきからオッサンオッサンと……僕はこれでもまだ三十一なんだがな」
「こういうのはね、実年齢じゃねーんだよ。老け込んだ見た目が俺にあんたをオッサンと呼ばせんの」
「ぐう……」
正論と言えば正論か。律が言葉に詰まっていると、夜見は大欠伸をして、細長い手足をめいいっぱい伸ばした。
すると、食後のお茶をゆっくりと飲み干した天緒が、改めてのようにこう言った。
「先生は、呪いを受けているんだよ。そこでぼくらの出番ってこと」
「ああ……そういうこと。どおりで」
夜見はテーブルの上で身を乗り出し、おもむろにすんすんと律の匂いを嗅ぎ始めた。初対面の相手に首筋の匂いを嗅がれるという居心地の悪すぎる状況に、律は思わず椅子ごと身を引く。
「ふうん、オッサンだけど匂いは悪くない。ただ、異界の匂いもプンプンするね」
「今度は異界の匂いだと? なんなんだそれは」
「夜見は嗅覚が敏感なんですよ」
天緒がにっこり笑ってそう言った。可愛い。
「そうなのか!? それならすぐに僕の全身を調べてくれ!! 金ならいくらでも——」
「あー、それは無理。もう眠いし」
拳を握りしめて立ち上がった律の勢いを削ぐように、夜見が間延びした声を出す。そしてまた大欠伸をすると——……瞬きする間に、また猫の姿に戻っている。
「っ……猫……」
「俺は俺で、天緒にこき使われて疲れてんの」
「そ、そうなのか……? じゃあ、明日は!?」
「はいはい、明日明日。ふぁ~あ……おやすみ」
夜見はリビングの真ん中に鎮座するソファに置かれた毛布の上にぴょんと乗り、そのまま丸くなって眠ってしまった。なんたる気まぐれ。まあ、猫だから仕方がないのか……。
「すみません、先生。そういうわけなんで、明日にしましょう」
ふと気づくと天緒がせっせと鍋の片付けを始めている。小さな子が土鍋を持ってよろよろ歩く姿はあまりに危うい。律は大急ぎで天緒の手から土鍋を奪い去る。
「君は、あの夜見って猫と一緒に、ほかにもこういう案件を解決して回ってるのか?」
「え? ……まあ、そういう感じです。夜見はああ見えてすごく頼もしいんですよ」
「へえ。いわゆる妖怪、ってやつだよな? あれは」
「ええ、そういう認識でさしつかえないかと」
と、またしても大人のような言い回しをしながら、天緒が踏み台を持ってシンクに立とうとしている。
律は緩く首を振り、踏み台に乗った天緒の脇に手を差し込んで、ひょいと床に下ろした。すると天緒は「わっ」と声を上げ、びっくりしたように目をまん丸にして律を見上げた。
「いいよ。皿洗いも僕がやるから」
「え、でも……」
「宿題があるんだろ? 皿を洗いながら見ててやるから、やるといい」
「……」
袖をまくり、洗い物にとりかかる栗の姿を、天緒が物珍しいものを見るような目つきで見上げている。怪訝に思った律が首を傾げると、天緒はにこっと愛想笑いを見せて頷いた。
「なんだか……お父さんみたいですね」
「はぁ? お父さん?」
つい、素っ頓狂な声が出た。泡だったスポンジを持つ手から土鍋の蓋が滑り落ちそうになり、慌てて持ち直す。
だが、律ももういい歳だ。これくらいの子がいてもおかしくはないのかもしれない。
「なるほど? 僕は三十一歳で、君は十歳。二十すぎのときの子か……ありうるな」
「ふふ、そうですね。猫もいるし、素敵な家庭像じゃないですか」
「肝心のお母さんがいないぞ」
「先生の恋人さんは?」
「そんな人、いたことないよ」
そう言いかけて、ふと律は自らの思考に違和感を覚えた。
——いたことがない? あれ……?
ふと、記憶の深い場所にしまい込んだ誰かの面影が脳裏をよぎったような気がした。……だが、はっきりとは思い出せない。ひょっとすると、これまでに幾つかプレイした恋愛シミュレーションゲームの記憶がこんがらがっているのかもしれない。
黙り込んでしまった律に気を使ったらしい。天緒は空気を読んだように、けろっと鮮やかなわざとらしさで話題を変えた。
「そうだ。宿題やらなきゃ!」
「ああ、うん、そうするといい」
ダボダボのズボンを引きずりながらランドセルを持ってきて、中からタブレットを取り出した。最近の小学生はタブレットで宿題をやるのか……さすがデジタルネイティブ世代だなと感心しながら天緒を見守り、律は久方ぶりの家事に勤しんだ。
もともと家事ができないわけじゃない。もとは多少潔癖なところがあり、一人暮らしをしていた学生時代は、完璧に家の中を整理整頓していたものだった。
だが、社会人になってからは、並々ならぬストレスのせいでそれができなくなり……。
——家事ってのは、人のためにやるほうが捗るもんだな。
天緒と夜見と食べたあとの食器を片付けながら、律はふとそう思った。
夜見の寝息がぷすうぷすうと聞こえてくる。
ついさっきまで心霊現象に怯えていたのが嘘のように、静かな時間が流れている。
天使のような小学生が突然現れ、律の家にお札を作って貼ったり、猫が人間になったり、わけのわからないことが立て続けに続いていたというのに、律の心は不思議ととても穏やかだった。
「………………え?」
猫だ。黒猫がいる。
しかも今、喋ったような気がするのだが……。
「……え? 猫……? 猫だよな……?」
「あ? 猫じゃなきゃ何に見えんだよ。あー腹減った、今夜の飯何?」
「おかえり夜見、今夜はお鍋だよ。ほら、おいで」
——???????
猫が喋り、喋る猫にごく普通に話しかける天緒のやりとりを見守りながら……律は一旦、眼鏡を外してハンカチでレンズを拭った。
そしてもう一度、メガネをかける。
「ほら、あついから気をつけるんだよ」
「わかってるよ。……あっづ!!」
「ったく、猫舌なんだから気をつけないと」
——えーーーーーーーーと…………?
食卓の上に音もなく乗ってきて、取り分けた鍋の鶏肉をはぐはぐしているのは、紛れもなく黒猫だ。律は一旦立ち上がって天井を仰ぎ、改めて食卓についた。
「ね、猫を飼っていたんだな。園田さんは何も言ってなかったけど……」
「ああ、この子は大きい声を出す女性が苦手で、あの部屋から出てこないんですよ。園田さんも、うちに猫がいることを知りません」
「へ、へえ……そうなんだ」
「で? 誰だよこの辛気くせー顔したオッサンは」
「し、辛気臭いだと!? て、てて、ていうかなんなんだお前は!? 化け猫か!?」
「化け猫ぉ? はっ、そんな古臭い呼び方されんのは何百年ぶりだ?」
「じゃあなんだ? 猫……猫……猫又かなにかか!?」
ぎょろ、と黒猫の金色の瞳が律を捉える。
飛びかかってこられると直感的に思い、両手をあげてガードすると……。
ぼふん、とかすかな破裂音のようなものが聞こえてきた。うっすら目を開くと——三脚あるうちの一つの椅子に黒髪の青年が腰掛けている。
「……へ!? 誰だ君は!? どこから入ってきた!?」
やや癖のある黒髪に金色の瞳。ダボっとした黒いパーカーに黒いズボンという黒づくめの青年が目の前に現れた。突然、何もないところから……。
いやまて、猫はいた。
まるで猫が人間に化たかのように、突然、二十代前半と見える細身の青年が現れたのだ。天使のごとき容姿をした天緒とは対照的で、黒づくめの青年は全体的に悪魔めいた風貌の尖った美形だ。街で出くわして肩でもぶつかろうものなら、即座にメンチを切ってきそうなタイプに違いない。
「あ、ご紹介します。これはぼくの使い魔で、名は夜見です」
「よ、み……?」
「呼び捨てすんな。夜見さんと呼べ」
「夜見さん……?」
「そして夜見、こちらは深澄律先生。もっと丁寧な言葉で喋りなさい」
「深澄、律……?」
夜見の金色の瞳が、一瞬うるりと揺れて見えた。だがそれは一瞬で、すぐに初対面時の冷ややかな目つきに戻る。
「で、なんでオッサン作家がこんなとこにいんだよ」
夜見はそんなことを言いながら箸を取り、ひとりで先に食事を取り始めた。猫状態でも人間状態でも食事が取れるらしい。
「つ、使い魔っていったか? 使い魔というのはつまり……妖とか、そういう類のものなのかい?」
律は椅子に浅く腰掛け、同じくご飯を食べ始めた天緒にひそひそと問いかけてみる。天緒は頷いた。
「はい、そうです。とある契約のもと、ぼくの手助けをしてもらっています」
「契約……。ああ、髪とか血とか、そういうものを捧げるんだっけ?」
「オイ、人を悪魔かなんかと一緒にすんじゃねーよ」
びし、と夜見に箸で顔を指されてしまった。すると天緒がすかさず、「こら、行儀が悪いぞ」と注意する。
「大丈夫です。ぼくが身を削るってことはありませんよ」
「そ、そうか……それはよかった」
「さあ、先生も食べてください」
「ああ、そうだな……いただくよ」
ようやく律も食事にありつくが、目の前に広がる光景が意味不明すぎて味がせず、まったく食べたらしくない。
ちらちらと天緒と夜見を交互に眺めながら箸を進めるうち、土鍋の中はあっという間に空っぽになった。
「んで? オッサン……じゃなくて先生、俺らに何の用があるわけ?」
「さっきからオッサンオッサンと……僕はこれでもまだ三十一なんだがな」
「こういうのはね、実年齢じゃねーんだよ。老け込んだ見た目が俺にあんたをオッサンと呼ばせんの」
「ぐう……」
正論と言えば正論か。律が言葉に詰まっていると、夜見は大欠伸をして、細長い手足をめいいっぱい伸ばした。
すると、食後のお茶をゆっくりと飲み干した天緒が、改めてのようにこう言った。
「先生は、呪いを受けているんだよ。そこでぼくらの出番ってこと」
「ああ……そういうこと。どおりで」
夜見はテーブルの上で身を乗り出し、おもむろにすんすんと律の匂いを嗅ぎ始めた。初対面の相手に首筋の匂いを嗅がれるという居心地の悪すぎる状況に、律は思わず椅子ごと身を引く。
「ふうん、オッサンだけど匂いは悪くない。ただ、異界の匂いもプンプンするね」
「今度は異界の匂いだと? なんなんだそれは」
「夜見は嗅覚が敏感なんですよ」
天緒がにっこり笑ってそう言った。可愛い。
「そうなのか!? それならすぐに僕の全身を調べてくれ!! 金ならいくらでも——」
「あー、それは無理。もう眠いし」
拳を握りしめて立ち上がった律の勢いを削ぐように、夜見が間延びした声を出す。そしてまた大欠伸をすると——……瞬きする間に、また猫の姿に戻っている。
「っ……猫……」
「俺は俺で、天緒にこき使われて疲れてんの」
「そ、そうなのか……? じゃあ、明日は!?」
「はいはい、明日明日。ふぁ~あ……おやすみ」
夜見はリビングの真ん中に鎮座するソファに置かれた毛布の上にぴょんと乗り、そのまま丸くなって眠ってしまった。なんたる気まぐれ。まあ、猫だから仕方がないのか……。
「すみません、先生。そういうわけなんで、明日にしましょう」
ふと気づくと天緒がせっせと鍋の片付けを始めている。小さな子が土鍋を持ってよろよろ歩く姿はあまりに危うい。律は大急ぎで天緒の手から土鍋を奪い去る。
「君は、あの夜見って猫と一緒に、ほかにもこういう案件を解決して回ってるのか?」
「え? ……まあ、そういう感じです。夜見はああ見えてすごく頼もしいんですよ」
「へえ。いわゆる妖怪、ってやつだよな? あれは」
「ええ、そういう認識でさしつかえないかと」
と、またしても大人のような言い回しをしながら、天緒が踏み台を持ってシンクに立とうとしている。
律は緩く首を振り、踏み台に乗った天緒の脇に手を差し込んで、ひょいと床に下ろした。すると天緒は「わっ」と声を上げ、びっくりしたように目をまん丸にして律を見上げた。
「いいよ。皿洗いも僕がやるから」
「え、でも……」
「宿題があるんだろ? 皿を洗いながら見ててやるから、やるといい」
「……」
袖をまくり、洗い物にとりかかる栗の姿を、天緒が物珍しいものを見るような目つきで見上げている。怪訝に思った律が首を傾げると、天緒はにこっと愛想笑いを見せて頷いた。
「なんだか……お父さんみたいですね」
「はぁ? お父さん?」
つい、素っ頓狂な声が出た。泡だったスポンジを持つ手から土鍋の蓋が滑り落ちそうになり、慌てて持ち直す。
だが、律ももういい歳だ。これくらいの子がいてもおかしくはないのかもしれない。
「なるほど? 僕は三十一歳で、君は十歳。二十すぎのときの子か……ありうるな」
「ふふ、そうですね。猫もいるし、素敵な家庭像じゃないですか」
「肝心のお母さんがいないぞ」
「先生の恋人さんは?」
「そんな人、いたことないよ」
そう言いかけて、ふと律は自らの思考に違和感を覚えた。
——いたことがない? あれ……?
ふと、記憶の深い場所にしまい込んだ誰かの面影が脳裏をよぎったような気がした。……だが、はっきりとは思い出せない。ひょっとすると、これまでに幾つかプレイした恋愛シミュレーションゲームの記憶がこんがらがっているのかもしれない。
黙り込んでしまった律に気を使ったらしい。天緒は空気を読んだように、けろっと鮮やかなわざとらしさで話題を変えた。
「そうだ。宿題やらなきゃ!」
「ああ、うん、そうするといい」
ダボダボのズボンを引きずりながらランドセルを持ってきて、中からタブレットを取り出した。最近の小学生はタブレットで宿題をやるのか……さすがデジタルネイティブ世代だなと感心しながら天緒を見守り、律は久方ぶりの家事に勤しんだ。
もともと家事ができないわけじゃない。もとは多少潔癖なところがあり、一人暮らしをしていた学生時代は、完璧に家の中を整理整頓していたものだった。
だが、社会人になってからは、並々ならぬストレスのせいでそれができなくなり……。
——家事ってのは、人のためにやるほうが捗るもんだな。
天緒と夜見と食べたあとの食器を片付けながら、律はふとそう思った。
夜見の寝息がぷすうぷすうと聞こえてくる。
ついさっきまで心霊現象に怯えていたのが嘘のように、静かな時間が流れている。
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