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8 心当たり
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大急ぎで自宅に戻る……前に、律は天緒の部屋のインターホンを押しまくった。
ピンポンポンポンと部屋の奥で電子音が鳴り響いているのが、扉の向こうでかすかに聞こえる。
ふと腕時計に目をやると、時刻はまだ午後三時過ぎだ。ひょっとしたら、まだ学校から買ってきていないのかもしれない。
とそのとき、エレベーターが到着する音が廊下に響く。振り返ると、ちょうどランドセルを背負った天緒が帰ってきた。
「あれ? 先生でしたか、髪が短いから一瞬誰かと」
「天緒くん、おかえり! あの、ちょっと、見てくれないかこれ!」
「まあ落ち着いてください。とりあえず家に入ってもいいですか?」
ランドセルから鍵を取り出し、天緒がドアを開ける。昨日と同じように招き入れられ、きれいに整頓された家の中を見回した。
家の中は静かで、夜見の気配はないようだ。
「夜見は?」
「どこかに出掛けてるんじゃないですかね。それより、見て欲しいものって?」
「あ、ああそうだった。これなんだが」
リビングのソファに座ると、天緒がソファの座面によじのぼってとなりに律の腰掛ける。
律がメモを見せると、天緒は表情ひとつ変えずに「ああ、うちですね」と言った。
表情は微動だにしなかったが、瞳の奥がかすかに揺れるのを、律は見逃さなかった。
「やっぱりそうか」
「これ、どうしたんですか?」
「僕の担当編集さんがオカルト誌の担当者に、除霊できる人がいないか問い合わせてくれたんだ。それで、このお寺の名前を」
「おおかた、人の弱みに漬け込んで大金を取る悪徳坊主がやってる寺とか言われてるんでしょ」
「っ……」
子どもらしからぬ醒めた口調で、天緒は吐き捨てるようにそう言った。冷え冷えとした表情とともに、瞳の色が数段暗くなったように感じられ、律は思わずゾッとした。
「……す、すまん。無神経だった」
「え? ああ……」
ひょっとすると、天緒にとっては触れてほしくない部分だったのかもしれない。人は誰しもそういう弱みを抱えている。わかっているつもりだったのに、軽率だった。
こんな小さな子を京都から遠ざけ、一人暮らしさせるような保護者がやっている寺だ。きっと天緒には、触れてほしくない事情があるに違いない。
すると天緒は突然くるっと表情を変え、天使のような笑顔を浮かべた。腰のあたりで後ろ手を組み、大きな目をきゅるんと潤ませ、あざとい上目遣いで律を見上げる。
「やだなぁ、先生。気にしないでくださいよ」
「いや、でも……」
——ううむ。またか……。
たまにこうして、天緒はわざとらしく子どもっぽい表情をつくっているような気がするのだ。とはいえ、律はこれまでの人生で子どもと接する機会がなかったのだから、この違和感もただの勘違いかもしれないのだが。
「それより、お腹すいちゃった。夜見が帰ってきたら先生のお部屋の調査に行くとして、おやつが食べたいなぁ~」
「おやつ。ああ……」
天緒のきゅるきゅるの目が、律の右手に握られたドーナツの箱をじっと見つめている。律は苦笑し、キッチンのカウンターで箱を開けて見せる。
「うわぁ~~! おいしそう!」
「甘いものが好きかどうかわからなかったんだが、色々買ってきた。余ったら園田さんにあげてくれ」
「ぼく、甘いの大好きですよ! 夜見も!」
「そ、そうか。じゃあお茶でも淹れよう。手を洗っておいで」
「はあい」
天緒はしゃきっと片手を上げて明るい笑顔になり、洗面所へ駆けていった。
甘いもので機嫌を直してくれるあたり、やはり子どもらしくて可愛いじゃないかと律は思った。
◇
「ふーん……うちと全く間取り一緒じゃん。て、当たり前か」
散歩から帰ってきた夜見は、律の家に入るなり、猫の姿のままヒタヒタと家中を歩き回りはじめた。そして、すんすん、すんすんと各部屋で鼻をひくつかせている。
——家中の匂いを嗅がれるってのは、あんまりいい気分がしないもんだな……。
律は若干の居心地の悪さを感じながら、猫姿の夜見のほっそりした後ろ姿を追いかける。ピンと尻尾を立て、しなやかに歩く夜見の黒い毛並みはツヤツヤだ。天緒は律のかたわらで慎重に辺りを見回していた。
「結界はよく効いていますね。あれから新たな浮遊霊の侵入はなさそうです」
「そう、そうなんだよ!! 昨日なんて、久しぶりにゆっくり朝まで静かに眠れたんだ!」
「それはよかったです」
嬉々としてそう語ると、天緒はにっこり天使の笑顔で律を見上げた。
そう、昨晩は金縛りに遭うこともなく、ぐっすり朝まで眠ることができたのだ。
ビクビク新柄帰宅した律を迎えたこの部屋は、天緒がいたときと同様しんと静まり返っていた。
だが、油断はならない。気を抜けばまた、ラップ音やポルターガイストの大騒ぎが始まるかもしれない。風呂に入れば、冷たい手がひやりと律の背中を撫でるかもしれない。排水溝から、黒くて長い髪の毛が溢れ出してくるかもしれない——……と、しばらくは身構えていたけれど、家は静かなもので、律はひさかたぶりに落ち着ける我が家を取り戻した悦びに浸っていたのである。
睡眠導入剤に頼らなくても眠れた。金縛りも、恨めしげな声で起こされることもついぞなかった。律の顔がいつになく生気に満ち溢れているのは、ひとえに天緒のおかげだ。
「天緒くんの結界さえあれば、もうこれで万事解決なのではと思ったんだが、違うのか?」
「そうですねぇ……。先生さえよければいいかもしれないんですけど……」
「な、なんなんだその歯切れの悪い言い方は」
「先生、今日外出してたでしょ。髪切りに行ったり、ドーナツ買いに行ったり」
「え? ああ、したが?」
ついさっき、天緒の家でひとしきりドーナツを味わってきたところだ。夜見も「ドーナツぅ? そんな甘いもん猫が食っていいのかよ」と言いながらも、結局ひとりふたつずつもりもり食べていてほっこりしたものである。(わざわざ人型に変化して食べていた)
天緒はぐるりと律の周りを一周する。淡い色の大きな瞳で、舐めまわすように……。
「な、なんだよ」
「気づいていないようですけど、両肩におふたりずつ乗ってます」
「……え?」
「先生の顔をすごく見てます。血走った目で、こう、がっつりと」
恐る恐る、左右の肩の後ろを振り返ってみるが……何も見えない。そもそも、ポルターガイストなどに苦しめられていたときも、幽霊自体を見ることは一度もなかった。視えなくて幸いといえば幸いなのだが、「肩に乗ってる」と言われると急にずんと身体が重くなったように感じた。
「い、言わなくていいことを言うんだな、君は……」
「すみません。今更隠しても意味ないかと思いまして」
「それはそうだが……」
「ああ、臭う。臭うな」
天緒の言葉を受け、猫姿の夜見が律の足元をくんくん嗅いで鼻をひくつかせている。……足が臭いってことか? 律はショックを受けた。
「そ、そんなに? 僕はこれでも、一応毎日風呂には入っているし洗濯だって、」
「べつに先生の足の匂い嗅いでるわけじゃねぇよ。たいしていい匂いでもねーけど」
「嗅いでるじゃないか!」
「ふふっ」
足元から律を見上げる黒猫と言い争いをしていると、天緒が小さく噴き出す。それは違和感のない自然な笑みだと感じて、こんなときだが律は少し嬉しくなった。
だが、天緒は笑ってしまったことにバツの悪さを感じたのか、すぐに笑みを引っ込めて咳払いをした。
「これまで幽霊の気配を感じることもなく、視認することもなかった人が、突然幽霊が見えるようになることがあります。そのきっかけが何かわかりますか?」
「きっかけ? うーん……。ほ、祠を破壊する、とか?」
考えてみたがよくわからず、先日天緒が言っていたことを思い出して復唱してみた。すると天緒は明らかに期待外れだといった顔をして、律を見上げてくる。
「そんな目で僕を見ないでくれないか。わからないよ、そんなの」
「まあ、まれに祠を壊して呪われるケースはあります。ですが、もっと身近なことでも霊を見るようになることがあります」
「それは?」
「死に触れることです」
ずき。一瞬、刺すように脇腹が痛み、律は思わずそこを手で庇った。
その仕草を見ていた天緒の目がきらりと光る。夜見が天緒の細っこい脚に絡まるように擦り寄ってきた。同じような色をした四つの瞳が、探るように律を見上げている。
「……先生、身近で誰かお亡くなりになりませんでしたか?」
「亡くなっては……」
「何があったか、教えてもらえませんか。そうじゃなきゃ、ぼくは本当の意味で先生を助けることができません」
「……」
天緒の小さな手が、そっと律のシャツの裾を掴んだ。天緒から……いや、子どもに触れられるなんて初めてのことだ。一見すれば、天緒が律に縋っているような絵面に見えるかもしれない。
だが、違う。天緒は明らかに、律を励まし真相を語らせようとしている。
律はため息をついてしゃがみ込み、天緒と視線を合わせてこう言った。
「……ちびっこには退屈だし、あまり教育に良いとは思えない話なんだけどな」
「かまいませんよ。教えてください」
天緒がゆっくりと頷き、真摯な眼差しで律を見つめる。
——いったい、この子は何者なんだ……?
出会ってからずっと抱え続けている疑問だが、そんなことはどうでもいいと思えるほど、天緒の眼差しはどっしりとして揺らぎがない。
律は唇だけで微笑んで、天緒にリビングのソファに座るよう勧めた。
ピンポンポンポンと部屋の奥で電子音が鳴り響いているのが、扉の向こうでかすかに聞こえる。
ふと腕時計に目をやると、時刻はまだ午後三時過ぎだ。ひょっとしたら、まだ学校から買ってきていないのかもしれない。
とそのとき、エレベーターが到着する音が廊下に響く。振り返ると、ちょうどランドセルを背負った天緒が帰ってきた。
「あれ? 先生でしたか、髪が短いから一瞬誰かと」
「天緒くん、おかえり! あの、ちょっと、見てくれないかこれ!」
「まあ落ち着いてください。とりあえず家に入ってもいいですか?」
ランドセルから鍵を取り出し、天緒がドアを開ける。昨日と同じように招き入れられ、きれいに整頓された家の中を見回した。
家の中は静かで、夜見の気配はないようだ。
「夜見は?」
「どこかに出掛けてるんじゃないですかね。それより、見て欲しいものって?」
「あ、ああそうだった。これなんだが」
リビングのソファに座ると、天緒がソファの座面によじのぼってとなりに律の腰掛ける。
律がメモを見せると、天緒は表情ひとつ変えずに「ああ、うちですね」と言った。
表情は微動だにしなかったが、瞳の奥がかすかに揺れるのを、律は見逃さなかった。
「やっぱりそうか」
「これ、どうしたんですか?」
「僕の担当編集さんがオカルト誌の担当者に、除霊できる人がいないか問い合わせてくれたんだ。それで、このお寺の名前を」
「おおかた、人の弱みに漬け込んで大金を取る悪徳坊主がやってる寺とか言われてるんでしょ」
「っ……」
子どもらしからぬ醒めた口調で、天緒は吐き捨てるようにそう言った。冷え冷えとした表情とともに、瞳の色が数段暗くなったように感じられ、律は思わずゾッとした。
「……す、すまん。無神経だった」
「え? ああ……」
ひょっとすると、天緒にとっては触れてほしくない部分だったのかもしれない。人は誰しもそういう弱みを抱えている。わかっているつもりだったのに、軽率だった。
こんな小さな子を京都から遠ざけ、一人暮らしさせるような保護者がやっている寺だ。きっと天緒には、触れてほしくない事情があるに違いない。
すると天緒は突然くるっと表情を変え、天使のような笑顔を浮かべた。腰のあたりで後ろ手を組み、大きな目をきゅるんと潤ませ、あざとい上目遣いで律を見上げる。
「やだなぁ、先生。気にしないでくださいよ」
「いや、でも……」
——ううむ。またか……。
たまにこうして、天緒はわざとらしく子どもっぽい表情をつくっているような気がするのだ。とはいえ、律はこれまでの人生で子どもと接する機会がなかったのだから、この違和感もただの勘違いかもしれないのだが。
「それより、お腹すいちゃった。夜見が帰ってきたら先生のお部屋の調査に行くとして、おやつが食べたいなぁ~」
「おやつ。ああ……」
天緒のきゅるきゅるの目が、律の右手に握られたドーナツの箱をじっと見つめている。律は苦笑し、キッチンのカウンターで箱を開けて見せる。
「うわぁ~~! おいしそう!」
「甘いものが好きかどうかわからなかったんだが、色々買ってきた。余ったら園田さんにあげてくれ」
「ぼく、甘いの大好きですよ! 夜見も!」
「そ、そうか。じゃあお茶でも淹れよう。手を洗っておいで」
「はあい」
天緒はしゃきっと片手を上げて明るい笑顔になり、洗面所へ駆けていった。
甘いもので機嫌を直してくれるあたり、やはり子どもらしくて可愛いじゃないかと律は思った。
◇
「ふーん……うちと全く間取り一緒じゃん。て、当たり前か」
散歩から帰ってきた夜見は、律の家に入るなり、猫の姿のままヒタヒタと家中を歩き回りはじめた。そして、すんすん、すんすんと各部屋で鼻をひくつかせている。
——家中の匂いを嗅がれるってのは、あんまりいい気分がしないもんだな……。
律は若干の居心地の悪さを感じながら、猫姿の夜見のほっそりした後ろ姿を追いかける。ピンと尻尾を立て、しなやかに歩く夜見の黒い毛並みはツヤツヤだ。天緒は律のかたわらで慎重に辺りを見回していた。
「結界はよく効いていますね。あれから新たな浮遊霊の侵入はなさそうです」
「そう、そうなんだよ!! 昨日なんて、久しぶりにゆっくり朝まで静かに眠れたんだ!」
「それはよかったです」
嬉々としてそう語ると、天緒はにっこり天使の笑顔で律を見上げた。
そう、昨晩は金縛りに遭うこともなく、ぐっすり朝まで眠ることができたのだ。
ビクビク新柄帰宅した律を迎えたこの部屋は、天緒がいたときと同様しんと静まり返っていた。
だが、油断はならない。気を抜けばまた、ラップ音やポルターガイストの大騒ぎが始まるかもしれない。風呂に入れば、冷たい手がひやりと律の背中を撫でるかもしれない。排水溝から、黒くて長い髪の毛が溢れ出してくるかもしれない——……と、しばらくは身構えていたけれど、家は静かなもので、律はひさかたぶりに落ち着ける我が家を取り戻した悦びに浸っていたのである。
睡眠導入剤に頼らなくても眠れた。金縛りも、恨めしげな声で起こされることもついぞなかった。律の顔がいつになく生気に満ち溢れているのは、ひとえに天緒のおかげだ。
「天緒くんの結界さえあれば、もうこれで万事解決なのではと思ったんだが、違うのか?」
「そうですねぇ……。先生さえよければいいかもしれないんですけど……」
「な、なんなんだその歯切れの悪い言い方は」
「先生、今日外出してたでしょ。髪切りに行ったり、ドーナツ買いに行ったり」
「え? ああ、したが?」
ついさっき、天緒の家でひとしきりドーナツを味わってきたところだ。夜見も「ドーナツぅ? そんな甘いもん猫が食っていいのかよ」と言いながらも、結局ひとりふたつずつもりもり食べていてほっこりしたものである。(わざわざ人型に変化して食べていた)
天緒はぐるりと律の周りを一周する。淡い色の大きな瞳で、舐めまわすように……。
「な、なんだよ」
「気づいていないようですけど、両肩におふたりずつ乗ってます」
「……え?」
「先生の顔をすごく見てます。血走った目で、こう、がっつりと」
恐る恐る、左右の肩の後ろを振り返ってみるが……何も見えない。そもそも、ポルターガイストなどに苦しめられていたときも、幽霊自体を見ることは一度もなかった。視えなくて幸いといえば幸いなのだが、「肩に乗ってる」と言われると急にずんと身体が重くなったように感じた。
「い、言わなくていいことを言うんだな、君は……」
「すみません。今更隠しても意味ないかと思いまして」
「それはそうだが……」
「ああ、臭う。臭うな」
天緒の言葉を受け、猫姿の夜見が律の足元をくんくん嗅いで鼻をひくつかせている。……足が臭いってことか? 律はショックを受けた。
「そ、そんなに? 僕はこれでも、一応毎日風呂には入っているし洗濯だって、」
「べつに先生の足の匂い嗅いでるわけじゃねぇよ。たいしていい匂いでもねーけど」
「嗅いでるじゃないか!」
「ふふっ」
足元から律を見上げる黒猫と言い争いをしていると、天緒が小さく噴き出す。それは違和感のない自然な笑みだと感じて、こんなときだが律は少し嬉しくなった。
だが、天緒は笑ってしまったことにバツの悪さを感じたのか、すぐに笑みを引っ込めて咳払いをした。
「これまで幽霊の気配を感じることもなく、視認することもなかった人が、突然幽霊が見えるようになることがあります。そのきっかけが何かわかりますか?」
「きっかけ? うーん……。ほ、祠を破壊する、とか?」
考えてみたがよくわからず、先日天緒が言っていたことを思い出して復唱してみた。すると天緒は明らかに期待外れだといった顔をして、律を見上げてくる。
「そんな目で僕を見ないでくれないか。わからないよ、そんなの」
「まあ、まれに祠を壊して呪われるケースはあります。ですが、もっと身近なことでも霊を見るようになることがあります」
「それは?」
「死に触れることです」
ずき。一瞬、刺すように脇腹が痛み、律は思わずそこを手で庇った。
その仕草を見ていた天緒の目がきらりと光る。夜見が天緒の細っこい脚に絡まるように擦り寄ってきた。同じような色をした四つの瞳が、探るように律を見上げている。
「……先生、身近で誰かお亡くなりになりませんでしたか?」
「亡くなっては……」
「何があったか、教えてもらえませんか。そうじゃなきゃ、ぼくは本当の意味で先生を助けることができません」
「……」
天緒の小さな手が、そっと律のシャツの裾を掴んだ。天緒から……いや、子どもに触れられるなんて初めてのことだ。一見すれば、天緒が律に縋っているような絵面に見えるかもしれない。
だが、違う。天緒は明らかに、律を励まし真相を語らせようとしている。
律はため息をついてしゃがみ込み、天緒と視線を合わせてこう言った。
「……ちびっこには退屈だし、あまり教育に良いとは思えない話なんだけどな」
「かまいませんよ。教えてください」
天緒がゆっくりと頷き、真摯な眼差しで律を見つめる。
——いったい、この子は何者なんだ……?
出会ってからずっと抱え続けている疑問だが、そんなことはどうでもいいと思えるほど、天緒の眼差しはどっしりとして揺らぎがない。
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