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悪役令嬢を乗せて

元々の結末

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「それで、どこへ向かいましょうか?」
「そうね、一度私の実家に戻って最低限の荷物、いえあんな物を持って行ってもかさばるだけね、金目の物だけ回収して金に換えて移動した方がいいわね……」
 親指の爪を噛みながらかあーでもないこーでもないと考えていた。

「そういえば前世が日本と気が付いたのはいつごろですか、いやただの興味なんで別に答えなくてもいいんですが……」
 女性の顔つきがどんどんと暗く険しいものになっていったので、あえて別の話題を振ってみる。
「あぁ、それね、貴女に攫われた時よ、だから記憶が混乱していて無抵抗に外に出られたわけ」
「あぁなるほど」
 だから無抵抗で動かせたのか。
「でもまさか私がこの世界に転生するなんて、本当にあることなのね、でも記憶が戻るならもっと前にしてほかったわ、そしたらこんな事になる前に引くのに……」
「あぁそれなら戻らない方が良かったですね」
「ほんとにね、話したらなんかスッキリしたわ、とりあえずついて来て、私の実家に案内するわ」

 女性に案内されて実家へ向かう、ゲームの登場人物なだけあって遠くからでもわかるほど大きなものだった。
「メインの攻略対象である王子様の元々の婚約相手、隠しルート以外ではクライマックス辺りで必ず断罪されて退場、ルートによって結末の差異はあれど確実に不幸な目にあってる、良くて辺境に追放、悪くて家畜の忌物よ」
「扱いひどくないですか?」
「一説にはディレクターを学生時代に苛めていた人をモデルにしたとかシナリオライターの単純な性癖だとかいろいろ言われているわ」
「あ、そっすか……」
「私もコレに転生するなんて前世の行いないは悪くなかったハズだけどなぁ」
 そこは前世の人の事情なのでノーコメントとしておこう。
「多分中でも問題になっているだろうから私だけいくか、それとも透明にできたりする?」
 サヨの方を見るがクビを軽く横に振ったのでできそうにないらしい。
「そう、あぁでも強行突破した方が多くお金を回収できるわね……、よしついてきて、私を守ってね」
「それが仕事ですから」
「よろしい、まずはあの門を吹き飛ばしてくださいな」
 女性が笑顔で豪華な造りの正門を指さす。
「いいんですか?」
「ええ、構わないわ」
「じゃあ遠慮なく……サヨ」
「はい」
 サヨがグレネードランチャーを取り出して門に向けて発砲する、大きな爆発音とともに門が吹き飛ぶ。
「爽快ね」
 元々整っていた顔のお蔭か歪んだ微笑みがなかなか様になっていた。 
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