箱庭の支配人──稀人は異世界で自由を満喫します?

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1章 稀代の商人

三十六、龍の証(2)

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«龍族の末裔としてここに、彼の者に服従を認め、我が王である証を授ける»

龍が透き通るような声で宣言すると、その龍の額から2本の角が現れ、その内の1本が折れた。

«龍の証と呼ばれるものだ。主人となる者に片方の角を渡し、主従を認める»

「なるほど…んで、この角はどうすれば?」

«証と言っても、そういう契約を結ばなければいけないだけで、結んだあとは加工しても売っても構わねぇ。
だが、主従に1度使われた角は、その者以外には加工できねぇからな、装飾品としては使えるだろうが…»

俺だけにしか加工できない、ねぇ…それなら、これを使ってなにかアクセサリーでも作ろうかね。

俺は、その角を上に向けて見つめていると、その角はまるで宝石のように、光を帯びてはキラキラと光り輝いていた。

「黒…いや、青か?」

«両方だ。青は青龍としての証、黒は王となる者の証だ。
まぁ、俺は王になるのが嫌でここに隠れ住んでた訳だが…お前のものになった以上、王にならなくて済んだぜ。
 そこは感謝している»

「ふーん…まぁ、それならこれは有難く使わせてもらう。
"複製"」

«…はぁ!?龍角を複製だと!?まるで神の権能だぞ!»

「複製と言っても、魔力で"同じような物"として作り出してるだけであって、龍の力自体はまだ解明してないから再現出来ていないけどな。
龍が扱っているその力を解明すれば、完璧に再現出来るかもしれんが…まぁ、無理だろうな」

龍の証と呼ばれる先ほどの力は、具体的に言えばあれもまた、事象に関わるものだ。
だが、事象と言っても幾つか種類があるわけで、箱庭が干渉・操作出来る事象は
"概念が現存している事象"
対して、龍が使う事象は
自身を触媒とした"存在の分離"
100か0しか出来ない箱庭と
1~99しか出来ない龍の証…
その部分を埋める鍵がなければ不可能ということだ。

「さて…とりあえずお前、小さくなれるか?」

«ああ。なんなら、龍はどんな姿にもなれる。
そうだな、お前の記憶を見るに…これはどうだ?»

そう言って龍が変身すると、そこには黒猫の姿が現れた。

「なっ…猫ってこの世界にも居るのか?」

«いいや?魔猫種なら居るだろうが…角のないこういった普通の動物は居ねぇだろうな»

「そ、そうか…まぁいい。
俺の記憶と言っていたな、なら黒柴にはなれるか?」

«まぁ、出来るが…»

「よし、当分はその姿にしてくれ。
龍よりも断然好きだ」
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