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宇多野と二川とフギとポリス
報告
しおりを挟む「会って来たぜ。昨日。社長と企画部に入った例のあの人」
昨日の報告を宇多野に話すが、彼は箸で焼き魚を摘まむと口に運び言葉にならない声で、いや、喉で返事をした。
俺には――んんん――しか聞こえなかったが、恐らく彼なりに『お疲れ』と言っているのだろう。
「反応が薄いな。いよいよ本丸に乗り込んでターゲットのご尊顔を直接見てきたんだぞ?」
「今、俺たちにできることは特にないからな。お前は一足先に社内の見学をしてきたってだけで、彼女に凸して過去のことを聞き出したわけじゃないだろ?」
「そうだけど。社長がさ、社内案内で会う人に俺のことを紹介してくれるんだけどさ、お前のマネージャー業務と『特殊業務』に就くって言うんだよ。色んな従業員に、一体何の特殊業務に就くんだって目で見られたよ」
何のことはない。単純に、宇多野が設立したゲーム開発、兼、配信部屋のある個人事務所とサンライブが業務提携をするという話になるだけ。それなのに、特殊業務と揶揄されて些か大袈裟に感じたのだ。
「まぁ従業員側から見れば、俺たちがサンライブに出入りするとき、ぎょっとさせちゃうからな。配信だけじゃなくて、実際に出勤して社内に顔を出しつつ現場で働くこともある。他の専属配信者たちは、出勤してサンライブの従業員たちと一緒に顔を突き合わせて仕事をするわけじゃないから」
「聞いたよ。社長に。配信者が会社に来ることは滅多にないらしいな。でも、社内見学を一通りしたあとで、小耳に挟んだんだけどさ」
案内ツアーを終えたあと、社長室に戻って来た際、本間というマネージャーと共に、チーム長の前川ら二人の男が美駒を待っていた。俺もマネージャー業務に入る傍ら聞いておくべき事案だと思い、話を把握しておきたいからと彼らの報告を聞いた。
「へぇ。フギって奴が企画部で働きたい、ねぇ。ふーん」
箸を止めて、宇多野の視線が宙を彷徨う。
「配信離れが現状で起きていて、今は一週間に一回の配信にしてるらしい。しかも配信時間は数時間だけ。専属デビューして4年。配信に身が入らない時期かもしれないけどさ。一般職に全然就いたことないってよ。普通に企画部とかいう花形に就くのも無理があるよな?」
彼は一瞬だけ、うーんと唸る。
「意外と企画部での活躍も有りではあるかもな。配信業をやってることがアドバンテージになる」
「そうなのか?」
「リスナーの温度感は実際に彼らと話してみると感触が違う。俺が開発者だと告白してからは、よくゲームの感想や意見を貰うことが増えただろ?」
「ああ」
「やさいゲームは誰でも楽しめるゲームだったけど、次にリリースした冥界を走るバスのホラゲは万人受けはしない。リスナーから、あれこれ改善点も来たし、次回のホラゲに活かしたことだってある。生の声を聞いた結果『シアターの異変』は、ホラゲにしては売上が良かった」
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