転生生活をまったり過ごしたいのに、自作キャラたちが私に世界征服を進めてくる件について

ihana

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41話 ボス戦

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 レレムの山の内部にて、ボスとの戦闘開始から五分ほどが経ったであろうか。
 巨体から迫りくる猛攻を紙一重に躱しながら、そろそろいいかなと思い始める。

「くそっ! なぜ攻撃が当たらぬ!? 貴様は一体何者だ!」
「え? うーん。何者かと問われると難しいな。強いて言うならプレイヤー?」
「ぷれいやーだとっ!? 知っているぞっ! この世界を蹂躙していく非道な奴らだと!」

 あー……。
 たしかにNPC視点だとそんな風に見えるのかもしれない……。

「えっと、別に私、非道をするつもりはないけど」
「戯言をっ! ぷれいやーたちはかつてこの世界を破壊しかけたそうじゃないか! それに怒った世界の理がすべてのプレイヤーたちを一掃したともなっ!」
「なにそのイベント。サーバーダウンの事?」
「だがなぜ貴様は生きている!? ぷれいやーはこの世から一掃されたはずだ! 貴様の存在はおかしい!」
「うーん。そこらへんは私もよくわかってないんだよねぇ。どうしてこの世界に来たか、か」

 突き出された巨腕に掌底打ちをかまして、岩の腕を粉砕する。

「ぬぉぉ、くぅぅ」
「あのさ、もうやめない? さっきも言ったけど、私は非道をするつもりじゃないんだ。あなたが敵対行動をとらないんなら私も攻撃はしないわ。たぶんレベル1500くらいでしょ。それじゃあ私には勝てないよ」

 そう提案するとボスは笑い始めた。

「ふっ。ふははっは。なめられたものだ! 我は八卦神が一人! 例え何があろうと、ぷれいやーに膝を屈することなどない! これで終わりだ! スキル【大噴火】!!」

 周囲を流れていた大量のマグマが津波のごとくこちらへと迫り、スキルの力で天井から火山弾も降って来る。

「そっか。この戦いはあなたにとって譲ることのできない意地なのね……」

 その気持ちは良くわかる。
 全称号取得という難業は絶対に達成できないと言われていた。
 それでも私は、その無理を意地でもやり通したのだ。
 たとえ負けるとわかっていても、挑まなければならない戦いがあることくらいわかっている。

「さあ! これをどう乗り切る! 周囲にマグマ、空から火山弾! 防ぐ手はない!!」
「あなたの意地、しっかり受け止めるわ」

 マグマをもろにかぶるも鳳凰炎舞の効果でほとんど効かないし、火山弾に至ってはダメージが低すぎてアダマンシールドでノーダメージとなっていた。
 つまり、このスキルで私を倒すことはできない。

「なっ……!? なんっ! どう、して」
「……ごめんね。たぶん、同じレベルだったら少しは苦戦したと思う」
「なにが――、ぐあああああぁぁぁ!!」

 ボスが気付いたときには、彼のコアを私の伸縮杖が貫いていた。
 そのままボスは地面へと倒れ伏す。

「これで終わりかな。ボス報酬はあったりするのかな」
「ふ、ふはは、……は」
「あれ、まだ生きてたんだ」
「ああ。長い、人生、だったが、ようやく、それも、終わりか。一度でいいから、外の世界を、見てみたかった」
「最初からそう言ってくれればよかったのに」
「……。それは、できぬ、相談だ。貴様は、ぷれいやー。倒すべき、相手、だ」
「そう」
「だが、貴様も、悠長には、しておれんぞ。レレムの、山は、我が活動したことで、大噴火しているはずだ」
「……え?」
「ふっ、外に住まう人間なぞ、全滅であろうな。折角これまで、256人を待って、ずっと静かにしていたというのに、な」

 それでレレムの山はずっと噴火せずにいたのかいっ。

「ってちょっと待って!? じゃあレレムの街は!?」
「もう溶岩に、飲まれている、であろう。我のように、無に、帰す……だ、け……」

 そのまま動かなくなってしまった。

「おーい!! ちょっとマジかよ! 急いでレレムの街に向かわないとっ!!」

 だが、ここまでたどり着くのに洞窟を二時間ほど彷徨うこととなった。
 最短ルートを進めたとしても、曲がりくねった洞窟を抜けるまでには時間がかかる。
 なにか、なにかいい手は――!

 そう思った瞬間、私はとあることに気付くのだった。
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