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3吸血 バンパイアと一緒の夏休み~2日目と最終日~
4 バンパイアと一緒の夏休み~2日目と最終日~
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「携帯のライトだけでこの中進むなんて……。陽め、覚えてなさいよ!」
いきなり決まった肝試し、懐中電灯など用意されているはずもなく、すっかり日も沈んでしまった森の中を、月明かりと携帯のライトだけが照らす。
立ち止まれば進めなくなりそうで、怖がりながらも足を一歩一歩前に出して森の中を進んでいると、頭上に影が差した。
月が雲に隠れたのだろうかと思い空を見上げようとすると、突然黒い何かが私の目の前に降ってきた。
叫び声を上げそうになると、口を塞がれてしまう。
「しー、私ですよ」
聞き覚えのある声に目を凝らして影をじっと見詰めるとラルムであることがわかる。
「ラルム、何でここに!?」
驚く私にラルムは、部屋の前で話していた私達の会話が聞こえていたと話す。
そこで私がオバケが苦手だと知り、ラルムはこっそりと後をつけてきたようだ。
「心配、してくれたんだ」
「はい、勿論です」
ニコリと笑みを浮かべるラルムを見て、さっきまで怖くて高鳴っていた胸がキュッと締め付けられ、別の意味で鼓動が騒がしくなる。
「では、怖がりな結さんを夜の世界にお連れいたしましょう」
そう言い、突然ラルムは私の体を姫抱きにすると羽を広げ、空へと飛び上がった。
私は落ちないようにラルムの首に手を回すと、瞼をぎゅっと閉じる。
「結さん、もう目を開けても大丈夫ですよ」
その言葉で閉じていた瞼をそっと上げると、目の前には大きなお月様。
そして無数の星の輝きが瞳一杯に広がっていた。
昨日見た夜空の何倍も綺麗に見えるのは、こんなにも空を近くに感じるからなのか、それとも、すぐそばにラルムがいるからなのか。
そんな事を考えているとラルムは地上へと降り、私の足もようやく地面につく。
周りを見ると、ここは肝試しの出発地点でありゴールとなる場所だった。
「夜の世界はいかがでしたか?」
「凄く綺麗で素敵だった」
「それはよかった。こんな綺麗な月と星が出ているのですから、きっと今日はオバケや幽霊はお休みですよ」
オバケや幽霊に、月や星が綺麗だからお休み何て考えはあるのだろうかと笑みを溢す。
そんな私に安心したのか「人が来るといけないので」と、ラルムは空へと飛び上がり別荘へと戻ってしまう。
少し寂しくもあるが、星空よりもラルムを見ている方が多かったことを思い出すと、頬に熱が宿る。
「何で結が俺より先に着いてんだ?」
最初に出発した陽がやって来ると、陽は不思議そうに首を傾げる。
その後夏蓮も無事ゴールすると、陽から話を聞いて不思議そうにしている。
この森は一本道のため、スレ違うことなく先にゴールは出来ないということを夏蓮が話す。
そこで苦しい言い訳ではあるが、私が先に着いたのは、恐怖のあまり道ではないところを通ってしまったら、偶然辿り着いたということで無理矢理二人を納得させた。
結局このことで陽にからかわれることになり、勇気を出して森に入った私の勇気は無駄となる結果に終わった。
でも実際怖かったのは事実で、ラルムが来てくれなかったら一人でゴールすら出来ずに陽にからかわれていただろうから、結局結果は変わらなかっただろう。
いきなり決まった肝試し、懐中電灯など用意されているはずもなく、すっかり日も沈んでしまった森の中を、月明かりと携帯のライトだけが照らす。
立ち止まれば進めなくなりそうで、怖がりながらも足を一歩一歩前に出して森の中を進んでいると、頭上に影が差した。
月が雲に隠れたのだろうかと思い空を見上げようとすると、突然黒い何かが私の目の前に降ってきた。
叫び声を上げそうになると、口を塞がれてしまう。
「しー、私ですよ」
聞き覚えのある声に目を凝らして影をじっと見詰めるとラルムであることがわかる。
「ラルム、何でここに!?」
驚く私にラルムは、部屋の前で話していた私達の会話が聞こえていたと話す。
そこで私がオバケが苦手だと知り、ラルムはこっそりと後をつけてきたようだ。
「心配、してくれたんだ」
「はい、勿論です」
ニコリと笑みを浮かべるラルムを見て、さっきまで怖くて高鳴っていた胸がキュッと締め付けられ、別の意味で鼓動が騒がしくなる。
「では、怖がりな結さんを夜の世界にお連れいたしましょう」
そう言い、突然ラルムは私の体を姫抱きにすると羽を広げ、空へと飛び上がった。
私は落ちないようにラルムの首に手を回すと、瞼をぎゅっと閉じる。
「結さん、もう目を開けても大丈夫ですよ」
その言葉で閉じていた瞼をそっと上げると、目の前には大きなお月様。
そして無数の星の輝きが瞳一杯に広がっていた。
昨日見た夜空の何倍も綺麗に見えるのは、こんなにも空を近くに感じるからなのか、それとも、すぐそばにラルムがいるからなのか。
そんな事を考えているとラルムは地上へと降り、私の足もようやく地面につく。
周りを見ると、ここは肝試しの出発地点でありゴールとなる場所だった。
「夜の世界はいかがでしたか?」
「凄く綺麗で素敵だった」
「それはよかった。こんな綺麗な月と星が出ているのですから、きっと今日はオバケや幽霊はお休みですよ」
オバケや幽霊に、月や星が綺麗だからお休み何て考えはあるのだろうかと笑みを溢す。
そんな私に安心したのか「人が来るといけないので」と、ラルムは空へと飛び上がり別荘へと戻ってしまう。
少し寂しくもあるが、星空よりもラルムを見ている方が多かったことを思い出すと、頬に熱が宿る。
「何で結が俺より先に着いてんだ?」
最初に出発した陽がやって来ると、陽は不思議そうに首を傾げる。
その後夏蓮も無事ゴールすると、陽から話を聞いて不思議そうにしている。
この森は一本道のため、スレ違うことなく先にゴールは出来ないということを夏蓮が話す。
そこで苦しい言い訳ではあるが、私が先に着いたのは、恐怖のあまり道ではないところを通ってしまったら、偶然辿り着いたということで無理矢理二人を納得させた。
結局このことで陽にからかわれることになり、勇気を出して森に入った私の勇気は無駄となる結果に終わった。
でも実際怖かったのは事実で、ラルムが来てくれなかったら一人でゴールすら出来ずに陽にからかわれていただろうから、結局結果は変わらなかっただろう。
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