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穏やかな日々の中で、私は少しずつ、けれど確実に、強さを得ていた。
それは、筋肉がついたとか、体力がついたとか、そういう物理的な強さだけではない。
過去と向き合い、未来へと歩き出す、心の強さだった。
その強さを与えてくれたのは、紛れもなく、ディランの存在だった。
彼が、私の全てを受け入れ、愛してくれたから。
私はもう、追放された罪人クーデリアとして、過去に怯えて生きる必要はないのだと、思えるようになった。
しかし、だからこそ、心に一つのしこりが残っていた。
それは、アレン様と、リリアンナ様への、謝罪。
私が犯した罪は、消えない。
ディランが許してくれたからといって、私が彼女たちにしたことが、なかったことになるわけではない。
このまま、何もせずに、ただ自分の幸せだけを享受していて良いのだろうか。
ある夜、ディランの胸の中で眠りにつく前に、私はその思いを打ち明けた。
「ディラン……わたくし、けじめをつけたいのです」
「けじめ?」
ディランは、私の髪を優しく梳きながら、聞き返した。
「アレン様と……そして、リリアンナ様に、きちんと謝りたいのです」
その言葉に、ディランの動きが、一瞬だけ止まった。
「……今更、か?」
彼の声には、かすかに心配の色が滲んでいた。
彼が何を心配しているのか、私にはわかった。
私が、まだアレン様に未練があるのではないか。そう思っているのだろう。
私は、彼の胸から顔を上げ、しっかりと彼の目を見つめた。
「未練など、ありませんわ。わたくしが愛しているのは、あなただけです」
きっぱりと言うと、ディランは少しだけ安堵したように息を吐いた。
「わたくしが謝りたいのは、彼らのためではありません。わたくし自身のためなのです」
私は、続けた。
「過去の罪から逃げたままで、あなたとの未来を、本当の意味で歩むことはできないと思うのです。きちんと自分の犯した過ちと向き合い、謝罪して、それで初めて、わたくしは胸を張って、あなたの隣に立つことができる。そう、思うのです」
それは、この数週間、ずっと考えていたことだった。
ディランとの未来を、何一つ曇りのない、真っさらな気持ちで始めたい。
そのためには、避けては通れない道だった。
私の真剣な瞳を見て、ディランは、しばらく何かを考えていた。
やがて、彼は大きく、そして優しく頷いた。
「……わかった」
その声には、もう心配の色はなかった。
ただ、深い信頼と愛情だけが満ちていた。
「お前が決めたことなら、俺はそれを支える。それが、俺の役目だ」
「ディラン……!」
「ただし、一つだけ条件がある」
彼は、私の鼻を、人差し指でつん、とつついた。
「何があっても、必ず、ここに帰ってくること。ここが、お前の居場所なんだからな」
その言葉に、涙が込み上げてきた。
この人は、どこまでも、私のことを信じてくれている。
私の帰る場所を、守ってくれている。
「はい……! 約束、しますわ」
私は、力強く頷いた。
もう、迷いはない。
アレン様に会って、謝罪しよう。
それが、過去の自分との、本当の決別。
そして、ディランと共に歩む、新しい人生の始まり。
その夜、私はディランの温かい腕の中で、決意を新たに、静かに眠りについた。
心は、不思議なほど晴れやかだった。
それは、筋肉がついたとか、体力がついたとか、そういう物理的な強さだけではない。
過去と向き合い、未来へと歩き出す、心の強さだった。
その強さを与えてくれたのは、紛れもなく、ディランの存在だった。
彼が、私の全てを受け入れ、愛してくれたから。
私はもう、追放された罪人クーデリアとして、過去に怯えて生きる必要はないのだと、思えるようになった。
しかし、だからこそ、心に一つのしこりが残っていた。
それは、アレン様と、リリアンナ様への、謝罪。
私が犯した罪は、消えない。
ディランが許してくれたからといって、私が彼女たちにしたことが、なかったことになるわけではない。
このまま、何もせずに、ただ自分の幸せだけを享受していて良いのだろうか。
ある夜、ディランの胸の中で眠りにつく前に、私はその思いを打ち明けた。
「ディラン……わたくし、けじめをつけたいのです」
「けじめ?」
ディランは、私の髪を優しく梳きながら、聞き返した。
「アレン様と……そして、リリアンナ様に、きちんと謝りたいのです」
その言葉に、ディランの動きが、一瞬だけ止まった。
「……今更、か?」
彼の声には、かすかに心配の色が滲んでいた。
彼が何を心配しているのか、私にはわかった。
私が、まだアレン様に未練があるのではないか。そう思っているのだろう。
私は、彼の胸から顔を上げ、しっかりと彼の目を見つめた。
「未練など、ありませんわ。わたくしが愛しているのは、あなただけです」
きっぱりと言うと、ディランは少しだけ安堵したように息を吐いた。
「わたくしが謝りたいのは、彼らのためではありません。わたくし自身のためなのです」
私は、続けた。
「過去の罪から逃げたままで、あなたとの未来を、本当の意味で歩むことはできないと思うのです。きちんと自分の犯した過ちと向き合い、謝罪して、それで初めて、わたくしは胸を張って、あなたの隣に立つことができる。そう、思うのです」
それは、この数週間、ずっと考えていたことだった。
ディランとの未来を、何一つ曇りのない、真っさらな気持ちで始めたい。
そのためには、避けては通れない道だった。
私の真剣な瞳を見て、ディランは、しばらく何かを考えていた。
やがて、彼は大きく、そして優しく頷いた。
「……わかった」
その声には、もう心配の色はなかった。
ただ、深い信頼と愛情だけが満ちていた。
「お前が決めたことなら、俺はそれを支える。それが、俺の役目だ」
「ディラン……!」
「ただし、一つだけ条件がある」
彼は、私の鼻を、人差し指でつん、とつついた。
「何があっても、必ず、ここに帰ってくること。ここが、お前の居場所なんだからな」
その言葉に、涙が込み上げてきた。
この人は、どこまでも、私のことを信じてくれている。
私の帰る場所を、守ってくれている。
「はい……! 約束、しますわ」
私は、力強く頷いた。
もう、迷いはない。
アレン様に会って、謝罪しよう。
それが、過去の自分との、本当の決別。
そして、ディランと共に歩む、新しい人生の始まり。
その夜、私はディランの温かい腕の中で、決意を新たに、静かに眠りについた。
心は、不思議なほど晴れやかだった。
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