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ヴァンパイアポリスの事件ファイル ⑥
しおりを挟む結果を出し、ヴァンパイアポリスに凱旋すると事務所内が妙にざわついていた。
俺たちが戻ったのを認めた杉山さんからお声がかかる。
「追跡チームのその後の調査で、いろいろな事が分かりました。コスモスグループの蔵王工場において多数のヴァンパイア市民が監禁されているようです。その目的は、血液の搾取や不当な使役とおもわれ、ここで一日に約1万本のコスモスEXが製造されていることを考えると、市民たちの生命は危機にさらされており早急な救出が求められている状況です。それで、刑部さんの方はいかがでしたか?」
「いかがでしたかって、うまくやったに決まってるじゃない。今週末、コスモスグループのすべての幹部が集まるパーティーに招待された。これって、幹部連中を一網打尽にするチャンスでしょ。」
「それは素晴らしいです。それなら、その日、コスモスグループの幹部のパーティーと蔵王工場へ、同時に一斉突入を行い、コスモスグループを一気に解体しましょう。」
蔵王工場の突入は高木班長、赤目類の追跡チームと、20名のヴァンパイア部隊が行い、突入の作戦については高木班長に一任された。
また、捜査官20名が本社ビルに入り、証拠書類の押収も同時に行う。
残りのヴァンパイアチームおよび眷属は、パーティー突入班ということになる。
作戦を立てるのは、もちろん軍師の杉山さん。
でも彼女にとっては、コントロールが難しいアヤメとノエルがメンバーなのは頭が痛いだろう。
招待されている、アヤメと俺は、そのままパーティーに参加。杉山、ノエル、灰野、稲葉はホテルスタッフに扮しパーティーに潜入する。このメンバーのほかに10名のヴァンパイア部隊が応援に入る。
式次第のかかれた案内状を見ると、最初に我妻代表の挨拶があり、新しいダイアモンド会員の紹介と続き、乾杯。パーティーの流れになっている。このパーティーには最近、売り出し中のアイドル歌手がゲストとして呼ばれている。
「パーティーが始まってからでは、アイドルグループなどの部外者も出入りがあり、人の動きもあることから余計な混乱を招く恐れがあります。ですから、その前のここか、ここで作戦を開始するのが適切かと思われますが、皆さんはどう思いますか。」
杉山さんは、式次第の代表挨拶と新人の紹介を指さす。
「ノエルはどっちでもいいよぉ。パーティーに参加して散々楽しんでから作戦決行でもいいんじゃない。慎吾がSENDAI35のライブも見たいって言ってるし~。」
「結城さん、稲葉さん遊びに行くんじゃないんですよ。」
「俺、何にも言ってねぇっすよ。」
稲葉がとんだとばっちりを食う。
杉山さんがくぎを刺すがノエルには馬の耳に念仏と言った感じだった。
「はーい、質問。今回の作戦では、武器の携行および使用は許可されますか?」
アヤメが尋ねる。
「許可は出ていますが、持ち歩く場合は、目だないようにお願いします。また、武器の使用によって無関係の者に怪我などをさせぬよう使用に際しては最新の注意を払ってください。」
「そんなヘマしないわよ。」
「結城さんと、刑部さんには特にお願いします。命令を遵守し、規律を守って任務にあたること!」
たぶん、この二人には無理な相談だろう。
常に冷静な杉山さんにしては珍しく感情的になっているように見えた。
この二人を監督するの大変だよなぁ。俺は心から杉山さんに同情した。
結局、我妻代表の挨拶後に作戦決行という運びになった。
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