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護衛任務 ⑤
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アヤメの髪が赤く変化する。アヤメが臨戦態勢に入った証拠だ。
アヤメは舞台上を静かに動く、映画の説明を終えたリーダー、ルナの近くまで進み彼女と何か話しはじめる。ルナはグループの全員を舞台上に呼び集めた。彼女たちの緊張の表情から。アヤメが何かしらの指示を与えたと思われる。観客からは次の曲の打ち合わせでもしてるように見えたかもしれない。
ルナがマイクで観客に向かって叫ぶ。
「皆さん、聴いてください!新曲のMA・SA・MU・NE!」
大音量で、新曲の前奏が流れ出す。
次の瞬間入り口ゲートの付近で小規模な爆発音と白煙が上がる。驚いた観客の視線がゲートの方に向けられる。
はじまったか、全身の毛が緊張で逆立つ。
会場にいた観客がざわつき始める。
次の瞬間、ルナがマイクで観客席に向かって話し始めた。
「皆さん、大変です!映画の世界から悪人がこのライブ会場にやってきて、皆さんの中に紛れ込んでいるようです!われらが城主、政宗様をお守りするために。今からアヤが観客席に参り、その悪人たちを見事退治してお見せしましょう!」
(ん?リハーサルでは、そんな演出なかったぞ!)
入り口ゲートに向けられた観客の関心がステージ上のルナに戻ってくる。
「一宇!」
アヤメが俺の方に振り向き手を伸ばす。
俺は、ホルスターから十手を抜き取りアヤメに向かって投げた。
十手はクルクルと空中で3度、円を描いてアヤメの手にきれいに収まる。
アヤメは、十手を握り観客の中へ飛び出す。まるで飛ぶように、観客の肩や頭を踏み台にしながら、一気に観客の最後尾まで駆け抜ける。スポットライトがアヤメを追いかけるが。あまりの速さに追いつけない。
アヤメは、突然後部に設置されたライトの台の上にいた男2人を十手で台から叩き落す。異変に気が付いた、稲葉とノエルが入り口ゲートから走って来て、その男たちを取り押さえた。
次に、その大きなライトのガラスを十手でたたき割った。そして、最後尾まで来た時と同じように観客の頭や肩を渡りながらステージへ戻る。その途中、何人かの男の手にあるペンライトを叩き落している。
ステージまで戻ったアヤメは、リーダーのルナの前にひざまずいて何かを報告しているような演技をはじめた。
「皆さん。政宗様に謀反を起こした悪者の目論見は、たった今。アヤの活躍で阻止されました。それでは皆さん、改めて聞いてください。MA・SA・MU・NE!」
客席から割れんばかりの拍手と歓声が起こり、前奏が流れ出す。
観客は映画宣伝の演出とでも思ったのか、何事もなかったようにステージの歌に熱狂していた。
その熱狂に紛れ、アヤメがペンライトを落とした男たちが、こそこそと会場から逃げ出そうとする。でもその男たちは、出口で待ち構えていた稲葉とノエルに全員あっけなく捕まった。
その後、v☆girlsはアンコール曲を1曲多めに歌い。ミニライブは、無事に終了した。
ライブが終わると、観客が出口から次々と帰り始めた。彼らは口々に、新しい衣装の事や、新曲の事、今日の斬新な映画の演出の事について話している。それと、もちろんすい星のごとく現れた研究生アヤの事も。
舞台の上で、メンバーとアヤメの間で、どんな会話が交わされたのかもわかった。
俺からライトの報告を受けたアヤメは、それがヴァンパイアにとっては危険なグローライトであると判断した。もし、それが点灯したら、ステージ上のv☆girlsだけではなく、会場に観客として訪れているヴァンパイア達にも被害が及ぶとアヤメは判断する。
それで、ルナに頼み、これから起こることが映画宣伝の演出であると思わせるようにしてほしいと頼んだ。
白煙と爆発音は、脅迫犯人のグループの仕掛けたものだった。白煙と爆発音で、観客やv☆girlsの関心を入り口のゲートに向けさせることと、会場に入っていた仲間に作戦開始の合図を送る目的だったと考えられる。
でも、リーダーのルナの機転で観客の注目が再びステージに戻り、アヤメがアクションを起こしても観客がパニックになることなく動ける環境が整った。アヤメは観客のパニックも恐れていた。あの狭いフェンスの中で、観客がパニックを起こしたら、大惨事になると。
そして。観客の頭の上を進みながら、おかしなペンライトを持った男たちを見つける。
まずは、後ろの怪しいライトまで行き、ライトを点灯しようとしていた男たちを倒し、ライトを破壊する。そして、その帰り道に怪しいペンライトを持っていた男たちの手からペンライトを叩き落し、舞台に戻り、ルナの演出に付き合い演技をした、と言うわけだ。
会場で逮捕された男たちは、すべて人間だった。日本政府との協定に従い、俺たち眷属隊が彼らに手錠を掛け、日本の警察に引き渡された。後日、日本の警察が彼らを取り調べ、報告書を送ってくるだろう。
横山社長はイベントの成功に大喜びだった。それと、アヤメの才能にほれ込んだようで、ヴァンパイアポリスを辞め、芸能活動をしないかと熱心に勧めている。
彼はアヤメに職業選択の自由がないことを知らない。俺も。もしアヤメに職業選択の自由があったら、その才能でどんな世界でも活躍できただろうと思った。
ライブが終了しv☆girlsの安全が確認されたので、俺たちはヴァンパイアポリスに戻ることにした。
帰り支度をしていると、アリサが走ってくる。
「本田さん、これ。」
そう言って、俺の手に紙のようなものを握らせてウィンクした。
見ると、その紙には、アリサのスマホの番号、メールアドレスが書いてある。俺は誰にも気づかれないよう慌ててその紙をポケットに突っ込んだ。
アヤメは舞台上を静かに動く、映画の説明を終えたリーダー、ルナの近くまで進み彼女と何か話しはじめる。ルナはグループの全員を舞台上に呼び集めた。彼女たちの緊張の表情から。アヤメが何かしらの指示を与えたと思われる。観客からは次の曲の打ち合わせでもしてるように見えたかもしれない。
ルナがマイクで観客に向かって叫ぶ。
「皆さん、聴いてください!新曲のMA・SA・MU・NE!」
大音量で、新曲の前奏が流れ出す。
次の瞬間入り口ゲートの付近で小規模な爆発音と白煙が上がる。驚いた観客の視線がゲートの方に向けられる。
はじまったか、全身の毛が緊張で逆立つ。
会場にいた観客がざわつき始める。
次の瞬間、ルナがマイクで観客席に向かって話し始めた。
「皆さん、大変です!映画の世界から悪人がこのライブ会場にやってきて、皆さんの中に紛れ込んでいるようです!われらが城主、政宗様をお守りするために。今からアヤが観客席に参り、その悪人たちを見事退治してお見せしましょう!」
(ん?リハーサルでは、そんな演出なかったぞ!)
入り口ゲートに向けられた観客の関心がステージ上のルナに戻ってくる。
「一宇!」
アヤメが俺の方に振り向き手を伸ばす。
俺は、ホルスターから十手を抜き取りアヤメに向かって投げた。
十手はクルクルと空中で3度、円を描いてアヤメの手にきれいに収まる。
アヤメは、十手を握り観客の中へ飛び出す。まるで飛ぶように、観客の肩や頭を踏み台にしながら、一気に観客の最後尾まで駆け抜ける。スポットライトがアヤメを追いかけるが。あまりの速さに追いつけない。
アヤメは、突然後部に設置されたライトの台の上にいた男2人を十手で台から叩き落す。異変に気が付いた、稲葉とノエルが入り口ゲートから走って来て、その男たちを取り押さえた。
次に、その大きなライトのガラスを十手でたたき割った。そして、最後尾まで来た時と同じように観客の頭や肩を渡りながらステージへ戻る。その途中、何人かの男の手にあるペンライトを叩き落している。
ステージまで戻ったアヤメは、リーダーのルナの前にひざまずいて何かを報告しているような演技をはじめた。
「皆さん。政宗様に謀反を起こした悪者の目論見は、たった今。アヤの活躍で阻止されました。それでは皆さん、改めて聞いてください。MA・SA・MU・NE!」
客席から割れんばかりの拍手と歓声が起こり、前奏が流れ出す。
観客は映画宣伝の演出とでも思ったのか、何事もなかったようにステージの歌に熱狂していた。
その熱狂に紛れ、アヤメがペンライトを落とした男たちが、こそこそと会場から逃げ出そうとする。でもその男たちは、出口で待ち構えていた稲葉とノエルに全員あっけなく捕まった。
その後、v☆girlsはアンコール曲を1曲多めに歌い。ミニライブは、無事に終了した。
ライブが終わると、観客が出口から次々と帰り始めた。彼らは口々に、新しい衣装の事や、新曲の事、今日の斬新な映画の演出の事について話している。それと、もちろんすい星のごとく現れた研究生アヤの事も。
舞台の上で、メンバーとアヤメの間で、どんな会話が交わされたのかもわかった。
俺からライトの報告を受けたアヤメは、それがヴァンパイアにとっては危険なグローライトであると判断した。もし、それが点灯したら、ステージ上のv☆girlsだけではなく、会場に観客として訪れているヴァンパイア達にも被害が及ぶとアヤメは判断する。
それで、ルナに頼み、これから起こることが映画宣伝の演出であると思わせるようにしてほしいと頼んだ。
白煙と爆発音は、脅迫犯人のグループの仕掛けたものだった。白煙と爆発音で、観客やv☆girlsの関心を入り口のゲートに向けさせることと、会場に入っていた仲間に作戦開始の合図を送る目的だったと考えられる。
でも、リーダーのルナの機転で観客の注目が再びステージに戻り、アヤメがアクションを起こしても観客がパニックになることなく動ける環境が整った。アヤメは観客のパニックも恐れていた。あの狭いフェンスの中で、観客がパニックを起こしたら、大惨事になると。
そして。観客の頭の上を進みながら、おかしなペンライトを持った男たちを見つける。
まずは、後ろの怪しいライトまで行き、ライトを点灯しようとしていた男たちを倒し、ライトを破壊する。そして、その帰り道に怪しいペンライトを持っていた男たちの手からペンライトを叩き落し、舞台に戻り、ルナの演出に付き合い演技をした、と言うわけだ。
会場で逮捕された男たちは、すべて人間だった。日本政府との協定に従い、俺たち眷属隊が彼らに手錠を掛け、日本の警察に引き渡された。後日、日本の警察が彼らを取り調べ、報告書を送ってくるだろう。
横山社長はイベントの成功に大喜びだった。それと、アヤメの才能にほれ込んだようで、ヴァンパイアポリスを辞め、芸能活動をしないかと熱心に勧めている。
彼はアヤメに職業選択の自由がないことを知らない。俺も。もしアヤメに職業選択の自由があったら、その才能でどんな世界でも活躍できただろうと思った。
ライブが終了しv☆girlsの安全が確認されたので、俺たちはヴァンパイアポリスに戻ることにした。
帰り支度をしていると、アリサが走ってくる。
「本田さん、これ。」
そう言って、俺の手に紙のようなものを握らせてウィンクした。
見ると、その紙には、アリサのスマホの番号、メールアドレスが書いてある。俺は誰にも気づかれないよう慌ててその紙をポケットに突っ込んだ。
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