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バレンタインデー狂詩曲(ラプソディー)②
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「一宇、帰るわよ。」
アヤメがそう言って席を立つ。
「アヤメっち、待って。」
帰ろうと席を立ったアヤメを赤目が呼び止めた。
「アヤメっち、今日は何の日か知ってる?」
「知らないわよ。」
「今日は、バレンタインデーだよ。何か僕にプレゼントがないかなぁ~って思ってさ。」
「何にもないわよ。だいたい、ヴァンパイアのあんたにバレンタインの意味があるわけ?」
今日も、アヤメは赤目につれなかった。
赤目ってまさかM男か?
車の中で、アヤメはいつもより饒舌だった。ただし話す内容は仕事の話題オンリー。
アリサちゃんの登場は事務所でも騒ぎになったから、アヤメも知っているはずなのに、アヤメはそのことに一切触れなかった。
と言うか、俺に興味がないから、その件に触れる必要がないとか、、、。だとしたら少し寂しい。
アヤメは、俺に興味なし確定!
でも、俺はアヤメに何を気にして欲しいのか。眷属の恋愛や結婚は自由らしいし。まぁ、主と自分の彼女は仲が良いほうがいいんだろうけど。ん?俺何考えてるんだ。彼女なんて。アリサちゃんがメールくれなんていうから、、、、。
「一宇、風邪でも引いたんじゃないの?顔赤いよ。」
「あ、ああ。いや。俺お前の眷属になってから風邪ひいたことないし。」
「今日は、ちょっと家に寄って行って。高梨さんが渡したいものがあるって言ってたから。」
「わかった。」
俺は、裏の駐車場に電気自動車を止めて裏口から刑部家に入る、食堂に行くと高梨さんが待っていたが、アヤメの姿はなかった。
「一宇様。待ってましたよ。今日は、中国風の水餃子を作ってみたんです。これは、昔、満州で中国の人から習ったレシピなんです。」
「うわ。うまそですね。」
鍋からお玉ですくった水餃子はふわふわで、湯気が立っていかにも、美味しそうだ。
「ご飯も召し上がりますか?」
「はい。お願いします。」
テーブルには、中華スープと真っ白なご飯も並べられた。
「なんか、アヤメが高梨さんが俺に渡したい物があるって、帰りの車で言ってたんですけど、」
「アヤメ様が、そんなことを言いましたか、、、。まったく。困ったものです。」
そう言って棚からきれいな箱を取り出してテーブルに置いた。
「これは?」
「今日は。あ、もう日付が変わりましたから正確に言うと昨日ですが、、、。」
「まさか、バレンタインのチョコ、、、。なわけないですよね~。え?まさか高梨さんが?俺に???」
「そんなわけないでしょう、一宇様。この年寄りでも、バレンタインがどんなイベントかは存じ上げてますよ、」
「これは、アヤメ様が一宇様のために作られたチョコレートケーキです。」
「え、まさか。アヤメが俺にチョコレートだなんて。今日だってそんなこと一言も言ってなかったし。」
「一宇様、あなたはとんだ朴念仁ですね。」
「げっ。今日1日で、朴念仁って言われたの、2回目です。」
「おや、他の方にも、言われたのですか?」
俺は、今日あった出来事を高梨さんにかいつまんで話した。
高梨さんは、「お若い人はよろしいですね。」と笑って話を聞いてくれた。
「先日、仕事がお休みの日にアヤメ様がチョコレートケーキの作り方を教えてほしいと私のところに来ましてね。もうすぐバレンタインデーでしたから、一宇様に作って差し上げるんだろうと思いまして。一緒に作ったんですよ。私が手伝おうとしても、ご自分でやるとおっしゃって、アヤメ様、本当に頑張って作られたんですよ。それなのに、今日、職場にお持ちするんですかと伺ったら、帰りに呼ぶから高梨さんから渡してくれって。私は、もちろんご自分で渡さなければ意味がないと申し上げたんですけど。「高梨さんが渡してくれないなら捨てる!」と、、、。」
「アヤメらしいですね。」
「ほほほほ、一宇様。朴念仁の割に、アヤメ様の事は良く解っておられますね。」
「ありがたく頂戴いたします。アヤメには自分でお礼を言います。」
「そうなさってください。」
俺は、高梨さんに餃子の礼を言って刑部家を出る。
アヤメの部屋の窓には、まだ明かりがついていた。
俺は、アヤメからのバレンタインの贈り物に特別な意味がないことを知っていたが、それでも、なぜか嬉しくてたまらない気持ちが込み上げてきた。
アヤメがそう言って席を立つ。
「アヤメっち、待って。」
帰ろうと席を立ったアヤメを赤目が呼び止めた。
「アヤメっち、今日は何の日か知ってる?」
「知らないわよ。」
「今日は、バレンタインデーだよ。何か僕にプレゼントがないかなぁ~って思ってさ。」
「何にもないわよ。だいたい、ヴァンパイアのあんたにバレンタインの意味があるわけ?」
今日も、アヤメは赤目につれなかった。
赤目ってまさかM男か?
車の中で、アヤメはいつもより饒舌だった。ただし話す内容は仕事の話題オンリー。
アリサちゃんの登場は事務所でも騒ぎになったから、アヤメも知っているはずなのに、アヤメはそのことに一切触れなかった。
と言うか、俺に興味がないから、その件に触れる必要がないとか、、、。だとしたら少し寂しい。
アヤメは、俺に興味なし確定!
でも、俺はアヤメに何を気にして欲しいのか。眷属の恋愛や結婚は自由らしいし。まぁ、主と自分の彼女は仲が良いほうがいいんだろうけど。ん?俺何考えてるんだ。彼女なんて。アリサちゃんがメールくれなんていうから、、、、。
「一宇、風邪でも引いたんじゃないの?顔赤いよ。」
「あ、ああ。いや。俺お前の眷属になってから風邪ひいたことないし。」
「今日は、ちょっと家に寄って行って。高梨さんが渡したいものがあるって言ってたから。」
「わかった。」
俺は、裏の駐車場に電気自動車を止めて裏口から刑部家に入る、食堂に行くと高梨さんが待っていたが、アヤメの姿はなかった。
「一宇様。待ってましたよ。今日は、中国風の水餃子を作ってみたんです。これは、昔、満州で中国の人から習ったレシピなんです。」
「うわ。うまそですね。」
鍋からお玉ですくった水餃子はふわふわで、湯気が立っていかにも、美味しそうだ。
「ご飯も召し上がりますか?」
「はい。お願いします。」
テーブルには、中華スープと真っ白なご飯も並べられた。
「なんか、アヤメが高梨さんが俺に渡したい物があるって、帰りの車で言ってたんですけど、」
「アヤメ様が、そんなことを言いましたか、、、。まったく。困ったものです。」
そう言って棚からきれいな箱を取り出してテーブルに置いた。
「これは?」
「今日は。あ、もう日付が変わりましたから正確に言うと昨日ですが、、、。」
「まさか、バレンタインのチョコ、、、。なわけないですよね~。え?まさか高梨さんが?俺に???」
「そんなわけないでしょう、一宇様。この年寄りでも、バレンタインがどんなイベントかは存じ上げてますよ、」
「これは、アヤメ様が一宇様のために作られたチョコレートケーキです。」
「え、まさか。アヤメが俺にチョコレートだなんて。今日だってそんなこと一言も言ってなかったし。」
「一宇様、あなたはとんだ朴念仁ですね。」
「げっ。今日1日で、朴念仁って言われたの、2回目です。」
「おや、他の方にも、言われたのですか?」
俺は、今日あった出来事を高梨さんにかいつまんで話した。
高梨さんは、「お若い人はよろしいですね。」と笑って話を聞いてくれた。
「先日、仕事がお休みの日にアヤメ様がチョコレートケーキの作り方を教えてほしいと私のところに来ましてね。もうすぐバレンタインデーでしたから、一宇様に作って差し上げるんだろうと思いまして。一緒に作ったんですよ。私が手伝おうとしても、ご自分でやるとおっしゃって、アヤメ様、本当に頑張って作られたんですよ。それなのに、今日、職場にお持ちするんですかと伺ったら、帰りに呼ぶから高梨さんから渡してくれって。私は、もちろんご自分で渡さなければ意味がないと申し上げたんですけど。「高梨さんが渡してくれないなら捨てる!」と、、、。」
「アヤメらしいですね。」
「ほほほほ、一宇様。朴念仁の割に、アヤメ様の事は良く解っておられますね。」
「ありがたく頂戴いたします。アヤメには自分でお礼を言います。」
「そうなさってください。」
俺は、高梨さんに餃子の礼を言って刑部家を出る。
アヤメの部屋の窓には、まだ明かりがついていた。
俺は、アヤメからのバレンタインの贈り物に特別な意味がないことを知っていたが、それでも、なぜか嬉しくてたまらない気持ちが込み上げてきた。
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