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第十九代白神家当主 ④
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そろそろ、夜が明けて来た。
俺は、荷物をまとめ洞窟から出る準備を始めた。魔物を倒した証拠として魔物の首を持っていくことにする。
俺はリュックの中から、ランタンや寝袋を取り出し、切り落とした蛇の頭をリュックに詰め込んだ。口を大きく開いたまま死んでいる蛇の頭からは、嫌な臭いがしている。
マンガ本が案内の男性の私物だと困る、汚れないように、ビニール袋に移し替えて手に持ち、リュックを背負って横穴を後にする。蛇の頭は見た目よりずっしりと重かった。
洞窟を出ると朝焼けの奥に青空が見える。6人の屈強な男たちと案内の男性が、俺が出てくるのを昨日と同じ場所で待っていた。
案内の男は俺の姿を見ると、今まで決して超えることのなかった境界線を越えて俺の元に走って来た。
「一宇様、良くご無事で。それで、、、。魔物は?」
「この中に入っています。」
俺がリュックを指さすと、彼はさすがに怖かったようで、2,3歩後ずさった。
「あ、大丈夫ですよ。死んでますから。それと、マンガ本ありがとうございました。これ俺も、大好きなマンガです。このマンガ本はあなたのですか?」
「はい。昨日のマンガも面白いと言っておられたので、もしかしてこれも好きかなぁって。」
「グッドチョイスでした。」
俺たちはみんなで杜人家に戻る。
入り口のところで、6人の男たちが「我々は、ここで失礼します。」と俺に向かって頭を下げ立ち去ろうとする。
「あの、皆さん。一晩中、護衛して下さって、ありがとうございました。皆さんが外で護衛してくださってると思うだけで、心強かったです。」
俺は6人の男性たちに頭を下げる。
「頭を上げてください守人様。我々も守人様の護衛任務ができて光栄でした。」
彼らに別れを告げ、俺と案内の男性が杜人家に入る。今日は、玄関先に結女さんの姿はなかった。
玄関脇に蛇の頭を置く。ここまで持ってきた時点で蛇の頭は、我慢できないくらいの臭いになっていた。
玄関を開けると、結女さんが玄関をウロウロと歩き回っていた。
「あ、本田様。ご無事で、、、。」
そう言いながら俺に駆け寄ってきたが、俺から漂う臭いに気が付いたようだ。
「今日は、お食事の前に、お風呂の方がよさそうですね。」
そう言って家の中に駆けて行ってしまった。
風呂の準備が済むまで、俺は案内の男性とマンガの話で盛り上がった。
彼の名前は、野村さんといい、近所に住むヴァンパイアの眷属だという。彼の話では、結女さんも同じように近所に住むヴァンパイアの眷属と言う話だった。
30分ほどで結女さんが呼びに来た。
「それでは、私はこれで失礼します。」
そうだ、野村さんは別に臭いわけじゃないのに、、、。付き合わせて申し訳ないことをした。
「野村さん。ありがとうございます。」
「いいえ。守人様。これから末永くよろしくお願いします。」
俺は結女に付き添われて風呂場に入る。今日は体を隅々まで洗ってから湯船に浸かった。
鼻の穴の中にあの魔物の嫌な臭いが残っているような気がする、、。
俺は鼻の穴の中まで石鹸をつけて、ガシガシと洗った。
風呂から、出るとまたあの嫌な臭いがする、、、。臭いの元は俺の着ていた守人の装束だった。
俺は風呂場に取って返し、お湯と石鹸を使い装束を洗い始める。
何度も、臭いを確認しながら洗った。
「お風呂が済みましたら、朝食の準備をしておきますので食堂に来てください。」
と結女に言われていたので、そのまま食堂に向かう。
食堂には、お膳が二つ用意されている。
俺が席に着くと、すぐに味噌汁とご飯が用意される。結女さんは自分の分の味噌汁とご飯を準備して俺の向かい側に座った。
「いただきます。」
「いただきます。」
俺たちは二人で食事を始める。俺は昨日の夜、刀を抜いた後俺に生えて来た牙の事を思い出した。
さっき風呂場で歯を磨いた時も、申し訳程度の犬歯が生えているくらいで、俺の歯に異常はなかった。食事も普通にできる。
「そう言えば、結女さんってご近所のヴァンパイアの眷属なんですよね。」
彼女の表情に一瞬、驚きの表情が走る。彼女は、「はい。」と答えただけで話は全く続かなかった。
結女さんの箸が止まる。
「隠していたわけではないんですが、あの、、。私の主は、、白神家の者なんです。」
「そうなんだ。まさか、ゆずの眷属じゃないよね?」
「え?一宇様。ゆずちゃんをご存じなんですか?」
まずかったか?それでも彼女と会って以来、初めて彼女が食ついた話題だった。
「あの、、、。洞窟に来たんですよ。ゆず。試験の夜二晩とも。」
「ゆずちゃんたら、、。何かご迷惑をお掛けしませんでしたか?私は、ゆずちゃんのお母さんの眷属なんです。ですから、ゆずちゃんを人工授精で授かって、生まれた時からの付き合いです。ゆずちゃん、何か言ってましたか?」
彼女は娘を心配する母親のような表情をしている。
俺は、ゆずの事を相談するのに彼女以上の人はいないと思った。
そしてゆずとの出会いから、昨日の魔物退治、ゆずの願いと、これから俺がしようと思っている事も結女さんに相談してみることにした。
俺は、荷物をまとめ洞窟から出る準備を始めた。魔物を倒した証拠として魔物の首を持っていくことにする。
俺はリュックの中から、ランタンや寝袋を取り出し、切り落とした蛇の頭をリュックに詰め込んだ。口を大きく開いたまま死んでいる蛇の頭からは、嫌な臭いがしている。
マンガ本が案内の男性の私物だと困る、汚れないように、ビニール袋に移し替えて手に持ち、リュックを背負って横穴を後にする。蛇の頭は見た目よりずっしりと重かった。
洞窟を出ると朝焼けの奥に青空が見える。6人の屈強な男たちと案内の男性が、俺が出てくるのを昨日と同じ場所で待っていた。
案内の男は俺の姿を見ると、今まで決して超えることのなかった境界線を越えて俺の元に走って来た。
「一宇様、良くご無事で。それで、、、。魔物は?」
「この中に入っています。」
俺がリュックを指さすと、彼はさすがに怖かったようで、2,3歩後ずさった。
「あ、大丈夫ですよ。死んでますから。それと、マンガ本ありがとうございました。これ俺も、大好きなマンガです。このマンガ本はあなたのですか?」
「はい。昨日のマンガも面白いと言っておられたので、もしかしてこれも好きかなぁって。」
「グッドチョイスでした。」
俺たちはみんなで杜人家に戻る。
入り口のところで、6人の男たちが「我々は、ここで失礼します。」と俺に向かって頭を下げ立ち去ろうとする。
「あの、皆さん。一晩中、護衛して下さって、ありがとうございました。皆さんが外で護衛してくださってると思うだけで、心強かったです。」
俺は6人の男性たちに頭を下げる。
「頭を上げてください守人様。我々も守人様の護衛任務ができて光栄でした。」
彼らに別れを告げ、俺と案内の男性が杜人家に入る。今日は、玄関先に結女さんの姿はなかった。
玄関脇に蛇の頭を置く。ここまで持ってきた時点で蛇の頭は、我慢できないくらいの臭いになっていた。
玄関を開けると、結女さんが玄関をウロウロと歩き回っていた。
「あ、本田様。ご無事で、、、。」
そう言いながら俺に駆け寄ってきたが、俺から漂う臭いに気が付いたようだ。
「今日は、お食事の前に、お風呂の方がよさそうですね。」
そう言って家の中に駆けて行ってしまった。
風呂の準備が済むまで、俺は案内の男性とマンガの話で盛り上がった。
彼の名前は、野村さんといい、近所に住むヴァンパイアの眷属だという。彼の話では、結女さんも同じように近所に住むヴァンパイアの眷属と言う話だった。
30分ほどで結女さんが呼びに来た。
「それでは、私はこれで失礼します。」
そうだ、野村さんは別に臭いわけじゃないのに、、、。付き合わせて申し訳ないことをした。
「野村さん。ありがとうございます。」
「いいえ。守人様。これから末永くよろしくお願いします。」
俺は結女に付き添われて風呂場に入る。今日は体を隅々まで洗ってから湯船に浸かった。
鼻の穴の中にあの魔物の嫌な臭いが残っているような気がする、、。
俺は鼻の穴の中まで石鹸をつけて、ガシガシと洗った。
風呂から、出るとまたあの嫌な臭いがする、、、。臭いの元は俺の着ていた守人の装束だった。
俺は風呂場に取って返し、お湯と石鹸を使い装束を洗い始める。
何度も、臭いを確認しながら洗った。
「お風呂が済みましたら、朝食の準備をしておきますので食堂に来てください。」
と結女に言われていたので、そのまま食堂に向かう。
食堂には、お膳が二つ用意されている。
俺が席に着くと、すぐに味噌汁とご飯が用意される。結女さんは自分の分の味噌汁とご飯を準備して俺の向かい側に座った。
「いただきます。」
「いただきます。」
俺たちは二人で食事を始める。俺は昨日の夜、刀を抜いた後俺に生えて来た牙の事を思い出した。
さっき風呂場で歯を磨いた時も、申し訳程度の犬歯が生えているくらいで、俺の歯に異常はなかった。食事も普通にできる。
「そう言えば、結女さんってご近所のヴァンパイアの眷属なんですよね。」
彼女の表情に一瞬、驚きの表情が走る。彼女は、「はい。」と答えただけで話は全く続かなかった。
結女さんの箸が止まる。
「隠していたわけではないんですが、あの、、。私の主は、、白神家の者なんです。」
「そうなんだ。まさか、ゆずの眷属じゃないよね?」
「え?一宇様。ゆずちゃんをご存じなんですか?」
まずかったか?それでも彼女と会って以来、初めて彼女が食ついた話題だった。
「あの、、、。洞窟に来たんですよ。ゆず。試験の夜二晩とも。」
「ゆずちゃんたら、、。何かご迷惑をお掛けしませんでしたか?私は、ゆずちゃんのお母さんの眷属なんです。ですから、ゆずちゃんを人工授精で授かって、生まれた時からの付き合いです。ゆずちゃん、何か言ってましたか?」
彼女は娘を心配する母親のような表情をしている。
俺は、ゆずの事を相談するのに彼女以上の人はいないと思った。
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