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ゆずの冒険 ②
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俺とゆずが時代劇のDVDを1話見終わった頃、結女さんがやって来た。
「ゆずちゃん。ダメでしょ。」
開口一番のゆずへの駄目出し。ゆずはすっかり臨戦態勢をとる。
しばらくゆずと結女さんは平行線の話し合いを続けたが、一向に埒が明かない。
俺は無い知恵を絞って考えた挙句。中立でしかもヴァンパイアの事情通な人物に仲裁を頼むことにした。
この壁の薄いボロアパートでこれ以上騒ぐわけにもいかない。俺はタクシーを呼び、仲裁人のいる「スマ眷」に向かった。
「一日に、2回も一宇君が来てくれるなんて嬉しいですねぇ。」
宗助所長は笑いながら言った。
二人は、彼が秦宗助と知るといくらか大人しくなった。ヴァンパイア社会って、ほんとに縦社会なのね、、、。
宗助所長は、俺から事の成り行きを聞き、その後でゆず、結女さんの言い分を聞いた。
「困っちゃいましたねぇ。ゆずちゃんの言い分も分かりますし、結女さんの話を聞いてもごもっとも!って感じで、、。一宇君はどう思ってるの?」
「ゆずと俺が一緒に暮すのは物理的に不可能です。俺のアパートは風呂なし8畳一間で狭いし、しかも遮光設備もないからヴァンパイアのゆずがあそこには住めないですから。」
「お館様!お館様はゆずの味方じゃないんですか!」
ゆずが顔を真っ赤にして怒りはじめる。
「どっちの味方でもないよ。実際そうなんだから仕方ないだろ。」
宗助所長が腕を組んで考込む。
「アタシもね。ゆずちゃんは家で暮らすべきだと思います。学校もあるし。」
「え~。そんなぁ。大人がみんなでグルになってずるい!」
「まぁ、最後まで聞きなさい。ゆずちゃんの言ってる事も一理あるんですよ。守人と白神は共に魔物と戦いますからね、コンビネーションは大事なんですよね。う~ん、、、。」
宗助所長、、、。頼みますよ~。
「こんなのはどうでしょうねぇ。学校のある時は、ゆずちゃんはご両親と共に自宅から学校に通う。春、夏、冬の長期休暇は一宇君と一緒に暮らす。」
ゆず、結女さん共にこの案に納得したようだ。
「あの~。二人が納得したなら、俺はそれで構わないんですけど、、。俺の家があのボロアパートなのは変わらないわけで、、、。」
「それなら、いい案があります。ちょっと待っててください先方に確認してみますから。」
そう言って宗助所長はどこかに電話を掛ける。
「先方は、OKだそうです。今からご挨拶に行きましょうか。」
「え?今から?」
俺たちは、宗助所長の車で先方の家、、、、、、。
刑部家に向かった。
まぁ、確かに、あそこなら広いし部屋もたくさんある、遮光もばっちり。俺が仕事で留守の時は高梨さんにゆずの面倒も見てもらえる。ゆずの下宿先として申し分ないだろう。
ただ、気になるのはゆずが下宿している間、俺も一緒に下宿するということ、、。これ以上、高梨さんやアヤメに迷惑をかけるのは、どうも気が引ける。
高梨さんは、そんな俺の不安を吹き飛ばすような笑顔でゆずを迎えてくれた。
「ほほほほ。アヤメお嬢様の小さかったころを思い出しますねぇ。」
ゆずも一目で高梨さんが気に入ったらしい。
「不束者でございますが、お館様ともどもよろしくお願いします。」
しおらしい挨拶をする。
「こちらこそ。よろしくお願いします、ゆず様。」
高梨さんは誰に対しても、温和で紳士的な態度で接してくれる。
結女さんは、高梨さんを見て安心しただろう。
「高梨さん、ゆず様をよろしくお願いします。ご迷惑をかけるようなことがあったら、遠慮なく𠮟って下さい。」
そう言って頭を下げる。
「俺までお世話になることになってしまって。高梨さんよろしくお願いします。」
俺も頭を下げる。
「何をおっしゃいますか、一宇様。私は以前から一宇様がここにお住まいになれば、面倒がなくって良いと思っていたくらいですよ、どうかご遠慮なく。」
そこにアヤメが入って来た。
アヤメとゆずが見つめ合っている。
二人の間に、冷たい火花のようなものがスパークしているように見えるのは俺の気のせいだろうか?
「初めまして、アヤメ様。一宇様の元祖パートナーの白神譲と申します。これからお館様ともどもよろしくお願いいたします。」
「初めまして、一宇の本家パートナーで公私ともにパートナーの刑部アヤメです。ご遠慮なく当家にご滞在ください。」
、、、、、勘違いじゃない、の、、かも、。
ゆずが持参したカバンの中から何かを探している。
「こちらが、白神家当主の証、妖魔刀小十郎でございます。これは、守人であるお館様の政宗守とは対で作られているんですのよ。」
ゆずが鼻高々にアヤメに小十郎を見せびらかす。
アヤメが部屋を飛び出しって行った。
「ゆずちゃん!何てことを、アヤメ様は刑部家の当主で、これからゆずちゃんがお世話になるお家の主なんですよ!」
「だってぇ、、、。」
アヤメが戻って来た。
(!!!!)
手には俺がアヤメの誕生日にプレゼントした十手が握られている。
「この十手、い・ち・うからのプレゼントなの。私の為に一宇がデザインしてオーダーメイドで作ってくれたのよ。」
アヤメがどや顔で、ゆずに十手を見せびらかす。
「お館様!」
「一宇!」
お手上げだ、、、。
「今日は俺、帰ります。二人とも仲良くな。結女さん、宗助所長、帰りましょう。高梨さん丸投げしてすみません。明日からよろしくお願いします。」
「ほほほほ。お任せください一宇様。さぁさぁ。ゆず様、お部屋の準備は出来ておりますよ。これからゆず様が滞在するお部屋のご案内いたしましょう。」
ゆずは高梨さんに連れられ、これから夏中を過ごす部屋に向かう。
俺は高梨さんの背中にに両手を合せた。
アヤメが、玄関まで俺たちを見送ってくれた。
「アヤメ様、ゆずちゃんが失礼な事を申し上げて、申し訳ありませんでした。」
「結女さんでしたよね。気にしないでください。あの子、私の子どもの頃によく似てます。戦いを任務に持ったの家系に生まれたんですからあのくらい威勢が良くないと駄目です。」
そう言ってにっこり笑った。アヤメは嘘はつかない。これは彼女の本心だろう。
俺をアパートまで送った宗助所長は、そのまま結女さんを自宅まで送って行った。
「白神さんのお家にはアタシから説明しておきますから。」
そう言っていたので、白神家の方は心配ないだろう。
俺は宗助所長の車が見えなくなるまで、手を振って二人を見送った。
「ゆずちゃん。ダメでしょ。」
開口一番のゆずへの駄目出し。ゆずはすっかり臨戦態勢をとる。
しばらくゆずと結女さんは平行線の話し合いを続けたが、一向に埒が明かない。
俺は無い知恵を絞って考えた挙句。中立でしかもヴァンパイアの事情通な人物に仲裁を頼むことにした。
この壁の薄いボロアパートでこれ以上騒ぐわけにもいかない。俺はタクシーを呼び、仲裁人のいる「スマ眷」に向かった。
「一日に、2回も一宇君が来てくれるなんて嬉しいですねぇ。」
宗助所長は笑いながら言った。
二人は、彼が秦宗助と知るといくらか大人しくなった。ヴァンパイア社会って、ほんとに縦社会なのね、、、。
宗助所長は、俺から事の成り行きを聞き、その後でゆず、結女さんの言い分を聞いた。
「困っちゃいましたねぇ。ゆずちゃんの言い分も分かりますし、結女さんの話を聞いてもごもっとも!って感じで、、。一宇君はどう思ってるの?」
「ゆずと俺が一緒に暮すのは物理的に不可能です。俺のアパートは風呂なし8畳一間で狭いし、しかも遮光設備もないからヴァンパイアのゆずがあそこには住めないですから。」
「お館様!お館様はゆずの味方じゃないんですか!」
ゆずが顔を真っ赤にして怒りはじめる。
「どっちの味方でもないよ。実際そうなんだから仕方ないだろ。」
宗助所長が腕を組んで考込む。
「アタシもね。ゆずちゃんは家で暮らすべきだと思います。学校もあるし。」
「え~。そんなぁ。大人がみんなでグルになってずるい!」
「まぁ、最後まで聞きなさい。ゆずちゃんの言ってる事も一理あるんですよ。守人と白神は共に魔物と戦いますからね、コンビネーションは大事なんですよね。う~ん、、、。」
宗助所長、、、。頼みますよ~。
「こんなのはどうでしょうねぇ。学校のある時は、ゆずちゃんはご両親と共に自宅から学校に通う。春、夏、冬の長期休暇は一宇君と一緒に暮らす。」
ゆず、結女さん共にこの案に納得したようだ。
「あの~。二人が納得したなら、俺はそれで構わないんですけど、、。俺の家があのボロアパートなのは変わらないわけで、、、。」
「それなら、いい案があります。ちょっと待っててください先方に確認してみますから。」
そう言って宗助所長はどこかに電話を掛ける。
「先方は、OKだそうです。今からご挨拶に行きましょうか。」
「え?今から?」
俺たちは、宗助所長の車で先方の家、、、、、、。
刑部家に向かった。
まぁ、確かに、あそこなら広いし部屋もたくさんある、遮光もばっちり。俺が仕事で留守の時は高梨さんにゆずの面倒も見てもらえる。ゆずの下宿先として申し分ないだろう。
ただ、気になるのはゆずが下宿している間、俺も一緒に下宿するということ、、。これ以上、高梨さんやアヤメに迷惑をかけるのは、どうも気が引ける。
高梨さんは、そんな俺の不安を吹き飛ばすような笑顔でゆずを迎えてくれた。
「ほほほほ。アヤメお嬢様の小さかったころを思い出しますねぇ。」
ゆずも一目で高梨さんが気に入ったらしい。
「不束者でございますが、お館様ともどもよろしくお願いします。」
しおらしい挨拶をする。
「こちらこそ。よろしくお願いします、ゆず様。」
高梨さんは誰に対しても、温和で紳士的な態度で接してくれる。
結女さんは、高梨さんを見て安心しただろう。
「高梨さん、ゆず様をよろしくお願いします。ご迷惑をかけるようなことがあったら、遠慮なく𠮟って下さい。」
そう言って頭を下げる。
「俺までお世話になることになってしまって。高梨さんよろしくお願いします。」
俺も頭を下げる。
「何をおっしゃいますか、一宇様。私は以前から一宇様がここにお住まいになれば、面倒がなくって良いと思っていたくらいですよ、どうかご遠慮なく。」
そこにアヤメが入って来た。
アヤメとゆずが見つめ合っている。
二人の間に、冷たい火花のようなものがスパークしているように見えるのは俺の気のせいだろうか?
「初めまして、アヤメ様。一宇様の元祖パートナーの白神譲と申します。これからお館様ともどもよろしくお願いいたします。」
「初めまして、一宇の本家パートナーで公私ともにパートナーの刑部アヤメです。ご遠慮なく当家にご滞在ください。」
、、、、、勘違いじゃない、の、、かも、。
ゆずが持参したカバンの中から何かを探している。
「こちらが、白神家当主の証、妖魔刀小十郎でございます。これは、守人であるお館様の政宗守とは対で作られているんですのよ。」
ゆずが鼻高々にアヤメに小十郎を見せびらかす。
アヤメが部屋を飛び出しって行った。
「ゆずちゃん!何てことを、アヤメ様は刑部家の当主で、これからゆずちゃんがお世話になるお家の主なんですよ!」
「だってぇ、、、。」
アヤメが戻って来た。
(!!!!)
手には俺がアヤメの誕生日にプレゼントした十手が握られている。
「この十手、い・ち・うからのプレゼントなの。私の為に一宇がデザインしてオーダーメイドで作ってくれたのよ。」
アヤメがどや顔で、ゆずに十手を見せびらかす。
「お館様!」
「一宇!」
お手上げだ、、、。
「今日は俺、帰ります。二人とも仲良くな。結女さん、宗助所長、帰りましょう。高梨さん丸投げしてすみません。明日からよろしくお願いします。」
「ほほほほ。お任せください一宇様。さぁさぁ。ゆず様、お部屋の準備は出来ておりますよ。これからゆず様が滞在するお部屋のご案内いたしましょう。」
ゆずは高梨さんに連れられ、これから夏中を過ごす部屋に向かう。
俺は高梨さんの背中にに両手を合せた。
アヤメが、玄関まで俺たちを見送ってくれた。
「アヤメ様、ゆずちゃんが失礼な事を申し上げて、申し訳ありませんでした。」
「結女さんでしたよね。気にしないでください。あの子、私の子どもの頃によく似てます。戦いを任務に持ったの家系に生まれたんですからあのくらい威勢が良くないと駄目です。」
そう言ってにっこり笑った。アヤメは嘘はつかない。これは彼女の本心だろう。
俺をアパートまで送った宗助所長は、そのまま結女さんを自宅まで送って行った。
「白神さんのお家にはアタシから説明しておきますから。」
そう言っていたので、白神家の方は心配ないだろう。
俺は宗助所長の車が見えなくなるまで、手を振って二人を見送った。
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