眷属のススメ

白神剣護の野望 ⑤

日が昇って11時。俺はカオスの東子さんに電話を入れる。
「もしもし～。カオスです。」
東子さんが電話に出る。

「あ、もしもし。本田です。」

「本田君？世の中は大変な事になってるわね～。本田君は大丈夫？」

「お陰様で元気です。でも、今日、受け取る予定だった品物、、。」

「ああ、出来てるわよ。こんな状況だけど、受け取りに来れるの？」

「俺、ニュースで話題の場所にいるんですよ。だから受け取りに行けないって、それで電話したんです。」

「あら、残念。こんな状況じゃ、私の作ったこれは必要よね？」

「そうなんです。実は俺の代わりに受け取りに行けそうな人がいるんですけど、、代理が受取ることは出来ますか？もちろん、代金はお支払いします。」

「うーん。本当は駄目だけど、こんな状況じゃ仕方ないわよね。で、代理に来れそうな人ってどんな人？」

「ヴァンパイア首相、秦平助のそっくりさんです。平助首相をだらしなくした感じです。」

「あら、秦平助のそっくりさん？いいわね～。あの人ってなんかセクシーじゃない。この町中が厳戒態勢な状況で、その人ここまで受け取りに来られるのかしら。」

「彼なら問題ないと思います。それじゃ、支払いも頼んでおきますから。」

「あら、それは駄目よ。本田君が無事に街を守って。その後で自分で支払いに来てくれなくっちゃ。だから、私への支払いが済むまで無事でいなさいよ。」

「ありがとうございます。東子さん。」

「あら、あたしの名前、、、。ああ、佐々木君から聞いたのね。本田君の声って好きよ。東子さんなんて呼ばれるとぞくぞくしちゃうわ。それじゃ、本田君が支払いに来るの待ってるわ。じゃあね。」

電話が切られた。俺はすぐに宗助所長に電話を入れ、東子さんから品物を受け取ってもらうように依頼する。

宗助所長は今夜こっちに来ることになっているので、その時に持ってきてもらうことになった。

完全に目が醒めたので、何か手伝うことがないか里美さんに聞きに行く。
里美さんは「それならば」といってミニひまわりの花束と弁当を俺に手渡す。

弁当は警護中の稲葉と灰野に渡してほしいと。
それから、花束は社に供えてほしいと言った。「お孫さんが来たら、二人も嬉しいでしょ。」そう言って彼女は笑った。

洞窟の見える位置にキャンプ用のスクリーン型のタープが設置されていて、その中に稲葉と灰野はいた。
俺が弁当を持っていくと、稲葉は相変わらず「退屈で死にそう」と文句を言っていた。灰野はここでも、本を読んでいる。
「変わったことはない？」
「ない。変わったことでも起きてくれれば、退屈しなくてすむのに。」
稲葉は能天気な事を言っている。この二人は今朝のニュースを見る前に部屋を出て行ったので、世間が大騒ぎになっていることを、まだ知らないんだった。
俺は今朝ニュースでやっていた内容を簡単に二人に説明した。
さすがに、二人もその話には驚いたようだった。

俺は花束を持って、社に向かう。
そこで、じいさんと安芸に手を合わせて、無事にゲートを守り、白神を捕まえられるよう願った。