眷属のススメ

岸 矢聖子(きし やのこ)

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白神剣護の野望 ⑥

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その夜、宗助所長がカオスから受け取った品物を持って現れた。

「本当に、一宇君の知人はユニークな人が多いんですねぇ。」
宗助所長は俺に品物と東子さんから預かったという手紙を渡しながらそう面白くてたまらないといった感じでそう言ったが、東子さんとの間にどんなやりとりがあったかは話してくれなかった。

後で時間を見つけて、宗助所長が色々と調べて判ったことを教えてもらう約束をして、宗助所長と別れた俺は、カオスから届いた品物を持ってアヤメのところへ急いだ。

アヤメはいわゆる女子部屋に滞在している。この部屋にはアヤメ、常盤さん、ノエル。そして杉山さんが滞在している。男部屋のむさくるしさはないと思うが個性的な面子がそろっている。女子部屋のドアをいきなり開けるわけにもいかず、俺は部屋の外からアヤメに声を掛けた。

部屋から出て来たアヤメは俺の手にある細長い箱を見つけて。
「届いたのね。」
と言って女子部屋からゆずを呼び出した。ゆずはこの部屋の正式メンバーではないが、ここに来てからのほとんどの時間をこの部屋で過ごしている。
俺とアヤメは、ゆずに小十郎を持って本堂に来るように言って先に本堂に行きゆずが来るのを待った。すぐにゆずは小十郎を持って本殿に現われる。

「何事ですか?アヤメねえちゃん。お館様?」
アヤメがゆずにカオスから届いた箱を渡す。ゆずは突然のプレゼントに驚いたが、急いで箱を開ける。
「お館様。これはなんですか?」
箱の中から出てきた金属製の棒状のものを見ながらゆずが不思議そうに訊ねる。
俺は、ゆずから担当の小十郎を受け取って、その柄の部分を金属の棒の先にはめこんだ。
付属している金属製の部品をでそれを固定した。東子さんからの手紙に取り付け方の詳しい説明書がついていたので、問題なく取り付けることが出来た。

「お館様。これは、、槍ですか?小十郎をやりにしたんですね。」

「そうなんだ。小十郎は短刀だから、戦いはどうしても接近戦になる。俺、魔物カルタをやってみて、接近戦だと危ない奴もいると思ったんだよな、、。結女さんから、ゆず子どもの頃お爺さんから槍術を習っていたって聞いて。小十郎にあう冶具を作ってもらったんだよ。でも、小十郎を使うのはあくまでゆずだから、短刀の方が使いやすかったらすぐに取り外すから、とりあえず使ってみてくれないか。」

「承知しました。」
ゆずは槍を持ち、素晴らしい槍さばきを見せる。数分、槍を使って戻って来たゆずは。

「使いやすいです、お館様。この槍の小十郎を使って打倒百鬼でございますね。それに、この持ち手の棒の部分、ピンク色で可愛らしいお花の絵が描かれているのですね。ゆず。とっても気に入りました!」

これは、俺が注文を付けたわけではなかった。アヤメがそれを使うのは小学生の女の子だと、東子さんに言っていたことを思い出す。この可愛らしいデザインは東子さんからのサービスなのだろう。
ゆずは自分の荷物の中から八鬼山ベニーランドのステッカーを取り出す。
これは、夜間パスポートを買った時に、おまけについてきたのものだった。
ゆずは、棒の先にこのステッカーを張り付け
「これで、ゆずは高梨さんとの約束を忘れません。」
と言った。俺は、アヤメとゆずに宗助所長と話があるからと言って本堂を出る。
二人はそこに残って、もう少し槍の使い勝手を確かめるらしい。

男部屋に戻ると、宗助所長がそこでみんなとくつろいでいた。
平助首相なら、こんなに、ゆるい雰囲気にはならないだろう、、、。
俺を見つけると、宗助所長は「アタシもしばらくこのお部屋にご厄介になりますよ。」と言って俺の隣に布団を敷きはじめた。

「宗助所長、平助首相は?」

「平助は、守人家に泊まるみたいです。あっちで色々作戦でも練るんでしょ。」

「せっかくこんなに人がいるんだから、何かゲームでもしませんか?」
そう言って、宗助所長が取り出したのは、、、、「魔物カルタ」だった。

毎日の修行の成果か、初めてやるメンバーより多くの魔物札を俺はゲットした。
みんながつかれてきた頃、宗助所長に誘われ俺たちは外の空気を吸いに行った。

「なんか、合宿みたいで楽しいですねぇ。」
宗助所長は言った。

「そう言えば、何か調べ物があるって言ってましたが、調べ物は済んだんですか?」

「ええ、済みましたよ。いろいろと分かりました。今回、トキオの脳内情報からじゃ判らなかった、白神の真の狙いもね。」

「白神の真の狙い?あいつは安芸のいなくなった世の中に嫌気がさして、この世の崩壊を狙っているんじゃないんですか?」

「この世の崩壊を狙っているのは、その通りです。でも、彼にはもう一つ野望があるようです。」

「もう一つの野望?」

「これから一宇君にもお話します。」

宗助所長はいつになく真剣に彼の調べた真実と、そこから彼が導き出した答えを順を追って話し始めた。

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