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加護という名の呪い
2.
同時に、フェンガリは現実逃避気味に深く反省していた。実は気合いを入れ過ぎて、扉と一緒に防音結界を破ったついでに、祭司長が不在時に聖なる座の保護でかけてあった封印まで、うっかりと開封してしまったのである。
力技過ぎました、脳筋は家系ですよ、許して女神様。フェンガリは内なる女神に謝りながら祈った。
この場は既に神の御座として整い始めている。聖魔術師であり女神の愛し子でもあるフェンガリにははっきりわかった。
まるでそれを証明するかのように、ひたひたと、汐が満ちるかの如く、静かに、だが確実に満ちていく神力が怖いよう。
普通ならば、女神の降臨に感動して祈りを捧げる場面である。でもこの異常な状況下では、ただただ恐ろしい。
確実に濃くなる尊いお方の気配に、気づく様子もない魔法士さん達にいってやりたい。
「おいおい、女神様見てますよ! 皆さんの愚息さんも見られてますよ! 」
って、ほんとできる事なら教えてやりたいです。無知で夢見がちな魔法士の輩なんかは、俗説を信じて女神様の事を「聖処女」だと思い込んでいるふしがあるが、とんでもないです。
神話の時代から夫婦和合させて安産の守護も司ってるお方ですよ。神殿で特別なお布施を納めると、特別な修養を納めたスペシャルな神官様達より、よりエクセレントでファビュラスな「授かりやすい夫婦の営み」とかご教授下さるんですよ。
だからでしょうか。余計に愛のない交わりは地雷で簡単にガチ切れされますから、それもあってうちの母上聖女ですからね!
心の中のひとり言がとまらない。しつこいようだが、フェンガリの荒れ狂う内心は一切顔には出していない。出てはいないが、今自分の目が死んでいる自覚が嫌というほどあった。
敬愛してやまない女神様は、豊穣と夫婦和合の性愛の女神でもある。あわせてとても優しいけど同じくらい厳しいのだ。
めちゃくちゃスパルタなのは、身に染みてしっているフェンガリは、こいつらのこれからの性生活は、あらゆる意味で恵まれないだろうと確信していた。
あの従兄弟の、せっかく立派に成長した筍も、これから出番のない人生になっちゃうだろう。
だってこんな、どす黒い神気久しぶりに見るよ。かなりなおこです、女神様。ひたすら怖い。
ーー 本当に、もう見なかったことにして帰りたいです女神様。
「にげろっ…… !」
「はいぃ? 」
セオドアの虚ろな目が焦点を結んだと思ったら、突然叫ばれてフェンガリは状況も忘れて素で驚いていた。
一瞬心の声を漏らしちゃったかと焦ってしまった。そして、てっきりセオドアの趣味だと、なんて悪趣味なと、呆れ果てていたこの露出プレイだが、もしかして勘違いしていたのだろうか?
その時、戸惑いで気配が揺れたフェンガリが見たのは、従兄弟の足をおろしてフェンガリを注視する、欲望に濁った5対の目だった。
―― やだなあ、面倒なことになっちゃったかも。
まあ面倒なだけで怖くはない。仕事だし仕方ないかと念のため再度確認してみた、眼鏡型の魔道具の認識阻害は有効だ。
今のフェンガリはよくも悪くも印象に残らない、平凡な姿に見えているはずだ。それなのに、発情して理性を飛ばした連中には、小柄な体躯だけで獲物認定されてしまったようだ。
「っ…… 逃げろ! 」
セオドアがまた叫ぶ。
気持ちはありがたいのだが、その一言でフェンガリが獲物認定された事に気づけないとか、正気ではあり得ない。焦点の合わない瞳に大量の発汗は、多分なにかそれ系の薬でも盛られたのだろう。
何をやって、いや、やられちゃっているのやら。
力技過ぎました、脳筋は家系ですよ、許して女神様。フェンガリは内なる女神に謝りながら祈った。
この場は既に神の御座として整い始めている。聖魔術師であり女神の愛し子でもあるフェンガリにははっきりわかった。
まるでそれを証明するかのように、ひたひたと、汐が満ちるかの如く、静かに、だが確実に満ちていく神力が怖いよう。
普通ならば、女神の降臨に感動して祈りを捧げる場面である。でもこの異常な状況下では、ただただ恐ろしい。
確実に濃くなる尊いお方の気配に、気づく様子もない魔法士さん達にいってやりたい。
「おいおい、女神様見てますよ! 皆さんの愚息さんも見られてますよ! 」
って、ほんとできる事なら教えてやりたいです。無知で夢見がちな魔法士の輩なんかは、俗説を信じて女神様の事を「聖処女」だと思い込んでいるふしがあるが、とんでもないです。
神話の時代から夫婦和合させて安産の守護も司ってるお方ですよ。神殿で特別なお布施を納めると、特別な修養を納めたスペシャルな神官様達より、よりエクセレントでファビュラスな「授かりやすい夫婦の営み」とかご教授下さるんですよ。
だからでしょうか。余計に愛のない交わりは地雷で簡単にガチ切れされますから、それもあってうちの母上聖女ですからね!
心の中のひとり言がとまらない。しつこいようだが、フェンガリの荒れ狂う内心は一切顔には出していない。出てはいないが、今自分の目が死んでいる自覚が嫌というほどあった。
敬愛してやまない女神様は、豊穣と夫婦和合の性愛の女神でもある。あわせてとても優しいけど同じくらい厳しいのだ。
めちゃくちゃスパルタなのは、身に染みてしっているフェンガリは、こいつらのこれからの性生活は、あらゆる意味で恵まれないだろうと確信していた。
あの従兄弟の、せっかく立派に成長した筍も、これから出番のない人生になっちゃうだろう。
だってこんな、どす黒い神気久しぶりに見るよ。かなりなおこです、女神様。ひたすら怖い。
ーー 本当に、もう見なかったことにして帰りたいです女神様。
「にげろっ…… !」
「はいぃ? 」
セオドアの虚ろな目が焦点を結んだと思ったら、突然叫ばれてフェンガリは状況も忘れて素で驚いていた。
一瞬心の声を漏らしちゃったかと焦ってしまった。そして、てっきりセオドアの趣味だと、なんて悪趣味なと、呆れ果てていたこの露出プレイだが、もしかして勘違いしていたのだろうか?
その時、戸惑いで気配が揺れたフェンガリが見たのは、従兄弟の足をおろしてフェンガリを注視する、欲望に濁った5対の目だった。
―― やだなあ、面倒なことになっちゃったかも。
まあ面倒なだけで怖くはない。仕事だし仕方ないかと念のため再度確認してみた、眼鏡型の魔道具の認識阻害は有効だ。
今のフェンガリはよくも悪くも印象に残らない、平凡な姿に見えているはずだ。それなのに、発情して理性を飛ばした連中には、小柄な体躯だけで獲物認定されてしまったようだ。
「っ…… 逃げろ! 」
セオドアがまた叫ぶ。
気持ちはありがたいのだが、その一言でフェンガリが獲物認定された事に気づけないとか、正気ではあり得ない。焦点の合わない瞳に大量の発汗は、多分なにかそれ系の薬でも盛られたのだろう。
何をやって、いや、やられちゃっているのやら。
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