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18巻
5
「ふううん……?」
帝都に入るための審査の入り口は数十か所設置されてあり、それぞれに大荷物を背負った旅人がいたり、重装備の冒険者らしきチームが大人しく列に並んでいた。
馬車専用の入り口も数十か所あり、そのうちの中央門近くの簡易事務所みたいな場所に案内された。
どうやらプニさん(馬)が首から下げた商会証メダルが警備員の目に留まり、物々しい感じで優先的に事務所へと誘導されたのだ。
馬車は指定された所で停車させ、俺はドワーフ姿のスッスを共に馬車を降りて事務所へと入った。
事務所はベルカイムの警備事務所より広く、魔道具らしき豪華な照明(シャンデリア)と火が点いていない暖炉があった。
商人対応専用の事務所なのか、警備員たちは馬車の中まで調べているようだ。
無論、俺やユグルたちの魔力を超える魔力で調べないと幻惑の魔法は見破れないようになっている。プニさんが『これならあの小さきものも見破るのは難しいでしょう』とニヤリと笑っていたので、古代馬様のお墨付きということ。
馬車全体に幻惑魔法が展開されているから、荷台には無口な鰐獣人と窓から外を興味津々に眺めている犬獣人が乗車しているのと、木箱に入った無数の魔法の巾着袋、他にも肌触りの良い絨毯や木工細工などもある。
「東の大陸から、わざわざ? 遠いところからはるばるねえ」
俺はまるで取り調べを受けるような気持だったが、相手をするのは猫獣人。猫耳が生えた人っぽい猫獣人ではなく、王都の鮭皮亭の主であるユルウさんと同じ二足歩行猫獣人。俺はひっそり猫もふ獣人と呼んでいる。
わざと威圧を出して俺を訝し気に見ているが、相手は巨大猫。武装していようと、まったく怖くない。
港町ユーヨンで見せた商会証明書を何度も読みなおし、猫さんは長いヒゲをぴくぴくと動かす。かわ……いや、相手は入国審査官のようなもの。下手なことをして警戒されてしまったら困る。
封蝋が押されたまるまるっと纏めた商会証明書は、俺たちが王国公認であることが認めてある。しかも、魔法の巾着袋が欲しいから俺たちを招待したのは帝国側だ。
既に鑑定の魔道具で俺たちは危険人物ではないと判定は出ている。それなのに、猫さんはじろりと俺とスッスを睨む。
「貴族街の傍に新しく建築された建物ってぇのが、おたくのバイリー商会、と」
「はい。我々も帝都に足を運ぶのは初めてのことでして。随分と煌びやかな都ですね」
王国の景観重視の王都と比べたら帝都は堅牢な闘技場というイメージが強いのだが、余計なことは言うまい。
しかし、帝都のことを褒められたと思った猫さんは、ご機嫌にヒゲをひくつかせていた。
俺たちの身元というか素性はこれ以上ないほど保証されていると思うのだが、猫さんはなかなか保証書を返してくれない。
「それはそれは、ずいぶんと儲けていらっしゃることで。ねぇ?」
にっちゃりと目を細めていやらしく笑う猫さん。
あ。
これはアレかな?
袖の下的な、賄賂が欲しいのかな。
判断が付かず内心焦っていると、俺と目が合ったドワーフに扮したスッスが目を細めて僅かに頷いた。
なるほどな。帝国の首都である帝都に入るのも、袖の下次第と。
王都に入る審査でも袖の下はまかり通っているらしいが、帝都でも同じようなことする輩はいるんだな。
現金が良いのかな。それともアレかな。物珍しいものが良いのかな。
魔法の巾着袋は売る相手を厳選したいので、うかつに渡すわけにはいかない。
どうするべかなと考えていると、スッスが俺の服の裾を引っ張った。その手には酒瓶。なるほどそう行けばよいのか。
俺はスッスから渡された酒瓶をじらしつつ机に乗せると、猫さんの尻尾がピンと立った。
「えー、こちら。王国の方に人気の商品があるのですが、舌の肥えた帝国の方にお試しいただきたいのですが」
「うん?」
「入手困難で貴族の方でも限られた御方しか手に入らない逸品でございますれば。それはそれは人気なマタタビ酒でございます」
「また、たび?」
あれ。
マタタビ酒知らないの?
王国では猫獣人の嗜好品として有名なマタタビ酒。
その名の通り、猫獣人が嗅ぐだけで酔えるマタタビっぽい実を醗酵・熟成させたお酒。俺は苦すぎて飲めない。
ちなみにマタタビ酒は王国に古くからある伝統的なお酒の一つ。猫獣人というか、猫種獣人が好んで飲むのだ。猫種獣人には獅子獣人、豹獣人、虎獣人などが含まれる。
猫さんは酒瓶を訝しみながら手に取ると、鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。きちんとした処理の元封をしている酒瓶は、匂いなんて漏れないのに。
猫さんはビールの大瓶サイズの酒のコルク蓋を器用に爪で開けると、匂いを嗅いだ瞬間にぐんにゃりと顔が緩んだ。
「酒精が強うございますから、お気をつけて」
「俺ぁ酒豪だぜ? 王国民の酒なんざ……おっふぁ……これはぁ……いいにおい……にゃ」
にゃ!
にゃって言った!
猫にはマタタビだよねと安易に出してしまった俺が悪いのだろうか。
いいや、俺たちには帝都に入るための証明書があるにもかかわらず、袖の下を求めてきた猫さん警備員が悪いのだ。
ふにゃふにゃとご機嫌に酒を飲みだした猫さんに気づいたのは、犬獣人の警備員。ドーベルマンのような黒い艶やかな毛皮がとても綺麗だ。
ドーベルマン警備員は机の上で液状にとろけている猫さんを見つけ、慌てて駆け寄った。
「おい! 何をやっているんだお前!」
「にゃーん、にゃにゃん……ごろごろ」
「酔っぱらっているのか? 仕事中だというのに!」
猫さんに怒鳴ると、ドーベルマン警備員は続いて俺たちを睨みつける。ついでに酩酊する猫さんの後頭部にゲンコツを落とした。あれは痛い。
「あっ、いやっ、俺たちは王国から来ましたバイリー商会のものです。馬車の中の点検はとっくに済んだのですが、ええと……それでも信じていただけませんでして」
俺が『とっても困っていますよ』という顔をしながら俯くと、犬さんはしばらく俺たちに睨みを利かせてきたが。
「なんだ、珍しいくらいの青じゃねぇか。この野郎、審査にモタつきやがって。どうせ袖の下でも匂わせやがったんだろう」
瞬きを数回繰り返すと呆れた顔になった。
この犬の警備員は鑑定眼を持っているのだろう。鑑定眼を持っている人を鑑定人と呼び、魔道具なしで諸々の調査ができるのだ。俺が持つ調査先生より素晴らしい鑑定ができる魔道具も人も今まで見たことがないので、俺の正体が露見することはないだろう。
ちなみに鑑定眼で見た人物のオーラが『青』なら嘘をついていない。『赤』なら何かしらの問題を持っている要注意人物となる。
俺は問われたことには真実を答えている。ただ、余計なことは言わないだけ。
「バイリー、商会。ふうん、アレか。魔法の巾着袋を開発したという、王国の懐刀か」
懐刀……? それは聞いたことがないんだけども。
ドーベルマン警備員は商人証明書を一瞥をすると、さくっと印判を押した。
「迷惑をかけたな。ようこそ帝都へ。コイツみたいな腑抜けた連中ばかりじゃぁねぇから、安心してくれ。オラ! とっとと点検終わらせろ!」
やだ格好いい……
ばちこーんとウインクをかましたドーベルマン警備員は、馬車内部をしつこく点検していた係員たちに声を荒げて引かせてくれた。馬車の点検中に盗みを働く不届きものの警備員もいるので、そこんところはクレイとブロライトが厳しい目で監視してくれていたため、小物一つも盗むことはできなかっただろう。
ドーベルマン警備員は馬車を点検していた連中にも睨みを利かせ、馬車を降りた一人一人盗みを働いていないかしつこく確認していた。
猫さん警備員はアレだが、ドーベルマン警備員は珍しくまともな人だ。
「ありがとうございます」
「いやいや、ただでさえ検査で列ができていやがるってぇのに、面倒なことをしやがる。コイツ、これでも鑑定士(アバルスター)なんだからな。一目でアンタらが怪しくねぇってわかっていたはずなんだ」
「にゃんにゃん」
一滴も酒を飲んでいないのに、マタタビ酒は猫獣人を酩酊させるには十分なようだ。これは販売する量を調整せねばなるまい。
長時間待たされてブチ切れ寸前の馬プニさんを宥めつつ、俺はスッスに目配せをする。スッスは頷くと、懐から小さな紙を取り出した。その小さな紙は、商会の名前と店舗の場所が記されたショップカードだ。
「もしよろしければ、非番の日などにでも足をお運び下さい」
「えぁっ? お、俺にか?」
カードを渡されたドーベルマン警備員は慌てた。
商会員から宣伝用の商会証を渡されるということは、店での対応が優遇されるということだ。
そもそもこのカードを持っているのはここにいる俺たちだけなので、俺たち全員の総意ということだ。
ちなみにこのショップカード、俺考案。
もともと王国にはA4くらいの大きさの宣伝用商会証がある。俺はチラシと呼んでいる。
商会チラシは顧客になりそうな人に配る習慣があるのだが、俺考案のカードは名刺サイズ。貴族を相手にする時はA4サイズの商会チラシを渡すが、個人的に宣伝したい相手には名刺サイズが丁度良い。
「おう、こらぁ……良いのか? 俺はただの門番だぜ?」
「是非是非、新規開店する我がバイリー商会においでください」
「皇帝陛下に招待された商会に招かれるほどの身分じゃぁないんだが……」
「我が商会が商売する相手に貴賤は関係ございません。招きたいお方を招く。ただそれだけでございます」
店に来る相手を選ぶわけじゃないが、無礼な輩には来てもらいたくない。それが貴族だろうが庶民だろうが関係ない。
「そうか……断るには勿体ない。俺は帝国警備兵のゼーノっていうんだ。非番の日に必ず寄らせてもらうぜ」
「お待ちしております」
自称巨人族と人族のハーフの俺よりも大きな上背をしたドーベルマン警備員ゼーノは、帝国風の敬礼をするとにこやかに去って行った。
「かっこいいっすね」
「かっこいい……」
「ピュ」
スッスと俺とビーがゼーノの背中を憧れの眼差しで見つめていると、脳内に響く苛つきの声。
――いつまで 待たせる
おおっとプニさんの苛立ちが爆発寸前だ。
「クレ、えーと、カクさん、御者台に。俺たちは荷台に」
鰐獣人に扮したクレイは頷くと、素早く御者台に乗った。俺たちも急いで荷台へ上がり、御者台の後ろに付けた窓に集まった。
王国、いや東の大陸(グラン・リオ)では嗅いだことのない独特の香りがした。
少しだけ湿り気を帯びた風。季節は初夏か初秋か。マデウスの惑星は丸っこいが、赤道やら緯度経度が地球のそれと同じとは言えない。なんせ魔法があるのでね。暑いも寒いも魔法一つで全てが変わる。
暦は世界共通ではないし、大陸や国、種族によって時間の数え方や距離の測り方も違う。唯一カルフェ語という共通言語が存在するのだが、一部種族によっては通じなかったり、カルフェ語でも土地によって方言のようなものがある場合もある。異能『世界言語』を所持している俺には関係ないのだけども。
薄暗く長い廊下が続く。闘技場の外輪部分とでも例えれば良いのだろうか。
等間隔に灯される魔道具の照明。
馬車がうっすら空に飛んでいるため石畳のゴツゴツとした感触は味わえないが、視界に入る全てのものがここは異国なのだと教えている。
まるでベルカイムに初めて入った時の気持ち。
新しい地に着くたびに感じる言い表せない緊張感。
空港から外に出る時の高揚感に似た。
「うわっ……!」
眩い太陽の光の下、静寂から雑踏の中に突き飛ばされた気分だ。音の洪水が全身を包み込む。
「寄って行ってくれよー! 新鮮なポッフォルタークだよ!」
「ほーらこっちだよこっち! 出来立てのアラルローペ! 今ならズィズィ団子を乗せてやるよ!」
「ベンベロ・ゴッゴの新作! 聖竜騎士の魔除けを扱っているのはウチだけさあ!」
「今なら二割引き! 二割引きだよ! 早いもん勝ちだよ!」
なんだろう。なんだろう。
賑やかなのは王都でも経験していたけども、あそこはもう少し秩序があったというか、そこまで強引な客引きっていうのは禁止されていた。
だがここはどうだ。
馬車が通る幅ギリギリまで様々な屋台が無秩序に並んでいた。
熱気がものすごい。市場(バザール)のようだ。色とりどりの屋台が遠くまで続いている。はるか先に見えるのは城かな? いや、城壁? 門の前にあったやたらとでっかい像があそこにも。初代皇帝ってどれだけ自己主張激しいんだよ。それとも、それだけ称えたくなる人だったのか?
馬車道が屋台ギリギリなものだから、ぶつかりそうで怖い。門を通って真っすぐ進んだら貴族街へ続く道に変わると言われたので、その通りに進んではいるのだが不安になる。
俺たちの魔改造された馬車『リベルアリナ号』は結界魔法が付与されているだけでなく、馬車に許可なく触ったり壊そうとしたりする連中を容赦なく跳ねのける。少し強めの静電気が触れた部分を襲う程度だけども。この魔法、悪意がないものには発動しないので安心。
プニさんは悪目立ちしないよう漆黒の馬に化けてもらっているのだが、そこらを走る馬より雄々しくデカい。これは俺たちが変装しているのに自分も変装をするべきだと妙な主張をしたプニさんの変装――らしい。
見た目は美しいサラブレッドなのだが、筋骨隆々なばんえい馬のよう。
もっと地味な、目立たない馬が良いと言ったんだけどね。名馬が産まれることで有名なアルツェリオ王国エグラリー領の馬には負けたくないとかなんとか。
馬プニさんだけで悪目立ちをしている俺たちの馬車の周りでは、あちこちから悲鳴があがる。
一人や二人ではない。俺たちは御者台の後ろにある窓から前だけを見ているので、馬車の左右背後から聞こえてくる悲鳴は聞かないふり。人ん家の馬車に触れるほうが悪いのだ。
大手の商会が扱う馬車にはこういった防犯魔法が組み込まれているので、王国では下手に商会の馬車に触れようなどという愚か者はいないのだが。
「……帝国人は無法者ばかりなのか?」
ブロライトが絶え間なく聞こえてくる悲鳴に呆れながら御者台に座るクレイに声をかけるが、クレイはむっすりと口をひん曲げて返答せず。
「スケさんや、その返答をカクさん以外に求めても無理だからな」
「そうか。ならば馬車に触れぬよう記しておけば良いのじゃろうか」
「いやいや、そもそも他人の物に許可なく触れようとするのが悪いのだと思う」
「ピュ」
俺とブロライトが会話をする最中にも、「ぎゃっ」とか「ひいっ」という悲鳴は聞こえていた。
「帝国の騎士は警備をしていないんすかね? 警備兵のゼーノさんは優しい人だったっす」
悲鳴が聞こえる度に窓から身体ごと外に出すスッスは、警備兵の姿を探していた。
それは俺も気づいた。
王国の王都では騎士が警備兵と共に街中を巡回し、王都内の治安維持に努めていたのだが。
ひしめき合う屋台には警備兵っぽい服装の人はいたが、屋台の人と喋っていたり、座って酒を飲んでいたり、とても仕事中には見えない。
「このような……治安の悪い場所ではなかったのだが」
クレイが口元を隠しながらぽつりと呟いた。
少しだけ漏れ出るクレイの威圧に、プニさんが気を付けろと唸る。
治安が悪いというか無秩序というか。
だが、帝都は王都と同じ造りと聞いている。というか、マデウスの大きな都市は大体似たような造りになっている。
外壁に近い場所が庶民の町で、中央に宮殿があって、宮殿に近い部分に貴族街や富豪が住むよう区分けされている。
ショペン公爵が用意してくれたバイリー商会用の店舗があるのは、貴族街に最も近い立地らしいのだが。
クレイが不機嫌を隠そうとせず睨みつける先は、離れている場所からでも一目でわかる巨大建造物。あの巨大像よりも大きい。
王国の王城は荘厳で煌びやかで細部まで美しさを極めた建造物だったのだが、帝国の宮殿は無駄を極限まで省いた要塞のようだった。威圧感が凄まじい。
宮殿を眺めるたび、俺のうなじがチリチリと嫌な予感を告げている。
積極的に関わるつもりは毛頭ないのだけども。
面倒なことは、あっちからやってくるからなあ。
*********
あけましておめでとうござります。
本年もよろしくお願いいたします。
アニメ「素材採取家」、ご覧いただけましたでしょうか?
最終回のデンジャラス喧嘩、最高でしたね。
本年も「くだらないことを本気でやる」をモットーに、愉快なタケルたちの旅を楽しんでくださいまし。
次の更新は、近々!
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